2013/06/11

実体化したノセボは容易に消せるものなのだろうか?

プラセボ及びノセボについて注意すべきは、「気分」ではなく、生理的影響という実体を持っていること。
"Doctors shouldn't underestimate the significant influence that patients' negative expectations can have on outcome,' says Professor Irene Tracey of the Centre for Functional Magnetic Resonance Imaging of the Brain at Oxford University, who led the research.

"For example, people with chronic pain will often have seen many doctors and tried many drugs that haven't worked for them. They come to see the clinician with all this negative experience, not expecting to receive anything that will work for them. Doctors have almost got to work on that first before any drug will have an effect on their pain."

The placebo effect describes the improvements seen when patients -- unknowingly -- are given dummy pills or sham treatments but believe it will do them good. This is a very real physiological effect; it is not just about patients 'feeling' better. The nocebo effect is the opposite: patients see poorer outcomes as the result of doubts about a medical treatment.

「医師たちは、患者たちのネガティブな経験が治療効果に及ぼす影響を過小評価すべきではない。たとえば、慢性痛の人々は多くの医師の治療を受け、多くの薬を試して、効かなかった経験をしている。そのような人々は医師たちをネガティブな経験とともに見るようになり、効果のある治療を受けられると期待しなくなっている。」と研究を率いたOxford Universityの脳機能的磁気共鳴画像法センターのIrene Tracey教授は言う。

プラセボ効果は、患者が知らされずに、それが効くと信じてダミー錠剤を服用したり、偽治療を受けたときに、症状が改善することを描写したものである。これはまさしく、実際の生理学的効果である。患者の気分が良くなっただけではない。そして、ノセボ効果はその逆である。患者の治療についての疑いによって、治療効果が小さくなる。

[Placebo Effect Works Both Ways: Beliefs About Pain Levels Appear to Override Effects of Potent Pain-Relieving Drug (2011/02/11) on ScienceDaily]
そして、今朝取り上げた研究は、lets_skepticさんが指摘するように、条件反射のように機能しているプラセボ・ノセボがありうることを示唆している。さらに、それが無意識にすら形成され、発動しうることも。

このことは、ノセボによって生じている病気があるとすれば、それは実体として症状がある。そして、それはノセボが条件反射として形成されている可能性があり、もしそうなら、その条件付けを解除しない限り、症状は消えない。さらに無意識的に学習・発動しているノセボであるなら、その条件付けを解除することは、とても困難だと思われる。

したがって、「気のせい」は実のところ、治療がとても困難な、すごく深刻な事態を引き起こしている場合がありうる。しかも、そのような病気では、患者は医師たちをネガティブな経験とともに見るようになり、Irene Tracey教授の研究にもあるように、医師からの治療効果は得られそうになくなっている。

現状、化学物質過敏症は「その存在を肯定する意見から、懐疑的な意見まであがある。近年は、懐疑的な意見が優勢なようであるが、ごく微量の化学物質曝露の人体に対する影響については、さらなる検討が必要と思われる」[ie 日山 et al. 2011]と位置づけられている。存在が否定されれば、化学物質過敏症は実体化したノセボの疑いが高まる。その場合でも、症状は実体として存在し、治療はとても困難になる可能性がある。
posted by Kumicit at 2013/06/11 21:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/366007189
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック