2013/08/03

Godwinの法則

以前も触れたが、オンラインの議論が長く続けば、ほぼ確実に誰かが、ナチあるいはヒトラーを引き合いに出すという、1995年頃からあるGodwinの法則という経験則がある。
[Godwin's Law FAQ (2003)]

基本

  1. Godwinの法則とは何か?
    Godwinの法則とは、Usenetの議論に関する、Usenetの自然法則であり、Mike Godwinの名を取って名付けられた。Jargon File(用語辞書)によれば、「Usenetの議論が長引くと、ナチやヒトラーを含む比較が行われる確率が1.0に到達する。」

  2. それは何を意味するのか?
    まさに言葉通りで、Usenetのスレッドが進行するにつれて、誰か、あるいは何かがナチと比較される確率が1.0に到達する。

  3. それはわかったが、それで何を意味するのか?
    なるほど、これが真の質問だ。
    もし、過去60年のことを知らないのであれば、ナチとは、「民族の純血」についての彼らの基準に合わない人々を最大1000万人虐殺し、第2次世界大戦で、欧州と世界を征服しようとしたアドルフ・ヒトラーに率いられたドイツの政党である。彼らは、近代において最も凶悪な人々の集団だと考えられており、誰か、あるいは何かをナチと比較することは、最大限の攻撃と考えられている。
    Usenetの議論が長くなると、議論はヒートアップする。議論がヒートアップすると、緊張が高まり、人々は互いに、考え得る限りの侮辱を行い始める。
    Godwinの法則は結局のところ、それらの緊張が最終的には、議論の参加者に誰かに、考え得る限りの侮辱を思いつかせるということを記述したにすぎない。そして、その侮辱とは、ナチとの比較が常に含まれる。

  4. それでは、まだ私の疑問に答えていない。いったい、それは何を意味するのか?
    この法則は、スレッドが長く続きすぎたか、誰がフェアにプレイし、誰が侮辱しているか、そして誰が議論に勝利したかの指標として、Usenetで使われる。
    時間とともに、この法則は、Usenetで最も公平なモデレータに近いものになった。
    それでは、これは実用上どいう意味なのか:

    • 必然性あるいは関連性なく、ナチについて言及し、ナチへの言及がなければ侮辱となる発言をしたとき、おそらくスレッドを終わりにするときである。
    • 関連は曖昧だが、基本的には侮辱として、ナチへの言及を使ったとき、発言者は議論ではなく、喧嘩をしていると考えられる。
    • 長く続いている議論において、一方に対してナチへの言及が使われたとき、それをスレッドを終了し、他方が勝利宣言するための、公正な理由にできる。


  5. では、それは何を意味するのか?
    これは、長く続きすぎたスレッドでは、誰かが最終的にはナチについて何か言うことを意味する。そうなれば、スレッドはナチスドイツあるいはGodwinの法則についての長い喧嘩に堕ちていく。いずれにせよ、スレッドは事実上、終わっており、そのスレッドは読まないリストに入れておけばいい。
議論を続ける意味がなくなっていることの指標として使うのは実用的である。

なお、このGodwinの法則は、「ナチが無条件に悪である」と多くの人々が考えていることが背景となっている。そのことを議論において意図的使うことがあり、それはReductio ad Hitlerum詭弁と呼ばれ、「アドルフ・ヒトラー(あるいはナチ、あるいはスターリン)がXを支持した。従って、Xは悪である。」という形式をとる。よくある例としては、創造論者やインテリジェントデザイン支持者たちによる「ヒトラーは自らの見方の基礎をダーウィニズムに置いた」や「スターリンの政策はダーウィンの影響を受けた」といった主張がある。

posted by Kumicit at 2013/08/03 21:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ID: General | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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