2014/08/04

HIV制圧への光明が見え始めた南アフリカ

2009年、南アフリカはHIVにより短寿命化が進んでいた。それは社会機能の維持にも影響を出していた。
AIDSはアフリカ南部の、あまりに多くの政治家たちを死亡させたために、政府機能や地方自治体の機能を損なっているとCape Townの研究者が警告している。南アフリカだけで、AIDSにより月間28000人の若い有権者を失っている。

1999年以来、30歳〜49歳の南アフリカの有権者のうち260万が既に死亡している。それらはAIDSによるものだと、南アフリカの地方議会議員の死亡についての新しい研究論文の緒さであるKondwani Chiramboは言う。南アフリカの地方自治体の大多数は、与党ANCの支配する地方議員たちによって運営されている。
....
地方自治体が地域住民に適切なサービスを提供するために、地上自治体は、適切な知識とスキルに依存している。この研究調査は、AIDSの結果としてのスキルの喪失と、他の経済セクターへの仕事の転換と、増大する公共サービスの要求は、公共サービス全体をむしばもうとしていると警告する。

[South African ruling party is dying of AIDS (2009/03/17) on Digital Journal]
あれから5年、HIV否定論を信じたThabo Mbeki大統領が2008年に退陣して以降、次第にAIDS対策が進み始めた南アフリカ。

南アフリカ政府が公表した人口統計によれば、短寿命化が止まり、寿命は回復方向にある。世界銀行の推計値などを合わせて、平均寿命を見てみると...
LifeExpectancySouthAfrica.JPG
[Source: Statistical release P0302 - Mid-year population estimates 2014 (2014//07/31)]

世界銀行の推計では未だ道半ばだが、南アフリカ政府の統計ではHIV感染拡大前の水準に回復しつつある。これは、抗レトロウィルス剤を利用できる人々が増えて、母子感染防止や乳幼児死亡率の低下などが実現されたことによる。

残念ながら、HIV感染者の人口に占める率は増大中だが、15-24歳の若年層では感染者の比率が低下してきており、ようやくHIV制圧への光明が見え始めている。
HIVprevalenceSouthAfrica.JPG
[Source: Statistical release P0302 - Mid-year population estimates 2014 (2014//07/31), South Africa 2005, World Bank 2014]

また、社会機能の維持への影響も小さくなっていると思われる。まだまだ、南アフリカのHIVとの戦いは終わらないが、先の見えない絶望的状況でなくなったのは確か。
posted by Kumicit at 2014/08/04 23:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Disease | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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