EM(Effective Microorganisms)は、琉球大学農学部比嘉照男教授に よって開発され、救世自然農法の目指す5つの条件をクリア出来る 応用技術として、普及しています。... 比嘉教授は、創始者岡田茂吉師の思想に触れ「自然界はもともと これら5つの要素が潜在しており、自然農法はこの自然の持つ力を 最大限に発揮させる農法である。」「あらゆる物は存在の正当性を有するが、 自己矛盾を生じた場合は滅亡し、自己完結出来るもののみが残りうる。 そして、人間はこの原理を無限に利用しうる。」という点に着目しました。この自然農法国際開発センターは世界救世教教祖である岡田茂吉師が創設した財団法人である。
[有効微生物群応用技術 on 自然農法国際開発センター]
で、世界救世教には「波動」は存在しないようで、1990年頃に書かれたと思われる「Kyusei Nature Farming in Japan: Effect of EM on the Yield of Paddy Rice (救世自然農法: 米収穫へのEMの効果)には、"wave", "hado", "vibration"という記述はない。また、1991年3月付けで出版された「微生物の農業利用と環境保全」は、一見すると、普通の農業本っぽい本でも「波動」を連呼していない。
ただし、見慣れた怪しい記述が散らばっている。たとえば...
物質は無機・有機にかかわらず分子状になると固有の共鳴構造(外部からの波長刺激に対し共振する性質)を持っているが、水素結合のレベルの高い水は共鳴場がきわめて強く、あらゆる物質の共鳴構造を写し取る能力があるといわれている。水は純度を上げ続けると水素結合子のレベルも高まり、通常の水とは異なった物理化学性を有するようになる。極論すればこのような水は他の物質のもつあらゆる共鳴構造、すなわち物質固有の性質をその振動(共鳴)を通して記録し保持して他へ伝える能力があるということになる。1998年のJacques Benvenisteの「水の記憶」事件を思わせる記述である。そして、この流れなら、ホメオパシーに連鎖して不思議ではない。実際、EMの原典というべき1992年の「波動の作物生理学」という直接的なタイトルの記述では、「波動」を連呼するとともに、ホメオパシーへの言及もある。
[比嘉照夫:"微生物の農業利用と環境保全", 農山漁村文化協会 (1991/3), P.103]
物質の共鳴現象を写し取る場となり,水そのものがその物質の性質を帯びるようになってくる。超微量の成分を水に溶かし,分析では不可能なレベルまで薄めて治療薬とするホメオパシイー医療法もこの原理に従っている例が多く,水の性質の応用は無限的な意味をもち始めている。あまり読む気がしないかと思われるので、KH coderで共起グラフを描いておいた。
[比嘉照夫:"波動の作物生理学", 騒音制御, Vo1.16,No.6,1992(via breathingpower)]
とても明瞭に、よくあるキーワードが連なっている。そして、翌1993年には、サンマーク出版から、「地球を救う大変革」が出版。ここで興味深いのは、あっち側用語としての「抗酸化・酸化・還元」などとともに...
水には情報転写力があって、雨になって落ちてくると、最初にあたった物質の情報をつかんでしまうことです。(p.55)が再び主張されているが、ひとたび連呼した「波動」が、見当たらなくなっている。1991年時点にもどったのか、それとも、キーワード「波動」を避けたのか。
雨水は落下浸透する過程で最初に触れた活性物質の性質を転写し、それを他に伝える機能がある(p.109)
[比嘉照夫: "地球を救う大変革", サンマーク出版 (1993/10)]
そのことを考える材料として、15年後の2つの連載記事がある。いずれも、EMの対象として出されるトピックは同様だ。
しかし、「波動・結界」への言及頻度は大きく違っている、
意図して、想定読者によって記述を変えているようだ(もっともそれは、特に奇異なことではないが)。