2016/04/21

メモ「災害後の人々の行動」

Sasha Rudenstine and Sandro Galea (2011)は、災害における人々の行動をモデル化するにあたり、「脆弱性」と「対処能力」という言葉を定義した。
Several disciplines have come to agree that the initial hazard, whether it be natural, technological, or human-made, is not an isolated predictor of the events or outcomes to follow. Rather, preexisting characteristics of the affected region intersect with the hazard to shape the magnitude of the consequences of the hazard. These preexisting characteristics can produce adverse consequences but can also mitigate the consequences of hazards. We use here the term “vulnerabilities” for the former, and “capacities” for the latter.
それが自然災害であれ、技術的災害であれ、人為的災害であれ、最初の災害が、それに続くイベントや影響の、孤立した予測因子ではないことに、いくつかの学術分野が同意するようになった。むしろ、災害の影響を受けた地域に、災害前から存在する特性が、災害と交絡して、災害の影響の大きさを形成している。これらの、災害前から存在する特性が、悪影響を生み出す可能性があるとともに、災害の影響を緩和する可能性もある。我々は「脆弱性」を前者に、「対処能力」を後者に使う。

[Sasha Rudenstine and Sandro Galea:"The Causes and Behavioral Consequences of Disasters: Models informed by the the global experience 1950-2005 (2011), p.17]
これを用いて、5段階の行動推移をモデル化した。
第1段階は、グループ避難行動で特徴づけられる。この時点では、災害の影響を直接受けたコンパクトグループが、中心となる。最初の反応と行動は、災害との接触によって動機づけられ、恐怖と不安、情報の探索と広報行動、グループ避難に向けての行動で特徴づけられる。

第2段階では、全住民の避難と利他主義が出現する。この時期では、コンパクトグループのメンバーは、直近の安全が確保され、直接的被災者の救出と支援を行うために、災害の影響を直接受けなかった人々と共同してあたるようになる。この段階は、コンパクトグループの初期のグループ避難行動から、災害の間接的影響しか受けていない全住民の関与へと、状況が変化する。この全住民の関与は、コンパクトグループと一般住民のギャップを埋めて、災害及び、コミュニティ全体への災害の影響推移についての情報広報に寄与する。全住民避難行動が現れているものの、まだ情報探索行動が続いている。

第3段階では、災害の内在化が始まる。コンパクトグループのメンバーも、一般住民のメンバーも、災害を内在化し始め、災害後の環境に適応し始める。何が起きて、なぜ起きたのかを理解しようとして、災害の物語が紡がれる。災害前には「通常の」行動だと考えられてきたことが、災害後のコンテキストでは適切ではないかもしれない。これが、日常の行動を変えることへつながる。災害の生存者たちは、自分たちが経験した事態は、誰のせいなのか、あるいは何のせいなのか、自問するかもしれない。

第4段階は、外在化の始まりである。外在化とは、内在化プロセスで特定された感情や脆弱性に対処しようとすることである。この段階では、補償や救済を求めるようになり、災害の加害者と認識した者に対するアクションがとられる。さらに、この段階では、一般住民も内在化プロセスで特定された脆弱性に対処し始める。

最後の第5段階は、再正常化と適応が行われる。これは、緩慢で長く続くプロセスで、災害後の変化したコンテキストに適応した規範を特定し、それに従って行動する。この時点で、グループ適応が起きる。新たな行動モードが公正となり、外部行動が規範化される。

[Sasha Rudenstine and Sandro Galea:"The Causes and Behavioral Consequences of Disasters: Models informed by the the global experience 1950-2005 (2011), pp.61-62]
これらのうち、第4段階の外在化では、「責任者」への非難が行われるという。
Capacities and vulnerabilities determined during internalizing (stage three) become the basis for targeted action, or externalizing, in this stage. The externalizing process has two substages (1) seeking redress and (2) addressing vulnerabilities and building capacities. Post-disaster actions in this stage may vary by perceptions regarding who and what was responsible for the disaster. These in turn depend in large part on the nature of the hazard and its consequences. For example, attempts at seeking redress may be more diffuse after a natural hazard compared with a technological disaster or an act of mass violence where a central “perpetrator” is readily identified. Formal investigations and trials may be used by populations to identify and formalize redress, as well as penalize the agents of the disaster on a domestic and international scale. In disasters brought on by infectious disease outbreak, quarantine against the agent of the hazard (the visibly sick) may well be the central defense mechanism adopted by the population.

Seeking redress and assignation of blame emerge from the vulnerabilities identified during internalizing in general, and more specifically, from the culpability of individuals or structures that are identified during stage three. Identified “perpetrators” can be individuals, groups, or even structural features, as in the case of natural disasters. Retributive actions may be geared toward either the proximal or fundamental cause of the disaster, or both. When structural features become the primary agent considered culpable for a disaster, blame is often attributed to those charged with minimizing vulnerability, such as the engineers of a burst dam. In other cases blame may be assigned to those charged with preventing or alleviating damage, such as those responsible for controlling disease during an infections disease outbreak.

内在化(第3段階)で特定された「対処能力」と「脆弱性」は、この段階での、対処となる行動あるいは外部化の基礎となる。外部化プロセスは2つの段階 (1) 救済を求める (2) 脆弱性への対応と対処能力の構築から構成される。この段階での災害後の行動は、災害が誰あるいは何のせいなのかの認識によって違ってくる。これらはおおよそ、災害の性質とその影響に依存する。たとえば、技術的な災害や大規模暴力のような「加害者」を容易に特定できる場合に比べ、自然災害では、救済を求める行動が広がる。救済方法の策定とともに、災害の責任者に対する国内規模あるいは世界規模の懲罰のために、正式な捜査と裁判が、住民によって使われるだろう。感染症のアウトブレイクによる災害では、災害の関与者(見た目に病気)の隔離が、住民によって採用される中心的防御手段となるだろう。

内在化で特定された脆弱性全般、特に第3段階で特定された過失責任者や構造に対して、救済を求め、非難を行うことが始まる。自然災害の場合、特定された「加害者」は個人だったり、グループだったり、構造特性だったりする。報復行為の対象は、根本的な災害原因だったり、近接的な原因だったり、両方だったりする。構造特性が災害の第一義的な要因となると、バーストダムの技術者のように、脆弱性を最小化する責任を負う者たちに非難が向けられる。感染症アウトブレイクにおける感染防止の責任者たちなど、災害を防止あるいは責任を負う者に非難が向けられることもある。

[[Sasha Rudenstine and Sandro Galea:"The Causes and Behavioral Consequences of Disasters: Models informed by the the global experience 1950-2005 (2011), p.107]
この「加害者」の特定は、誤爆なこともある。また、実際に責任があっても、今後の同様の災害・事故の抑制のために、免責して、知っている情報をすべて提供させる必要がある場合もある。

でも、「報復行動」はなかなか止められないかも。

posted by Kumicit at 2016/04/21 08:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | Earthquake | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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