2007/07/28

教皇ベネディクト16世は進化論についてのポジションを変更せず

MSNBCの報道によれば400名の聖職者との質疑応答において、教皇ベネディクト16世は進化論について以下のように述べた。
Pope Benedict XVI said the debate raging in some countries — particularly the United States and his native Germany — between creationism and evolution was an “absurdity,” saying that evolution can coexist with faith.
教皇ベネディクト16世は、特に米国や教皇の故郷であるドイツにいて荒れ狂っている創造論と進化論の間の論争は、馬鹿げたものであり、進化論は信仰と共存できると述べた。

The pontiff, speaking as he was concluding his holiday in northern Italy, also said that while there is much scientific proof to support evolution, the theory could not exclude a role by God.
教皇は北イタリアでの休暇における結論として、進化論を支持する科学的証明は多いが、神の役割を排除できるものではないと述べた。

“They are presented as alternatives that exclude each other,” the pope said. “This clash is an absurdity because on one hand there is much scientific proof in favor of evolution, which appears as a reality that we must see and which enriches our understanding of life and being as such.”
「それら(進化論と創造論)は互いに背反する代替論として提示されている。この意見の衝突は馬鹿げたものである。というのは進化論を支持する科学的証拠は多く、それらは我々が直視すべき現実として示されており、それらは我々の生命についての理解を深めるものである。」と教皇は言った。

He said evolution did not answer all the questions: “Above all it does not answer the great philosophical question, ‘Where does everything come from?’”
教皇は進化論はすべての問いに答えてはおらず、「すべてはどこから来たのかという大いなる哲学的問いに答えるものではない」と言った。

[Pope - Creation vs. evolution clash an ‘absurdity’ (2007/07/25) on MSNBC News Services]
自然については科学に、哲学的問いについては宗教という形の共存をベネディクト16世は提示している。これは従来よりの見解を繰り返したものであり、ローマカトリックの進化論についてのポジションに変更がないことを明示したものと思われる。

教皇との質疑応答の速記録が教皇庁のサイトにアップされている。イタリア語なので、altavistaの「Italian to English」自動翻訳をたよりに該当部分を読んでみると..
Lei mi sembra che abbia dato una precisa descrizione di una vita nella quale Dio non appare.
それは神が現れない生命についての正確な記述をしたようです。

In un primo momento sembra che non abbiamo bisogno di Dio, anzi che, senza Dio saremmo più liberi e il mondo sarebbe più ampio.
最初は、私たちは神が必要ではないと思う。実際、神がいなければ、私たちはより自由で、世界はもっと広いかもしれないと思う。

Ma dopo un certo tempo, nelle nostre nuove generazioni, si vede cosa succede, quando Dio scompare.
神が消えて、時がたった、新たな世代において、何を見るのでしょうか?

Come Nietzsche ha detto "La grande luce si è spenta, il sole si è spento".
ニーチェが言ったように「偉大なる光は消えた。太陽は消えた。」

La vita allora è una cosa occasionale, diventa una cosa e devo cercare di fare il meglio con questa cosa e usare la vita come fosse una cosa per una felicità immediata, toccabile e realizzabile.
生命は泡沫のものであり、直近の手の届く実現可能な幸福のためのものあって、そのために最大限にその生命を使おうとしなければなりません。

Ma il grande problema è che se Dio non c’è e non è il Creatore anche della mia vita, in realtà la vita è un semplice pezzo dell’evoluzione, nient’altro, non ha senso di per sé stessa.
しかし、大きな問題は、神がいなくて、神が私の生命の創造主でなければ、生命は進化のひとつの断片にすぎず、それ以外の意味を持たないことになります。

Ma io devo invece cercare di mettere senso in questo pezzo di essere.
しかし、私はその断片に意味を持たせようとしなければなりません。

Vedo attualmente in Germania, ma anche negli Stati Uniti, un dibattito abbastanza accanito tra il cosiddetto creazionismo e l’evoluzionismo, presentati come fossero alternative che si escludono: chi crede nel Creatore non potrebbe pensare all’evoluzione e chi invece afferma l’evoluzione dovrebbe escludere Dio.
私は今ドイツで見ていますが、米国でも同様で、いわゆる創造論対進化論の燃え上がった論争は、互いに背反する代替理論として提示されています。すなわち、創造主を信じる者は進化論をまったく考えることができず、進化論は神を除外するものだと。

Questa contrapposizione è un’assurdità, perché da una parte ci sono tante prove scientifiche in favore di un’evoluzione che appare come una realtà che dobbiamo vedere e che arricchisce la nostra conoscenza della vita e dell’essere come tale.
この意見の衝突は馬鹿げたものです。というのは進化論を支持する科学的証拠は多く、それらは我々が直視すべき現実として示されており、それらは我々の生命についての理解を深めるものだからです。

Ma la dottrina dell’evoluzione non risponde a tutti i quesiti e non risponde soprattutto al grande quesito filosofico: da dove viene tutto? e come il tutto prende un cammino che arriva finalmente all’uomo?
しかし、進化論はすべての問いに答えるものではなく、あらゆる問いの上にある大いなる哲学的問いに答えません。すなわち、すべてはどこから来たのか?そして、最終的に人間へと到達したのか?
....
ということで、MSNBCの報道は特に作為的な切り取りをしていないことはわかった。

で、ここに示された教皇ベネディクト16世の回答について、特にKumicitには異論はない。進化生物学にせよ、インフレーション宇宙にせよ、自然科学によって神の不在が証明されることはない。そして、自然科学は意味や目的といった概念を取り扱わない。このポジションをとる限り、信仰と進化に対立点はありえない。

posted by Kumicit at 2007/07/28 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Vatican | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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