2007/09/29

HIV/AIDS陰謀論なモザンビークの大司教

モザンビークはアフリカ南東部にある人口1900万の国である。人口の17.5%がカトリックであるモザンビークで、カトリックの指導者Maputo大司教Francisco Chimoioが次のように語った。
"Condoms are not sure because I know that there are two countries in Europe, they are making condoms with the virus on purpose," he alleged, refusing to name the countries.

「コンドームは確実ではない。何故なら、私は欧州の2か国が、故意にウィルスを感染させたコンドームを製造していることを知っているからだ」と大司教は主張したが、2か国の名前を明らかにすることを拒否した。

"They want to finish with the African people. This is the programme. They want to colonise until up to now. If we are not careful we will finish in one century's time."

「彼らはアフリカ人を滅ぼしたいのだ。これは計画である。彼らは今に至るも、植民地をつくりたいのだ。もし、我々が注意深くなければ、一世紀のうちに我々は滅びるだろう。」
[Shock at archbishop condom claim (2007/09/26) on BBC via Aetiology & Pharyngula]
大司教の発言は、AIDSの原因がHIVではないというAIDS再評価運動(HIV否定論)とは異なる。しかし、結果は同じで、コンドームと抗ウィルス薬剤の拒否である。

モザンビークのHIV/AIDS情勢は、南アフリカと同じく悲惨なものである。

HIV AIDS > Adult prevalence rate (成人感染率) 12.2 %
HIV AIDS > Deaths (AIDSによる年間死亡数) 110,000 (2003 est.)
HIV AIDS > People living with HIV AIDS (HIV感染者数) 1,300,000
(per capita) 62.184 per 1,000 people
HIV AIDS > children orphaned by AIDS 0-14 years, 418,000
(片親もしくは両親がAIDSで死亡した0〜14歳の子供の数)

[NationMaster: Mozambique Health]
その状況のもとで、Francisco Chimoio大司教の発言は、南アフリカのMbeki大統領やTshabalala-Msimang厚生相と同様に異様なものだ。


カトリックとコンドームとHIV/AIDS

ただ、「コンドームはHIV/AIDS予防に寄与しない」という主張そのものはカトリックの公式なポジションである。Francisco Chimoio大司教の思い付きではない。教皇庁家庭評議会議長Alfonso L Trujilloは2003年に「Family Values Versus Safe Sex (家族の価値と安全なセックス )」という文書を出している。
あのインタビューで私は「安全なセックス」に警告を発し、「予防措置(prophylactic)」(3)としてコンドームを使用することは、HIV/AIDS(後天性免疫不全症候群を起こすヒト免疫不全ウイルス)ばかりでなく、他の多くの性感染症(STD)についてもその感染から客観的かつ完全に安全だとはいいきれない、と述べた。私は、この世界的感染症を抑制するには、責任ある性行為を推奨することが必要だと強調したのである。それは正統的な性教育で繰り返し教え込まれるもので、男女両性の人格を尊重し、異性を単なる快楽の道具であり「利用すべき」モノであるとは考えない。婚姻とは男女両性の相互的、排他的かつ完全な献身行為であるという前提のもとでは、そのような責任ある性行為は夫婦愛の中でのみ実現する、とも述べた。
そもそもカトリックはコンドームそのものに敵対している。「責任ある性行為を推奨することが必要」とは麗しい対策だが、それはもちろん現実的ではない。

それがわかっているので、カトリックでも現場レベルはコンドームの使用を積極的に推進してたりもする。2年前、New York Timesはそのようなカトリックを批判しつつも、現場レベルの対応を報じてた。
Rosana Soares Ribeiro, the coordinator of a Catholic-run AIDS orphanage in São Paulo, says she feels that it's more important to save lives than to obey church rules. So she tells the H.I.V.-positive teenagers in her care to use condoms when they have sexual relationships.
''My life belongs to God, and God would not want me to allow somebody to be infected with the virus,'' she said. ''So God will forgive my violation of church rules.''

カトリックが運営するサンパウロのAIDS孤児院のコーディネータRosana Soares Ribeiroは「教会の規則に従うよりも、生命を救う方が重要だと感じます」と言う。彼女はケアしているHIV陽性のティーンエイジャーに、セックスするときコンドームを使うように教えている。「私の人生は神のものであり、神は私に、誰かがウィルスに感染するのを看過するのを望まれないでしょう。だから神は私が教会の規則に違反することを許されるでしょう。
...
Fortunately, the Vatican's policies are routinely breached by those charged with carrying them out. In rural Guatemala, I've met Maryknoll sisters who counsel prostitutes to use condoms. In El Salvador, I talked to doctors in a Catholic clinic who explain to patients how condoms can protect against AIDS. In Zimbabwe, I visited a Catholic charity that gave out condoms -- until the bishop found out.

幸いにも、バチカンの方針は、実行者たちによって恒常的に破られている。グアテマラの地方で、私は売春婦にコンドームを使うように助言するMaryknollのシスターたちと会った。エルサルバドルでは、私はカトリックの病院で、コンドームがAIDS予防に役立つことを患者に説明する医師と話した。ジンバブエでは司教に見つかるまで、コンドームを配っていたカトリックの慈善団体を訪れた。
[The Pope and AIDS (2005/05/08) on New York Times]
とはいえ、それらは局地戦であって、全体としてはカトリックにせよ福音主義にせよ、表側はコンドーム反対であり、そちらの影響力の方が大きい。

たとえば、グアテマラでは:
AIDS information campaigns in Guatemala are frequently controversial, owing to the opposition of the powerful Catholic and evangelical churches.
グアテマラではAIDS情報キャンペーンは、影響力の大きいカトリックと福音主義教会の反対にあって、しばしば論争になる。

Government-sponsored prevention strategies, in fact, recommend abstinence and fidelity first, and promote the use of condoms as a secondary measure.
政府による予防政略は、事実、禁欲と貞節を第一とし、コンドームの使用を二義的なものだと宣伝する。

"A health minister will never come out in public and openly recommend condoms," Calderón said.
「厚生大臣は公にコンドームを推奨することはまったくない」と[AIDS予防に働くNGOであるFernando Iturbide FoundationのCristina] Calderónは言う。

[Alberto Mendoza: AIDS Patients Suffer Epidemic of Discrimination (2006/06/23) on IPS news]
これだとカトリックの強いところでは、教皇ベネディクト16世が方針転換しない限り、どうにもならない。



posted by Kumicit at 2007/09/29 06:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | News | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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