2007/10/01

キリスト教系学校向け生物の教科書はこんなもの (2)

Panda's Thumbの執筆者のひとりMike Dunfordが、Biology for Christian Schoolsという教科書に、またもブチ切れそうな記述をいくつか見つけた

その中からひとつを紹介すると:
Compile a list of modern beliefs, practices, or activities that reflect the philosophy of evolution rather than a biblical philosophy.

現代の信条、実行または活動で、聖書の哲学よりむしろ進化の原理を反映するものをリストアップしなさい。
The answer is found in the Teacher's Edition:
教師版にある答えは:
(1) Communism denies the existence of God. (2) Advances in technology will solve all of man's physical and social problems. (3) The ecumenical movement endorses humanism as the world religion. (4) Environmental control is overemphasized, and man's God-given command to exercise dominion is deemphasized.

(1) 共産主義は神の存在を否定する
(2) 技術が発展すれば、人間の物理的および社会的問題はすべて解決される
(3) 世界教会運動は、世界宗教としてヒューマニズムを保証する。
(4) 環境制御が強調されすぎ、人間に神が与えた自然を支配するという命令が軽視される。
["Thought Question" 3, p.201]
無神論(atheism)はギリシャからある。だいたい英語の無神論(atheism)の語源はギリシャ語atheos (ἄθεος)である。他も進化論とは関係ないのだが。

で、この記述を受ける形で、Mike Dunfordは次のように斬る:
Moving from the indoctrination in extremist religious beliefs to the political wingnuttery, we find this on page 615:
この急進宗教信仰の教義から、政治的発言へのつながりが615ページにあった。
The level of carbon dioxide (CO2) is normally kept in check by green plants, which utilize it for photosynthesis. The combustion of fossil fuels like coal and petroleum also releases large amounts of CO2, which is known to be increasing in the atmosphere. The earth's temperature is kept warm enough to encourage abundant life as a result of the insulating effect of a layer of CO2 and other gasses. These gases allow sunlight to pass through but also trap the radiation that bounces off the earth, keeping it from returning to space. This is known as the greenhouse effect. Some scientists have analyzed long-term climate data and have noted a slight increase in the earth's temperature over the past century. While the data is far from conclusive, some blame CO2 and other "greenhouse gasses" for the increase. They blame this perceived global warming on car engines, electric power plants, and other major sources of CO2 emissions.

二酸化炭素濃度は、通常は光合成する緑色植物によって維持されている。石炭やガソリンのような化石燃料の燃焼でも大量の二酸化炭素が排出され、これが大気圏の二酸化炭素濃度を増加させることが知られている。地球の温度は、二酸化炭素やその他のガスの層の温室効果により、大量の生命が存在できるように保たれている。これらのガスは太陽光を透過させるが、地球からの放射を吸収し、宇宙空間へもどるのを防いでいる。これが温室効果である。科学者たちは長期気候データを分析し、過去一世紀に地球の気温が少し上昇したことを指摘する。データは結論が出せるようなものではないのに、この気温上昇について、二酸化炭素や温室効果ガスを非難する。この判明した地球温暖化について、自動車のエンジンや発電所や、その他の主要な二酸化炭素排出源を非難する。
On the same page of the Teacher's Edition, the authors note:
教師版では:
An increase in CO2 has been positively linked to great increases in plant productivity (since it is one of the possible limiting factors for photosynthesis). We may be limiting our ability to produce higher levels of food by limiting the artificial creation of CO2.

二酸化炭素の増大は、植物の生産性(光合成の考えうる制約のひとつなので)を増加させる。我々は二酸化炭素の人為生産を抑制することで、食糧生産水準を抑制しているかもしれない。
To be clear, then, the authors point out that the levels of carbon dioxide are increasing, and claim that limiting the increase might be bad because carbon dioxide is a potential limiting resource for plants. Anyone with the critical thinking skills of a turnip can spot the small issue with that (if it's an actual limiting factor, the levels wouldn't be increasing). Unfortunately, "turnip" seems to be the best description of the level of critical thinking encouraged in the Christian madrassas that use these books.

教科書の著者たちは二酸化炭素濃度が増加していることを指摘し、二酸化炭素の増加を抑制することは、植物の光合成を制約する可能性があるので悪いことかもしれないと主張する。"ばか"の批判的思考能力があれば、小さな問題点を指摘できる(それが本当に制約条件なら、二酸化炭素濃度は増加しないかもしれない)。残念ながら、"ばか"は、この教科書を使うキリスト教およびイスラム神学校において推奨される批判的思考のレベルを評する最高の記述だろう。
[Mike Dunford: More Bob Jones "Biology for Christian Schools" Howlers (2007/09/29) on The Questionable Authority]
生物の教科書だが、地球温暖化否定論に入り込んでいるという指摘。

最初のパラグラフと合わせると、「人間には未来の気候を予測することはできず、気候の制御は不可能で、二酸化炭素について放置した方がいい」ということになる。

なんか物凄く狂った主張に見えるが、福音主義キリスト教的にはまったく普通だと思われる。というのは、これ:
創世記 9章8-11節

神はノアと彼の息子たちに言われた。「わたしは、あなたたちと、そして後に続く子孫と、契約を立てる。あなたたちと共にいるすべての生き物、またあなたたちと共にいる鳥や家畜や地のすべての獣など、箱舟から出たすべてのもののみならず、地のすべての獣と契約を立てる。わたしがあなたたちと契約を立てたならば、二度と洪水によって肉なるものがことごとく滅ぼされることはなく、洪水が起こって地を滅ぼすことも決してない。」 (日本聖書協会新共同訳)
彼らにとって、海面上昇なんてないのである。



関連エントリ

キリスト教系学校向け生物の教科書はこんなもの (1) (2007/09/21)
公立学校から子どもを取り出す福音主義者たち (2006/09/17)



posted by Kumicit at 2007/10/01 00:01 | Comment(4) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
瑣末なことですが、3つめの箱内の、最初の方の『つんがあり』は書きまちがいではないでしょうか(つながり、でしょうか)。
Posted by 福岡在住 at 2007/09/30 17:56
タイポご指摘ありがとうございます。修正しました。
またのご指摘お待ちしております。
Posted by Kumicit 管理者コメント at 2007/09/30 21:32
よくわかりませんが,福音主義者はみなが「海面上昇などない」と信じていますか?これは「今後洪水による裁きは起こらない」ことだけを示唆している
言葉に思えますが
Posted by 名も無き忘却からの帰還者 at 2010/03/14 18:20
米国には、温暖化否定を聖書で語るJohn Shimkus連邦下院議員がいて、聖書を掲げて温暖化否定の説教をする牧師たちがいます。そして、南部バプテスト連盟は温暖化否定の立場を決議しています。

米国の温暖化否定を概観する (3) 聖書に基づく温暖化否定論
http://transact.seesaa.net/article/135523082.html
米国の温暖化否定を概観する (8) まとめ
http://transact.seesaa.net/article/136077335.html
Posted by Kumicit 管理者コメント at 2010/03/15 01:10
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