2007/10/18

Harun YahyaのAtlas of Creationをながめてみた (4/6) 実はトンデモフリーク

Harun YahraことAdnan Oktar(1956〜)は、トンデモネタも大好きらしい。"Atlas of Creation"シリーズのVol.1では、「生きた化石がある+中間化石がない」という創造論者の陳腐な主張を豪華な図版を使って主張していた。しかし、Vol.2になると、これに加えて、トンデモネタ「超古代文明があった」が登場する。

進化が時を経た漸進的変化であるなら、超古代文明はそれを否定するという論理らしい。Harun Yahraは、このネタにVol.2の「ASTONISHING REMAINS OF ANCIENT CIVILIZATIONS (p.526〜)」という章をもうけて、よくあるネタをえんえんと書いている。

取り立てて言うべきこともないが、あえて言うなら、聖書ではなくコーランの記述に触れていること。

とりあえず、例をいくつか紹介しておく。
A MODEL GLIDER IN ANCIENT EGYPTIAN TOMBS


Remains left behind by many civilizations indicate that air transport was used in very ancient times. This can clearly be seen in Mayan ruins, pictures in the Egyptian pyramids, and Sumerian inscriptions. As far as we can tell, people were building and using vehicles similar to gliders, airplanes, and helicopters thousands of years ago.

多くの文明の遺物は、航空輸送が超古代に使われたことを示している。これは、マヤの残骸、エジプトのピラミッドの絵とシュメールの銘で明らかに見られる。人々は数千年前もグライダーや飛行機とヘリコプターに類似した乗り物を造り、使っていたと言える。

In fact, the Qur'an indicates that air transport may have been used long ago:
事実、コーランは航空輸送が、かなり昔に使われたかもしれないことを示している:
And We gave Solomon power over the wind--a month's journey in the morning and a month in the afternoon. (Surah Saba': 12)
またスライマーンには風を(支配させ),(その風の一吹きで)一朝に一ケ月(の旅路)を,また―夕に一ケ月(の帰路)を(旅させた)。(サバア章12)
It is very likely that the long distances referred to in this verse could have been traveled quickly in Prophet Solomon's (pbuh) day. This transportation may have taken place by means of wind-powered vehicles using a technology similar to that found in planes today. (God knows the truth.)

この章句では、預言者ソロモン(pbuh)の時代に長距離を非常に迅速に旅行できていたことは、大いにありそうである。この輸送手段は現在の航空機に見られるのと類似したテクノロジーを使った風力による乗り物かもしれない(神は真実を知っている)。

One piece of evidence that past civilizations employed air transportation is a model glider found in Egypt. This model, discovered in 1898, has been dated at about 200 BCE. Of course, finding a model glider some 2,200 years old is a rather remarkable event. This archaeological finding completely undermines the evolutionist conception of history. An even more interesting picture emerges when the model's technical features are examined. The shape and proportions of this wooden model's wings were designed in such a way as to give the aircraft a maximum lift with a minimum loss of speed, as in the Concorde, the product of today's most advanced technology. This also shows that the ancient Egyptians had a very good knowledge of aerodynamics.

過去の文明が航空輸送を使用したという証拠の1つは、エジプトで見つかるグライダーの模型である。1898年に発見された、この模型の年代は紀元前200年である。当然、グライダーの模型が2200年前のものだとわかったことは、注目すべき事件である。この考古学的な発見は、完全に歴史の進化論的概念を崩すものである。模型の技術的な特徴を調べると、さらに面白いことがわかってくる。この木製の模型の翼の形状は、最少の速度低下で最大の揚力を得られるようにデザインされたもので、これはコンコルドのように現在の最先端テクノロジーの産物に見られるものである。これも、古代エジプト人には空力についての高度な知識があったことを示している。

Vol2-554_555.png
A model glider estimated to date back to 200 BCE
紀元前200年と推定されるグライダーの模型

The devices seen here, discovered on the wall of the Abydios Temple by Dr. Ruth Hiver, are fascinating in their similarity to today's helicopters and jets.
ここに見られる装置は、Dr. Ruth HiverがAbydios Templeの壁で発見したもので、現在のヘリコプターやジェット機に類似していて、魅力的である。

(Vol.2 p.554-555)
さらに、続く航空機ネタ。そして土偶登場:
A SOLID GOLD MODEL OF AN AEROPLANE FOUND IN NAZCA
ナスカで発見された航空機の黄金の模型


Remains of aircraft belonging to past civilizations have been found not only in Egypt. The aircraft model pictured here was discovered in a cave in Colombia, South America.

過去の文明の航空機の残骸は、エジプトだけで発見されるものではない。ここで描かれる航空機の模型は、南米コロンビアの洞穴で発見された。

Thought to be more than 1,000 years old, it is now in the Smithsonian Institution in Washington, D.C. The aerodynamic structure of this tiny model, with the projections on the edges of the rudder on the tail section, is no different from that of modern aircraft. In his book, The Puzzle of Ancient Man, Donald E. Chittick interprets this gold model in these words:

1000年以上前のものであると考えられ、現在はワシントンのスミソニアン協会の中に保管されている。尾部のラダーの端の突起を持つ、この小さな模型の空力構造は、現在の航空機といささかも異ならない。Donald E. Chittickは自著「古代人の謎」で、この黄金の模型について次のように述べている:
Of course, it is possible to propose another explanation for this discovery apart from advanced technology. But, when all these hand-made discoveries are put together and their meaning carefully assessed, only one explanation is possible: these remains belong to civilizations with advanced technology.*

もちろん、この発見について、先進技術ではないという説明を提示可能である。しかし、これらすべての手製の発見をまとめて、それらの意味するところを慎重に評価するなら、可能な説明はひとつである。:これらの遺物は、先進テクノロジー文明のものである*。
This statue found in Vera Cruz, dating from 200 CE, has been compared by researchers to a hovercraft-- a present-day vehicle that can travel on both land and water. The rotors on the sides can revolve in a circular motion, and the tail functions as a rudder. There is even a section for exhaust emission, and a control panel. The uniform that the pilot is wearing completes this comparison.

紀元前200年のVera Cruzの像は、研究者により、現代の水陸両用の乗り物であるホバークラフトと比較された。側面のロータは回転でき、尾部は舵として機能する。排気排出とコントロールパネルのための部分もある。パイロットが着ているユニフォームにより、この比較を完成する。

* The six thousand year old space suit, Vaughn M. Greene, foreword by Zecharia Sitchin

DO "DOGUS" REPRESENT PILOTS WHO LIVED THOUSANDS OF YEARS AGO?
土偶は数千年前のパイロットの証拠か?


Dogus are clay statues ranging between 7 and 30 centimeters (2.8 to 12 in) in height. So far, 3,000 of these statues have been found which are thought to have been crafted between 300 and 10,000 BCE. This makes them older than all former civilizations, including Egypt and Sumeria. Dogus were made by the Jomon people, which are thought to be the oldest known inhabitants of Japan. According to historical records, the Jomon were the first civilization to use ceramics.* In the Fukui Cave in Kyushu was discovered a piece of ceramic that is 12,700 years old.

土偶は高さ7〜30cmの粘土像である。見つかった土偶のうち3000個は、紀元前300〜10000年のものだと考えられている。エジプトやシュメールを含むほかのすべての文明よりも古いものである。土偶は、日本最古の住人である縄文人によって作られた。歴史記録によれば、縄文は最初に陶器を使った文明である。九州の福井洞窟[長崎県]で見つかった陶器の破片は12700年前のものだった。

Dogu figurines are very different from those of other past civilizations. When we look at them carefully, their clothing seems to have a variety of technical components resembling those of suits worn by pilots and deep-sea divers in the first quarter of the 20th century. The armor on Dogu figures is apparently articulated in various places to allow movement. There are openings to allow for breathing. The eyes are protected by special goggles. The hands are covered by removable gloves. The helmets have an especially interesting design: They are round, with a breathing mechanism that includes air hoses and headphones.

土偶は他の過去の文明の像とは大きく違っている。土偶を注意深く見れば、土偶の衣装が、20世紀第1四半世紀のパイロットや深海ダイバーのスーツと類似した技術的な要素を持っているように見える。土偶の甲冑は、様々な場所で活動できるように表現されている。呼吸可能な開口部がある。眼は特殊なゴーグルで保護されている。手は取り外し可能なグローブで覆われている。ヘルメットは特に面白いで財となっている。エアホースとヘッドフォンを含む呼吸機構があり、全体は丸い。

These figures, which are remarkable for their resemblance with the 20th-century flight suits and diving suits, suggest that peoples of past times had a highly advanced technology. These discoveries indicate that there has been no such thing as any process of evolution over the course of history.

これらの特徴は、20世紀のフライトスーツや潜水服との類似が顕著であり、そのことは過去の時代の人々が高度に発展した文明を持っていたことを示している。これらの発見は、歴史の経路上に進化の過程がなかったことを示すものである。

In the Qur'an God states that civilization in the time of Prophet Solomon (pbuh) had a very advanced level of air transport and underwater diving. (God knows best.) Here are two verses that indicate that the jinn serving Prophet Solomon (pbuh) were divers:

コーランで神は預言者ソロモン(pbuh)の時代には文明は、非常に発展した航空輸送と潜水技術を持っていたと記している。神はすべてを知っている。以下は、預言者ソロモン(pbuh)に仕えていた精霊が潜水夫であったことを示す2つの節である:

So We subjected the wind to him to blow at his command, softly, wherever he directed. And the demons, every builder and diver . . . (Surah Sad : 36-37)
そこでわれは,風をかれに従わせた。それはかれの思うままに,その命令によって望む所に静かに吹く。またわれはシャイターンたちを,(かれに服従させた。その中には)大工があり潜水夫もあり,(サード章36-37)

Vol2-556_557.png
(Vol.2 p.556-557)

反進化論の信憑性を上げたいなら、超古代文明ネタには手を出さないのが普通だろう。しかし、Harun Yahyaは違う。何でもありだ。東洋の神秘を狙ったか、はたまた日本向けマーケティングか、宇宙飛行士な土偶も登場するなど、あほとしか言いようがない。

もちろん、創造論系と超古代文明系の両方を好む人々がいないわけではない。たとえば、S8int.com -- OOPARTSは超古代文明を基軸としつつ、創造論も扱っている。また、SDA嵯峨野教会牧師は創造論を基軸としつつ、カンボジアのステゴザウルスとかRon Wyattとかトンデモ系を持ち上げまくりである[ie 謎は深まるばかりだ]。

しかし、土偶宇宙飛行士ネタを載せて学校にばらまくなら、それはゴミ箱直行にしろといっているようなもの。学校にはVol.1だけばらまいたと思われるが(Harun Yahyaショップを見るとフランス語版はVol.1だけ)、Vol.2もばらまいていたら、違った反応になっていたかもしれない。


なお、コーラン日本語訳は「日本ムスリム情報事務所 聖クルアーン」を使用した。


関連エントリ

Harun YahyaのAtlas of Creationをながめてみた (1) 「生きた化石は進化論の反証」 (2007/10/15)
Harun YahyaのAtlas of Creationをながめてみた (2)「中間化石がない+生きた化石がある」 (2007/10/16)
Harun YahyaのAtlas of Creationをながめてみた (3)「奇形化石がないのは進化論の反証」 (2007/10/17)
Harun YahyaのAtlas of Creationをながめてみた (4) 実はトンデモフリーク (2007/10/18)
Harun YahyaのAtlas of Creationをながめてみた (5) 「痕跡器官は進化論の証拠ではない」(2007/10/19)
Harun YahyaのAtlas of Creationをながめてみた (6) マルサス陰謀論 (2007/10/20)
タグ:Harun Yahya
posted by Kumicit at 2007/10/18 00:01 | Comment(5) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
ハルン・ヤーヤ(英語圏の人と話した時はこう発音しているように聞こえました)は、ここ十年で急激にイスラム圏で知名度が上がっているイスラム創造論者として、結構前から私も知っていました。
日本のイスラム系サイトや掲示板でもしばしば紹介されています。
日本語訳の本や公式サイトはまだありませんが、彼の関係者らしい人物が日本で講演したこともあります。
日本の多くのムスリム達の間でも、彼の創造論は受け入れられているようです。
キリスト・イスラム圏と違い、進化論があまり反発されることなく受け入れられ、戦前ですら進化論が禁止されなかった日本ですが、彼の創造論にあっさり騙される日本人ムスリムが、日本人クリスチャンと同様多いことに、正直私は頭が痛いです。
やはり、科学を体系的に教えずに、単に教科書の情報を暗記させてきた教育に問題があったのかもしれません。
それにしても、ハルン・ヤーヤがここまでトンデモのオンパレードだとは知りませんでした。
ユダヤ/フリーメイソン陰謀論も主張しているのは知っていましたが。
日本人ムスリム達にも、創造論や陰謀論だけでなく、彼のオーパーツに関するトンデモまで信じている人が多くいるかもしれません。
Posted by 卍丸 at 2007/10/19 23:05
すみません、過って二重投稿してしまいました。
大変申し訳ないですが、Kumicit様、削除をお願いします。
Posted by 卍丸 at 2007/10/19 23:30
>ここ十年で急激にイスラム圏で知名度が上がっているイスラム創造論者

進化論が正しいと思っている人が米国より少ないトルコ
http://www.pandasthumb.org/archives/images/Miller_etal_2006_Science_Public_Acceptance_Evo.gif
なので、伝統的な創造論が、そこはかとなくあるような気がしていたのですが、Harun Yahyaが知名度を上げているのですね。

Kumicit自身は、所詮は米国創造論のまがいものだと思っていてHarun Yahyaをほとんど見ていませんでした。今回、欧州評議会のさわぎがあったので、一通り眺めて、思わぬトンデモぶりを見て、まとめて紹介する気になりました。

>日本の多くのムスリム達の間でも、彼の創造論は受け入れられているようです。

「科学とコーランが対立したらコーランをとる」ことができない人々に、「自分たちが科学の敵対者ではなく、真の科学の擁護者である」という「思い」を与えてくれるのが、よいのでしょうか。
このあたりは、米国の創造科学・インテリジェントデザインも同様ですが。

#あと重複コメント、消しときました。
Posted by Kumicit 管理者コメント at 2007/10/20 11:42
>進化論が正しいと思っている人が米国より少ないトルコなので、伝統的な創造論が、そこはかとなくあるような気がしていたのですが、Harun Yahyaが知名度を上げているのですね。

岩波イスラーム辞典によると、イスラムでは進化論を受け入れる人は非常に少ないようなのですが、米国のような科学的創造論もまだ普及していないとも書いてありました。
そんな中で、米国から古い地球の科学的創造論を、ハルン・ヤーヤは輸入して、次第に注目されるようになったわけです。
なぜ、科学的創造論の導入が遅れ、最近になってやっとそれが注目されるようになったのかは、私もそうした所の事情はよくわかりません。

>「科学とコーランが対立したらコーランをとる」ことができない人々に、「自分たちが科学の敵対者ではなく、真の科学の擁護者である」という「思い」を与えてくれるのが、よいのでしょうか。

日本人ムスリムに関しては、彼らの掲示板などの書き込みを読む限り、そんな感じがしますね。
これは日本のキリスト原理主義改宗者にも同様に当てはまると思います。

ハルン・ヤーヤ以外にもイスラム系日本語サイトにも、イスラムの科学的正確さを主張するサイトがいくつかあります。
まだ、日本にはムスリムの児童が非常に少ないので、学校教育上の問題にはなってはいませんが、これらのサイトの影響を受けた親の児童が、将来的にキリスト原理主義やエホバの証人と同様な問題を引き起こすと思います。

>#あと重複コメント、消しときました。

お手数かけました。
Posted by 卍丸 at 2007/10/20 23:40
コーランには創造について具体的描写がなく、旧約聖書創世記を字義どおり受け取る必要もないので、"古い地球の創造論"をHarun Yahyaが導入したのですね。

Atlas of Creationにも、「生物は進化しない+生物の出現&滅亡」というコンセプトが書かれていました(Vol.2 p.610)
https://transact.up.seesaa.net/image/Vol2-610_TimeLine.png


日本の教育への影響については、"若い地球の創造論"を教義とするキリスト教セブンスデーアドベンティストなどを含めて、気になっています。
といことで、イスラム掲示板も2つほどチェックするようにします。
Posted by Kumicit 管理者コメント at 2007/10/22 02:30
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