==>インテリジェント・デザインの高校用副読本 (2005/12/04)
==>Common Descentな創造科学とインテリジェントデザイン (2006/03/23)
そのためか、新たな副読本として、"Explore Evolution"というページ数少なめの本が出現していた。法廷闘争に勝てるように、創造や聖書はもちろんのこと、インテリジェントデザインにもまったく触れず、進化論の隙間だけを主張する形になっている。
==>インテリジェントデザインの副読本"Explore Evolution" (2007/07/06)
それだけでは不足だったのが、このたびthe Foundation for Thought and Ethicsから、「The Design of Life」という別の副読本が出現した。執筆者は、まいどおなじみの数学・哲学・神学担当のDr. William Dembskiと、進化論破壊を誓って統一教会からの補助金で大学院に進学したDr. Jonathan Wellsである。
==>統一教会信者 Jonathan Wells (2006/06/28)
ということで、早速、特設サイトで読める部分のうち、まえがきと第1章の間にあるTHE MEANINGS OF “Evolution”という、この本での進化論の扱いを書いた部分を読んでみた。
THE MEANINGS OF “Evolution” 進化の意味非常に明確に、インテリジェントデザインのポジションが記述されている。
Some meanings of “evolution” are uncontroversial, such as that organisms have changed over time, that organisms can adapt to changing environmental conditions, or that gene frequencies may vary in a population. If this is all that evolution meant, the general public would leave it well enough alone. Thus, when school boards and biology teachers must answer what they are teaching about biological origins, they often provide an innocuous version of evolution: Of course you believe that organisms have changed over time...Surely you’ve heard of bacteria developing antibiotic resistance...This is evolution in action.
生物が時間を経て変化することや、生物が変化する環境に適応できることや、集団内での遺伝子比率が変化することなど、進化の幾つかの意味については異論はない。これらが進化論の意味するすべてであれば、一般大衆は別に気にしないだろう。従って、学区教育委員会と生物教師は生物の起源について何を教えているか答えないといけなくなると、進化のイノセンスなバージョンを語る。もちろん、君たちは生物が時間を経て変化することを信じる。もちろん、バクテリアが抗生抵抗を高める話を聞くだろう。これが進行中の進化だ。
Such depictions of evolution may alleviate public fears and sidestep controversy, but only for the moment. In fact, they hide what is really at stake in the debate over evolution. Bacteria developing antibiotic resistance do indeed exemplify evolution in action. But this is small-scale evolution (microevolution), which no one disputes and which is irrelevant to the really big claims of evolutionary biology.
そのような進化の描写は、一般大衆の恐怖を軽減し、論争を回避できるかもしれない。しかし、それはほんの一時のことだ。事実、彼らは進化についての論争で本当に危ういところを隠している。抗生抵抗を高める細菌は、本当に進行中の進化を証明する。しかし、これは小規模な進化たる小進化であり、誰も異議をとなえず、進化生物学の本当の大きな主張とは無関係である。
Evolutionary biology makes two big claims:
進化の生物学は、2つの大きい主張をする:
1. The bacteria that develop antibiotic resistance and you, the human whose immune system cannot fend off the bacteria, are, along with all other organisms, descendents from a common ancestor in the distant past; and
抗生抵抗を高めた細菌と、免疫系で細菌を防御できない人間である君は、他のすべての生物と同じく、はるかなる過去の共通祖先の子孫であり、
2. The process that brought the bacteria and all other organisms into existence by descent from a common ancestor operates by chance and necessity and thus without any discernible plan or purpose.
共通祖先からの系統によって細菌やすべての生物を存在させた過程は、偶然と必然によって働き、従って、いかなる識別可能な計画や目的なしに進んだ。
The first of these is a claim about natural history and is known as “common descent” or “universal common ancestry.” According to it, there is a common ancestor to which all living organisms trace their lineage. The second asserts that evolutionary change proceeds by purely material mechanisms and thus requires no intelligent guidance. Intelligence, on this view, is a product of evolution rather than something that guides it.
これらのうち第1の主張は、自然史についての主張であり、共通祖先として知られるものである。これによれば、すべての生物の血統をたどっていける共通祖先がいることになる。第2は進化的変化は純粋に物質的メカニズムによって進行し、従ってインテリジェントな導きを必要としないという主張である。この見方では、インテリジェンスは進化の産物であって、進化を導くものではない。
These twin pillars of evolutionary biology may rightly be credited to Charles Darwin. In proposing his mechanism of natural selection acting on random variations, Darwin seemed to remove any need for intelligence in accounting for biological systems. Instead, he made chance (in the form of random variations) the raw material for biological innovation, and necessity (in the form of natural selection) the driving force that separates among those variations, preserving organisms whose variations confer reproductive advantage while eliminating the rest.
これら進化生物学の2本柱は、正しくチャールズダーウィンの功績だろう。ランダムな突然変異に自然選択が働くというメカニズムを提唱するにあたって、ダーウィンは生物システムの説明からインテリジェンスの必要性を除外したように見える。そのかわりに、ダーウィンはランダムな変化という形で、生物学的イノベーションの純素材として偶然を、自然選択という形の必然を変異を分別し、繁殖に有利な変異を保存し、それ以外を除外するという選択する力として、導入した。
This is the Darwinian mechanism of evolutionary change, and most biologists look to some version of it to explain biological diversification and to justify the first of Darwin’s pillars, common descent. For instance, University of Chicago evolutionary geneticist Jerry Coyne writes, There is only one going theory of evolution, and it is this: organisms evolved gradually over time and split into different species, and the main engine of evolutionary change was natural selection. Sure, some details of these processes are unsettled, but there is no argument among biologists about the main claims. . . . [W]hile mutations occur by chance, natural selection, which builds complex bodies by saving the most adaptive mutations, emphatically does not. Like all species, man is a product of both chance and lawfulness. [“Don’t Know Much Biology,” June 6, 2007, www.edge.org]
これが進化的変化のダーウィンのメカニズムであり、その何らかのバージョンを、大半の生物学者が、生物学的多様性を説明し、ダーウィンの第1の柱を正当化するために見ている。たとえば、University of Chicagoの進化遺伝学者Jerry Coyneは「進化論はただひとつ機能している理論である。そして、進化論とは次のようなものだ。生物は時間を経て進化し、異なる種に分化し、進化的変化の主たる原動力は自然選択である。確かに、これらの過程の詳細は未解決だが、生物学者において、この主たる主張に対する異論はない。突然変異が偶然に起きるが、最も適応した変異を生き残らせることで複雑な体を構築する自然選択は、偶然ではない。他のすべての種と同じく、人間は偶然と自然法則の産物なのである」と。
Throughout this book, we use the terms “evolution” and “Darwinism” interchangeably to denote this view of evolution.
この本では、我々はこのような進化の見方を意味するために、進化ではなくダーウィニズムという言葉を使う。
- 抗生耐性細菌は小進化であって、進化ではない
- 進化論の2本柱は、共通祖先および「ランダムな突然変異という偶然と、自然選択という必然によって進み、インテリジェンスの介入がないこと」である。
- そのような進化の見方をダーウィニズムと呼ぶ
この"Design of Life"は、もはやインテリジェントデザインであることを隠さない。そして宗教の概念たる「計画・目的・インテリジェンスの介入」へ言及する。
これからすると、第1章以降では、通常の進化生物学に対して敵対的記述に満ちていそうである。ということで、おいおい特設サイトで読める範囲、および特設サイトのコンテンツを見ていくことにする。
また、Panda's Thumbに批判エントリがポストされたら、それも紹介していくことにする。