以下に、広島修道大学人文学部の中西大輔准教授による「血液型性格判断をやめよう -- 血液型性格判断文献集 -- 学術論文」に、google scholarでの検索などを追記した「血液型性格判断文献のリスト」を示す(太字はたぶん査読付)。
- 磯谷俊明 1995 医学生の性格とそのABO式血液型との関係 : YGテストと顕在性不安検査と用いて, 日本性格心理学会大会発表論文集No4 82-83.
- 伊藤哲司 1996 子どもたちは占い・血液型性格判断をどう捉えているか? 非科学情報にあふれた生育環境 児童心理,669,126-134.
- 伊藤哲司 1997 子どもたちは占い・血液型性格判断をどう捉えているか? 科学を信じる心のメカニズム 児童心理, 671, 118-125.
- 伊藤哲司 1996 血液型性格判断の物語性 日本性格心理学会大会発表論文集No5, 52-53.
- 岩井勇児・鷹野美穂 1994 血液型性格判断に対する態度 ――人格特質及び機能観との関連から―― 愛知教育大学研究報告, 43(教育科学編), 93-103.
- 上村 晃弘・サトウ タツヤ 2006 "疑似性格理論としての血液型性格関連説の多様性, パーソナリティ研究, 15, 33-47, 2006
- 大村政男 1985 「血の商人」の餌食になるな デタラメぶりは立証された 朝日ジャーナル, 27, 9, 89-91.
- 大村政男 1988 血液型気質説についての研究 日本大学人文科学研究所研究紀要, 35, 175-199.
- 大村政男 1989a 血液型気質相関説の批判的研究 日本大学人文科学研究所研究紀要, 38, 53-77.
- 大村政男 1989b 古川竹二の「血液型気質相関説」 ――埋もれた心理学史を尋ねて ――, 日本教育心理学会第31回総会(小講演)
- 大村政男 1991 「血液型気質相関説」と「血液型人間学」の心理学的研究 ――古川竹二教授生誕百年を記念する―― 日本大学人文科学研究所研究紀要, 42, 71-92.
LI>大村政男 1993 「血液型気質相関説」と「血液型人間学」の心理学的研究II 日本大学人文科学研究所研究紀要, 46, 115-155. - 大村政男 1995 帝国陸海軍における6編の血液型個性研究を批判する 日本大学人文科学研究所研究紀要, 49, 187-202.
- 大村政男 1995 石津作次郎の『血液型研究(LA STUDO DE SANGA TIPO)』と能見正比古・俊賢の『アボ・メイト(abo mate)』についての評論 日本大学人文科学研究所研究紀要, 50, 167-189.
- 大森哲郎 2005 血液型性格説, 心身医学, 45, 565.
- 岡村一成・外島裕・藤田主一 1993 児童の自己評価と血液型との関係について, 日本性格心理学会大会発表論文集No1 10.
- 岡村一成・外島裕・藤田主一 1993 青年の自己評価と血液型との関係について, 日本性格心理学会大会発表論文集No2 11.
- 岡村一成・外島裕・藤田主一 1994 血液型性格学と性格検査との関係について, 日本性格心理学会大会発表論文集No3 7.
- 橿淵めぐみ・齋田順子・坂元章 1999 血液型ステレオタイプの構造と認知の歪み : 分割数の効果の検討, 性格心理学研究, 7, 74-75.
- 橿淵めぐみ・齋田順子・坂元章 1999 血液型ステレオタイプの構造と認知の歪み : 重複性の効果の検討, 性格心理学研究, 7, 104-105.
- 春日作太郎・遠藤公久 1988 性格特性,臨床的傾向及び実習評価と血液型との関連性 : 短期大学学生を対象とした調査に基づくパイロットスタディ, 生活学園短期大学紀要, 11, 85-94.
- 加藤美紀・猪木省三 1995 女子青年のパーソナリティと血液型の関係に関する研究 ――心理検査に基づく検討 広島女子大学生活科学部紀要, 1, 31-35.
- 上瀬由美子・松井豊 1996 血液型ステレオタイプ変容の形 ――ステレオタイプ変容モデルの検証―― 社会心理学研究, 11, 3, 170-179.
- 上瀬由美子・松井豊・古沢照幸 1991 血液型ステレオタイプの形成と解消に関する研究 立川短大紀要, 24, 55-65.
- 川野健治・尾見康博・太田恵子 1993 血液型推論の持つ機能, 日本性格心理学会大会発表論文集No1 7.
- 工藤恵理子 2003 対人認知過程における血液型ステレオタイプの影響 ―血液型信念に影響されるものは何か―, 実験社会心理学研究, 43, 1-21.
- 坂元章 1989 「血液型ステレオタイプに関する知識」と記銘の歪 ――いわゆる「血液型性格判断」を否定する(3) ――, 日本社会心理学会第30回大会論文集, 29-30.
- 坂元章 1995 血液型ステレオタイプによる選択的な情報使用 ――女子大学生に対する2つの実験―― 実験社会心理学研究, 35, 1, 35-48.
- 齊藤基生 2005 人類学よりみたる血液型と性格, 名古屋学芸大学 教養・学際編・研究紀要
- 佐藤達哉 1993 血液型性格関連説についての検討 社会心理学研究, 8, 3, 197-208.
- 佐藤達哉 1995 血液型性格判断、星占いを信じやすい性格があるか 児童心理, 649, 112-121.
- 佐藤達哉 1996 ウマが合うとはどういうことか? ――あるいは血液型に頼らないで!―― 児童心理, 668, 31-37.
- 佐藤達哉・渡邊芳之 1991 血液型性格関連説と人々の性格感 人文学報, 223, 159-174.
- 佐藤達哉・渡邊芳之 1992 現代の血液型性格判断ブームとその心理学的研究 心理学評論, 35, 2, 234-268.
- 佐藤達哉・渡邊芳之 1993 日本における性格心理学の歴史を考える : 血液型気質相関説からの展望, 日本性格心理学会大会発表論文集No1 16.
- 佐藤達哉・渡邊芳之 1994 血液型気質相関説の創始者・古川竹二の生育歴と業績 : 日本における性格心理学の歴史を考える(3), 日本性格心理学会大会発表論文集No3 36.
- 佐藤達哉・渡邊芳之 1995 古川竹二の血液型気質相関説の成立を巡って ――大正末期〜昭和初期におけるある気質論の成立背景 性格心理学研究, 3, 1, 51-65.
- 佐藤達哉・渡邊芳之 1995 血液型気質相関説の創始者・古川竹二の生育歴と業績 (2) : 日本における性格心理学の歴史を考える (4), 日本性格心理学会大会発表論文集No4, 106-107.
- 佐藤征夫・西田潔・菅原克夫・尾上榮一・青山晴雄 1988 血液型区分による本学学生の健康度とその実態 東洋大学紀要教養課程篇, 27, 173-189.
- 関根剛 1998 血液型ステレオタイプが自己概念に与える影響, 信愛紀要, 38, 21-24.
- 詫摩武俊・松井豊 1985 血液型ステレオタイプについて 人文学報, 172, 15-30.
- 田中鮎美 2006 血液型ステレオタイプが印象形成と対人記憶に与える影響, 関西大学社会学部土田昭司ゼミ卒論
- 中里浩明 1985 暗黙理の血液型性格観に関する研究 神戸女学院大学論集, 32, 1, 11-40.
- 長谷川芳典 2005 批判的思考のための「血液型性格判断」, 岡山大学文学部紀要, 43, 1-22.
- 藤沢敬一 1985 ヒト血液型による性格分析に関する一考察 統計を基にして(その1) 青山学院大学一般教育部会論集, 26, 179-196.
- 藤沢敬一 1986 ヒト血液型による性格分析に関する一考察 統計を基にして(その2) 青山学院大学一般教育部会論集, 27, 287-293.
- 藤田主一 1996 血液型性格類型論と性格検査との関係について, 城西大学女子短期大学部紀要, 13, 29-41.
- 松井豊 1991 血液型による性格の相違に関する統計的検討 立川短大紀要, 24, 51-54.
- 松井豊・上瀬由美子 1994 血液型ステレオタイプの構造と機能 聖心女子大学論叢, 82, 90-111.
- 松田薫 1991 「血液型と性格」の社会史, 河出書房新社.
- 松本悠支子 2001 血液型ステレオタイプが対人認知の歪みに及ぼす影響, 武庫川女子大学文学部安藤明人研究室卒論
- 溝口元 1986 古川竹二と血液型気質相関説――学説の登場とその社会的受容を中心として 生物科学, 38, 1,9-20.
- 溝口元 1987 軍隊と血液型気質相関説 生物学史研究, 49, 19-28.
- 溝口元 1990 智能・学業成績と血液型気質相関説 生物学史研究, 52, 33-42.
- 溝口元 1992 「血液型人間学」の分析――その特徴と科学的根拠をめぐって―― 生物学史研究, 56, 25-36.
- 溝口元 1993 外国における“血液型とパーソナリティの関係”をめぐる研究 科学史研究, 187, 152-156.
- 溝口元 1993 Eysenckにおける血液型とパーソナリティの関係, 日本性格心理学会大会発表論文集No8, 8.
- 溝口元 1993 ABO式以外の血液型と性格との関連をめぐって, 日本性格心理学会大会発表論文集No2 7.
- 村田光二 1994 「血液型性格判断」はなぜ信奉されるのか ――実験的「社会的認知」研究への一つの招待―― 一橋論叢, 111, 4, 119-135.
- 村田光二・木下順子 1993 仮説検証過程における確証傾向 ――血液型ステレオタイプの場合―― 東京学芸大学紀要 第1部門 教育科学, 44, 219-228.
- 森津太子・徳井千里・山田紀代美・坂元章 1998 血液型ステレオタイプによる選択的な情報使用 : 坂元(1995)の再検討, 性格心理学研究, 6, 154-156.
- 森田義宏 1993 血液型と性格 (1) : 質問紙法による血液型性格類型説の妥当性を検証する 日本性格心理学会大会発表論文集No2, 10.
- 山崎信也・飯山智恵・江田敏正・佐藤愛美・清水敦彦 2004 血液型と性格の関係(幼児教育科), 足利短期大学研究紀要, 24, 41-44.
- 渡邊席子 1994 血液型ステレオタイプ形成におけるプロトタイプとイグゼンブラの役割 社会心理学研究, 10, 2, 77-86.
- 和田実・坂元めぐみ・河村紫・地福節子・子鹿友美・平野千代子・田村愛子 1996 評定者の血液型,血液型性格分類への興味度および知識と血液型ステレオタイプの関連 東京学芸大学紀要 第1部門 教育科学, 47, 17-22.
大村[1989a]や佐藤達哉[1993]によれば、以上のような研究は3つの分類できる:
大村[1989a]によれば、この問題についての研究は、1. 古川学説の史的考察、2.現代の血液型人間学についての研究、3.血液型人間学信奉者についての研究、という3つのルートで発展するとされている。
第1のタイプは溝口の科学史的考察[溝口 1986など]や大村[1989b]、松田[1991]によって代表されるものであり、古川の学説をわが国の科学史、心理学史の中に位置づけようとするものである。古川学説は性格心理学の類型的理論に血液型の知見を取り入れたものであり、学説の初出は日本心理学会の機関誌"心理学研究"であったし、"Americal Journal of Social Psychology"などにも論文は掲載された。つまり、古川学説はあくまでも学術的な理論であり、たとえ今から見ればおかしな学説であっても、その学説を受容するような時期があったことは事実である。
第2のタイプとしてYG検査などの性格検査の得点が血液型のグループごろに対応していないという知見を提出して血液型性格判断を否定するもの[長谷川 1985]や、血液型と性格とが関連するという信念を血液型ステレオタイプとして捉える研究[詫摩・松井 1985]などがある。
第3のタイプにあたる研究としては、詫摩・松井[1985]や坂元[1988]などがあげられる。詫摩・松井[1985]によれば、血液型ステレオタオを持つ人は、持たない人に比べて、親和欲求や追従欲求などが高いという。坂元[1988]によれば、血液型信念を持つ人は認知的複雑性が単純で、性別・人種・民族についての偏見を持ちやすいという。
[">佐藤達哉, 1993]
これらの中で、森田義宏[1993]がちょっと面白く、性格調査に一般書である能見の血液型性格特徴を使っている。
目的: 血液型性格類型説による血液型性格特徴をもとに作成した自己評定質問紙を
用いて、血液型と性格類型の一致を検証する
被験者: 短期大学女子学生171名, 4年制大学男子学生156名,
女子学生120名, 看護学校学生91名 (合計538名, いずれも1年生)
(O: 33.1%, A 35.3%, B 23.6%, AB 7.8%)
質問紙: 能見[1983]の血液型性格類型より各血液毎に10項目選び、
一致度を5段階で自己評定。
調査: 1993年4月に血液型や性格について何の情報も与えずに
「自分の性格を知る」目的で質問紙を配布。
これの結果は以下のように、血液型と血液型性格特徴には関係は見いだされなかった。
- 各血液型毎にそれぞれの血液型性格類型(10項目のスコア)の平均を出すと、有意な差異が出ない
- 質問項目(40項目)ごとに相関をとると、2項目だけA型とO型/B型に有意な差異があったが、それ以外は有意な差異なし
- 因子分析すると、どの因子も特定の血液型類型項目に高い付加を示さない
- 40項目についてのクラスター分析では、どのクラスターにも各血液型性格特徴が含まれた
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