2005/11/02

インテリジェント・デザイナーが神だとは言わないという偽装は..

神が宇宙と生命を創造したというと米国憲法に阻まれて教育の場に突入できないので、「何らかの知性が宇宙と生命の誕生に関わった」に弱めてチャレンジしているインテリジェント・デザイン理論。ただ「何らかの知性」と言ってしまったからには、好き勝手にインテリジェント・デザイナーを想定されてしまっても文句は言えない。デザイナーがエイリアンだと言ってもかまわないはずだ。

では、実際のところ、インテリジェント・デザイン陣営はどう言っているのだろうか。

カトリックにして生化学者Michael Beheは

インテリジェント・デザインの理論担当であるDr. Michael Beheが2005年9月12日に英国ガーディアン誌John Sutherlandのインタビューで次のように答えている(JS=John Sutherland, MB=Dr. Michael Behe)。
JS: It's no secret that you are a Catholic. But, as I understand it, your scientific theory does not predicate God in any form whatsoever. You've suggested that the designer could even be some kind of evil alien. Is that right?
あなたがカトリック教徒であることは秘密ではありません。しかし、私の知るところでは、あなたの科学理論はいかなる形の神についても断言していません。あなたは(インテリジェント)デザイナーが邪悪な異星人のようなものであってもよいと示唆されています。それは本当でしょうか?

MB: That's exactly correct. All that the evidence from biochemistry points to is some very intelligent agent. Although I find it congenial to think that it's God, others might prefer to think it's an alien - or who knows? An angel, or some satanic force, some new age power. Something we don't know anything about yet.
そのとおりです。生化学の観点からの証拠はすべて、何らかの高度に知的な作用です。私はそれを神だと考えるのが好みだが、誰かはそれを異星人だと考えたいかもしれない。それは知ったことではありません。天使、あるいはある種の悪魔的な力、なんらかのニューエイジパワーでも。まだ私たちはそれについて何も知ってはいないのです。

JS: But you're not reinserting God into the mix?
しかし、あなたは神を再度、理論に挿入しようとしていませんか?

MB: No, we focus simply on the observation of design. We don't say the designer is God.
いいえ、私たちはデザインの観測にのみ焦点を合わせています。私たちはデザイナーが神だとは言いません。
科学理論だという建前を守るために、カトリックであるDr. Michael Beheは悪魔であってもよいと言っている。また、彼は2000年7月31日の"Philosophical Objections to Intelligent Design:Response to Critics"(インテリジェントデザインにたいする哲学的異論: 批判者に応える)では、次のようにエイリアンがデザイナーであることを否定できないと言っている。
Although I acknowledged that most people (including myself) will attribute the design to God--based in part on other, non-scientific judgments they have made--I did not claim that the biochemical evidence leads ineluctably to a conclusion about who the designer is. In fact, I directly said that, from a scientific point of view, the question remains open. (Behe 1996, 245-250) In doing so I was not being coy, but only limiting my claims to what I think the evidence will support. To illustrate, Francis Crick has famously suggested that life on earth may have been deliberately seeded by space aliens (Crick and Orgel 1973). If Crick said he thought that the clotting cascade was designed by aliens, I could not point to a biochemical feature of that system to show he was wrong. The biochemical evidence strongly indicates design, but does not show who the designer was.
私を含めて多くの人々が、部分的に別の、非科学的判断によってデザインを神に帰するだろうことはわかっていますが、私は生化学的証拠からデザイナーが誰であるか必然的に導かれるとは主張していません。実際、私は直接、科学的観点から、この問題が未解決のままだといっています[Bahe 1996]。そう言うにあたって、私は控えめだったからではなく、自分の主張を証拠が支持すると考えられる範囲に限ったのです。例をあげれば、Francis Crickが地球上の生命の種が宇宙人によって蒔かれたかもしれないという有名な示唆をしています[Crick, Francis and Orgel, L. E. 1973]。もし、Francis Crickが凝血カスケードを異星人がデザインしたと主張していても、私はそのシステムの生化学的特性によって彼が間違っていることを証明できないでしょう。生化学的証拠はデザインを強く示していますが、デザイナーが誰であるかは示していません。
本人はカトリックとして神であってほしいが、異星人であっても構わないとの態度を変えていない。

インテリジェント・デザインは神を目指す

まずは、インテリジェント・デザインの本山たる"Discovery Institute"から。Elizabeth Nickson 2004/02/06によれば、
Furthermore, the purpose of the Discovery Institute is plain. Phillip Johnson, a senior fellow at the Institute, stated last year on a Christian radio talk show that "Our strategy has been to change the subject a bit, so that we can get the issue of intelligent design, which really means the reality of God, before the academic world and into the schools."
さらに Discovery Instituteの目的は明らかです。Discovery Instituteのシニアフェローであるフィリップ・ジョンソンは、昨年 Christian radioのトークショーで「我々の戦略は話題を少し変えて、科学界と学校に、本当に神の実在を意味するインテリジェント・デザインを持ち込むことだ」と言っています。
Intelligent Design Networkのウィリアム S ハリス博士とジョン H カルバート法学博士も
"If there is no God, all things are permissible. However, if ... life is not just an accident or occurrence, but is something that has been designed and made, then life must have an inherent purpose.
「神がまったくいなければ、なんでもは許される」しかしながら、もし生命がまったくの偶然のできごとでないなら、何かデザインされ、作られたものであるなら、生命には本来の目的があるはずです。
(出典)と高らかに神を示唆する。

インテリジェント・デザインの理論(数学)担当のDr. William Dembskiも、Does the Design Argument Show There Is a God?という短いドキュメントで

By showing that design is indispensable to our scientific understanding of the natural world, ID is breathing new life into the design argument and at the same time overturning the widespread misconception that science has disproved the Christian faith
デザインが自然界の科学的理解に不可欠であることを示すことによって、IDはデザイン論争に新たな息吹をもたらし、それとともに、科学がキリスト教を論駁したという広く知れ渡った誤解をくつがえすことになる。
と言っている。

インテリジェント・デザインが偽装された創造説だということを認めているに等しい。Dr. Michael Beheが偽装を守って、インテリジェント・デザイナーがエイリアンだという人がいても構わないと言っているのとは対照的。というより、偽装に徹しているほうがまれか。


posted by Kumicit at 2005/11/02 02:19 | Comment(2) | TrackBack(0) | ID: General | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
人間を創造したものが「神」だろうが「偉大な知性」だろうが、言葉の言い換えのことでしかなく、特定の意見を強要するべきではないと思います。人類学的宇宙原理もまた人間の創造についての説であり、こちらの方がよりもっともらしいと言う人もいます。いずれにせよ、実験的に確かめることの出来ないことに対して、あれこれ特定の説明だけを強要できるわけがないでしょう。そもそも科学的と言われていることも皆多かれ少なかれ、仮設に基づいているのであって、これなくしてはどんな理論も展開することは出来ません。
 ただし、エイリアンが人間を創造した、と言う類のものは別格のもので、これは心理学者のユンクの言う、現代的な意味での「神話的事態」だと思うのです。
Posted by 小野健治 at 2007/04/13 18:45
人類の誕生を含む人類史への異星人の介入はSFの基本ネタのひとつ。
ヒロイックエイジはこのパターンに入るかも?
http://www.starchild.co.jp/special/heroicage

それを事実だと主張するのはゼカリア・シッチンとその眷属たち(創造込み)
http://www.genpaku.org/skepticj/sitchin.html
http://skepdic.com/raelian.html
およびエーリッヒ・フォン・デニケンとその眷属たち(干渉のみ)。
http://www.genpaku.org/skepticj/vondanik.html

なお、異星人が存在するという考えそのものは、キリスト教の充満への欲求あるいは賛美に値する神といった考え方に基づいて18世紀には既に広くあって、遡れば、ギリシャ時代あたりまでたどれそうなネタ。
http://www.amazon.co.jp/dp/4875023472/

疑似科学"ユングの神話の論"を召還するようなネタとも思えませんが。
http://www.genpaku.org/skepticj/jung.html
Posted by Kumicit 管理者コメント at 2007/04/16 12:33
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。