2005/11/08

インテリジェント・デザインと有神論的進化論はお友達ではない

インテリジェント・デザインは名称不特定のまま、神様の存在を主張できればよいというものではないようだ。ローマカトリックなどが認めている「有神論的進化論」よりも、保守的らしい。
「有神論的進化論」は神の存在を経験的には検知できないと考えるが、インテリジェント・デザインでは「知的存在」を検知できると考える。これが大きな違いだ。


理神論と (Deism)と有神論的進化論(Theistic Evolution) あるいは進化論的創造論(Evoluationary Creationism)

理神論(Deism)では、

  • 宇宙の法則を定めて、宇宙が存在し始めたら、神は存在しなくなった。あるいは
  • 宇宙の法則を定めて、宇宙を創造した。進化を始められる段階の生命の起源を創造した。その後は神は宇宙や生命に関与していない。
と考え、明示的な奇跡を起こしていないとする。(wiki)
ほとんど科学とバッティングするところがないのが理神論だが、ここまでくるともはやキリスト教の範疇ではないだろう。

進化論的創造論(Evolutionary Creationism)は、創造進化論争においては「進化論者」側につくので、創造論側・進化論側ともに「有神論の進化論(Theistic Evolution)」と称したがる。進化論的創造論は、神は通常の時間と空間を超越し、自然は神の意志から独立に存在することはないという信仰に対して使われる。文字通りの創世記と客観科学を両立させるために、創造は我々の知る時間の側でおきたと考える
有神論的進化論はローマカトリックを含む主張な宗派やユダヤ教も認めるか、少なくとも反対していない。1950年に、教皇Pius XII世はHumani Generis回勅で、人間の肉体の起源は過去の生物にあるが、魂は神の創造によるのであれば、進化論の研究や議論を教会は禁じないことを述べた。1996年には教皇John Paul II世が「進化論を仮説以上のもとして認める。ただし、人間の肉体の起源は過去の生物にあるが、魂は神の創造による。」と述べた。1996年の数十年前からカトリックの小中学校では進化論が教えられてきた。(wiki)

God&Scienceによれば有神論的進化論とは

  • 神は存在する
  • 神は、知的生命が存在できるような物理定数を定めて、140億年前に宇宙を創造した。
  • 地球は45億年前に、神がつくったプロセスに従って、生まれた。
  • 小進化は事実
  • 大進化は、すべての生物は進化過程(ネオダーウィニズムを含む)により出現できるように神が定数や自然法則を定めたことによる。進化は神が人間を創るために使った。
というもの。

有神論的進化論はインテリジェント・デザインとはお友達ではない

インテリジェント・デザインのメジャーサイトのひとつであるaccess reseach networkの「Isn't Intelligent Design Another Name for Scientific Creationism?(インテリジェントデザインは創造科学の別名か?)」というページでは

It may seem surprising that the second view, conventional theistic evolution, is incompatible with intelligent design, since it clearly embraces the existence of God. But the view we generally associate with "theistic evolution" denies that God’s creative activity can be empirically detected. As Dembski points out:
2つめの視点である従来の有神論的進化論は、神の存在を明確に認めているので、インテリジェント・デザインとは相容れません。有神論的進化論に一般的にみられる視点では、神による創造を経験的に検知できるという考えを否定していることです。Dembski[訳注:インテリジェントデザインの数学理論担当]は指摘しています。

Theistic evolution takes the Darwinian picture of the biological world and baptizes it, identifying this picture with the way God created life. When boiled down to its scientific content, however, theistic evolution is no different from atheistic evolution, treating only undirected natural processes in the origin and development of life.
有神論進化論は、生物学的世界をダーウィン的観点で写真をとって、その写真が神が生命を創造した方法だと同定して、洗礼します。科学的な内容を煮詰めれば、有神論的進化論は、無神論的進化論と何ら変わりなく、生命の起源と発展を指導されない自然の過程として扱います。

Theistic evolution places theism and evolution in an odd tension. If God purposely created life through Darwinian means, then God’s purpose was ostensibly to conceal his purpose in creation. Within theistic evolution, God is a master of stealth who constantly eluded our best efforts to detect him empirically. Yes, the theistic evolutionist believes that the universe is designed. Yet insofar as there is design in the universe, it is design we recognize strictly through the eyes of faith. Accordingly the physical world in itself provides no evidence that life is designed.
有神論的進化論は有神論と進化論を妙な関係に置いています。神がダーウィン的な手段で生命をわざわざ創造したなら、創造時点での神の目的は創造における神の目的を隠すことだったはずです。 有神論的進化論では、神は経験的に神を検知しようとする我々の最善の努力を避けるステルスの王者です。確かに有神論進化論者は宇宙がデザインされたと信じています。 ただ、宇宙にあるデザインは、厳密には信仰の目によってしか認識できないものです。従って、(有神論的進化論においては)、物理的世界には生命がデザインされたという証拠はありえません。


Dembskiによれば、有神論的進化論は事実上、ダーウィンの進化論と同じ。有神論的進化論においては、神様はどうやっても科学的には検知できないが、インテリジェントデザインでは検知できるというのが大きな違いだと。


有神論的進化論を信じる
個人ページ(自称Wendy氏)
には
Question: Is theistic evolution the same as the intelligent design movement?
有神論的進化論はインテリジェント・デザインと同じですか?

Not at all! While design may be able to be inferred in nature, it can not be determined objectively. The ID movement is an attempt to undermine science education by attempting to say that natural processes are not sufficient to produce what we see in nature, i.e. supernatural miracles are required. The ID movement basically says "I don't know how this could have happened naturally, so God did it." This is an argument from incredulity, and puts God into gaps that will inevitably be filled one day. It also creates a false dichotomy between nature and God's hand. It's possible that God can work THROUGH a natural process!
とんでもない!! デザインが自然において推論は出来るかもしれませんが、客観的に決定できません。ID理論は、自然の中に見られるものがごとが自然の過程だけでは存在し得ない、つまり超自然の奇跡が必要だと主張して、科学教育をひそかに破壊しようとする試みです。ID理論は基本的に「これが自然に起きたとはとても考えられないので、神様がしたことです」と言います。これは懐疑論であり、いずれ解明されるであろう(科学の)隙間に神をおくもの(Put God into gaps)です。それは自然と神の手を誤って分かつことになります。神は自然の過程を通じて、ことをなすことができるのです。

Theistic evolution is different because while nature is believed to be created, natural processes are a sufficient tool for that creation.
有神論的進化論は、自然が神によって創造されたと信じていますが、自然の過程は創造を行うに十分な道具だというところがIDとの違いです。

There are some ID advocates, such as Behe, who claim to accept common descent, but they do not fully accept science or evolution.
Beheのような一部のID理論支持者は、共通祖先という考えを認めると言っていますが、彼らは決して、完全に科学や進化論を受け入れるというわけではありません。


有神論的進化論は、神は自然の過程を用いて創造をなしたと考えるが、インテリジェントデザインは神の奇跡を主張する。これが違いだと言っている。

科学系市民団体であるKansas Citizens for ScienceJack Krebs: Intelligent Design, What Is It Really All About? and Why Should You Care?, 2005では

Many orthodox Christians accept science and evolution. They believe that God acts continuously through natural causes in ways that are beyond the comprehension of human beings. They therefore accept science as a powerful, but limited, way of knowing about God’s creation. They understand that science does not address questions of spiritual reality. They don’t need to find specific scientific proof of God. All of nature is a testament to God’s continuous creative action
多くの正統のクリスチャンが科学と進化論を受け入れます。 彼らは、神が自然的原因を通して絶え間なく人間の読解を超えている方法で行動すると信じています。 したがって、彼らは、科学を神の創造に関して知る強力かつ限定的な限られた方法であると認めています。 彼らは、科学が霊的な現実の問題を扱わないことを理解しています。 彼らは神が存在するという特定の科学的証拠を見つける必要がありません。 自然のすべてが神の連続した創造に対する証しなのです。

But the Intelligent Design movement dismiss such people, accusing them of selling
out to materialism.
しかし、インテリジェントデザインは、彼らを唯物論を売ったとして糾弾して、しりぞけます。


科学系市民団体もインテリジェントデザインと有神論的進化論の違いについて、前二者と同様に見ている。

つまりはインテリジェントデザインと有神論的進化論は敵対関係にあり、インテリジェントデザインは有神論的進化論よりも科学から遠く、創造説に近いということ。
posted by Kumicit at 2005/11/08 08:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | ID: General | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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