2005/11/29

鶏と卵:ID理論の深刻な問題

「科学に解明できないことは、神様のせいなのさ」と"God of the gaps"論で行くインテリジェントデザイン(ID理論)。決して論破されることのない、悩みなき日々...

というわけでもない。そう、誰もが知っているあの問題が、インテリジェント・デザインにとっても深刻な問題なのだ。誰もが触れたがらない、誰もが見なかったことにしている問題。それは

鶏が先か、卵が先か

インテリジェントデザイン(ID理論)支持者たちは

Moreover, the evolutionary paradigm cannot explain the sudden, recent appearance of modern man on earth with no evidence for an evolutionary ancestor.[Evidence.Info]
そのうえ、進化論のパラダイムは、地球上に突然に最近になって出現した現生人類について、いかなる進化論的祖先の証拠もなく、説明できない。

The abrupt appearance of Homo as a novel and distinct form, significantly different from earlier fossil forms and without links to previous fossil forms, implicates intelligent design as a cause involved in the origin of Homo.[IDEA Center]
まったく新しく、これまでと異なった外見を持つ現生人類の突如の出現は、初期の化石に残された形態と著しく異なり、それまでの化石に残された形態とつながりもないので、現生人類の起源にかかわる原因としてインテリジェントデザインを意味する。
と言っている。

大いに結構。どのように"人類が突如として出現したのか"、語ってもらおうではないか。

インテリジェント・デザイナーが遺伝子に介入して人類を突如として出現させたのか?
とするなら、その遺伝子はどこにいるときに操作されたのだろうか?
たとえばアウストラロピテクス(人間とそれ以外の境界線をどこにひくかにもよるが、ここはとりあえずで)の母親の子宮内だろうか?アウストラロピテクスの子宮内で育ち、アウストラロピテクスの産道より生まれ、アウストラロピテクスに育てられた人類。それが最初の人間か?もしそうなら、インテリジェント・デザイナーはアウストラロピテクスにも介入して、人類を育てられるようにしておく必要がある。

それがまずいなら、インテリジェント・デザイナーが自ら手を下す他ないだろう。インテリジェント・デザイナーの手になる子宮のようなもので育て、赤ちゃんとして生まれる現生人類。その育児にあたるのものインテリジェント・デザイナー。
最初の人間の、ウンコやおしっこの始末をするインテリジェント・デザイナーというほほえましい風景が必要になる。

もちろん、インテリジェント・デザイナーはそんな手間をかけなくても良い。はじめから大人として現生人類を創ればよいのだ。言葉を話せ、子育てする能力も、狩をする能力も持った状態の大人として出現させる。人として生きていくための記憶も与えて。もちろん、母胎に臍の緒を通じてつながっていたかのように"へそ"もついていなければならないだろう。でないと最初の人間は自分になくて、子供にある"へそ"に戸惑うことになるから。

でも、それはゴスのオムファロス(=臍)仮説だ[エントリ]。もし、人類誕生のときに大人として出現した人間がいたなら、今も同じように出現する人間がいても不思議ではない。君の彼・彼女・夫・妻は、赤ちゃんとして生まれ、育ってきたかのように、君のためにインテリジェント・デザイナーが、大人として出現させた人間かもしれない。あるいは君自身がそうかもしれない。少なくとも、それを否定する術はない。


さて、実際のインテリジェント・デザイン支持者たちはどう語るだろうか。かなり深刻な「鶏と卵」の問題だと思うが。

posted by Kumicit at 2005/11/29 03:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ID: General | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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