2008/01/27

古い地球を認めるインテリジェントデザイン支持者が"若い地球の創造論"を容認する理由

インテリジェントデザイン理論家Dr. William Dembskiと仲間たちのブログUncommon Descentの執筆者のひとりでモデレータでもあるDenyse O'Learyは、カトリックであり、"若い地球の創造論者"のような聖書解釈をしていない。福音主義キリスト教徒であるDr. William Dembski自身も"若い地球の創造論"のポジションをとっていないとされている。インテリジェントデザイン理論家でカトリックのDr. Michael Beheも同様

であるなら、"Big Tent"構想を捨てて、"若い地球の創造論"を粉砕しつつ、通常科学における地質学・古生物学の時系列のもとで、インテリジェントデザインを実装しなおすという選択肢があってもよさそうだ。が、実際にそのような選択肢はない。

その理由をDenyse O'Learyは2つ挙げている。そのひとつは、そんなことをしても、インテリジェントデザインが科学界に受け入れられるようにはならないこと:
That said, I don't agree that ID would be better accepted if the ID guys blew off the YEC guys.
To a materialist, ID would be "anti-science" if YEC had never existed, because a materialist understands science as applied materialism.

インテリジェントデザイン支持者が"若い地球の創造論者"を粉砕すれば、インテリジェントデザインはより受け入れられるようになると言うかもしれない。しかし、それに私は同意しない。
"若い地球の創造論者"が存在しないなら、唯物論者にとって、インテリジェントデザインが反科学になる。というのは、唯物論者は科学を応用唯物論と考えているからだ。
...

I'm not even an ID supporter in the conventional sense. That is, I am not sure that current ID hypotheses are the correct way to understand the large amount of information in life forms that is obviously not adequately accounted for by Darwinian fairy tales. So I describe myself as a post-Darwinist. ... My main stake in this controversy is to promote a more responsible debate, less dependent on the US culture wars.

私はふつうの感覚ではインテリジェントデザイン支持者ですらない。私は、「インテリジェントデザインが、ダーウィンのおとぎ話では適切に説明できないことが明らかな、生物における大量の情報を理解する正しい方法」なのか確信していない。それで私は自らをポスとダーウィニストと称している。... この論争における私の主たる役割は、米国の文化戦争にあまりかかわらない、より信頼できる議論の促進である。

But if you think for a moment that I am less likely to be attacked by materialists, Darwoids, et cetera, on that account, well, google my name and see what you come up with.

しかし、それで、唯物論者が私をあまり攻撃していないと思うなら、私の名前をぐぐってほしい。
[Should the ID guys dump the young earth creationists? Participate in studies? (2007/03/28) on O'Leary個人ブログ]
そして、二つめの理由として、非唯物論という点で共通していることを挙げている:
the reality is that all non-materialists have something in common that they do not share with materialists. I think that ID types of whatever flavour would do well to keep that in mind.

すべての非唯物論者は共通して、唯物論者と共有しない何かを持っていることである。私はいかなるタイプのインテリジェントデザインも、そのことを覚えておくことが賢明であると思う。

[Should the ID guys dump the young earth creationists? Participate in studies? (2007/03/28) on O'Leary個人ブログ]
インテリジェントデザイン運動では、「科学の原則たる方法論的自然主義=超自然に言及しない」と「形而上学的自然主義=唯物論=超自然は存在しない」を同一視する。「超自然=超越的神をも科学の対象とする」という科学の再定義を支持するという点で、"若い地球の創造論"と一致しているというのがO'Learyが、"若い地球の創造論"を粉砕しない第2の理由ということらしい。

しかし、それは、「たとえ、"間違った科学"であっても、叩いても自陣営に有益でなく、むしろ共通点があるなら容認する」と言っているに等しい。それでは、「超自然もあり」という科学の再定義を行ったとしても、なおインテリジェントデザインは反科学であり続けることになる。
posted by Kumicit at 2008/01/27 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Dembski | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008/01/20

DembskiブログのSalvador Cordovaは「光速は過去にはもっと速かった」と言う"若い地球の創造論者"

インテリジェントデザイン理論家Dr. William Dembskiと仲間たちのブログUncommon Descentの執筆者のひとりSalvador Cordovaは"若い地球の創造論者"である。

==>
"若い地球の創造論者"として発信するSalvador Cordovaの個人サイトYoung Cosmos

そこのブログで、Salvador Cordovaは「宇宙も地球も6000歳なのに、遠くの星が見える理由」について論じたエントリをポストした。
But there have been observations that the speed of light may not be constant. In 2002, the prestigious scientific journal Nature reported on the work of Paul Davies and variable speed of light. The controversy still remains.

しかし、光速が定数ではないかもしれないという観測がある。2002年に一流の科学誌NatureがPaul Davisの成果と光速の変化について報告した。論争はまだ残っている。
...

A variable speed of light also leads to solving problems in radiometric dating. It can be shown that radioactive processes are tied to the speed of light. It stands to reason that radioactive decay may not have been constant over time, thus our estimates of based on age might have to be adjusted if the speed of light were faster in the past.

光速が変数であることは、放射性同位元素による年代測定の問題も解決する。放射性同位元素の崩壊過程は光速によって拘束されることを示せる。放射性同位元素の崩壊速度は一定ではなく、したがって過去に光速が現在より速ければ、年代測定を補正する必要が出てくるかもしれない。

[The two fundamental unsolved problems for the Young Cosmos hypothesis (2008/01/03) on Young Cosmos]
ということで、光速変化説をとるらしい。でも、これ創造6日間は1兆倍くらい速くないといけないし、それだけ速いと、放射性同位元素の崩壊も思いっきり加速して、地球が溶けちまうだろう....ということがわかっていて、既に"若い地球の創造論"ミニストリAnswers in Genesis/Creation Ministries Internationalなどが放棄したネタ[ie. Hartnett 2003]なのだが。

これからすると、Salvador Cordovaは"若い地球の創造論"の動向には疎いようだ。

でも、最近流行のネタはちゃんと追っていた。同じエントリで「創造論者の主張 -- Maxwellは創造論者」を使っていた:
The speed of light has been assumed to be constant according to the creationist Maxwell’s celebrated equations of electrodynamics. The irony therefore is that creationism’s most celebrated physicist (next only to Isaac Newton) also wrote a set of equations that convincingly argue the world is old!!!

[The two fundamental unsolved problems for the Young Cosmos hypothesis (2008/01/03) on Young Cosmos]
これは以下のようなJames Maxwellの記述を証拠として主張された「Maxwellは創造論者」という創造論者の主張で、インテリジェントデザインの本山たるDiscovery InstituteのDr. Micahel Egnorなども「Maxwellは科学に神のデザインを見た」と主張している。
No theory of evolution can be formed to account for the similarity of molecules, for evolution necessarily implies continuous change, and the molecule is incapable of growth or decay, of generation or destruction. None of the processes of Nature, since the time when Nature began, have produced the slightest difference in the properties of any molecule. We are therefore unable to ascribe either the existence of the molecules or the identity of their properties to any of the causes which we call natural.

分子の類似性を説明するために、いかなる進化の理論も形成できない。何故なら、進化は必然的に連続的な変化を意味するが、分子は成長や崩壊もすることがなく、生成も破壊もされてない。自然界が存在したときから、いかなる自然界の過程も分子の性質にわずかな違いさえも創らなかった。従って、我々は分子の存在あるいは分子の性質が自然と呼べる原因によるものだと言えない。

[James Clerk Maxwell: "Discourse on Molecules" via Lewis Campbell and William Garnett: The life of James Clerk Maxwell"]
この引用を証拠として初めて提示したConservapediaの「James Maxwell」である。そこでは「生物学はMaxwellの専門分野ではなく、Maxwellがコメントした当時は、科学分野として進化論はまだ発展していなかったことに注意」とした上で、「These quotations may be offered up in support of the idea that Maxwell was opposed to the theory of evolution」とまで弱めた表現で紹介している。

それを素直に「creationist Maxwell」と書くSalvador Cordovaは、やはり"若い地球の創造論者"そのものなのである。

関連エントリ

posted by Kumicit at 2008/01/20 01:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | Dembski | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008/01/15

O'Learyの期待に反して?あさっての方向へ走るUcDのコメンターたち

The Avalon Explosionを、さっそくDr. William Dembskiと仲間たちのブログUncommon DescentのO'Learyがうれしそうに取り上げた:
Contrary to popular misconceptions, the history of life shows no steady Darwinian march of progress, and the recent discovery about the Avalon explosion is yet another blow to an idea that is kept alive only by ideology, not evidence ...

広まっている誤解に反して、生命の歴史はダーウィンの安定的発展をしておらず、Avalon Explosionのような最近の発見は、証拠ではなくイデオロギーによって維持されている考えに対する新たな打撃になるだろう...

[Today at Design of Life: The Avalon explosion: Another intricate, Darwin-busting puzzle (2008/01/11) on Uncommon Descent]
しかし、意に反してコメンターたちは、あさっての方向へ走って行った(コメント欄はもデレートされているので敵対コメントは掲載されないが、"あさっての方向"は許容したもよう)。

1 Mapou 2008/01/11 13:09

It sounds almost as if some intelligence was conducting an experiment. Or maybe just having a little fun.
あるインテリジェンスが実験をしているみたいだ。あるいは楽しんでいるだけか。


4 Mapou 2008/01/11 15:34

Yes. I have also entertained the idea that these early explosions of lifeforms followed by extinction were a form of terraforming, so to speak. IOW, the intelligent designer (or deity, if you wish) may have been preparing the ecosystem for the more interesting species to come later.

初期の生命形態の爆発と滅亡は、テラフォーミングだという考えを楽しませてもらった。要は、インテリジェントデザイナーあるいは神が、後のもっと興味深い種のための生態系の準備をしたかもしれない。


10 SCheesman 2008/01/11 16:57

There may be a more pragmatic reason; the Ediacarans might have possessed a certain metabolism specially designed to produce conditions necessary for the subsequent survival and flourishing of the cambrian explosion life forms, such as the production of essential nutrients and soils. Purpose completed, they were programmed to extinguish themselves to make room for what followed. ...

もっと実用的な理由があったかもしれない。エディアカラ生物群は、カンブリア爆発の生命形態が全盛となるのに必要な条件、たとえば重要な栄養分と土壌をつくるために特別にデザインされた代謝系を持っていたかもしれない。目的が完了したら、後続の生物の生活の場を与えるために自滅するようにプログラムされていたかもしれない。
なにやらSF調になってきた。さらにコメンターたちはSFへと踏み込んでいく:
12 leo stotch 2008/01/11 17:34

Or perhaps their purpose was, as someone suggested here a while back, to exist solely to become the precursor material to the vast oil reserves that power man’s industrial society.

あるいは、おそらく、彼らの存在の目的は、誰かが指摘したように、人間の産業の原動力となる膨大な石油備蓄のための材料となるためだったかもしれない。
そこまで言うかい?

15 Mapou 2008/01/11 20:46

Wow! This has got to be one of the most original hypotheses yet on the possible cause of the extinction of the dinosaurs. I love it. Has this idea been around or did you just come up with it? It’s beautiful. It could be used as part of the plot for a sci-fi novel or screenplay, you know. Not necessarily about the earth but some other planet in some distant galaxy. Just a thought.

おおおっと、これは恐竜絶滅の原因仮説として最もオリジナルなものだろう。うん、いいよこれ。これまで、そんな考えがあったかい? すばらしい。SF小説かSF映画のプロットに使えるかもしれないぞ。別に地球でなくても、どこか遠くの銀河の惑星でもいい。
こういう話の流れをO'Learyは期待していなかっただろう。

もしかすると、このコメンターたちは、創造論も福音主義な神も踏みつぶして、SF世界へと踏み込んでしまっているのかもしれない。

タグ:id理論 UCD
posted by Kumicit at 2008/01/15 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Dembski | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008/01/08

あいかわらずマルチバース vs デザインを語ってみるUncommon DescentのDLH

インテリジェントデザイン理論家Dr. William Dembskiと仲間たちのブログのDLHがマルチバースについて簡単なエントリをポスとした。基本的な主張は、かなり昔からあるもので...

「ファインチューニング」==(観測者選択効果)==>「マルチバース」
「ファインチューニング」==>「創造主」

Making Space for Time - Physicists meet to puzzle out why time flows one way. Scott Dodd. Scientific American, January 2008 p 26,27,28.
時間のための空間を作る -- 物理学者は時間が何故に一方向に流れるかという謎に直面する

This article cites physicists invoking multiverses to explain high order in the early cosmos – and that less order would have prevented universes from surviving or evolving to support intelligent life.
This sounds like evidence for Intelligent Design - and efforts to explain it away. This calls for brilliant astrophysicists and mathematicians to address this controversial evidence from an ID perspective.

この記事は、初期宇宙の高い秩序を説明するためにマルチバースを召喚する物理学者を引用する。そして、秩序の宇宙は存続できないか、知的生命を維持できるように進化しないと。
これはインテリジェントデザインの証拠のように思える。その説明の方法も。これは、インテリジェントデザインの観点から論争対象の証拠について才能ある宇宙物理学者と数学者を必要とする。
[DLH: "“Making Space for Time” - Is cosmic order evidence for ID?" (2007/12/28) on Uncommon Descent]
特に目新しいこともなく、ネタがないだけのDLHかな?

まあ、この設定そのものが間違っていて

「ファインチューニング」==(観測者選択効果)==>「マルチバース」==>「創造主」

という経路もありなんだけどね。
posted by Kumicit at 2008/01/08 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Dembski | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008/01/02

Uncommon Descentのジョークエントリ「悪魔の進化」

インテリジェントデザイン理論家Dr. William Dembksiと仲間たちのブログUncommon Descentのジョークエントリから:
Theistic evolutionists disagree. Debate at TheBRITES.org.

Is there evolution in hell? There is disagreement among theistic evolutionists.
地獄に進化はあるだろうか?これについて有神論的進化論者の間に合意はないだろう。
EvoDevo_Devil.jpg
[Galapagos Finch: "Is There Evolution in Hell?" (2007/12/29) on Uncommon Descent]
これに対するコメント1番が:
WinglesS 12/29/2007 5:17 am

This might be a joke, but it raises some interesting question for Theistic Evolutionists: Were angels and demons designed or evolved? Is evolution limited to the material plane?
これはジョークなんだが、有神論的進化論者に対する面白い問題を提起しているな。天使と悪魔はデザインされたか進化したか? 進化は物質世界に限られるのか?

1. If they were designed, why can’t it be the same for things in the material world?
もし、天使と悪魔がデザインされたものなら、同じことが物質世界にあってもいいのではないか?

2. If they were evolved, how is this possible considering angel and demons possibly don’t engage in sex.
もし、天使と悪魔が進化したなら、おそらくセックスしない天使と悪魔についてどう考えればいいだろうか?

Well I admittedly don’t really know the way Theistic Evolutionists think. Perhaps they can be Christian and yet disbelieve in angels.
有神論的進化論者がどう考えるかわからないが。おそらく彼らは天使を信じなくて、キリスト教徒でありうるのだろう。
おっと、これは珍しく面白い問題。

でも、別に有神論的進化論に限らず、"若い地球の創造論"・"古い地球の創造論"・インテリジェントデザインなどにも、天使や悪魔の居場所がない。

"若い地球の創造論"における宇宙の創造・地球の創造・人類の創造に、天使も悪魔も登場しない。Answers in GenesisInstitute for Creation Researchを探し回っても、創造6日間に天使と悪魔の出番が見つからない。そして、"古い地球の創造論"のReasons to BelieveGod and Scienceを探し回っても、生物種の創造に天使と悪魔の出番が見つからない。インテリジェントデザインではデザイナーの人数・属性・能力やデザインの方法・実装方法などについて言及しないことになっている。従って、インテリジェントデザインにも天使と悪魔の出番がない。

タグ:UCD id理論
posted by Kumicit at 2008/01/02 00:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | Dembski | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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