Smart people believe weird things because they are skilled at defending beliefs they arrived at for non-smart reasons.特に強い理由や合理性もなく信条を作り上げていて、それに反するデータがあっても無視・合理化する傾向を持つという人間の特性によるものだとMichael Shermerは言う。
Rarely do any of us sit down before a table of facts, weigh them pro and con, and choose the most logical and rational explanation, regardless of what we previously believed. Most of us, most of the time, come to our beliefs for a variety of reasons having little to do with empirical evidence and logical reasoning. Rather, such variables as genetic predisposition, parental predilection, sibling influence, peer pressure, educational experience and life impressions all shape the personality preferences that, in conjunction with numerous social and cultural influences, lead us to our beliefs. We then sort through the body of data and select those that most confirm what we already believe, and ignore or rationalize away those that do not. [This phenomenon, called the confirmation bias]
賢い人々は、賢くない理由で自分たちが到達し信条を擁護することに長けているので、変なものを信じる。
我々が、事実を前に腰を落ち着けて、賛否両論を秤にかけ、最も論理的かつ合理的な説明を、自分がこれまで信じてきたもに関わらず選択するということは、ほとんどない。我々の大半は、ほとんどの場合、様々理由で到達した信条は、経験的証拠や論理的推論によって影響されることはない。むしろ。、遺伝的要因・親の好み・兄弟姉妹の影響・仲間からの圧力・教育経験・生活の印象などのによって個人の好みが形成され、多くの社会的および文化的影響と相まって、我々の信条をつくりあげる。そして、我々はデータ全体を並べなおして、既に信じていることを最も核にできるデータを選択し、そうでないデータを無視するか、合理化する。[この現象を確認バイアスと呼ばれる]
[Michael Shermer: "Smart People Believe Weird Things" (2002/09) ]
これは、数日前に取り上げたように、それほど関心のない分野についても同様で、ひとたびニセ科学を信じたら、その印象を消すのは容易ではない。
で、Michael Shermerは対策として、科学知識だけでなく科学の方法を教えることを挙げる。
The key here is teaching how science works, not just what science has discovered. We recently published an article in Skeptic (Vol. 9, No. 3) revealing the results of a study that found no correlation between science knowledge (facts about the world) and paranormal beliefs. The authors, W. Richard Walker, Steven J. Hoekstra and Rodney J. Vogl, concluded: “Students that scored well on these [science knowledge] tests were no more or less skeptical of pseudoscientific claims than students that scored very poorly. Apparently, the students were not able to apply their scientific knowledge to evaluate these pseudoscientific claims. We suggest that this inability stems in part from the way that science is traditionally presented to students: Students are taught what to think but not how to think.”しかし、科学の方法を教えても、効果は期待できないかもしれないという研究がある。
ここでのキーは科学が発見したことだけでなく、科学の方法も教えることである。我々は最近(2002年)、Skeptic Magazine(Vol.9 No.3)の記事で、科学的知識(世界に関する事実)と超自然を信じることに相関がないことを示した研究結果を報告した。著者であるW. Richard WalkerとSteven J. HoekstraとRodney J. Voglは「科学知識のテストのスコアが高かった学生は、超自然な主張について懐疑度は、スコアが低かった学生と変わりなかった」と結論した。学生たちは科学的知識を、これらの超自然な主張の評価に適用できていないようである。その理由のひとつとして、「学生たちに科学を提示する伝統的な方法、すなわち、どう考えるかではなく、何を考えるかを教える」ことを挙げている。
[Michael Shermer: "Smart People Believe Weird Things" (2002/09) ]
==>Matthew Johnson & Massimo Pigliucci: "Is knowledge of science associated with higher skepticism of pseudoscientific claims?", The American Biology Teacher 66(8):536-548. 2004 doi: 10.1662/0002-7685(2004)066[0536:IKOSAW]2.0.CO;2
これは2004年に発表されたUniversity of TennesseeのMatthew JohnsonとMassimo Pigiucciの研究結果で、University of Tennesseeの学生を対象として調査を行ったものである。
We presented our survey to four classes, two second-year biology and two second-year philosophy classes. Our original experimental design assumed that philosophy majors would attend the philosophy classes, but due to class scheduling conflicts at the time of the survey, the only philosophy classes we had access to were in fact ethics classes attended by business majors. Overall, there were 170 respondents. [University of Tennessee - Knoxville]科学の知識も科学の方法も、効いてそうにない結果となっている。確定的なことは言えるようなものではないが、科学の知識や方法を教える他に、別の手が必要なようである(もっとも、そんなものが存在するのかわからないが)。
我々は、2年の生物学および2年の哲学の授業について行った調査結果を報告する。元々の我々の実験デザインでは、哲学専攻の学生は哲学の授業に出席すると仮定していたが、調査時点では授業スケジュールが重なっていて、我々が調査できた哲学の授業は実際には、経営専攻の学生が出席する倫理学の授業だった。全体で170名の回答があった。
...
Table 5. Pairwise Spearman's rank correlation coefficients relating overall scores of students in pseudoscience, science facts and science concepts categories. Significance levels of the statistical tests are in parentheses. Similar results were obtained using either Kendall's rank or Pearson parametric correlation coefficients.
表5: 疑似科学を信じる・科学の知識・科学の方法についての学生たちのスコアの、スピアマンの順位相関係数。()内は有意水準。ケンドールの順位相関およびピアソンのパラメトリック相関でも結果は同様。
疑似科学を信じる 科学の知識
科学の知識 -0.18 -
(0.0228)
科学の方法 -0.06 +0.27
(0.4383) (0.0007)
[Matthew Johnson & Massimo Pigliucci: "Is knowledge of science associated with higher skepticism of pseudoscientific claims?", The American Biology Teacher 66(8):536-548. 2004 doi: 10.1662/0002-7685(2004)066[0536:IKOSAW]2.0.CO;2]
ちなみに、この調査に用いられたアンケートは...
1. 以下のうち、どれが地球の全エネルギーあるいはほぼ全エネルギーの主要な源か?
(A) 植物
(B) 動物
(C) 石炭
(D) 石油
(E) 太陽
2. 以下のうち、どれが正しいか?
(A) エネルギーはひとつの形態から別の形態に転換できる
(B) エネルギーはひとつの形態から別の形態に転換できない
(C) 運動している物体が、その動きによって持っているエネルギーは、正しくはポテンシャルエネルギーとして知られている
(D) 物体がその位置によって持っているエネルギーは運動エネルギーと言われる。
(E) 核分裂エネルギーが2005年のエネルギー源第1位であること、大半の科学者は容易に同意する。
3. 傷の近くの皮膚に磁石をあてることで、傷が癒える
(1) まったく信じない
(2) それが正しいか疑っている
(3) 正しいか間違っているか、わからない
(4) 正しいと信じている
(5) 正しいと強く信じている。
4. 科学は。いずれ変わるかもしれない、一時的な結論しか出せない
(T) 正しい
(F) 間違っている
5. 科学は「科学的方法」と呼ばれる研究実行のひとつ一定の方法を持っている
(T) 正しい
(F) 間違っている
6. フォトン(光子)は...
(A) 粒子である
(B) 波である
(C) エネルギーの単位である
(D) 状況により、粒子であり、波である
(E) 光を説明するために使われる理論的存在
7. 政府は異星人がエリア51のような場所に来ている証拠を隠している
(1) まったく信じない
(2) それが正しいか疑っている
(3) 正しいか間違っているか、わからない
(4) 正しいと信じている
(5) 正しいと強く信じている。
8. 科学理論は説明であって事実ではない
(T) 正しい
(F) 間違っている
9. 人間は心を使って、未来を見たり、他人の思考を読んだりできる。
(1) まったく信じない
(2) それが正しいか疑っている
(3) 正しいか間違っているか、わからない
(4) 正しいと信じている
(5) 正しいと強く信じている。
10. 占星術により、人の性格や未来を知ることができる
(1) まったく信じない
(2) それが正しいか疑っている
(3) 正しいか間違っているか、わからない
(4) 正しいと信じている
(5) 正しいと強く信じている。
11. 旋毛虫の重い感染により、人は旋毛虫症という病気になることがある。このような状況を記述する最も適切な言葉はどれか?
(A) 寄生
(B) 共生
(C) コマーシャリズム
(D) 慈善
(E) 良性
12. 有機化合物と無機化合物の主たる違いは以下のどれか?
(A) 有機化合物は生きている化合物であり、無機化合物は生きていない化合物である
(B) 有機化合物よりも、無機化合物の方が多くの種類がある
(C) 無機化合物は有機化合物からのみ、合成可能である
(D) 有機化合物は無機化合物からのみ、合成可能である
(E) 有機化合物は炭素を含む
13. 周期表のPbはどれか?
(A) 鉄
(B) リン
(C) 鉛
(D) プルトニウム
(E) カリウム
14. ビッグフットと呼ばれる類人猿のような哺乳類が、アメリカ大陸の森林を歩き回っている
(1) まったく信じない
(2) それが正しいか疑っている
(3) 正しいか間違っているか、わからない
(4) 正しいと信じている
(5) 正しいと強く信じている。
15. 科学は事実に関するものであって、人間や、事実の解釈に関するものではない
(T) 正しい
(F) 間違っている
16. 科学的であるためには、実験を行う必要がある
(T) 正しい
(F) 間違っている
17. ネッシーとも呼ばれる恐竜がスコットランドの湖に生息している
(1) まったく信じない
(2) それが正しいか疑っている
(3) 正しいか間違っているか、わからない
(4) 正しいと信じている
(5) 正しいと強く信じている。
18. チェーンメールを送ると、幸運になれる
(1) まったく信じない
(2) それが正しいか疑っている
(3) 正しいか間違っているか、わからない
(4) 正しいと信じている
(5) 正しいと強く信じている。
19. ひとつの実験で理論が正しいと証明できる
(T) 正しい
(F) 間違っている
20. 新しいチョークを計測するのに適した単位はどれか?
(A) メートル
(B) リットル
(C) キログラム
(D) デシメートル
(E) キロメートル
21. リトマス試験紙をHClに浸けると、どうなるか?
(A) リトマス試験紙の色は変化しない
(B) リトマス試験紙が溶ける
(C) リトマス試験紙が青色になる
(D) リトマス試験紙が赤色になる
(E) 炭酸から酸素が発生する
22. 科学は部分的には、信条・仮定・観測不可能なものに基づいている
(T) 正しい
(F) 間違っている
23. ネコやイヌのような動物は幽霊の存在を感知できる
(1) まったく信じない
(2) それが正しいか疑っている
(3) 正しいか間違っているか、わからない
(4) 正しいと信じている
(5) 正しいと強く信じている。
24. 以下のうち、遺伝障害はどれか?
(A) ダウン症候群
(B) 梅毒
(C) マラリア
(D) 白血病
(E) 肺気腫
25. 科学法則は徹底的に確認された理論である
(T) 正しい
(F) 間違っている
26. 受け入れられた理論とは、十分な証拠によって確認され、反証しようという試みに耐えている仮説である
(T) 正しい
(F) 間違っている
27. ヴードゥーの呪いは本当にあって、人を殺したことが知られている
(1) まったく信じない
(2) それが正しいか疑っている
(3) 正しいか間違っているか、わからない
(4) 正しいと信じている
(5) 正しいと強く信じている。
28. 科学者は直接観測されたことがない理論的存在が存在することを受け入れている
(T) 正しい
(F) 間違っている
29. 鏡が壊れると、長い年月にわたって不幸が訪れる
(1) まったく信じない
(2) それが正しいか疑っている
(3) 正しいか間違っているか、わからない
(4) 正しいと信じている
(5) 正しいと強く信じている。
30. 地球が最も太陽に近づくのはいつか?(北半球の季節のなかで)
(A) 夏
(B) 秋
(C) 冬
(D) 春
(E) 春と夏
1. E 科学の知識
2. A 科学の知識
3. - 疑似科学
4. T 科学の方法
5. F 科学の方法
6. E 科学の知識
7. - 疑似科学
8. T 科学の方法
9. - 疑似科学
10. - 疑似科学
11. A 科学の知識
12. E 科学の知識
13. C 科学の知識
14. - 疑似科学
15. F 科学の方法
16. F 科学の方法
17. - 疑似科学
18. - 疑似科学
19. F 科学の方法
20. D 科学の知識
21. D 科学の知識
22. T 科学の方法
23. - 疑似科学
24. A 科学の知識
25. F 科学の方法
26. T 科学の方法
27. - 疑似科学
28. T 科学の方法
29. - 疑似科学
30. C 科学の知識
[Matthew Johnson & Massimo Pigliucci: "Is knowledge of science associated with higher skepticism of pseudoscientific claims?", The American Biology Teacher 66(8):536-548. 2004 doi: 10.1662/0002-7685(2004)066[0536:IKOSAW]2.0.CO;2]