2005/10/03

インテリジェント・デザイン・ネットワークの言い分を読んでみる(1)

==>改修後記事群


インテリジェント・デザインを主張する団体のひとつに、インテリジェント・デザイン・ネットワークというものがある。生化学のウィリアム S ハリス博士と弁護士のジョン H カルバート法学博士の共同品で、検索エンジンにそれなりにひっかかるので有名どころなのかもしれない。で、彼ら推奨のドキュメントが、共同代表者2名による「Intelligent Design: The Scientific Alternative to Evolution」というエッセイ。

彼らの立ち位置を明確化している前半部分からわかることを書いておこう(読んだという証拠として、和訳をつけておく)

人間は何らかの目的のために存在するといいたい.....しかしそれは科学ではない

で、まずはIDnetのハリス博士とカルバート博士の主張とはつまるところ...
...「我々はどこから来たのか?」.....「我々は何らかの目的のためにここにいるのか?」...考えられる答えは2つあります: 宇宙と生命とその多様性--自然現象--が、1)自然法則と偶然だけの産物なのか(自然主義仮説) 2) 法則と偶然とデザイン(何らかの意志あるいは物質とエネルギーを操作できる力を持つ何らかの知性)の産物なのか(デザイン仮説)。後者なら「目的」がありえますが、前者はそうではありません。

このあとのエッセイの流れは

  • 「我々は何らかの目的のためにここにいる」と言いたい
  • 人間が「自然法則と偶然だけの産物」であるなら、そうは言えない。
  • だから、「目的」のあるID理論を提唱する
  • しかし、近代科学は目的論を排除することで成立している
  • だから、目的論を排除する科学の方法論たる「自然主義/科学的唯物論」を敵とする

となっていく。つまりは、ID理論が科学であると主張するには、「科学」の定義を変えなければならないことを自覚しているというわけだ。

なお「原因を目的から説明するアリストテレス」から「機械的な自然法則で説明する近代科学」への転換については以下参照。
井出薫「近代科学思想の正当性と目的論の復権」

ID理論は創造科学ではない......しかし創造説を言いたい

学校で「創造説」を教えることが違憲とされたために、科学を装う「創造科学」が作られたが、これも実効的には主教であるとして違憲とされた。学校で教えるために、違憲とされないように、ID理論は「創造科学」とは違うのだと主張する。
インテリジェント・デザインは創造科学ではありません。IDは単に観測とデータ分析に基づく過去のある現象の直接原因についての仮説です。IDはいかなり宗教経典も論拠にはしないし、起源についての[創世記の]記述を証明しようというものでもありません。IDの提唱者はID理論が新たな証拠によって論破されるかもしれないことを認めています。

ついでだが、最後の一文の「論破可能性」は科学としての要件。

しかし、このあと
IDは、生命とその多様性が物質とエネルギーを操作できる力を持つ知性の産物であること以外に何も提唱しません。これは、"聖書に記された創造論"やイスラム教、アメリカインディアンあるいはその他の宗教的な遺産など創造主への信仰と矛盾しません。IDは単純に、創造の理由は示しても誰が創造したかを示しません。

あっさり、「キリスト教の唯一神」と名乗らないだけだと白状している。

「有神論の進化論」も敵

そしてIDnetのハリス博士とカルバート博士が敵とするのは

  • 「自然主義/科学的唯物論」
  • 「進化論」=化学進化、ダーウィン進化論、自己組織化などを含む
  • 「有神論の進化論」=神は物質と自然法則を創造し、その後は何もせず、生物は神の創造した自然法則と偶然にしたがって進化したという考え方

ひとつめは前述の通り。
ふたつめはもちろんID理論の主敵。自己組織化は攻撃目標にしているだけ。まだ攻撃策を見つけていないようだ。

ここまでは違和感はないが、みっつめの「有神論の進化論」には違和感があるかもしれない。なにしろ、唯一神の存在を前提としており、物質の起源も神によるものという考えなのだから。この二人が敵対する理由は

進化を前述のように科学者が主張どおり(指導も計画もされない偶然)とすると、特定の結果を計画しないで単にさいころを投げる存在に他ならない神を信じるという論理的なむつかしさがあるからです。従って、神がランダムな進化過程を使ったのであれば、定義により、それは無意味な(目的なき)、意図されない結果ということになります。「指導された(guided)、指導されない(unguided)」過程を信じるのは自己矛盾です。

つまり、「『有神論の進化論』は神の存在を認めているが、『神がランダムな進化過程を使ったのであれば、定義により、それ[人間]は無意味な(目的なき)、意図されない結果』となってしまう」から、というのが彼らの主張。

ただ、これは表向きで、幾億年の生命の進化を受け入れてしまっている「有神論の進化論」が「聖書の創世記の記述を否定している」ことが真の理由かもしれない。彼らの「ID理論が...聖書に記された創造論...と矛盾しません」という主張からすれば、むしろこっちが主たる理由だろう。
もちろん、それを言えば、科学ではなく宗教になってしまって、違憲になるので言わないだけで。


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以下は途中までの和訳 (かなり一文一文が長い英語であるため、和訳もわかりにくくなってしまった...と言い訳してみる)
途中まで読んだ証拠としての和訳を見たい場合は...
posted by Kumicit at 2005/10/03 01:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ID Introduction | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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