2014/08/11

ジェフ・ロッセンの「学校の放射性ラドンガス」(2012/2/29)

以前から、米国英国などでは、地下から出てくるラドンガスによる屋内汚染を健康リスクとして対策にあたっている。汚染状況はたとえ隣家であっても違っており、個々に検査し、基準値(米国148Bq/m3, 英国200Bq/m3など)を超えた場合は、対策をとることが推奨されている。

ラドン検査を推奨する公共広告も作られている。


とはいえ、なかなかラドン検査と対策は進んでいないようで、2012年2月には、ちっとも進まない学校のラドン対策にJef Rossenが斬りこんでいる。

特にラドン濃度の高い教室だと、原発労働者を上回る放射線被曝となることが、20年前からわかっていたが、なかなか対策は進んでいなかったようである。そして、この放送から2年経過したが、特に状況が大きく変化した様子は見られない。
posted by Kumicit at 2014/08/11 23:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014/08/03

アンチゲイ法を引っ込める気はまったくないウガンダ大統領

もともとウガンダのアンチゲイ法の始まりは、米国の福音主義キリスト教団体である。
Sadly, this witch-hunt has the blood stained fingerprints of leading American evangelicals. The Fellowship, (aka The Family) one of America's most powerful and secretive fundamentalist organization's, converted Uganda's President Yoweri Museveni to its anti-gay brand of Christianity, which is the "intellectual" impetus behind the anti-gay crackdown. The clandestine organization's leader, Doug Coe, calls Museveni The Fellowship's "key man" in Africa. Jeff Sharlet, author of "The Family", writes of the African strongman's conversion:

悲しいことに、この魔女狩りには、米国の指導的福音主義者たちの血染めの指紋がある。米国で最強かつ秘密主義の原理主義組織のひとつであるThe Fellow Ship(別名The Familiy)は、ウガンダのYoweri Museveni大統領をキリスト教の反ゲイに転向させた。この団体は、反ゲイの背後にある知的運動体である。この秘密団体の指導者であるDoug Coeは、Museveni大統領をアフリカにおけるThe Fellowshipのキーマンと位置づけている。

[Wayne Besen: "American Evangelicals Play Role In Uganda Effort To ‘Wipe Out’ Gays" (2009/10/21) on Falls Church News-Press Online]
ゲイは死刑だというのは聖書の記述に基づいている。
レビ記 / 20章 13節
女と寝るように男と寝る者は、両者共にいとうべきことをしたのであり、必ず死刑に処せられる。彼らの行為は死罪に当たる。
ただし、この記述を重視する福音主義キリスト教徒たちだが、不倫は死刑だという記述...
レビ記 / 20章 10節
人の妻と姦淫する者、すなわち隣人の妻と姦淫する者は姦淫した男も女も共に必ず死刑に処せられる。
は気にしないようである。たとえば...
The Family, of course, recently made headlines because one of its key members, Sen. John Ensign (R-NV) had sex with his best friends wife, while they were working together.

The Familyはもちろん最近、キーメンバーのひとりである共和党ネバダ州選出John Ensign連邦上院議員が共に働く親友の妻とセックスしたことで、報道をにぎわわせた。

[Wayne Besen: "American Evangelicals Play Role In Uganda Effort To ‘Wipe Out’ Gays" (2009/10/21) on Falls Church News-Press Online]


ところで、アンチゲイ政策を進めるウガンダのYoweri Museveniは、国際的圧力にもかかわらず、今回の憲法裁判所によるアンチゲイ法の無効判決に対して、全面対決の姿勢を示している。
President Yoweri Museveni denied last night that the scrapping of a tough anti-gay law he had championed had anything to do with an Africa-US summit this week.

The legislation, which would have seen homosexuals jailed for life, caused an international outcry and was overturned by the country’s constitutional court on Friday.
...
But Mr Museveni denied Uganda had caved in to international pressure.

“I was going to Washington with the bill when it was stopped. It has nothing to do with us going to Washington,” he said.

And he insisted that the freezing of aid has had no effect on the country. “What has happened to Uganda now? Have you seen any catastrophe? Isn’t the economy growing?”

Yoweri Museveni大統領は自らが擁護する厳格なアンチゲイ法の無効と、今週のアフリカ・米国首脳会談とには関連を否定した。同性愛者を終身刑にする法は国際的非難を浴び、2014/08/01にはウガンダ憲法裁判所が無効判決を下した。しかし、Yoweri Museveni大統領は国際的圧力には屈しないと述べた。
「法の無効判決と私の米国訪問は何の関係もない。援助の停止は我が国に何の影響も及ぼしていない。ウガンダに何が起きたか。破局は訪れたか。経済成長は続いているではないか」

[Museveni denies Uganda forced to drop anti-gay law (2014/08/03) by AFP]
Yoweri Museveni大統領は一歩も引かないようである。最高裁に上告して判決を覆すことを目指すか、議会が定足数参加で可決するか。いずれかの道をとるものと思われる。

posted by Kumicit at 2014/08/03 16:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014/07/24

メモ「Ipsos Global Trend 2014」

世界主要国で社会・政治・科学・技術・環境・宗教など多岐にわたる世論調査を行ったIpsos Global Trend 2014の結果が公表されている。その中から、ちょっと笑えるものを3つ:

「私は科学及び科学の発展について、よく知っている」
ipsos3.png

「私は、新たな技術について本当に知りたい」
ipsos2.png

「私は技術の発展についていこうとしている」
ipsos1.png
おおよそ途上国の方が、「Agree」の比率が高くなる傾向がみられる。

他の質問項目の回答比率を見る限り、日本は特にアンチサイエンス・アンチテクノロジーな傾向は見られないが、「自分が知る」気はあまりなようだ。

タグ:poll
posted by Kumicit at 2014/07/24 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014/07/10

エジプトとパキスタンのだうじんぐマシン 2014/06


エジプト軍のAIDS及びC型肝炎検出治療器



2014年2月にエジプト軍がAIDS検出治療器及びC型肝炎検出治療器だと称して"だうじんぐマシン"を登場させ、国内外から批判を浴びつつも撤退せず、実問題化しはじめていた。

これらの"だうじんぐマシン"はその後、いまだ実用にはなっておらず、患者に使うのは延期となっている。
A pseudo-medical device which Egypt's military had previously claimed, in the face of widespread ridicule, would cure both Aids and hepatitis C, has been delayed for "further tests" after it was slated to be made available to patients yesterday.

Serious concerns remain about the military's continued backing for a second device, meant to detect the diseases and apparently based around the same novelty golfball detector which was used as the basis for a fraudulent bomb detector.

以前エジプト軍が自信をもってAIDSとC型肝炎を治療できると主張し、広く笑いものになったニセ医療装置は、さらなる検証のため、患者に適用は遅れると昨日(2014/06/30)発表された。

詐欺な爆弾検出器の基礎として使われているノベルティゴルフボール検出器と同様の原理に基づくと見られる、病気を検出できると称する2つ目のマシンを軍が支持し続けていることに関して、重大な懸念が残っている。

[Egypt's military delays device that 'cures' Aids amid ridicule (2014/07/01) on NZ Herald]
本当に病院で使われるよりは、だらだらと先延ばしされて、フェードアウトしてくれる方がずっと良いのだが...

このような怪しい"だうじんぐマシン"をエジプト軍が支持する理由は不明だが、背景にはエジプト人の1/10がC型肝炎感染者であるという数の問題があるかもしれない。一発逆転の低コスト高効率対策によろめきたくなる状況ではある。


パキスタンのカラチ空港でも"だうじんぐマシン"が使われている



カラチ空港でのテロに絡んで、カラチ空港警備に"だうじんぐマシン"が使われているとの報道があった。
The initial assault at Jinnah international airport in Pakistan's southern port city began late on Sunday and raged until dawn, when the military said that at least 24 people – including all 10 attackers – had been killed....

Security measures at the airport have been criticised in the past. The outer perimeter of the building is guarded by security forces armed with dowsing rods similar to the fake bomb detectors sold around the world by British conman Jim McCormick, jailed for fraud last year.

カラチ空港のセキュリティ対策は過去にも批判されてきた。建物の外周は、昨年に詐欺で有罪になり投獄された英国のJim McCormickによって世界中に販売された、いんちき爆発物検知器と同様のダウジングロッドを装備した治安部隊によって警備されている。

[Jon Boone: "Karachi airport: Pakistani Taliban claim responsibility for attack" (2014/06/09) on Guardian]
機種についての記載はないので、GT200なのかHEDD1なのか、それとも別かは不明である。


関連エントリ




posted by Kumicit at 2014/07/10 07:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014/06/23

自分には不幸が訪れないのだと信じるために、ぼくらは被害者叩きをする

我々は「世界が安全で、良き人に良きことが訪れ、悪い人は悪いことに見舞われるという」公正世界を築くために行動するのではなく、被害者を叩くことで、世界が公正世界であるという信念を守ろうとする、どうしようもないやつらであるらしい。
チームメイトからの脅迫電話メッセージを含む、チームメイトからの虐待を理由に、Miami Dolphinsのフットボール選手Jonathan Martinが2013年10月にチームを脱退した。この事件はNFLにおけるイジメについて問題提起となったが、彼にも少なくとも部分的には責任があるのではないかという反応もあった。たとえば、別のNFL選手はインタビューで「Martinは、そのようなことが起きるにまかせたから非難に値する。彼は男として行動すべきだった」と述べた。また別のNFL選手は「Martinは過敏であり、そのことで格好の標的となっていた」と述べた。

この種の被害者叩きはイジメのケースの特有のものではない。強姦被害者が性的遍歴を子細に調べ上げられたり、貧乏な生活を送っている人々が怠惰でやるきがないと見られたり、精神あるいは身体の病気を患っている人々が貧しいライフスタイルを選択したことで病気を招いたと思われたり、といった例にも見られる。実際に不幸に責任の一端が被害者自身にあることもあるかもしれないが、あまりにも多くの場合で被害者側の責任が誇張され、他の要因が過小に見られる。我々自身に得るところがなさそうでも、何故に我々は被害者を叩くのか?

被害者叩きは過失回避についてだけではない。脆弱性回避についてもなされる。被害者がイノセントであればあるほど、被害者は脅かされる。被害者は「世界が安全で、良き人に良きことが訪れ、悪い人は悪いことに見舞われるという道徳空間である」という我々の感覚を脅かしている。良き人が悪いことに見舞われるなら、それは「誰も安全ではなく、我々がどれだけ善良であろうとも、我々自身もまた脆弱なのだ」ということを意味する。「不幸がいついかなるときにランダムに誰かに当たる」という考えは、恐ろしい考えであり、それが真理かもしれないという証拠に日々我々は直面している。

1960年代に、社会心理学者Dr. Melvin Lernerは「他の人が電気ショックを受けていて、それに自分が介入できないとき、被験者はその被害者に対する評価を落とし始める」ことを発見した、有名で深刻な研究を行った。被害者に、よりアンフェアで重い苦しみが与えられるほど、被験者は被害者の評価を落とした。フォローアップ研究で、同様な現象が、交通事故や強姦や家庭内暴力の被害者に対する評価で起きることを発見された。Dr. Ronnie Janoff-Bulmanによる研究は「ときには被害者が、苦しみの原因が、自分の背負った特性ではなく、自分の行動にあるのだと考えて、自分自身の評価を落とす。そして、負の出来事をコントロール可能だと思い、したがって将来には回避可能だと思う」ことを示した。

Lernerは被害者叩きの傾向を、世界は「行動は予測可能な帰結を持っていて、人々は自分に降りかかる出来事をコントロールできる」場所だという、公正世界という信条に根差していると理論化した。因果応報や自業自得といった日常の言葉にもそれが表れている。我々は「ルールに従う良き正直な人々が報われ、悪に鉄槌が下される」と信じたがっている。驚くべきことではないが、研究は「世界が公正な場であると信じている人々の方が幸福で、あまり落ち込まない」ことを明らかにしている。しかし、この幸福は苦しんでいる人々への共感を削減するというコストを支払って、得たものであり、さらには我々は被害者を叩くことで苦しみを重くすることさえあるのだ。

[Juliana Breines, PhD: "Why Do We Blame Victims?" (2013/11/24) on Psychology Today]
我々は、被害者への共感を捨てることで幸福を得ているようだ。

しかし...
公正世界信念に代るものは、無力感と憂鬱感でしかないのだろうか? そんなことはない。我々は「世界は不正義に満ちているが、我々自身の行動で世界を公正な場に変えていける」と信じることができる。世界を良き場に変えていくためにできる一つの方法は、他人の苦しみを合理化する衝動と戦い、その苦しみが自分に訪れることもあるのだと認識することである。そう認識することで不安になるが、「苦しんでいる人々に本当に心を開き、苦しんでいる人々が支えられ、一人ではないと感じられるようにする」ための唯一の方法かもしれない。世界は正義を欠いているかもしれないが、思いやりでそれを補うことはできるだろう。

[Juliana Breines, PhD: "Why Do We Blame Victims?" (2013/11/24) on Psychology Today]
ともかく、「我々は、世界が安全で、良き人に良きことが訪れ、悪い人は悪いことに見舞われるという公正世界信念を守るために、被害者叩きをしているかもしれない」と知ることから始めてみようか。

posted by Kumicit at 2014/06/23 02:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする