2012/11/17

カリフォルニアの電力をめぐってJPMorganに新たな問題が...

カリフォルニアでは、1958年に建設された、Huntington Beach火力発電所 (4機 合計89万kW)の閉鎖が迫っている。このため、2012年8月10日付のReutersの報道によれば、AES Huntington Beach LLCは、まずは運転していない3号機と4号機を解体して場所を確保し、そこに45万kWの発電機新設を計画している。

特に、Edison and San Diego Gas & Electric CoのSan Onofre原発の停止により、電力容量に余裕がなくなっている現在、重要度が増しているわけだが、LA TimesSacrament Beeなどの報道によれば、JPMorganがこの計画を妨害している。
Meanwhile, the ISO moved Thursday to stop Morgan from blocking the upgrade of two Huntington Beach power plants considered key to keeping air conditioners humming next summer in Southern California. Morgan could not be reached for comment.

The operator of California's far-flung power grid filed a petition with federal regulators, accusing Morgan of raising legal obstacles to getting the plants working in time to avoid possible brownouts and rolling blackouts when the temperatures climb.

The shoreline facilities, currently not in use, are needed to help make up for the loss of more than 2,000 megawatts of power caused by the shutdown for safety reasons of both reactors at Southern California Edison's San Onofre Nuclear Generating Station.

Several power plants in Huntington Beach are owned by AES Corp. Two of them currently supply power to Morgan. But it is two other plants there, currently not operating, that the state wants to upgrade.

But the ISO says AES is balking, saying Morgan doesn't want to go along with the upgrade. The state is trying to force Morgan and AES to go ahead.

Grid operators want FERC to rule that JPMorgan's consent is not needed to retrofit the Huntington Beach power plants. The retrofit is essential to maintain sufficiently high voltage in transmission lines to meet peak summertime demand.

"The inability to resolve the consent issue in time to allow construction to commence in early 2013 could leave Southern California exposed to reliance on a widespread load-shedding scheme in the summer of 2013," state officials warned the commission.

カリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)は、木曜日(2012/11/15)に、来夏の南カリフォルニアの冷房需要に応えるためのカギと考えられるHuntington Beach火力発電所の2機の発電機の更改をJPMorganが妨害するのを止める動きに出た。これについてJPMorganにコメントを求めることはできなかった。

CAISOは連邦エネルギー規制委員会(FERC)に対して、JPMorganが、気温上昇時に起きうる電圧降下や輪番停電を回避するために、時機にあわせて稼働するように発電所を整備することの、法的障害となっているとの訴えを出した。

海岸沿いにある現在運転していない2機が、Southern California Edisonの運転停止中のSan Onofre原発200万kW分の穴埋めに必要となっている。Huntington Beach火力発電所の発電機はAES Corpが所有している。うち2機はJPMorganに電力を供給している。しかし、もう2機には現在、運転しておらず、州政府はこれらの発電機の更改を求めている。

しかし、CAISOは「JPMorganが機器更新を求めていないと述べて、AESは躊躇している。州政府はJPMorganとAESに計画を進めるよう求めている」と述べた。

CAISOはFERCに対して、Hunting Beach火力発発電所の発電機更改にJPMorganの同意は不要であるとの決定を出すように求めている。発電機更改は夏のピーク需要に対応して送電線の高圧を維持するのに不可欠である。

2013年の早い時期の建設開始に間に合うように、JPMorganの同意問題を解決できないと、南カリフォルニアは2013年夏に輪番停電のリスクに晒されることになる」とFERCに対して、州政府は警告した。


[Marc Lifsher: "JPMorgan's California energy dealings draw more fire (2012/11/16) on LA times]
JPMorganの意図は不明である。ただ、電力供給不足になると、卸電力価格は暴騰する。電力供給サイドの会社を持つJPMorganは、電力供給力の増強を妨害することで、利益を得られる。もしかすると、相場操縦の意図があるのかもしれない。
posted by Kumicit at 2012/11/17 23:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007/03/03

キリスト教の超越的な神とIntercessory Prayer

"Intercessory Prayer"動向(1,2,3,4,5,6,7)では、あえて神について触れなかった。

祈りの効果がないことは、神の不在を証明しない

「論文に記載された方法で祈ると、確実に病状を緩和してくれる」ような「神」の存在はおおよそ否定されるかもしれない。それ以外の「神」の存否について、Intercessory Prayer実験は何も語れない。たとえば、次のような神々については言及できない:

  • 祈りは確実に聞くが、祈り方が違う神
  • 実験対象にされた場合は、祈りを聞かない神
  • そもそも、祈られても相手にしない神
  • 病状の変更は祈りの対象外な神
  • 他の諸条件との整合性を考慮する神
  • その日の気分で聞いたり、聞かなかったりする神
  • 人間の死亡原因と死亡時刻を予め決定している神


キリスト教の神は「実験対象にされた場合は、祈りを聞かない神」に該当するみたいなので、存在は否定されない:
And he brought him to Jerusalem, and set him on a pinnacle of the temple, and said unto him, If thou be the Son of God, cast thyself down from hence: For it is written, He shall give his angels charge over thee, to keep thee: And in their hands they shall bear thee up, lest at any time thou dash thy foot against a stone. And Jesus answering said unto him, It is said, Thou shalt not tempt the Lord thy God. [KJV: Luke 4:9〜12]

そこで、悪魔はイエスをエルサレムに連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて言った。「神の子なら、ここから飛び降りたらどうだ。 というのは、こう書いてあるからだ。『神はあなたのために天使たちに命じて、/あなたをしっかり守らせる。』 また、/『あなたの足が石に打ち当たることのないように、/天使たちは手であなたを支える。』」イエスは、「『あなたの神である主を試してはならない』と言われている」とお答えになった。[日本聖書協会新共同訳 ルカによる福音書4章9〜12節]

The Pharisees also with the Sadducees came, and tempting desired him that he would shew them a sign from heaven. He answered and said unto them, When it is evening, ye say, It will be fair weather: for the sky is red. And in the morning, It will be foul weather to day: for the sky is red and lowring. O ye hypocrites, ye can discern the face of the sky; but can ye not discern the signs of the times? A wicked and adulterous generation seeketh after a sign; and there shall no sign be given unto it, but the sign of the prophet Jonas. And he left them, and departed. [KJV: Matthew 16:1-4]

ファリサイ派とサドカイ派の人々が来て、イエスを試そうとして、天からのしるしを見せてほしいと願った。イエスはお答えになった。「あなたたちは、夕方には『夕焼けだから、晴れだ』と言い、朝には『朝焼けで雲が低いから、今日は嵐だ』と言う。このように空模様を見分けることは知っているのに、時代のしるしは見ることができないのか。よこしまで神に背いた時代の者たちはしるしを欲しがるが、ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられない。」そして、イエスは彼らを後に残して立ち去られた。[日本聖書協会新共同訳 マタイによる福音書16章1-4節]



祈りの効果があっても神の存在を証明しない

祈りの効果がなくても、「論文に記載された方法で祈ると、確実に病状を緩和してくれる」以外の神様の存在は科学的には否定されない。では、祈りの効果があったら、神の存在を科学的に証明することにはなるだろうか。

もちろん、そんなことはない。せいぜいがとこ「論文に記載された方法で祈ると、確実に病状を緩和してくれる」ような「何かがある」ということが示されるだけ。これまでの"Intercessory Prayer"研究では、神様を含む、いかなるメカニズムも想定していない。だから、何も論文の著者たちは、たとえ祈りの効果があるという結果を得ても、「効果がある」以上のことは結論に書けない。実際、Byrd[1988]もHarris et al[1999]も何も記載がない。

「神様に祈ったのだから、効果があれば、神様の存在証明になる」という主張は成り立たない。というのは、「神様に祈った」という原因によって、「神様が介入する」という結果をもたらすとは示されていないからだ。それどころか、治療効果をもたらしたものが、神様であるかどうかも検証できていない。言えるのは、現在の科学の版図内で説明できないことが起きたというだけしかわからないというだけ。

そこで、「科学で説明できない」だけを根拠とするなら、神様以外にも治療効果をもたらすと主張できるものは幾らでもある。たとえば、Dr. Sheldrakeの"Morphic Field"を持ち出している:
If fields are the medium of mind then what you have in the brain is an interface between one kind of field and another kind of field. All organization in the body has morphic fields underlying it. Morphic fields in the brain interact with electromagnetic (EM) fields in the brain. However, the nature of this interaction is indirect. Rather than morphic fields working directly through the electromagnetic field, they interact through both affecting the same thing-in this case, physical activity within the brain.

場が精神の媒体なら、脳にあるのは、1つの場ともう一つの場の接点である。体のすべての組織には、それらの基礎をなす"Morphic field"がある。脳の"Morphic field"は、脳で電磁場と相互作用する。しかし、この相互作用の声質は間接的である。"Morphic field"は直接に電磁場に働きかけるのではなく、両方が影響を及ぼす一つのものを介して相互作用する。それは脳の物理的活動である。
[Rupert Sheldrake: "Prayer: A Challenge for Science" Noetic Sciences Review, (Summer 1994 ), 30 4-9]
何でも説明できる万能理論たる"Morphic Field"と、何でもできる超越的な神のどっちの効果なのかを科学的に識別することは、まず無理だろう。

他にも、ほとんど超自然なクラウのリナクスも、祈りの効果の説明候補になれる。

従って、たとえ神の名前を挙げて祈って、治療効果があると確認されても、なお、神様の存在を証明できない。



祈りの効果を神の証拠という"古い地球の創造論"者Rich Deem

"古い地球の創造論"サイトGod and Scienceは主宰者Rich Deemによる記事「Evidence for Answered Prayer and the Existence of God」において、"Intercessory Prayer"の効果があったことを神の証拠と主張する:
Obviously, science has demonstrated in three separate studies[Byrd 1988; Harris et al. 1999, Leibovici 2001] the efficacy of Christian prayer in medical studies. There is no "scientific" (non-spiritual) explanation for the cause of the medical effects demonstrated in these studies. The only logical, but not testable, explanation is that God exists and answers the prayers of Christians. No other religion has succeeded in scientifically demonstrating that prayer to their God has any efficacy in healing. In fact, studies that have used intercessors from multiple religious backgrounds have failed to prove the efficacy of prayer.[Krucoff et al. 2005] The Bible declares that Jesus Christ has power over life and death and sickness and is able to heal us, both physically and spiritually. He gave this power to His disciples and those who follow Him.

3つの独立した医療研究において、キリスト教の祈りの効果の有効性を科学的、明らかに示している。これらの研究において、科学的(非精神的)な因果関係の説明はない。唯一つの論理的な説明は、検証不可能であるが、神が存在してキリスト教の祈りに応えたというものだ。他のいかなる宗教も、神への祈りが治療効果を持つことを証明していない。事実、複数の宗教を背景とする"Intercessors"を使った研究では、祈りの効果は見出せていない。聖書によれば、イエスキリストは生と死と病に対する力を持ち、我々を肉体的にも精神的にも癒すことができる。イエスキリストはその力を弟子たちに与えた。

Byrd, R.C. 1988. Positive Therapeutic Effects of Intercessory Prayer in a Coronary Care Unit Population. Southern Medical Journal 81: 826-829.

Harris, W.S., et al. 1999. A Randomized, Controlled Trial of the Effects of Remote, Intercessory Prayer on Outcomes in Patients Admitted to the Coronary Care Unit. Arch Intern Med. 159:2273-2278.

Krucoff, M. W., et al. 2005. Music, imagery, touch, and prayer as adjuncts to interventional cardiac care: the Monitoring and Actualisation of Noetic Trainings (MANTRA) II randomised study. Lancet 366:211-217.

Leibovici, L. 2001. Effects of remote, retroactive intercessory prayer on outcomes in patients with bloodstream infection: randomised controlled trial. British Medical Journal, 323, 1450-1451.



Rich Deemが挙げたByrd[1988]は二重盲検が破れており、Harris et al[1999]もほとんど効果を見出せていない。
==>"Intercessory Prayer"動向(1/7) はじまり、そして二重盲検

数多くの"Intercessory Prayer"研究があるが、ほとんどで祈りの効果は確認されていない。
==>"Intercessory Prayer"動向(2/7) 効果は見出せない by Matthews et al

これらの研究をまとめて分析しても、祈りの効果は確認されない。
==>"Intercessory Prayer"動向(4/7) Mastersたちによるまとめ

そして、残るLeibovici[2001]は、ほとんど冗談なもの。あるいはクリスマス記念記事。
==>"Intercessory Prayer"動向(5/7) あっち側な"時間遡行研究"

なお、祈りの効果がないという結果を得たBenson et al.[2006]について:
Ultimately, the results showed that groups 1 (prayer) and 2 (no prayer) were identical, whereas group 3 (those who knew they were being prayed for) did worse than the other two groups. The lack of efficacy of intercessory prayer in this study could be due to theological problems with the study design.

最終的に、結果はグループ1(祈り)と2(祈りなし)が同じで、グループ3(祈られると知っている)はその他の2つのグループより症状が悪かった。この研究で"Intercessory Prayer"に効果が見られなかったのは、研究デザインに関する神学上の問題によるものかもしれない。

Benson H, et al. 2006. Study of the Therapeutic Effects of Intercessory Prayer (STEP) in cardiac bypass patients: a multicenter randomized trial of uncertainty and certainty of receiving intercessory prayer. Am. Heart J. 151:934-942.
と言い訳をしている。そもそも、祈りの効果を確認できなかった研究結果は多くあるので、これだけに言い訳したところで、意味はない。報道で話題になったので触れただけだろう。

==>祈りの効果についての報道


もし、Intercessory Prayer研究がByrd[1988]とHarris[1999]とLeibovici[2001]とKrucoff[2005]しかなく、Rich Deemの主張どおりに前3つが成功で、Krucoffだけ失敗なら、神の存在を証明するだろうか?

もちろん、科学的には証明しない。Rich Deem自身も書いている通り、神の存在を科学的に検証不可能だ。確認できることは、「キリスト教スタイルで祈ると効果がある」ということだけ。それが、いかなるメカニズムによって起きるのか、あるいは超自然の介入かについては、わからない。科学の取り扱い対象外である超自然だと特定することは、"科学的"には不可能。もちろん、数ある超自然ネタのどれであるか特定できるわけもない。



なお、Dr. Hugh Rossの"古い地球の創造論"サイトReason to Believeも、Ken Hamの"若い地球の創造論"サイトAnswers in Genesisも、はたまたインテリジェントデザイン運動も、神あるいはデザイナーの存在する証拠として、"Intercessory Prayer"を挙げていない。

posted by Kumicit at 2007/03/03 00:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007/01/30

呪術思考の効用があるという話

呪術思考には、Stevens[2001]によれば、フォースとパワーと互いに結合されたコスモスとシンボルと類感呪術と感染呪術がある。たとえば、Dr. Rupert SheldrakeのFormatic Causation/Morphic fieldは"互いに結合されたコスモス"そのものだ。

この呪術思考は経験的事実に基づくという点で宗教とは異なる場合が多い。たとえば「ある手順に従って雨乞いをしたら、雨が降った」という経験的事実に基づいて、「ある手順に従って雨乞いをすれば、雨が降る」と考える呪術思考がある。これは手順を守れば予測される結果が生じると考えるものであり、超越的な神による奇跡とはまったく違う。奇跡が起きるかどうかは奇跡神族の意志次第だが、雨が降るのはいわば"法則"である。

一方、呪術は科学ではない。それは「ある手順に従って雨乞いをしたら、雨が降った」という経験的事実から、呪術がただちに「雨乞いと雨とに因果関係を見出す」のに対して、科学がそうではないからだ。"Intercessory Prayer"をめぐる実験の二重盲検の破れについての論争[ie. 2006/12/7]が繰り広げられるのが科学であり、Dr. Elisabeth Targによるテキサスの狙撃兵を使ってしまった実験結果[ie. 2006/12/6]であっても祈りに効果ありと考えるのが呪術。

このような呪術思考についてのPrincetonの心理学のEmily Pronin助教授らによる研究をNew York Timesが2007年1月23日付のBenedict Careyによる記事「Do You Believe in Magic? -- LUCKY CHARMS Magical powers are ascribed to all manner of objects. 」で報じている。
Psychologists and anthropologists have typically turned to faith healers, tribal cultures or New Age spiritualists to study the underpinnings of belief in superstition or magical powers. Yet they could just as well have examined their own neighbors, lab assistants or even some fellow scientists. New research demonstrates that habits of so-called magical thinking ... are far more common than people acknowledge.

心理学者と人類学者は、一般的に、迷信や呪術への信頼の基礎を研究するために、信仰療法者や部族文化まあるいはニューエイジの降霊術信者を対象としてきた。それでも、彼らは自らの隣人や研究室の助手や同僚の研究者もまた研究対象にできた。新たな研究で、呪術思考と呼ばれる習慣がふつうに知られている以上に、一般的であることが明らかになった。

These habits have little to do with religious faith, which is much more complex because it involves large questions of morality, community and history. But magical thinking underlies a vast, often unseen universe of small rituals that accompany people through every waking hour of a day.

これらの習慣はほとんど宗教信仰とは関係がない。また、これは道徳やコミュニティや歴史の重要な問題を含むので、より複雑である。しかし、呪術思考は、人が目覚めているときはいつでも、小さな儀式の見えざる広大な宇宙の基礎をなしている。

The appetite for such beliefs appears to be rooted in the circuitry of the brain, and for good reason. The sense of having special powers buoys people in threatening situations, and helps soothe everyday fears and ward off mental distress. In excess, it can lead to compulsive or delusional behavior. This emerging portrait of magical thinking helps explain why people who fashion themselves skeptics cling to odd rituals that seem to make no sense, and how apparently harmless superstition may become disabling.

そのようなものを信じたいという欲求は、脳の回路に根ざしていて、適切な理由があると思われる。特別な力があるという感覚は危機的状況にある人々を支え、日々の恐れを沈めて、精神的苦悩を防ぐように働く。度が過ぎれば、衝動的あるいは妄想的な挙動に至る。呪術思考についてのこのような新しい見方は、自らを懐疑的な人々が何故に意味のないと思われる奇妙な儀式にこだわり、明らかに無害な迷信をいかに働かなくさせるかを説明する。
思った以上に呪術思考の広まりは大きい。それは呪術思考が有益に働くからだという。
The brain, moreover, has evolved to make snap judgments about causation, and will leap to conclusions well before logic can be applied.
...
For people who are generally uncertain of their own abilities, or slow to act because of feelings of inadequacy, this kind of thinking can be an antidote, a needed activator, said Daniel M. Wegner, a professor of psychology at Harvard.

さらに、脳は、因果関係について即断するために進化し、論理を適用する前に結論に飛躍する。
...
Harvardの心理学のDaniel M. Wegner教授は、自らの可能性がわからない人や、不適切な感覚によって行動が遅い人には、この種の思考は解毒剤あるいは必要とされる活性剤となると語った。
すなわち、決断しないよりも、間違った決断の方が生存確率が高かったということがあったのかもしれない。

ということで、我々は簡単に呪術思考に絡めとられてしまったりするらしい。PrincetonとHarvardの心理学者たちは:
And they found, similarly, that devoted fans who watched the 2005 Super Bowl felt somewhat responsible for the outcome, whether their team won or lost. Millions in Chicago and Indianapolis are currently trying to channel the winning magic.

そして、同様に、彼らは2005年のスーパーボウルを観戦した熱烈なファンは、応援しているチームの勝ち負けに関わらず、その勝ち負けついて何らかの責任があると感じていることを発見した。シカゴとインディアナポリスの数百万人は、いままさに勝利呪術を届けようとしている。

人類は半世紀にわたりテレビの前で、野球やサッカーの中継を見て応援してきた。応援が届くことは科学的に証明されたことはないが、応援が届くような気になって、テレビに向かって声をあげてきた。あるいはテレビの前で勝利を祈ってきた。

それは呪術思考に他ならない。だから、もし、呪術思考するという能力を失えば、テレビの前で熱狂することはなくなってしまうかもしれない。

タグ:呪術
posted by Kumicit at 2007/01/30 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006/12/11

呪術と祈りと

代替医療の背後にある呪術思考

Stevens[2001]は、今日の"補完"医療あるいは"代替"医療が呪術思考などに基づく考えを含んでいると主張する。そして、呪術として一般的に信じられているもの、フォースとパワーと、つながったコスモスとシンボルと類感呪術と感染呪術を挙げた:
Forces(フォース).
Most peoples seem to believe in forces in nature that are separate from and operate independently of any spiritual beings and are also separate from those forces identified and measured by science, e.g., gravity, electromagnetism, and the strong and weak nuclear forces. The forces are inherently programmed, apparently since the Creation, to do specific things, either alone or in concert with others, and if left alone they will do those things. Farmers recognize them; poets have written about them ("The force that through the green fuse drives the flower"-Dylan Thomas, 1934).

大半の人々が、いかなるスピリチュアルな存在からもはなれて独立に働き、科学によって特定され計測された重力や電磁力や強い相互作用や弱い相互作用などの力とも別の、自然界にあるフォース(力)を信じている。それらのフォースは、単独もしくは他のフォースと連携して、天地創造以来、特定のことをするように本質的にプログラムされている。農民たちはをそれらを知っている。それらについて詩が書かれている("緑の導火線を通って花を駆りたてる力" -- Dylan Thomas, 1934)。

Power(パワー). The forces, and everything else, are energized by a mystical power that exists in varying degrees in all things. The power in higher-order things, spiritual beings, and people of high status, like African and Polynesian kings, may be dangerous to ordinary people. Power is transferable, through physical contact, sensory perception, or mere proximity. The idea is exemplified in the biblical concept of divine "glory," as halos over the heads of saints in medieval art, and in contemporary New Age "auras" and "psi energy." It is belief in supernatural power that defines the concept of "sacred," and that distinguishes holy water.

フォースとあらゆるものは、あらゆる物の中に大きさを変えて存在する神秘的なパワーによってエネルギーを与えられる。高次の存在やスピリチュアルな存在や高次のステータスにある人々にあるパワーは普通の人々にとっては危険かもしれない。直接接触や感覚的認識や接近することで、パワーを移すことができる。この考えの例は、中世絵画の聖人の頭部の後光として示される神の威光という聖書の概念や、現代のニューエイジのオーラやサイエネルギーである。聖なるものを定め、聖水を識別する超自然のパワーへの信仰である。

In some belief systems, "forces" and "power" may seem to merge; e.g., in the concept of "vital force" that exists in so many forms: Polynesian and Melanesian mana, Iroquois orenda, Algonqian manitou, Sioux wakan, Malay kramat, Indian brahma, Greek dynamis, Chinese qi, ashé among the Yoruba of West Africa and its Caribbean derivatives (aché, axé), "karma" and "chakras" in Hindu and Buddhist healing systems, the alleged "energies" in Therapeutic Touch and Reiki, etc.; and ideas of flowing streams of power in Earth, like "leylines" in Britain and Europe and earth energies addressed in the Chinese geomantic system of feng shui.

いくつかの信仰では、フォースとパワーは一体化している。たとえば、様々な形で存在する生命力。ポリネシアとメラネシアのマナ、イロコイ族のオレンダ、アルゴンキン族のマニトウ、スーのワカン、マレー半島のクラマト、インドのブラーマ、ギリシャのデュナミス、中国の気、西アフリカのヨルバのアシェ、インドと仏教の治癒におけるカルマとチャクラ、手かざしや霊気にあると根拠なく主張されるエネルギーなど。あるいは英国や西欧におけるレイラインのような地球を流れるパワーの流れや、中国の風水など。

A coherent, interconnected cosmos(コヒーレントで、すべてがつながった宇宙).
It is widely believed that everything in the cosmos is actually or potentially interconnected, as if by invisible threads, not only spatially but also temporally-past, present, and future. Further, every thing and every event that has happened, is happening, or will happen was pre-programmed into the cosmic system; and after it has happened, it leaves a record of itself in the cosmic program.

宇宙にあるすべてのものが、実際に、あるいは潜在的に見えない糸でつながれたように、相互につながっていて、それは空間的なつながりだけでなく、過去・現在・未来と時間的にもつながっていると広く信じられている。さらに、あらゆる物事、そしてこれまでに起きたこと、今起きていること、そしてこれから起きることが、すべてあらかじめ、宇宙のシステムにプログラムされている。そして起きると、それはそれ自体の記録を宇宙のプログラムに残していく。

Symbols(シンボル).
Symbols are words, thoughts, things, or actions that not only represent other things or actions but can take on the qualities of the things they represent. The American flag is a good example; if the flag is mistreated it is more than the material that is damaged. If the thing the symbol stands for has power, the symbol will become powerful. Some symbols with power appear to be universal, e.g., eggs, horns, and the color red; most are understandable only in their specific cultural contexts.

シンボルは、言葉や思考や物や行動が、別の物や行動を指し示すだけでなく、指し示した物や行動の性質を持っている。たとえば米国星条旗がよい例だ。旗が傷つけられたら、それは旗の素材が受けた以上の被害を受ける。シンボルが指し示す物がパワーと持つなら、シンボルもパワーを持つ。パワーを持つ幾つかのシンボルは民族をとわず存在する。たとえば、卵や角や赤色など。しかし、大半のシンボルは特定の文化のコンテキストでしか理解できない。

Words are extremely powerful, as they embody their own meaning, and speech is usually part of the magic act. It is universally believed that spoken words, activated by the life force and the intent of the speaker and borne on his or her breath, carry the power of their own meaning directly to their intended target. Unspoken thoughts can do the same, although less effectively. Telepathy, telekinesis, and the projection of "psi energy" are thus explained.

言葉は、それが指し示す意味として、非常に強力である。そして詠唱は魔法の一部をなすことが多い。発せられた言葉は、生命力と話者の意図によって起動し、彼または彼女の息に関して生まれ、直接彼ら自身の意味の力を彼らの標的へ運ぶと一般的に信じられている。発せられた言葉ほど強力ではないが、口にされない考えも同じことができる。テレパシー・念力・サイエネルギーの投影がそのように説明される。

Frazer's principles (フレイザーの原理).
Sir James George Frazer, in his monumental work on religion and kingship, The Golden Bough, explained his famous principles of sympathetic magic in most detail in the third edition, 1911-1915. Heir to the eighteenth-century Positivist assumption of "laws" governing nature and society, Frazer said that sympathetic magic was of two types. "Homeopathic" magic works according to the "law of similarity"-things or actions that resemble other things or actions have a causal connection. "Contagious magic" obeys the "law of contact"-things that have been either in physical contact or in spatial or temporal association with other things retain a connection after they are separated. Frazer is rightly credited for his detailed explication of sympathetic magic and his collection of numerous examples from world ethnology. But ideas of causality based in similarity and contact had been expressed by philosophers since Classical times (e.g., Hippocrates), were integral to the medieval and Renaissance Hermetic systems (e.g., Paracelsus), and had been noted, and dismissed as lazy thinking, by Francis Bacon in his Novum Organum, 1608-1620.

ジェームズ・フレイザーは、宗教と王位についての記念碑的著作である金枝篇の第3版(1911-1915)において、類感呪術の有名な基本原理を説明している。自然と社会を支配する法則についての18世紀の実証主義者の仮定を受けて、フレイザーは共感呪術が2つのタイプであると言った。「類感呪術」は、物や行動が良く似ている他の物や行動と因果関係があるという「類似の法則」に従って機能する。「感染呪術」は、物理的な接触があるか、空間的もしくは時間的に他のものといっしょにいたものは、それが分かれてからも関係を残し続けるという「接触の法則」に従う。フレイザーは、共感呪術の彼の詳細な説明と多数の例のコレクションについて、世界民族学から正しく引用している。しかし、類似と接触に基づく因果関係という考えは、ヒポクラテスのような古典の時代から表現され、中世やパラケルススのようなルネサンスのヘルメス主義[wiki:ヘルメス文書]に統合され、注目され、フランシス・ベーコンが自著ノヴム・オルガノン(1608-1620)において、怠惰な考えとして退けられた。



Intercessory Prayerの呪術思考

Stevens[2001]はDr. Elisabeth TargのIntercessory Prayer研究[Sicher et al.1998]が、パワーと自然とのつながり(コスモロジー)とシンボルと類感呪術をベースにしていると評した:
Methods in her 1998 study involved forty American "experienced distant healers" from several different traditions ("Christian, Jewish, Buddhist, Native American, and shamanic;" p. 359), who were given five "subject information packets" containing personal data: subject's first name, a current color photograph, and written notations on blood count and current symptoms. Healers were instructed to open their packets on certain dates and "to work on the assigned subject for approximately one hour per day for six consecutive days with the instruction to 'direct an intention for health and well-being' to the subject" (p. 359). Assuming that Targ's current methods are similar, we can now recognize that her generous government grants support testing of a modern form of ancient and universal image magic, involving at least four classic principles of magical thinking: power, interconnections in nature, symbols, and similarity.

彼女の1998年の研究では、40人の米国のキリスト教とユダヤ教と仏教とネイティブアメリカンとシャーマンという異なる複数の伝統の"熟達した遠隔治療者"を参加させていた。彼らには、患者のファーストネームと現在のカラー写真と血球数の記載と現在の症状の記載のある5人分の情報パケットを渡された。治療者は指定された日にそのパケットを開けて、患者の健康と幸福の意図を指示するように1日約1時間で6日連続で祈るように指示された。Targの現在の方法がこれと同様なら、少なくともパワーと自然とのつながりとシンボルと類感呪術を含む呪術思考の原則を4つ含む、古代の一般的なイメージ呪術の現代版の検証のための研究資金を、政府は支出することになる。
祈りというと一見、神、特にキリスト教の神への祈りな感じがする。しかし、実験の実態からすると呪術だというStevens[2001]の指摘は、まさに言われてみればその通りといったところ。


ついでにホメオパシーの呪術思考

類感呪術のもっとも典型的な例としてStevens[2001]はホメオパシーを挙げる:
A clear example is homeopathy. Fallacies in homeopathic claims have been discussed by many, including Barrett[1987] and Gardner[1989] in this journal; but it is curious that this healing system has not been more widely recognized as based in magical thinking. The fundamental principle of its founder, Samuel Hahnemann (1755-1843), similia similibus curentur ("let likes cure likes"), is an explicit expression of a magical principle. The allegedly active ingredients in homeopathic medications were "proved" effective against a particular disease when they produced in healthy people symptoms similar to those caused by the disease.

わかりやすい例はホメオパシーだ。ホメオパシーの主張の誤りはBarnett[1987]やGardner[1989]など本誌記事を含む多くの人々によって論じられてきた。しかし、興味深いことに、この治療方法は呪術思考を基盤としているとは見なされていない。ホメオパシーの基本原則の樹立者Samuel Hahnemann(1755〜1843)は、"similia similibus curentur"(似たものに似たものを癒させよ)[wiki:Classical homeopathy]という、呪術原則そのものの表現を使っている。ホメオパシー薬の成分が病気に起因する症状と類似した症状を健康な人々にもたらすなら、そのホメオパシー薬の成分はその病気に有効だと"証明される"。

Barrett S: "Homeopathy: Is it medicine?", Skeptical Inquirer, 12(1), 56-62, 1987.
Gardner M: "Water with memory? The dilution affair", Skeptical Inquirer 13(2), 132-141, 1989.
まさに、類感呪術(Homeopathic magic)である。

ホメオパシーの希釈倍率はアボガドロ数をはるかに超えているので、実際にはホメオパシー薬はただの水。この指摘に対して、信奉者たちは成分の記憶を残しているのだと主張しているので、感染呪術でもある。


ちなみに英語版WIKIでは

英語版WikiにはMagical thinking(呪術思考)の項目があり、特に論争状態にはなく:
In psychology, magical thinking is non-scientific causal reasoning. Like science, magic is concerned with causal relations; but unlike science, magic often attributes correlation to causation. For example, someone who wins a bowling competition while wearing a certain shirt might conclude that it is a "lucky shirt"; this is an example of magical thinking.

心理学において、呪術思考とは非科学的因果論理である。科学のように呪術は因果関係にかかわっている。しかし、科学と違って呪術は、関係性を因果律にしてしまう。たとえば、あるシャツを着てボーリング大会で優勝すると、これはラッキーシャツだと結論するかもしれない。これが呪術思考の例である。

Such scholars as James George Frazer and Bronislaw K. Malinowski have emphasized that magic is more like science than like religion, and that societies with magical beliefs have often had separate religious beliefs and practices.

ジェームズ・フレイザーやマリノフスキーのような学者は、呪術は宗教よりも科学に近く、呪術信仰のある社会では、宗教信仰と実践とが分離されていると強調する。
とある。

また、SkepDicにもStevens[2001]を引用するかたちで、Skepdic:magical thinkingという項目がある。

タグ:呪術
posted by Kumicit at 2006/12/11 08:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006/12/07

"Intercessory Prayer"動向(7/7) まとめ、あるいは、とりとめない

ある人が別の人の健康のための祈れば、その別の人の健康に影響を及ぼすというIntercessory Prayerについて、Hines[2003]の簡潔なまとめや、最新の研究をたどって、6回にわたって見てきた。まとめると...

  • (1) はじまり、そして二重盲検

    ランドマーク的な研究とされるByrd[1988]が、実際には患者の症状改善を評価する時点で、介入群・対照群のどちらにいたかが見えてしまって、二重盲検が破れていた。破れないようにデザインしたHarris et al.[1999]では、わずかしか有意差が見られなくなった。しかも、複数のテストのうち1個だけ有意差があったので、祈りに効果があると主張していた。二重盲検の実現や結果の解釈がいかにむつかしいかが示された例である。

  • (2) 効果は見出せない by Matthews et al

    Matthews et al.[2000]は過去の研究をレビューして、祈りの効果が見出せていないとまとめた。そして自分たちでも実験し、祈りの効果がないことを確認した[Conti, 2003]。


  • (3) 詐欺師登場

    韓国Chaグループ総帥Dr.ChaとColumbia UniversityのLobo教授とWirthによる人工授精に対する祈りの効果が絶大という研究[Cha et al 2001]が、Wirthが詐欺常習犯であることが発覚して地に堕ちた。超常現象屋であることがわかっているWirthに、祈るボランティアの確保をゆだねるという愚行は、Intercessory Prayer研究そのものの信頼を損ねる結果に終わった。


  • (4) Mastersたちのよるまとめ[Masters et al. 2006]

    14の研究をメタアナリシスでまとめた結果、詐欺なCha et al.[2001]を除けば、Intercessory Prayerに有意な効果は見られなかった。


  • (5) "あっち側な"時間遡行研究

    過去に向かって祈ると時間遡行な効果があると主張するLeibovici[2001]。これを支持するOlshansky and Dossey[2003]の挙げた論拠はサイキックな怪しいネタ。


  • (6) Dr. Elisabeth Targ

    作為的なデータ操作で祈りの効果があったという結果をひねり出して、公的機関から研究助成金200万ドルを得たDr. Elisabeth Targ

以上からすると、Intercessory Prayerに治療効果があるという主張は証明されそうにない。とすれば、Intercessory Prayerを医療の補助として使うという研究は無価値であり、これ以上やるべきではない....と言い切るべきだろうか?


宗教あるいは呪術の効果

Intercessory Prayerそのものに効果がないとしても、それは、信仰心篤き患者に「Intercessory Prayerが受けられる」と告げることに効果がないことを意味するわけではない。プラシーボとしての効用は否定されない。

Leibovici[2001]を一喝したBishop and Stenger[2004]は、健康と宗教やスピリチュアル信仰の関連について、Koenig[2004]やGeorge et al.[2004]やMueller et al.[2001]などを挙げて、まともな研究があると例示している。

特にMueller et al.[2001]は:
Relevant articles were identified by conducting a MEDLINE search (1970-2000) and by using the following search terms: religion, religiosity, and spirituality each alone and each with epidemiology, mortality, cardiovascular disease, cancer, depression, anxiety, substance abuse, suicide, coping, and quality of life. The reference lists of identified articles were also reviewed for additional relevant studies, articles, textbooks, annotated bibliographies, and other sources.

関連する文献は1970〜2000年についてMEDLINEで検索して特定した。キーワードは"religion"と"religiosity"と"spirituality"で、それぞれ単独および、"epidemiology"(免疫)や"mortality"(死亡率)や"cardiovascular disease"(心血管疾患)や"cancer"癌や"depression"(鬱)や"anxiety"(不安)や"substance abuse"(薬物濫用)や"suicide"(自殺)や"coping"や"quiality of life"と組み合わせ。特定した文献の参考文献も、関連する文献に含めた。
と大量の関連文献を調べた上で(参考文献数148):
Most studies have shown that religious involvement and spirituality are associated with better health outcomes, including greater longevity, coping skills, and health-related quality of life (even during terminal illness) and less anxiety, depression, and suicide. Several studies have shown that addressing the spiritual needs of the patient may enhance recovery from illness.
大部分の研究は、宗教信仰やスピリチュアル信仰が良好な健康と関係していることを示した。それには、寿命や、不安や鬱や自殺や対象能力や、終末医療でのクオリティ・オブ・ライフなどを含む。幾つかの研究では、スピリチュアルなものの必要性を述べることで、病気からの回復が強化されるかもしれないと示している。


祈りに関しては次のような記載がある。ただし、intecessoryではなく自分の祈り:
A recent study[Koenig 1998] examined the relationship between religious activities and blood pressure in a sample of 3963 community-dwelling adults (age, ≥65 years) using data from 3 time periods. Adjusted for age, ethnicity, sex, education, functional status, body mass index, and previous blood pressure, frequent (≥once a week) attenders of religious services had consistently lower systolic and diastolic blood pressures compared with infrequent attenders.

Furthermore, frequent attenders who engaged in private religious activities (eg, prayer) were 40% less likely to have diastolic hypertension (>90 mm Hg) compared with infrequent attenders or those who did not engage in private religious activities (OR, 0.60 [95% CI, 0.48-0.75]). Religiously involved persons were also more likely to be compliant with their medicines. However, this difference did not account for the observed differences in blood pressures.

最近の研究{Koenig 1998]は、3つの期間のデータを使って、3963人のコミュニティに居住する65歳以上の成人について、宗教活動と血圧の関係を調べた。年齢や民族や性別や教育や機能状態やBody-Mass-Indexや過去の血圧を補正して、宗教儀式への頻繁(週1回以上)に参加する人々は、そうでない人々よりも、一貫して、収縮血圧および拡張血圧が低かった。

個人的な宗教活動(例えば祈り)をしている人々は、あまり宗教活動をしない人々に比べて、拡張期高血圧(>90mmHz)の人々が40%少なかった。(OR 0.60 90%信頼区間 0.48-0.75)。宗教信仰のある人々は、薬物を素直に服用したがらなかった。しかし、これは血圧の差違を説明するものではない。


逆効果だったかもしれないBenson et al.[2006]

Koenig[1998]を見れば、信仰心篤き人々に「Intercessorたちに祈ってもらえる」と告げれば(その言葉に偽りなきように、実際にボランティアを手配すれば)、自然治癒力を高めて、病状を改善する可能性がありそうに思える。

しかし、Benson et al.[2006]は図らずも、それが常に成立するわけではないと示した。彼らの研究では、「必ず祈ってもらえる」と告げられた患者群と「祈ってもらえるかもしれず、そうでないかもしれず」と告げられた患者群の間に、有意な差があった。ただし、「必ず祈ってもらえる」と告げられた患者群の方が、合併症の率が高かったのだ。

Background
Intercessory prayer is widely believed to influence recovery from illness, but claims of benefits are not supported by well-controlled clinical trials. Prior studies have not addressed whether prayer itself or knowledge/certainty that prayer is being provided may influence outcome. We evaluated whether (1) receiving intercessory prayer or (2) being certain of receiving intercessory prayer was associated with uncomplicated recovery after coronary artery bypass graft (CABG) surgery.

背景:
Intercessory prayerは病気からの回復に影響すると広く信じられているが、そのご利益の主張は制御された臨床試験では支持されていない。従来の研究においては、祈りそのもの、もしくは祈られることを知っているかどうかが影響するか対象としていなかった。我々は(1) Intercessory prayerを受けたか (2) Intercessory prayerを受けることを確かに知っているかが、心臓の冠動脈バイパス手術(CABG)の術後に合併症を伴うかどうかを調べた。

Methods
Patients at 6 US hospitals were randomly assigned to 1 of 3 groups: 604 received intercessory prayer after being informed that they may or may not receive prayer; 597 did not receive intercessory prayer also after being informed that they may or may not receive prayer; and 601 received intercessory prayer after being informed they would receive prayer. Intercessory prayer was provided for 14 days, starting the night before CABG. The primary outcome was presence of any complication within 30 days of CABG. Secondary outcomes were any major event and mortality.

方法:
米国の6つの病院の患者をランダムに3つに振り分けた。604名は、「Intercessory prayerを受けるかもしれず、そうでないかもしれず」と知らされた後に仲裁の祈りを受けた。597名は同様に知らされた後にIntercessory prayerを受けなかった。601名は「Intercessory prayerを受ける」こと知らされた後に、Intercessory prayerを受けた。Intercessory prayerは、冠動脈バイパス手術の前夜から始まり術後14日後まで続けた。第1の結果は、冠動脈バイパス手術後30日以内になんらかの合併症が起きたかどうか。第2の結果は重大な症状もしは死亡である。

Results
In the 2 groups uncertain about receiving intercessory prayer, complications occurred in 52% (315/604) of patients who received intercessory prayer versus 51% (304/597) of those who did not (relative risk 1.02, 95% CI 0.92-1.15). Complications occurred in 59% (352/601) of patients certain of receiving intercessory prayer compared with the 52% (315/604) of those uncertain of receiving intercessory prayer (relative risk 1.14, 95% CI 1.02-1.28). Major events and 30-day mortality were similar across the 3 groups.

結果:
Intercessory prayerを受けるかどうかわからない2群では、Intercessory prayerを受けた患者の52%(315/604)が合併症を起こしたのに対して、Intercessory prayerを受けなかった患者の51%(304/597)が合併症を起こした。(相対リスク 1.02, 95%信頼区間 0.92〜1.15)[訳注: 統計的に有意ではない]。Intercessory prayerを受けることを知っていた患者の59%(352/601)が合併症を起こした。これを、受けるかどうかわからずにIntercessory prayerを受けた患者の52% (315/604)と比べた。(相対リスク 1.14 95%信頼区間 1.02〜1.28)[訳注: 95%の確度で統計的に有意] 重大な症状および30日間の死亡率は3群でほぼ同じであった。

Conclusions
Intercessory prayer itself had no effect on complication-free recovery from CABG, but certainty of receiving intercessory prayer was associated with a higher incidence of complications.

結論:
Intercessory prayerそのものは冠動脈バイパス手術後の合併症には影響を及ぼさなかった。しかし、Intercessory prayerを受けることを知っていた患者は、合併症の発生率が高かった。

この件は、半年前に取上げたものである。

==>忘却からの帰還:祈りの効果についての報道[2006/04/03]

その後、実験結果の解釈について、新たなネタは発表されていない。


とりとめない..

Intercessory Prayerについて多くの研究が積み重ねられた。しかし、結局は、Intercessory Prayerそのものに効果はないと考えてよいというのが妥当なところ。

しかし、Intercessory Prayerに効果があると信じる者たちには幸いがあるかもしれない。宗教信仰やスピリチュアルな信仰は健康状態に良い方向に影響するからだ。ただし、裏目に出ることもある。

これを知った上でどう考え、何を信じるかは、科学とは別問題。
さて、どうしますか?


References

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Koenig HG: "Religion, Spirituality, and Medicine: Research
Findings and Implications for Clinical Practice", Southern Medical Journal 97,1194-1200, 2004.


Leibovici, L.: "Beyond Science? Effects of remote, retroactive intercessory prayer on outcomes in patients with bloodstream infection: randomised controlled trial", BMJ, 323: 1450-1451, 2001.

Olshansky, B. and Dossey, L.:"History and mystery: Retroactive prayer: a preposterous hypothesis?", BMJ, 327:1465-1468, 2003.

Masters KS, Spielmans GI, and Goodson JT: "Are There Demonstrable Effects of Distant Intercessory Prayer? A Meta-Analytic Review", Annals of Behavioral Medicine, 32(1), 21-26, 2006.[Abstract,PDF]

Matthews, W.J., J. Conti, and T. Christ, "God's HMO: Prayer, Faith, Belief, and Physical Well-Being", Skeptic, 8(2), 64-66, 2000.

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posted by Kumicit at 2006/12/07 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする