2012/11/17

カリフォルニアの電力をめぐってJPMorganに新たな問題が...

カリフォルニアでは、1958年に建設された、Huntington Beach火力発電所 (4機 合計89万kW)の閉鎖が迫っている。このため、2012年8月10日付のReutersの報道によれば、AES Huntington Beach LLCは、まずは運転していない3号機と4号機を解体して場所を確保し、そこに45万kWの発電機新設を計画している。

特に、Edison and San Diego Gas & Electric CoのSan Onofre原発の停止により、電力容量に余裕がなくなっている現在、重要度が増しているわけだが、LA TimesSacrament Beeなどの報道によれば、JPMorganがこの計画を妨害している。
Meanwhile, the ISO moved Thursday to stop Morgan from blocking the upgrade of two Huntington Beach power plants considered key to keeping air conditioners humming next summer in Southern California. Morgan could not be reached for comment.

The operator of California's far-flung power grid filed a petition with federal regulators, accusing Morgan of raising legal obstacles to getting the plants working in time to avoid possible brownouts and rolling blackouts when the temperatures climb.

The shoreline facilities, currently not in use, are needed to help make up for the loss of more than 2,000 megawatts of power caused by the shutdown for safety reasons of both reactors at Southern California Edison's San Onofre Nuclear Generating Station.

Several power plants in Huntington Beach are owned by AES Corp. Two of them currently supply power to Morgan. But it is two other plants there, currently not operating, that the state wants to upgrade.

But the ISO says AES is balking, saying Morgan doesn't want to go along with the upgrade. The state is trying to force Morgan and AES to go ahead.

Grid operators want FERC to rule that JPMorgan's consent is not needed to retrofit the Huntington Beach power plants. The retrofit is essential to maintain sufficiently high voltage in transmission lines to meet peak summertime demand.

"The inability to resolve the consent issue in time to allow construction to commence in early 2013 could leave Southern California exposed to reliance on a widespread load-shedding scheme in the summer of 2013," state officials warned the commission.

カリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)は、木曜日(2012/11/15)に、来夏の南カリフォルニアの冷房需要に応えるためのカギと考えられるHuntington Beach火力発電所の2機の発電機の更改をJPMorganが妨害するのを止める動きに出た。これについてJPMorganにコメントを求めることはできなかった。

CAISOは連邦エネルギー規制委員会(FERC)に対して、JPMorganが、気温上昇時に起きうる電圧降下や輪番停電を回避するために、時機にあわせて稼働するように発電所を整備することの、法的障害となっているとの訴えを出した。

海岸沿いにある現在運転していない2機が、Southern California Edisonの運転停止中のSan Onofre原発200万kW分の穴埋めに必要となっている。Huntington Beach火力発電所の発電機はAES Corpが所有している。うち2機はJPMorganに電力を供給している。しかし、もう2機には現在、運転しておらず、州政府はこれらの発電機の更改を求めている。

しかし、CAISOは「JPMorganが機器更新を求めていないと述べて、AESは躊躇している。州政府はJPMorganとAESに計画を進めるよう求めている」と述べた。

CAISOはFERCに対して、Hunting Beach火力発発電所の発電機更改にJPMorganの同意は不要であるとの決定を出すように求めている。発電機更改は夏のピーク需要に対応して送電線の高圧を維持するのに不可欠である。

2013年の早い時期の建設開始に間に合うように、JPMorganの同意問題を解決できないと、南カリフォルニアは2013年夏に輪番停電のリスクに晒されることになる」とFERCに対して、州政府は警告した。


[Marc Lifsher: "JPMorgan's California energy dealings draw more fire (2012/11/16) on LA times]
JPMorganの意図は不明である。ただ、電力供給不足になると、卸電力価格は暴騰する。電力供給サイドの会社を持つJPMorganは、電力供給力の増強を妨害することで、利益を得られる。もしかすると、相場操縦の意図があるのかもしれない。
posted by Kumicit at 2012/11/17 23:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007/03/03

キリスト教の超越的な神とIntercessory Prayer

"Intercessory Prayer"動向(1,2,3,4,5,6,7)では、あえて神について触れなかった。

祈りの効果がないことは、神の不在を証明しない

「論文に記載された方法で祈ると、確実に病状を緩和してくれる」ような「神」の存在はおおよそ否定されるかもしれない。それ以外の「神」の存否について、Intercessory Prayer実験は何も語れない。たとえば、次のような神々については言及できない:

  • 祈りは確実に聞くが、祈り方が違う神
  • 実験対象にされた場合は、祈りを聞かない神
  • そもそも、祈られても相手にしない神
  • 病状の変更は祈りの対象外な神
  • 他の諸条件との整合性を考慮する神
  • その日の気分で聞いたり、聞かなかったりする神
  • 人間の死亡原因と死亡時刻を予め決定している神


キリスト教の神は「実験対象にされた場合は、祈りを聞かない神」に該当するみたいなので、存在は否定されない:
And he brought him to Jerusalem, and set him on a pinnacle of the temple, and said unto him, If thou be the Son of God, cast thyself down from hence: For it is written, He shall give his angels charge over thee, to keep thee: And in their hands they shall bear thee up, lest at any time thou dash thy foot against a stone. And Jesus answering said unto him, It is said, Thou shalt not tempt the Lord thy God. [KJV: Luke 4:9〜12]

そこで、悪魔はイエスをエルサレムに連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて言った。「神の子なら、ここから飛び降りたらどうだ。 というのは、こう書いてあるからだ。『神はあなたのために天使たちに命じて、/あなたをしっかり守らせる。』 また、/『あなたの足が石に打ち当たることのないように、/天使たちは手であなたを支える。』」イエスは、「『あなたの神である主を試してはならない』と言われている」とお答えになった。[日本聖書協会新共同訳 ルカによる福音書4章9〜12節]

The Pharisees also with the Sadducees came, and tempting desired him that he would shew them a sign from heaven. He answered and said unto them, When it is evening, ye say, It will be fair weather: for the sky is red. And in the morning, It will be foul weather to day: for the sky is red and lowring. O ye hypocrites, ye can discern the face of the sky; but can ye not discern the signs of the times? A wicked and adulterous generation seeketh after a sign; and there shall no sign be given unto it, but the sign of the prophet Jonas. And he left them, and departed. [KJV: Matthew 16:1-4]

ファリサイ派とサドカイ派の人々が来て、イエスを試そうとして、天からのしるしを見せてほしいと願った。イエスはお答えになった。「あなたたちは、夕方には『夕焼けだから、晴れだ』と言い、朝には『朝焼けで雲が低いから、今日は嵐だ』と言う。このように空模様を見分けることは知っているのに、時代のしるしは見ることができないのか。よこしまで神に背いた時代の者たちはしるしを欲しがるが、ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられない。」そして、イエスは彼らを後に残して立ち去られた。[日本聖書協会新共同訳 マタイによる福音書16章1-4節]



祈りの効果があっても神の存在を証明しない

祈りの効果がなくても、「論文に記載された方法で祈ると、確実に病状を緩和してくれる」以外の神様の存在は科学的には否定されない。では、祈りの効果があったら、神の存在を科学的に証明することにはなるだろうか。

もちろん、そんなことはない。せいぜいがとこ「論文に記載された方法で祈ると、確実に病状を緩和してくれる」ような「何かがある」ということが示されるだけ。これまでの"Intercessory Prayer"研究では、神様を含む、いかなるメカニズムも想定していない。だから、何も論文の著者たちは、たとえ祈りの効果があるという結果を得ても、「効果がある」以上のことは結論に書けない。実際、Byrd[1988]もHarris et al[1999]も何も記載がない。

「神様に祈ったのだから、効果があれば、神様の存在証明になる」という主張は成り立たない。というのは、「神様に祈った」という原因によって、「神様が介入する」という結果をもたらすとは示されていないからだ。それどころか、治療効果をもたらしたものが、神様であるかどうかも検証できていない。言えるのは、現在の科学の版図内で説明できないことが起きたというだけしかわからないというだけ。

そこで、「科学で説明できない」だけを根拠とするなら、神様以外にも治療効果をもたらすと主張できるものは幾らでもある。たとえば、Dr. Sheldrakeの"Morphic Field"を持ち出している:
If fields are the medium of mind then what you have in the brain is an interface between one kind of field and another kind of field. All organization in the body has morphic fields underlying it. Morphic fields in the brain interact with electromagnetic (EM) fields in the brain. However, the nature of this interaction is indirect. Rather than morphic fields working directly through the electromagnetic field, they interact through both affecting the same thing-in this case, physical activity within the brain.

場が精神の媒体なら、脳にあるのは、1つの場ともう一つの場の接点である。体のすべての組織には、それらの基礎をなす"Morphic field"がある。脳の"Morphic field"は、脳で電磁場と相互作用する。しかし、この相互作用の声質は間接的である。"Morphic field"は直接に電磁場に働きかけるのではなく、両方が影響を及ぼす一つのものを介して相互作用する。それは脳の物理的活動である。
[Rupert Sheldrake: "Prayer: A Challenge for Science" Noetic Sciences Review, (Summer 1994 ), 30 4-9]
何でも説明できる万能理論たる"Morphic Field"と、何でもできる超越的な神のどっちの効果なのかを科学的に識別することは、まず無理だろう。

他にも、ほとんど超自然なクラウのリナクスも、祈りの効果の説明候補になれる。

従って、たとえ神の名前を挙げて祈って、治療効果があると確認されても、なお、神様の存在を証明できない。



祈りの効果を神の証拠という"古い地球の創造論"者Rich Deem

"古い地球の創造論"サイトGod and Scienceは主宰者Rich Deemによる記事「Evidence for Answered Prayer and the Existence of God」において、"Intercessory Prayer"の効果があったことを神の証拠と主張する:
Obviously, science has demonstrated in three separate studies[Byrd 1988; Harris et al. 1999, Leibovici 2001] the efficacy of Christian prayer in medical studies. There is no "scientific" (non-spiritual) explanation for the cause of the medical effects demonstrated in these studies. The only logical, but not testable, explanation is that God exists and answers the prayers of Christians. No other religion has succeeded in scientifically demonstrating that prayer to their God has any efficacy in healing. In fact, studies that have used intercessors from multiple religious backgrounds have failed to prove the efficacy of prayer.[Krucoff et al. 2005] The Bible declares that Jesus Christ has power over life and death and sickness and is able to heal us, both physically and spiritually. He gave this power to His disciples and those who follow Him.

3つの独立した医療研究において、キリスト教の祈りの効果の有効性を科学的、明らかに示している。これらの研究において、科学的(非精神的)な因果関係の説明はない。唯一つの論理的な説明は、検証不可能であるが、神が存在してキリスト教の祈りに応えたというものだ。他のいかなる宗教も、神への祈りが治療効果を持つことを証明していない。事実、複数の宗教を背景とする"Intercessors"を使った研究では、祈りの効果は見出せていない。聖書によれば、イエスキリストは生と死と病に対する力を持ち、我々を肉体的にも精神的にも癒すことができる。イエスキリストはその力を弟子たちに与えた。

Byrd, R.C. 1988. Positive Therapeutic Effects of Intercessory Prayer in a Coronary Care Unit Population. Southern Medical Journal 81: 826-829.

Harris, W.S., et al. 1999. A Randomized, Controlled Trial of the Effects of Remote, Intercessory Prayer on Outcomes in Patients Admitted to the Coronary Care Unit. Arch Intern Med. 159:2273-2278.

Krucoff, M. W., et al. 2005. Music, imagery, touch, and prayer as adjuncts to interventional cardiac care: the Monitoring and Actualisation of Noetic Trainings (MANTRA) II randomised study. Lancet 366:211-217.

Leibovici, L. 2001. Effects of remote, retroactive intercessory prayer on outcomes in patients with bloodstream infection: randomised controlled trial. British Medical Journal, 323, 1450-1451.



Rich Deemが挙げたByrd[1988]は二重盲検が破れており、Harris et al[1999]もほとんど効果を見出せていない。
==>"Intercessory Prayer"動向(1/7) はじまり、そして二重盲検

数多くの"Intercessory Prayer"研究があるが、ほとんどで祈りの効果は確認されていない。
==>"Intercessory Prayer"動向(2/7) 効果は見出せない by Matthews et al

これらの研究をまとめて分析しても、祈りの効果は確認されない。
==>"Intercessory Prayer"動向(4/7) Mastersたちによるまとめ

そして、残るLeibovici[2001]は、ほとんど冗談なもの。あるいはクリスマス記念記事。
==>"Intercessory Prayer"動向(5/7) あっち側な"時間遡行研究"

なお、祈りの効果がないという結果を得たBenson et al.[2006]について:
Ultimately, the results showed that groups 1 (prayer) and 2 (no prayer) were identical, whereas group 3 (those who knew they were being prayed for) did worse than the other two groups. The lack of efficacy of intercessory prayer in this study could be due to theological problems with the study design.

最終的に、結果はグループ1(祈り)と2(祈りなし)が同じで、グループ3(祈られると知っている)はその他の2つのグループより症状が悪かった。この研究で"Intercessory Prayer"に効果が見られなかったのは、研究デザインに関する神学上の問題によるものかもしれない。

Benson H, et al. 2006. Study of the Therapeutic Effects of Intercessory Prayer (STEP) in cardiac bypass patients: a multicenter randomized trial of uncertainty and certainty of receiving intercessory prayer. Am. Heart J. 151:934-942.
と言い訳をしている。そもそも、祈りの効果を確認できなかった研究結果は多くあるので、これだけに言い訳したところで、意味はない。報道で話題になったので触れただけだろう。

==>祈りの効果についての報道


もし、Intercessory Prayer研究がByrd[1988]とHarris[1999]とLeibovici[2001]とKrucoff[2005]しかなく、Rich Deemの主張どおりに前3つが成功で、Krucoffだけ失敗なら、神の存在を証明するだろうか?

もちろん、科学的には証明しない。Rich Deem自身も書いている通り、神の存在を科学的に検証不可能だ。確認できることは、「キリスト教スタイルで祈ると効果がある」ということだけ。それが、いかなるメカニズムによって起きるのか、あるいは超自然の介入かについては、わからない。科学の取り扱い対象外である超自然だと特定することは、"科学的"には不可能。もちろん、数ある超自然ネタのどれであるか特定できるわけもない。



なお、Dr. Hugh Rossの"古い地球の創造論"サイトReason to Believeも、Ken Hamの"若い地球の創造論"サイトAnswers in Genesisも、はたまたインテリジェントデザイン運動も、神あるいはデザイナーの存在する証拠として、"Intercessory Prayer"を挙げていない。

posted by Kumicit at 2007/03/03 00:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007/01/30

呪術思考の効用があるという話

呪術思考には、Stevens[2001]によれば、フォースとパワーと互いに結合されたコスモスとシンボルと類感呪術と感染呪術がある。たとえば、Dr. Rupert SheldrakeのFormatic Causation/Morphic fieldは"互いに結合されたコスモス"そのものだ。

この呪術思考は経験的事実に基づくという点で宗教とは異なる場合が多い。たとえば「ある手順に従って雨乞いをしたら、雨が降った」という経験的事実に基づいて、「ある手順に従って雨乞いをすれば、雨が降る」と考える呪術思考がある。これは手順を守れば予測される結果が生じると考えるものであり、超越的な神による奇跡とはまったく違う。奇跡が起きるかどうかは奇跡神族の意志次第だが、雨が降るのはいわば"法則"である。

一方、呪術は科学ではない。それは「ある手順に従って雨乞いをしたら、雨が降った」という経験的事実から、呪術がただちに「雨乞いと雨とに因果関係を見出す」のに対して、科学がそうではないからだ。"Intercessory Prayer"をめぐる実験の二重盲検の破れについての論争[ie. 2006/12/7]が繰り広げられるのが科学であり、Dr. Elisabeth Targによるテキサスの狙撃兵を使ってしまった実験結果[ie. 2006/12/6]であっても祈りに効果ありと考えるのが呪術。

このような呪術思考についてのPrincetonの心理学のEmily Pronin助教授らによる研究をNew York Timesが2007年1月23日付のBenedict Careyによる記事「Do You Believe in Magic? -- LUCKY CHARMS Magical powers are ascribed to all manner of objects. 」で報じている。
Psychologists and anthropologists have typically turned to faith healers, tribal cultures or New Age spiritualists to study the underpinnings of belief in superstition or magical powers. Yet they could just as well have examined their own neighbors, lab assistants or even some fellow scientists. New research demonstrates that habits of so-called magical thinking ... are far more common than people acknowledge.

心理学者と人類学者は、一般的に、迷信や呪術への信頼の基礎を研究するために、信仰療法者や部族文化まあるいはニューエイジの降霊術信者を対象としてきた。それでも、彼らは自らの隣人や研究室の助手や同僚の研究者もまた研究対象にできた。新たな研究で、呪術思考と呼ばれる習慣がふつうに知られている以上に、一般的であることが明らかになった。

These habits have little to do with religious faith, which is much more complex because it involves large questions of morality, community and history. But magical thinking underlies a vast, often unseen universe of small rituals that accompany people through every waking hour of a day.

これらの習慣はほとんど宗教信仰とは関係がない。また、これは道徳やコミュニティや歴史の重要な問題を含むので、より複雑である。しかし、呪術思考は、人が目覚めているときはいつでも、小さな儀式の見えざる広大な宇宙の基礎をなしている。

The appetite for such beliefs appears to be rooted in the circuitry of the brain, and for good reason. The sense of having special powers buoys people in threatening situations, and helps soothe everyday fears and ward off mental distress. In excess, it can lead to compulsive or delusional behavior. This emerging portrait of magical thinking helps explain why people who fashion themselves skeptics cling to odd rituals that seem to make no sense, and how apparently harmless superstition may become disabling.

そのようなものを信じたいという欲求は、脳の回路に根ざしていて、適切な理由があると思われる。特別な力があるという感覚は危機的状況にある人々を支え、日々の恐れを沈めて、精神的苦悩を防ぐように働く。度が過ぎれば、衝動的あるいは妄想的な挙動に至る。呪術思考についてのこのような新しい見方は、自らを懐疑的な人々が何故に意味のないと思われる奇妙な儀式にこだわり、明らかに無害な迷信をいかに働かなくさせるかを説明する。
思った以上に呪術思考の広まりは大きい。それは呪術思考が有益に働くからだという。
The brain, moreover, has evolved to make snap judgments about causation, and will leap to conclusions well before logic can be applied.
...
For people who are generally uncertain of their own abilities, or slow to act because of feelings of inadequacy, this kind of thinking can be an antidote, a needed activator, said Daniel M. Wegner, a professor of psychology at Harvard.

さらに、脳は、因果関係について即断するために進化し、論理を適用する前に結論に飛躍する。
...
Harvardの心理学のDaniel M. Wegner教授は、自らの可能性がわからない人や、不適切な感覚によって行動が遅い人には、この種の思考は解毒剤あるいは必要とされる活性剤となると語った。
すなわち、決断しないよりも、間違った決断の方が生存確率が高かったということがあったのかもしれない。

ということで、我々は簡単に呪術思考に絡めとられてしまったりするらしい。PrincetonとHarvardの心理学者たちは:
And they found, similarly, that devoted fans who watched the 2005 Super Bowl felt somewhat responsible for the outcome, whether their team won or lost. Millions in Chicago and Indianapolis are currently trying to channel the winning magic.

そして、同様に、彼らは2005年のスーパーボウルを観戦した熱烈なファンは、応援しているチームの勝ち負けに関わらず、その勝ち負けついて何らかの責任があると感じていることを発見した。シカゴとインディアナポリスの数百万人は、いままさに勝利呪術を届けようとしている。

人類は半世紀にわたりテレビの前で、野球やサッカーの中継を見て応援してきた。応援が届くことは科学的に証明されたことはないが、応援が届くような気になって、テレビに向かって声をあげてきた。あるいはテレビの前で勝利を祈ってきた。

それは呪術思考に他ならない。だから、もし、呪術思考するという能力を失えば、テレビの前で熱狂することはなくなってしまうかもしれない。

タグ:呪術
posted by Kumicit at 2007/01/30 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006/12/11

呪術と祈りと

代替医療の背後にある呪術思考

Stevens[2001]は、今日の"補完"医療あるいは"代替"医療が呪術思考などに基づく考えを含んでいると主張する。そして、呪術として一般的に信じられているもの、フォースとパワーと、つながったコスモスとシンボルと類感呪術と感染呪術を挙げた:
Forces(フォース).
Most peoples seem to believe in forces in nature that are separate from and operate independently of any spiritual beings and are also separate from those forces identified and measured by science, e.g., gravity, electromagnetism, and the strong and weak nuclear forces. The forces are inherently programmed, apparently since the Creation, to do specific things, either alone or in concert with others, and if left alone they will do those things. Farmers recognize them; poets have written about them ("The force that through the green fuse drives the flower"-Dylan Thomas, 1934).

大半の人々が、いかなるスピリチュアルな存在からもはなれて独立に働き、科学によって特定され計測された重力や電磁力や強い相互作用や弱い相互作用などの力とも別の、自然界にあるフォース(力)を信じている。それらのフォースは、単独もしくは他のフォースと連携して、天地創造以来、特定のことをするように本質的にプログラムされている。農民たちはをそれらを知っている。それらについて詩が書かれている("緑の導火線を通って花を駆りたてる力" -- Dylan Thomas, 1934)。

Power(パワー). The forces, and everything else, are energized by a mystical power that exists in varying degrees in all things. The power in higher-order things, spiritual beings, and people of high status, like African and Polynesian kings, may be dangerous to ordinary people. Power is transferable, through physical contact, sensory perception, or mere proximity. The idea is exemplified in the biblical concept of divine "glory," as halos over the heads of saints in medieval art, and in contemporary New Age "auras" and "psi energy." It is belief in supernatural power that defines the concept of "sacred," and that distinguishes holy water.

フォースとあらゆるものは、あらゆる物の中に大きさを変えて存在する神秘的なパワーによってエネルギーを与えられる。高次の存在やスピリチュアルな存在や高次のステータスにある人々にあるパワーは普通の人々にとっては危険かもしれない。直接接触や感覚的認識や接近することで、パワーを移すことができる。この考えの例は、中世絵画の聖人の頭部の後光として示される神の威光という聖書の概念や、現代のニューエイジのオーラやサイエネルギーである。聖なるものを定め、聖水を識別する超自然のパワーへの信仰である。

In some belief systems, "forces" and "power" may seem to merge; e.g., in the concept of "vital force" that exists in so many forms: Polynesian and Melanesian mana, Iroquois orenda, Algonqian manitou, Sioux wakan, Malay kramat, Indian brahma, Greek dynamis, Chinese qi, ashé among the Yoruba of West Africa and its Caribbean derivatives (aché, axé), "karma" and "chakras" in Hindu and Buddhist healing systems, the alleged "energies" in Therapeutic Touch and Reiki, etc.; and ideas of flowing streams of power in Earth, like "leylines" in Britain and Europe and earth energies addressed in the Chinese geomantic system of feng shui.

いくつかの信仰では、フォースとパワーは一体化している。たとえば、様々な形で存在する生命力。ポリネシアとメラネシアのマナ、イロコイ族のオレンダ、アルゴンキン族のマニトウ、スーのワカン、マレー半島のクラマト、インドのブラーマ、ギリシャのデュナミス、中国の気、西アフリカのヨルバのアシェ、インドと仏教の治癒におけるカルマとチャクラ、手かざしや霊気にあると根拠なく主張されるエネルギーなど。あるいは英国や西欧におけるレイラインのような地球を流れるパワーの流れや、中国の風水など。

A coherent, interconnected cosmos(コヒーレントで、すべてがつながった宇宙).
It is widely believed that everything in the cosmos is actually or potentially interconnected, as if by invisible threads, not only spatially but also temporally-past, present, and future. Further, every thing and every event that has happened, is happening, or will happen was pre-programmed into the cosmic system; and after it has happened, it leaves a record of itself in the cosmic program.

宇宙にあるすべてのものが、実際に、あるいは潜在的に見えない糸でつながれたように、相互につながっていて、それは空間的なつながりだけでなく、過去・現在・未来と時間的にもつながっていると広く信じられている。さらに、あらゆる物事、そしてこれまでに起きたこと、今起きていること、そしてこれから起きることが、すべてあらかじめ、宇宙のシステムにプログラムされている。そして起きると、それはそれ自体の記録を宇宙のプログラムに残していく。

Symbols(シンボル).
Symbols are words, thoughts, things, or actions that not only represent other things or actions but can take on the qualities of the things they represent. The American flag is a good example; if the flag is mistreated it is more than the material that is damaged. If the thing the symbol stands for has power, the symbol will become powerful. Some symbols with power appear to be universal, e.g., eggs, horns, and the color red; most are understandable only in their specific cultural contexts.

シンボルは、言葉や思考や物や行動が、別の物や行動を指し示すだけでなく、指し示した物や行動の性質を持っている。たとえば米国星条旗がよい例だ。旗が傷つけられたら、それは旗の素材が受けた以上の被害を受ける。シンボルが指し示す物がパワーと持つなら、シンボルもパワーを持つ。パワーを持つ幾つかのシンボルは民族をとわず存在する。たとえば、卵や角や赤色など。しかし、大半のシンボルは特定の文化のコンテキストでしか理解できない。

Words are extremely powerful, as they embody their own meaning, and speech is usually part of the magic act. It is universally believed that spoken words, activated by the life force and the intent of the speaker and borne on his or her breath, carry the power of their own meaning directly to their intended target. Unspoken thoughts can do the same, although less effectively. Telepathy, telekinesis, and the projection of "psi energy" are thus explained.

言葉は、それが指し示す意味として、非常に強力である。そして詠唱は魔法の一部をなすことが多い。発せられた言葉は、生命力と話者の意図によって起動し、彼または彼女の息に関して生まれ、直接彼ら自身の意味の力を彼らの標的へ運ぶと一般的に信じられている。発せられた言葉ほど強力ではないが、口にされない考えも同じことができる。テレパシー・念力・サイエネルギーの投影がそのように説明される。

Frazer's principles (フレイザーの原理).
Sir James George Frazer, in his monumental work on religion and kingship, The Golden Bough, explained his famous principles of sympathetic magic in most detail in the third edition, 1911-1915. Heir to the eighteenth-century Positivist assumption of "laws" governing nature and society, Frazer said that sympathetic magic was of two types. "Homeopathic" magic works according to the "law of similarity"-things or actions that resemble other things or actions have a causal connection. "Contagious magic" obeys the "law of contact"-things that have been either in physical contact or in spatial or temporal association with other things retain a connection after they are separated. Frazer is rightly credited for his detailed explication of sympathetic magic and his collection of numerous examples from world ethnology. But ideas of causality based in similarity and contact had been expressed by philosophers since Classical times (e.g., Hippocrates), were integral to the medieval and Renaissance Hermetic systems (e.g., Paracelsus), and had been noted, and dismissed as lazy thinking, by Francis Bacon in his Novum Organum, 1608-1620.

ジェームズ・フレイザーは、宗教と王位についての記念碑的著作である金枝篇の第3版(1911-1915)において、類感呪術の有名な基本原理を説明している。自然と社会を支配する法則についての18世紀の実証主義者の仮定を受けて、フレイザーは共感呪術が2つのタイプであると言った。「類感呪術」は、物や行動が良く似ている他の物や行動と因果関係があるという「類似の法則」に従って機能する。「感染呪術」は、物理的な接触があるか、空間的もしくは時間的に他のものといっしょにいたものは、それが分かれてからも関係を残し続けるという「接触の法則」に従う。フレイザーは、共感呪術の彼の詳細な説明と多数の例のコレクションについて、世界民族学から正しく引用している。しかし、類似と接触に基づく因果関係という考えは、ヒポクラテスのような古典の時代から表現され、中世やパラケルススのようなルネサンスのヘルメス主義[wiki:ヘルメス文書]に統合され、注目され、フランシス・ベーコンが自著ノヴム・オルガノン(1608-1620)において、怠惰な考えとして退けられた。



Intercessory Prayerの呪術思考

Stevens[2001]はDr. Elisabeth TargのIntercessory Prayer研究[Sicher et al.1998]が、パワーと自然とのつながり(コスモロジー)とシンボルと類感呪術をベースにしていると評した:
Methods in her 1998 study involved forty American "experienced distant healers" from several different traditions ("Christian, Jewish, Buddhist, Native American, and shamanic;" p. 359), who were given five "subject information packets" containing personal data: subject's first name, a current color photograph, and written notations on blood count and current symptoms. Healers were instructed to open their packets on certain dates and "to work on the assigned subject for approximately one hour per day for six consecutive days with the instruction to 'direct an intention for health and well-being' to the subject" (p. 359). Assuming that Targ's current methods are similar, we can now recognize that her generous government grants support testing of a modern form of ancient and universal image magic, involving at least four classic principles of magical thinking: power, interconnections in nature, symbols, and similarity.

彼女の1998年の研究では、40人の米国のキリスト教とユダヤ教と仏教とネイティブアメリカンとシャーマンという異なる複数の伝統の"熟達した遠隔治療者"を参加させていた。彼らには、患者のファーストネームと現在のカラー写真と血球数の記載と現在の症状の記載のある5人分の情報パケットを渡された。治療者は指定された日にそのパケットを開けて、患者の健康と幸福の意図を指示するように1日約1時間で6日連続で祈るように指示された。Targの現在の方法がこれと同様なら、少なくともパワーと自然とのつながりとシンボルと類感呪術を含む呪術思考の原則を4つ含む、古代の一般的なイメージ呪術の現代版の検証のための研究資金を、政府は支出することになる。
祈りというと一見、神、特にキリスト教の神への祈りな感じがする。しかし、実験の実態からすると呪術だというStevens[2001]の指摘は、まさに言われてみればその通りといったところ。


ついでにホメオパシーの呪術思考

類感呪術のもっとも典型的な例としてStevens[2001]はホメオパシーを挙げる:
A clear example is homeopathy. Fallacies in homeopathic claims have been discussed by many, including Barrett[1987] and Gardner[1989] in this journal; but it is curious that this healing system has not been more widely recognized as based in magical thinking. The fundamental principle of its founder, Samuel Hahnemann (1755-1843), similia similibus curentur ("let likes cure likes"), is an explicit expression of a magical principle. The allegedly active ingredients in homeopathic medications were "proved" effective against a particular disease when they produced in healthy people symptoms similar to those caused by the disease.

わかりやすい例はホメオパシーだ。ホメオパシーの主張の誤りはBarnett[1987]やGardner[1989]など本誌記事を含む多くの人々によって論じられてきた。しかし、興味深いことに、この治療方法は呪術思考を基盤としているとは見なされていない。ホメオパシーの基本原則の樹立者Samuel Hahnemann(1755〜1843)は、"similia similibus curentur"(似たものに似たものを癒させよ)[wiki:Classical homeopathy]という、呪術原則そのものの表現を使っている。ホメオパシー薬の成分が病気に起因する症状と類似した症状を健康な人々にもたらすなら、そのホメオパシー薬の成分はその病気に有効だと"証明される"。

Barrett S: "Homeopathy: Is it medicine?", Skeptical Inquirer, 12(1), 56-62, 1987.
Gardner M: "Water with memory? The dilution affair", Skeptical Inquirer 13(2), 132-141, 1989.
まさに、類感呪術(Homeopathic magic)である。

ホメオパシーの希釈倍率はアボガドロ数をはるかに超えているので、実際にはホメオパシー薬はただの水。この指摘に対して、信奉者たちは成分の記憶を残しているのだと主張しているので、感染呪術でもある。


ちなみに英語版WIKIでは

英語版WikiにはMagical thinking(呪術思考)の項目があり、特に論争状態にはなく:
In psychology, magical thinking is non-scientific causal reasoning. Like science, magic is concerned with causal relations; but unlike science, magic often attributes correlation to causation. For example, someone who wins a bowling competition while wearing a certain shirt might conclude that it is a "lucky shirt"; this is an example of magical thinking.

心理学において、呪術思考とは非科学的因果論理である。科学のように呪術は因果関係にかかわっている。しかし、科学と違って呪術は、関係性を因果律にしてしまう。たとえば、あるシャツを着てボーリング大会で優勝すると、これはラッキーシャツだと結論するかもしれない。これが呪術思考の例である。

Such scholars as James George Frazer and Bronislaw K. Malinowski have emphasized that magic is more like science than like religion, and that societies with magical beliefs have often had separate religious beliefs and practices.

ジェームズ・フレイザーやマリノフスキーのような学者は、呪術は宗教よりも科学に近く、呪術信仰のある社会では、宗教信仰と実践とが分離されていると強調する。
とある。

また、SkepDicにもStevens[2001]を引用するかたちで、Skepdic:magical thinkingという項目がある。

タグ:呪術
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2006/12/07

"Intercessory Prayer"動向(7/7) まとめ、あるいは、とりとめない

ある人が別の人の健康のための祈れば、その別の人の健康に影響を及ぼすというIntercessory Prayerについて、Hines[2003]の簡潔なまとめや、最新の研究をたどって、6回にわたって見てきた。まとめると...

  • (1) はじまり、そして二重盲検

    ランドマーク的な研究とされるByrd[1988]が、実際には患者の症状改善を評価する時点で、介入群・対照群のどちらにいたかが見えてしまって、二重盲検が破れていた。破れないようにデザインしたHarris et al.[1999]では、わずかしか有意差が見られなくなった。しかも、複数のテストのうち1個だけ有意差があったので、祈りに効果があると主張していた。二重盲検の実現や結果の解釈がいかにむつかしいかが示された例である。

  • (2) 効果は見出せない by Matthews et al

    Matthews et al.[2000]は過去の研究をレビューして、祈りの効果が見出せていないとまとめた。そして自分たちでも実験し、祈りの効果がないことを確認した[Conti, 2003]。


  • (3) 詐欺師登場

    韓国Chaグループ総帥Dr.ChaとColumbia UniversityのLobo教授とWirthによる人工授精に対する祈りの効果が絶大という研究[Cha et al 2001]が、Wirthが詐欺常習犯であることが発覚して地に堕ちた。超常現象屋であることがわかっているWirthに、祈るボランティアの確保をゆだねるという愚行は、Intercessory Prayer研究そのものの信頼を損ねる結果に終わった。


  • (4) Mastersたちのよるまとめ[Masters et al. 2006]

    14の研究をメタアナリシスでまとめた結果、詐欺なCha et al.[2001]を除けば、Intercessory Prayerに有意な効果は見られなかった。


  • (5) "あっち側な"時間遡行研究

    過去に向かって祈ると時間遡行な効果があると主張するLeibovici[2001]。これを支持するOlshansky and Dossey[2003]の挙げた論拠はサイキックな怪しいネタ。


  • (6) Dr. Elisabeth Targ

    作為的なデータ操作で祈りの効果があったという結果をひねり出して、公的機関から研究助成金200万ドルを得たDr. Elisabeth Targ

以上からすると、Intercessory Prayerに治療効果があるという主張は証明されそうにない。とすれば、Intercessory Prayerを医療の補助として使うという研究は無価値であり、これ以上やるべきではない....と言い切るべきだろうか?


宗教あるいは呪術の効果

Intercessory Prayerそのものに効果がないとしても、それは、信仰心篤き患者に「Intercessory Prayerが受けられる」と告げることに効果がないことを意味するわけではない。プラシーボとしての効用は否定されない。

Leibovici[2001]を一喝したBishop and Stenger[2004]は、健康と宗教やスピリチュアル信仰の関連について、Koenig[2004]やGeorge et al.[2004]やMueller et al.[2001]などを挙げて、まともな研究があると例示している。

特にMueller et al.[2001]は:
Relevant articles were identified by conducting a MEDLINE search (1970-2000) and by using the following search terms: religion, religiosity, and spirituality each alone and each with epidemiology, mortality, cardiovascular disease, cancer, depression, anxiety, substance abuse, suicide, coping, and quality of life. The reference lists of identified articles were also reviewed for additional relevant studies, articles, textbooks, annotated bibliographies, and other sources.

関連する文献は1970〜2000年についてMEDLINEで検索して特定した。キーワードは"religion"と"religiosity"と"spirituality"で、それぞれ単独および、"epidemiology"(免疫)や"mortality"(死亡率)や"cardiovascular disease"(心血管疾患)や"cancer"癌や"depression"(鬱)や"anxiety"(不安)や"substance abuse"(薬物濫用)や"suicide"(自殺)や"coping"や"quiality of life"と組み合わせ。特定した文献の参考文献も、関連する文献に含めた。
と大量の関連文献を調べた上で(参考文献数148):
Most studies have shown that religious involvement and spirituality are associated with better health outcomes, including greater longevity, coping skills, and health-related quality of life (even during terminal illness) and less anxiety, depression, and suicide. Several studies have shown that addressing the spiritual needs of the patient may enhance recovery from illness.
大部分の研究は、宗教信仰やスピリチュアル信仰が良好な健康と関係していることを示した。それには、寿命や、不安や鬱や自殺や対象能力や、終末医療でのクオリティ・オブ・ライフなどを含む。幾つかの研究では、スピリチュアルなものの必要性を述べることで、病気からの回復が強化されるかもしれないと示している。


祈りに関しては次のような記載がある。ただし、intecessoryではなく自分の祈り:
A recent study[Koenig 1998] examined the relationship between religious activities and blood pressure in a sample of 3963 community-dwelling adults (age, ≥65 years) using data from 3 time periods. Adjusted for age, ethnicity, sex, education, functional status, body mass index, and previous blood pressure, frequent (≥once a week) attenders of religious services had consistently lower systolic and diastolic blood pressures compared with infrequent attenders.

Furthermore, frequent attenders who engaged in private religious activities (eg, prayer) were 40% less likely to have diastolic hypertension (>90 mm Hg) compared with infrequent attenders or those who did not engage in private religious activities (OR, 0.60 [95% CI, 0.48-0.75]). Religiously involved persons were also more likely to be compliant with their medicines. However, this difference did not account for the observed differences in blood pressures.

最近の研究{Koenig 1998]は、3つの期間のデータを使って、3963人のコミュニティに居住する65歳以上の成人について、宗教活動と血圧の関係を調べた。年齢や民族や性別や教育や機能状態やBody-Mass-Indexや過去の血圧を補正して、宗教儀式への頻繁(週1回以上)に参加する人々は、そうでない人々よりも、一貫して、収縮血圧および拡張血圧が低かった。

個人的な宗教活動(例えば祈り)をしている人々は、あまり宗教活動をしない人々に比べて、拡張期高血圧(>90mmHz)の人々が40%少なかった。(OR 0.60 90%信頼区間 0.48-0.75)。宗教信仰のある人々は、薬物を素直に服用したがらなかった。しかし、これは血圧の差違を説明するものではない。


逆効果だったかもしれないBenson et al.[2006]

Koenig[1998]を見れば、信仰心篤き人々に「Intercessorたちに祈ってもらえる」と告げれば(その言葉に偽りなきように、実際にボランティアを手配すれば)、自然治癒力を高めて、病状を改善する可能性がありそうに思える。

しかし、Benson et al.[2006]は図らずも、それが常に成立するわけではないと示した。彼らの研究では、「必ず祈ってもらえる」と告げられた患者群と「祈ってもらえるかもしれず、そうでないかもしれず」と告げられた患者群の間に、有意な差があった。ただし、「必ず祈ってもらえる」と告げられた患者群の方が、合併症の率が高かったのだ。

Background
Intercessory prayer is widely believed to influence recovery from illness, but claims of benefits are not supported by well-controlled clinical trials. Prior studies have not addressed whether prayer itself or knowledge/certainty that prayer is being provided may influence outcome. We evaluated whether (1) receiving intercessory prayer or (2) being certain of receiving intercessory prayer was associated with uncomplicated recovery after coronary artery bypass graft (CABG) surgery.

背景:
Intercessory prayerは病気からの回復に影響すると広く信じられているが、そのご利益の主張は制御された臨床試験では支持されていない。従来の研究においては、祈りそのもの、もしくは祈られることを知っているかどうかが影響するか対象としていなかった。我々は(1) Intercessory prayerを受けたか (2) Intercessory prayerを受けることを確かに知っているかが、心臓の冠動脈バイパス手術(CABG)の術後に合併症を伴うかどうかを調べた。

Methods
Patients at 6 US hospitals were randomly assigned to 1 of 3 groups: 604 received intercessory prayer after being informed that they may or may not receive prayer; 597 did not receive intercessory prayer also after being informed that they may or may not receive prayer; and 601 received intercessory prayer after being informed they would receive prayer. Intercessory prayer was provided for 14 days, starting the night before CABG. The primary outcome was presence of any complication within 30 days of CABG. Secondary outcomes were any major event and mortality.

方法:
米国の6つの病院の患者をランダムに3つに振り分けた。604名は、「Intercessory prayerを受けるかもしれず、そうでないかもしれず」と知らされた後に仲裁の祈りを受けた。597名は同様に知らされた後にIntercessory prayerを受けなかった。601名は「Intercessory prayerを受ける」こと知らされた後に、Intercessory prayerを受けた。Intercessory prayerは、冠動脈バイパス手術の前夜から始まり術後14日後まで続けた。第1の結果は、冠動脈バイパス手術後30日以内になんらかの合併症が起きたかどうか。第2の結果は重大な症状もしは死亡である。

Results
In the 2 groups uncertain about receiving intercessory prayer, complications occurred in 52% (315/604) of patients who received intercessory prayer versus 51% (304/597) of those who did not (relative risk 1.02, 95% CI 0.92-1.15). Complications occurred in 59% (352/601) of patients certain of receiving intercessory prayer compared with the 52% (315/604) of those uncertain of receiving intercessory prayer (relative risk 1.14, 95% CI 1.02-1.28). Major events and 30-day mortality were similar across the 3 groups.

結果:
Intercessory prayerを受けるかどうかわからない2群では、Intercessory prayerを受けた患者の52%(315/604)が合併症を起こしたのに対して、Intercessory prayerを受けなかった患者の51%(304/597)が合併症を起こした。(相対リスク 1.02, 95%信頼区間 0.92〜1.15)[訳注: 統計的に有意ではない]。Intercessory prayerを受けることを知っていた患者の59%(352/601)が合併症を起こした。これを、受けるかどうかわからずにIntercessory prayerを受けた患者の52% (315/604)と比べた。(相対リスク 1.14 95%信頼区間 1.02〜1.28)[訳注: 95%の確度で統計的に有意] 重大な症状および30日間の死亡率は3群でほぼ同じであった。

Conclusions
Intercessory prayer itself had no effect on complication-free recovery from CABG, but certainty of receiving intercessory prayer was associated with a higher incidence of complications.

結論:
Intercessory prayerそのものは冠動脈バイパス手術後の合併症には影響を及ぼさなかった。しかし、Intercessory prayerを受けることを知っていた患者は、合併症の発生率が高かった。

この件は、半年前に取上げたものである。

==>忘却からの帰還:祈りの効果についての報道[2006/04/03]

その後、実験結果の解釈について、新たなネタは発表されていない。


とりとめない..

Intercessory Prayerについて多くの研究が積み重ねられた。しかし、結局は、Intercessory Prayerそのものに効果はないと考えてよいというのが妥当なところ。

しかし、Intercessory Prayerに効果があると信じる者たちには幸いがあるかもしれない。宗教信仰やスピリチュアルな信仰は健康状態に良い方向に影響するからだ。ただし、裏目に出ることもある。

これを知った上でどう考え、何を信じるかは、科学とは別問題。
さて、どうしますか?


References

Benson H, Dusek JA, Sherwood JB, Lam P, Bethea CF, Carpenter W, Levitsky S, Hill PC, Clem DW Jr., Jain MK, Drumel D, Kopecky SL, Mueller PS, Marekk D, Rollins S, and Hibberd PL: "Study of the Therapeutic Effects of Intercessory Prayer (STEP) in cardiac bypass patients: A multicenter randomized trial of uncertainty and certainty of receiving intercessory prayer", American Heart J., 151, 943, 2006. [Abstract]

Byrd, R.C.: "Positive Therapeutic Effects of Intercessory Prayer in a Coronary Care Unit Population", Southern Medical Journal, 81, 826-29, 1988.[コピー]

Cha KY, Wirth DP, and Lobo RA: "Does Prayer Influence the Success of In Vitro Fertilization-Embryo Transfer?", Journal of Reproductive Medicine, 46, 781-87, 2001

Conti JM, Matthews WJ and Sirec SG: "Intercessory Prayer, Visualization, and Expectancy for Patients with Severe Illnesses", annals, winter 20-27, 2003.

George LK, Ellison CG, Larson DB: "Explaining the relationships between religious involvement and health." Psychol Inq 13: 190-200, 2002.[ISI]

Harris WS, Gowda M, Kolb JW: "A Randomized, Controlled Trial of the Effects of Remote , Intercessory Prayer on Outcomes in Patients Admitted to the Coronary Care Unit", Archives of Internal Medicine, 159, 2273-78, 1999. [コピー]

Hines T:"Pseudoscience and the Paranormal" 2nd edition, pp.378-381, 2003.

Koenig HG, George LK, Hays JC, Larson DB, Cohen HJ, Blazer DG: "The relationship between religious activities and blood pressure
in older adults", Int J Psychiatry Med. 28:189-213, 1998.

Koenig HG: "Religion, Spirituality, and Medicine: Research
Findings and Implications for Clinical Practice", Southern Medical Journal 97,1194-1200, 2004.


Leibovici, L.: "Beyond Science? Effects of remote, retroactive intercessory prayer on outcomes in patients with bloodstream infection: randomised controlled trial", BMJ, 323: 1450-1451, 2001.

Olshansky, B. and Dossey, L.:"History and mystery: Retroactive prayer: a preposterous hypothesis?", BMJ, 327:1465-1468, 2003.

Masters KS, Spielmans GI, and Goodson JT: "Are There Demonstrable Effects of Distant Intercessory Prayer? A Meta-Analytic Review", Annals of Behavioral Medicine, 32(1), 21-26, 2006.[Abstract,PDF]

Matthews, W.J., J. Conti, and T. Christ, "God's HMO: Prayer, Faith, Belief, and Physical Well-Being", Skeptic, 8(2), 64-66, 2000.

Mueller PS, Plevak DJ, Rummans TA: "Religious involvement, spirituality, and medicine: implications for clinical practice" Mayo Clin Proc 76: 1225-35, 2001 [PubMed,Full Text PDF]

Sicher F, Targ E, Moore D 2nd, Smith HS: "A randomized double-blind study of the effect of distant healing in a population with advanced AIDS. Report of a small scale study", West J Med., 169(6): 356–363, 1998. [PubMed, PDF]

Bishop JP and Stenger VJ: "Retroactive prayer: lots of history, not much mystery, and no science", BMJ, 329:1444-1446, 2004.


タグ:祈り
posted by Kumicit at 2006/12/07 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006/12/06

"Intercessory Prayer"動向(6/7) -- Dr. Elisabeth Targ

Intercessory Prayerは脳腫瘍の治療に有効だと主張した精神科医Dr. Elisabeth Targ[][California Pacific Medical Center勤務]は、2002年7月18日午後11時11分、Portola Valleyで、41歳の誕生日の17日前に、脳腫瘍で亡くなった。脳腫瘍と診断された111日後のことだった[Bronson 2002]。

Bronson[2002]によれば、Dr. Elisabeth Targは自らが42歳で死ぬことになると確信していた:
She also put a lot of stock in her own intuition and dreams. All through her life, she had a recurring dream in which a birthday cake with 42 candles appeared (once, it was 42 birthday cakes). Targ became convinced this was a sign that she would die. At 42. Next year. 2003.

彼女は自らの直感と夢を信じていた。人生を通じて、彼女は繰り返し42本のローソクが立てられたバースデーケーキの夢を繰り返し見た。一度は、まさに42歳のバースデーケーキの夢だった。彼女はやがて、自らが42歳、翌年2003年に死ぬのだという徴だと確信するようになった。



Dr. Elisabeth Targの超自然に対するポジション

Dr. Elisabeth Targの父親Dr. Russell Targは物理学者であるとともに、超常現象屋[eg. R.Targ 1994,1999]でもあり、1970年代から1980年代にかけてof Uri Gellerの超能力研究に手を出していたこともある。Dr. Elisabeth Targも子供の頃から父親の超能力実験の対象となっていた[Russel and Harary 1984]。Gardner[2001]によれば:
Elisabeth first participated in psi experiments when she was a teenager. On page ninety-six of The Mind Race (1984), a book by Russell Targ and his former psychic friend Keith Harary, Elisabeth is identified as a medical student at Stanford, and an "experienced psi-experimenter and remote viewer." In 1970 she took part in a series of what the authors call successful experiments with a psi-teaching machine. She is said to have recently obtained degrees in biology and Russian.

Elisabethが最初の超能力実験を受けたのはティーエイジャーの頃だった。Russell Targとかつての超能力関連のお友達であるKeith Hararyとの本[Russel and Harary, 1984]の96ページに、ElisabethがStanfordの医学部学生であって、「熟達した超能力実験者であり、遠隔視能力者である」と記載されている。Elisabethは1970年には超能力ティーチングマシンによる、彼らによれば成功だった実験に参加した。Elisabethは細菌生物学とロシア語の学位を取得したと言われている。

そして、1980年9月に11月の大統領選挙でReaganがCarterに勝つと予測した。その方法はGardnerによれば:
Ms. Targ's friend Janice Boughton selected four objects to represent the four possible outcomes of the election: Carter wins, Reagan wins, Anderson wins, or none of the above. Each object, its identity unknown to Elisabeth, was put in a small wooden box. Boughton then asked Ms. Targ, "What object will I hand to you at twelve o'clock on election night?"

Elisabeth then predicted the election's outcome by remote-viewing the object she would be given. Her description of the object was white, hollow, conical, with a string attached to the cone's apex. The object that correlated with Reagan's victory was a conical shaped whistle with a string attached to one end.

Of course six weeks later Ms. Targ had to be handed the box with the whistle. Otherwise, as the book's authors put it, the initial question would have been meaningless.

Elisabeth Targの友人であるJanice Boughtonが、4つの選挙結果(Carter勝利, Reagan勝利, Anderson勝利, それ以外)に対応付けた4つの物を選んだ。どの選挙結果と物が対応付けられているかはElisabeth Targには知らされない。それら4つの物は小さな木箱に入れられた。BoughtonはElisabeth Targに「私が選挙の夜の12時に何を君に渡すだろうか?」と問うた。

Elisabeth Targは、何を受け取るかという未来を透視して、選挙結果を予測した。Elisabeth Targの予測は白い空洞な円錐で、その頂点に紐がついているものだった。その物はReaganの勝利と対応付けられたもので、紐を端につけた円錐形のホイッスルだった。

もちろん6週間後に、Elisabeth Targはホイッスルの入った箱を手渡されなければならない。でないとElisabeth Targにした質問が無意味になってしまう。
なんとなく、Magician's Selectな感じのする実験だが、とにもかくにも、超能力実験をしていたことは事実のようだ。

ただし、Dr. Elisabeth Targの主張は抑制されたもので、メカニズムについての仮説やアイデアを語ることはなかった[Bronson 2002]:
Targ refused to speculate. Her position: Use the scientific method to find out if an effect exists before trying to analyze how it works. For years, no one knew how morphine or aspirin worked - just that they were effective. The understanding came later.

Dr. Elisabeth Targは推測を拒否した。彼女のポジションは、効果が存在するなら、それがどう働くかを分析する前に、科学的方法でその効果を見つけること。長年にわたり、モルヒネやアスピリンが何故効くのかわからなかったが、それらは効いた。わかったのは後年のことだった。

She presented her data dozens of times at conferences but never offered a hypothesis. She enjoyed its mystique, its unknowable nature. Even in private, she almost never let herself be drawn into these discussions. Her coauthor on the study, Fred Sicher, a psychologist, is an enthusiastic believer in the prayer effect, and he would get into long arguments with their biostatistician, Dan Moore, who took the role of skeptic. Targ never joined in. Her boyfriend, Mark Comings, was a theoretical physicist. He felt that an eight-dimensional universe could explain how a healer in Santa Fe could influence a patient in San Francisco: In our ordinary three-dimensional world, healer and patient appear far apart, but in one of the as-yet-unmeasurable extra dimensions, they'd be in the same place. Targ would shake him off - speculation wasn't for her. She had patients to care for.

学会で何十回とDr. Elisabeth Targはデータを提示したが、仮説を提示することはなかった。彼女は知ることのできない自然という神秘性を楽しんでいた。個人的にも、彼女はほとんどそのような議論をしなかった。共著者である心理学はFred Sicherは祈りの効果の熱心な信奉者であり、懐疑論の役割をとる生物統計学者Dan Mooreと長きに渡って議論してきた。しかし、Dr. Elisabeth Targはその議論に参加したことはなかった。彼女のボーイフレンドMark Comingsは理論物理学者だった。彼は8次元宇宙がSanta Feの治療者(ヒーラー)が、San Franciscoの患者にいかに影響を与えるかを説明できるかもしれないと感じていた。我々は通常の3次元世界では治療者と患者は離れているが、測定不可能な別の次元では同じ地点にいるかもしれない。しかし、Dr. Elisabeth Targは、憶測は彼女の仕事ではないと言って、彼の論を退けた。彼女には治療すべき患者がいた。




テキサスの狙撃兵への道

特に疫学研究で起きる誤りに"テキサスの狙撃兵"がある:
テキサスの狙撃兵の誤り(Texas-sharpshooter fallacy)

テキサスの狙撃兵の誤りとは、疫学の研究者がクラスターの錯覚に与えている名前である。政治家や法律家や科学者のある者は、状況の中から病気の集団を取り出して、環境要因と病気の間に、あるはずもない因果関係をつくり出してしまう。統計的に有意なことがら(すなわち偶然では起こり得ないことがら)は、現実には確率の法則にしたがって、ある一定割合で生じるものなのだ...

クラスターの錯覚 (the clustering illusion)
クラスターの錯覚とは、ランダムに起こるべきある出来事がまとまって起 こったとき、それをランダムでないと錯覚してしまうことを指す。たとえば、 コイン投げで表が続けて4回出たら、多くの人は驚くだろう。しかし、20回連続してコインを投げた場合、表が続けて4回出る確率は50%もあるのだ...

参考: Gawande[1999]



Dr. Elisabeth Targと共同研究者たちは、この"テキサスの狙撃兵"を使って、論文[Sicher et al.1998]を書いてしまった。そのIntroductionには次のような記述がある:
For these reasons, and without having conducted any previous DH studies at all, we chose to evaluate DH in a population of advanced AIDS patients with 6-month follow- up. Our initial study was a double-blind pilot study of 10 treated and 10 control subjects conducted during July 1995 through January 1996. The pilot study suggested both medical and psychological benefits of distant healing. Four of the 10 control group subjects died, with no deaths occurring in the treatment group, but the result was confounded by age (those who died were older).

As a result, in the second larger study (reported here in full) a pairmatched design was used to control for factors shown to be associated with poorer prognosis in AIDS[Saah 1994], specifically age, T cell count, and illness history. Additionally, an important intervening medical factor changed the endpoint in the study design. The pilot study was conducted before the introduction of "triple-drug therapy" (simultaneous use of a protease inhibitor and at least two antiretroviral drugs), which has been shown to have a significant effect on mortality[Hammer et al.1997]. For the replication study (July 1996 through January 1997, shortly after widespread introduction of triple-drug therapy in San Francisco), differences in mortality were not expected and different endpoints were used in the study design. Based on results from the pilot study, we hypothesized that the DH treatment would be associated with 1) improved disease progression (fewer and less severe AIDS-defining diseases [ADDs] and improved CD4+ level), 2) decreased medical utilization, and 3) improved psychological well-being. The results of this replication study are reported below.

これらの理由から、DH(Distant Healing=遠隔治療)の研究がこれまでなされていなかったので、我々は症状の進行したAIDS患者グループを使って、DHの評価および6ヶ月の追跡調査を行うことにした。我々の最初の研究は、10人の介入群と10人と対照群による1995年7月から1996年1月の期間に実施した二重盲検法による予備的研究だった。この予備的研究で、遠隔治療の医学的および心理的な有効性を示唆した。対照群10人のうち4人が死亡したのに対して、介入群には死者は出なかった。しかし、結果は年齢によって混乱してしまった(死亡した人々の年齢が高かった)。

結果として、本論文で報告する第2次の規模の大きい研究において、特に年齢やT細胞数や病気の履歴などの、病気の経過に悪影響を及ぼすと示されている要因[Saah 1994]をコントロールするために、ペアマッチデザインを使用した。さらに、重要な介入医学要因により、研究のエンドポイントを変更した。予備的研究は、死亡率に著しい効果があることが示されている"3薬併用療法"(プロテアーゼ阻害剤と少なくとも2つの抗レトロウイルス薬の同時使用)[Hammer et al.1997]の導入前に実施された。再現研究(San Franciscoにおいて3薬併用療法の導入直後の1996年7月から1997年1月)においては、死亡率の違いは期待できないので、研究デザインにおいて異なるエンドポイントを使った。予備的研究に基づいて、我々はDHが 1) AIDS定義症状[ADDs]とCD4+レベルの改善, 2) 医療利用の減少, 3) 心理的な健康の改善 について関係があると仮説を立てた。この再現研究の結果を以下で報告する。

1995/7〜1996/1の研究で介入群0/10 vs 対照群4/10という有意な死亡率差を得たものの、患者グループに差違があり、高齢者の死亡率が高かっただけと言われて、再挑戦しようというところまではまとも。しかし、ここで重要な点は"3薬併用療法"の導入により、死亡率比較ではなく、病状の改善に変更したこと。1996/7〜1997/1の期間の研究デザイン変更の根拠がHammer et al.[1997]というのが奇妙な点[Bronson 2002]。

論文は研究結果が出てから書くものであり、Method, Result, Discussion, Conclusionと書いてから、Introductionを書くのが、わりと普通な手順。Introductionに研究開始より後の文献が登場するのも別に変ではない。ただ、ここで問題なのは、研究デザインをしたのが1996/6以前なのに、1997年の文献を参照していること。これは"テキサスの狙撃兵"を使ったために起きている。


Bronson[2000]の取材によれば:
Her famous study was not, as its reputation suggests, designed to measure the number of AIDS-related illnesses. Targ and Fred Sicher had targeted their study to measure mortality but were caught off-guard by triple-drug anti-retroviral therapy, which became common practice one month into the six-month trial. When biostatistician Dan Moore broke the randomization code to unblind the data, it told them nothing - since only one patient had died, the data was meaningless.

再現実験としての彼女の有名な研究は、AIDS関連病気の数を計測するようにデザインされたと示唆している。TargとFred Sicherは死亡率を測定することをターゲットしていたが、6ヶ月間の研究期間の最後の1ヶ月に普及した"3薬併用療法"にひっかかってしまった。生物統計学者Dan Mooreが乱数コードを破ってアンブラインドしたとき、それは何も語らなかった。たった一人の患者しか死んでおらず、データは無意味だった。
...

I learned all this from Dan Moore and confirmed it with Mark Comings. Moore seemed unaware how explosive his version of the story was. "I was always troubled over the sifting it took for the data to hold together," he said. "I think Fred and Elisabeth missed the real story, which was the difference between medical science and alternative medicine. Triple-drug therapy was literally saving lives. We were only looking at secondary things."

これについてDan Mooreより聞いて、Mark Comingsに確認した。Mooreは彼のストーリーが破壊的な結果をもたらすと気づいていないようだった。彼は言った「私はデータが結合するのに要したふるいわけについて、いつも困っていました。私はFredとElisabethが本当のストーリーである医学と代替医療の違いを取り逃がしたと思っています。"3薬併用療法"は文字通り人の生命を救いました。我々は二義的なものを見ていただけでした。


Dr. Elisabeth TargとFred SicherとDan Mooreは、HIV身体症状とquality of lifeに有意な結果を見出せなかった。ストレスは裏目に出た。そして、CD4+でも有意差なし。入院期間と医師の診察回数に、介入群(Intercessory prayerを受けたグループ)が良好であるという有意な結果を見出した。ただ、入院期間は健康保険の有無に左右され、保険がある患者の方が入院期間が長い傾向があるため、入院期間は対象外とした。そして、介入群と対照群を、23のエイズ関連症状について比較することにした[Bronson 2002]:
There was only one problem. They hadn't collected this data.
They gathered the medical charts and gave them to their assistant to black out the names of the patients. This done, Targ and Sicher began poring over the charts again, noting the data they hadn't previously collected.
This isn't what science means by double-blind. The data may all be legitimate, but it's not good form. Statisticians call this the sharpshooter's fallacy


ひとつ問題があった。彼らはそのようなデータを集めていなかったのだ。
彼らは医療カルテを集めて、アシスタントに患者名を黒く塗りつぶさせた。これが終わると、TargとSicherは再び、特に前回に集めていなかったデータに注目して、カルテを詳細に調べ始めた。
これは科学的に、二重盲検法の意味するものではない。データはまっとうなものかもしれない。しかし、正しい形式のものではない。統計学者これをテキサスの狙撃兵の誤りと呼ぶ。
結果検証のためにアンブラインドしたデータを、リブラインドして調べなおし、そしてまたアンブラインドしたことになる。もはや二重盲検は破れている。

そうやって、"テキサスの狙撃兵"を使って書かれたSicher et al.[1998]のAbstractには:
We report on a double-blind randomized trial of DH in 40 patients with advanced AIDS. Subjects were pair-matched for age, CD4+ count, and number of AIDS-defining illnesses and randomly selected to either 10 weeks of DH treatment or a control group. DH treatment was performed by self-identified healers representing many different healing and spiritual traditions. Healers were located throughout the United States during the study, and subjects and healers never met. Subjects were assessed by psychometric testing and blood draw at enrollment and followed for 6 months. At 6 months, a blind medical chart review found that treatment subjects acquired significantly fewer new AIDS-defining illnesses (0.1 versus 0.6 per patient, P = 0.04), had lower illness severity (severity score 0.8 versus 2.65, P = 0.03), and required significantly fewer doctor visits (9.2 versus 13.0, P = 0.01), fewer hospitalizations (0.15 versus 0.6, P = 0.04), and fewer days of hospitalization (0.5 versus 3.4, P = 0.04). Treated subjects also showed significantly improved mood compared with controls (Profile of Mood States score -26 versus 14, P = 0.02). There were no significant differences in CD4+ counts. These data support the possibility of a DH effect in AIDS and suggest the value of further research.
AIDSに対する遠隔治療の効果の可能性を支持するデータが得られたので、更なる研究の価値があると書かれていた。

そして、この結果を基に、Dr. Elisabeth Targは公的研究資金を手にすることになる。

200万ドルの研究資金を得たDr. Elisabeth Targ

Martin Gardner[2001]によれば、Dr. Elisabeth Targは国防省やNIHなどから200万ドルの公的資金を得ている:
Ms. Targ has received $800,000 from the Department of Defense to head a four-year study of the effects of alternative healings on patients with breast cancer. The complementary healings include yoga, guided imagery, movement and art therapy, and others. "We are getting told that we can't study this," she said, "but the beauty of the scientific method is that we can. We can determine if it works-and if so, for whom and how."

Ms. Targは乳癌患者の代替治療の影響を4ヵ年の研究に80万ドルを国防省から受けとった。補完治療にはヨガやイメージ誘導法や芸術療法などを含む。「私たちははこれを研究できないと言われてきましたが、科学的方法の美は可能です。私たちはこれが働くのか、もし働くなら、誰に対してどのように働くのか定められます」とTargは言った。
...
The NIH, through its National Center for Complementary and Alternative Medicine (NCCAM), has provided funding for Ms. Targ to conduct a three-year study of distant healing on 150 HIV patients. The funding for the first year alone is $243,228, with a starting date of July 1, 2000. The NCCAM has also funded a four-year project to study the effect of distant healing on persons with a brain tumor called glioblastoma. The starting date was September 18, 2000, with a first-year grant of $202,596. Both studies, Ms. Targ said, will be double blind. It looks as though Ms. Targ, over the next few years, will be receiving more than two million dollars of government funds for her research on remote healing, the cash coming from our taxes.

NIHは全米補完代替治療センター(NCCAM)を経由して、150人のHIV患者に対する遠隔治療の3ヵ年の研究を実行するためにMs. Targに資金提供した。2000年7月1日の開始にあったって、1年目だけで資金は243,228ドルだった。NCCAMは神経膠芽腫と呼ばれる脳腫瘍に対する遠隔治療の4ヵ年の研究にも資金提供していた。これは2000年8月18日開始であり、初年度だけで202,596ドルだった。両研究ともMs. Targによれば二重盲検になる。ここ数年で、200万ドル以上の公的資金がMs. Targの遠隔治療の研究が投入され、そのお金はもともとは我々の税金である。


200万ドルが高いかと言えば、4年間について、5名の研究スタッフの人件費と彼らが使用するデスクや機器の費用を払ったら、簡単に底を尽く程度。とはいえ、"テキサスの狙撃兵"を使って手にしたものなので詐欺といえば詐欺。


Dr. Elisabeth Targの死

しかし、Dr. Elisabeth Targは研究を完遂することなく、40歳の若さでこの世を去った。

2002年3月29日 脳腫瘍と診断。
2002年5月 4日 Mark Comingと結婚。
2002年7月18日 脳腫瘍で死亡。享年40歳。

死ぬ前に結婚式を挙げることができたのが、せめても慰めというべきだろうか。これについてBronson[2000]は次のように書いている:
On May 4, she and 150 of the Bay Area's parapsychology royalty converged in Tiburon, on waterfront land owned by the Audubon Society. She could barely walk down the aisle. She'd had a craniotomy and was missing her hair. Her wedding dress had to be refit twice because she'd lost so much weight. The left side of her face was not working properly. Yet she sat nobly and beamed. When most people get married, there's a part of the ceremony about always sticking together, for better or for worse. Targ's worse was already upon her. There would be no honeymoon. Making a lifetime commitment in the face of that tragedy left no eyes dry.

5月4日、Audubon Societyが所有するウォーターフロントランドにあるTiburonに、Dr. Elisabeth Targとベイアリアの超心理学一族150名が集まった。彼女はかろうじて通路を歩いてこれた。彼女は開頭手術のために髪を失っていた。彼女はあまりにも体重を減らしていたため、2度にわたってウェデイングドレスのサイズを調整する必要があった。彼女の顔の左側はちゃんと機能しなくなっていた。それでも彼女は立派に座って、顔を輝かせていた。多くの人々が結婚するとき、結婚式で"病めるときも健やかなるときも、ともに"と言うだろう。すでにTargは"病めるとき"だった。ハネムーンはないだろう。悲劇に直面して生涯に関わることは、涙なしに済まされない。




References

Bronson P: "A Prayer Before Dying", Wired Dec. 2002.

Gardner M: "Notes of a Fringe-Watcher -- Distant Healing and Elisabeth Targ", Skeptical Inquirer : March/April, 2001

Gawande, Atul. "The Cancer-Cluster Myth," The New Yorker, February 8, pp. 34-37, 1999.

Hammer SM, Squires KE, Hughes MD, et al.: "A controlled trial of two
nucleoside analogues plus indinivar in persons with human immunodeficiency
virus infection and CD4 cell counts of 200 per cubic millimeter or less", N Engl J. Med, 337, 725-733, 1997.

Saah AJ, Hoover DR, He Y, Kingsley LA, Phair JP: "Factors influencing survival after AIDS: report from the Multicenter AIDS Cohort Study (MACS)", J. Acquir Immune Defic Syndr, 7, 287-295, 1994.

Sicher F, Targ E, Moore D 2nd, Smith HS: "A randomized double-blind study of the effect of distant healing in a population with advanced AIDS. Report of a small scale study", West J Med., 169(6): 356–363, 1998. [PubMed, PDF]

Targ R: "Remote-viewing replication: evaluated by concept analysis", Journal of Parapsychology, Sept, 1994.[コピー]

Targ R: "Remote Perceptions: Out-Of-Body Experiences, Remote Viewing, And Other Natural Abilities. - Review", Journal of Parapsychology, Sept, 1999.[コピー]

Targ R and Harary K: "The Mind Race: Understanding and Using Psychic Abilities", Random House Inc, p.96, 1984.[Amazon]

タグ:祈り
posted by Kumicit at 2006/12/06 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006/12/05

"Intercessory Prayer"動向(5/7) あっち側な"時間遡行研究"

"Intercessory Prayer"に絡んで、時間遡行実験をやったと主張したのがイスラエルのRabin Medical CenterのLeonard Leibovici教授である[Leibovici, 2001]。やっていることは統計処理だが、完全にあっち側な解釈をしているバカである。どんなにバカかというと...

時間遡行実験をした?Leibovici[2001]

2000年に祈ったことによって、時間を遡行し1990〜1996年の患者たちの回復を早めたと主張するのがLeibovici[2001]である。時間改変をしたというわけではなく、「2000年に祈った」という原因によって、「1990〜1996年の患者たちの回復」という結果が生じたという主張。

まずは研究方法を見てみると:
Methods

All adult patients whose bloodstream infection was detected at a university hospital (Rabin Medical Center, Beilinson Campus) in Israel during 1990-6 were included in the study. Bloodstream infection was defined as a positive blood culture (not resulting from contamination) in the presence of sepsis.

1990〜1996年にイスラエルのRabin Medical Centerで検出された、血流感染の成人患者を研究対象とした。血流感染は敗血症が存在するときに、混入の結果ではなく、陽性の血液培養として定義した。

In July 2000 a random number generator (Proc Uniform, SAS, Cary, NC, USA) was used to randomise the patients into two groups. A coin was tossed to designate the intervention group. A list of the first names of the patients in the intervention group was given to a person who said a short prayer for the well being and full recovery of the group as a whole. There was no sham intervention.

2000年7月に、乱数生成(Proc Uniform, SAS, Cary, NC, USA)により、患者を2群に分けた。コイントスで実験群と対照群に分けた。実験群の患者のファーストネームのリストを、実験群全員に対する健やかさ(well-being)と完全な治癒を祈る一人の人物に渡した。(対照群に対する)疑似祈りはない。

Three primary outcomes were compared: the number of deaths in hospital, length of stay in hospital from the day of the first positive blood culture to discharge or death, and duration of fever. Patients were defined as having fever on a specific day if one of three temperature measurements taken on that day showed a temperature of >37.5°C.

院内での死亡、血流感染が判明してから退院もしくは死亡までの日数、発熱期間の3つの一次結果を比較した。1日3回の検温で1回でも37.5℃を越えたら、その日は発熱したと定義した。

The 2 test was used to test for the significance of the results shown in the tables. As most of the continuous variables did not have a normal distribution, the Wilcoxon rank sum test was used for comparisons.

表に示す結果の有意性の検証に2つの検証方法を用いた。大半の連続変数が正規分布ではなかったので、Wilcoxon順位和検定を比較のために用いた。
定義や検定について明白な問題は見られないのだが、やっていることが変。

まず、患者を2群に分ける。この患者たちは、実験の4年前までには死亡もしくは退院している。発熱期間も確定している。ここで、答え=「患者の死亡あるいは退院、死亡あるいは退院までの日数、発熱期間」を見てしまえば、2群に分ける方法の検証になるだけ。すなわち有意差がなければ、乱数はまっとうだという結果になるだけ。

ところが、ここで答えを見ないで、たった1名が介入群の患者たちをひとまとめとして祈る。そして、その後に、答えを見ると、時間遡行intercessory prayerの実験になっているのだとLeibovici[2001]は主張している。

そして、2群に分けた乱数がまっとうであることの検証を、患者の特性(感染した病気の種類など)で行っている。それがTable.1だ。

Table 1. 患者の特性。特に記載がない場合は%である。介入群と対照群に特性の違いはない。
--------------------------------------------------------------------------------
Characteristic 介入群 対照群
(n=1691) (n=1702)
--------------------------------------------------------------------------------
女性比率            46.3       48.5
年齢:中央値(レンジ) 72 (18-101) 72 (18-99)
感染源:
Lungs 8.3 9.4
Urinary tract 31.3 28.9
Intra-abdominal 9.5 8.9
Soft tissues 7.5 7.6
Endocarditis 3.5 3.3
Neutropenic fever 3.5 2.7
Intravascular line 6.3 6.4
その他 7.8 9.6
不明 22.3 23.2
Septic shock 11.2 11.8
Neutropenia 5.7 5.8
院内感染率 40.2 41.9
creatinine (mg/dl) 1.2 (0.2-14.8) 1.2 (0.2-15.0)
albumin (mg/dl) 3.8 (1.1- 5.1) 3.8 (1.5- 5.0)
--------------------------------------------------------------------------------

祈りは「健やかさと速い回復」を対象としているので、対象外な感染源などには影響しないということらしい。

そして、答えを見ると:

Table 2. 入院日数と発熱期間
--------------------------------------------------------------------------------
           最短 下位1/4 中央値 上位1/4 最長   P値
--------------------------------------------------------------------------------
入院日数: 0.01
介入群 0 4 7 13 165
対照群 0 4 8 16 320
--------------------------------------------------------------------------------
発熱期間: 0.04
介入群 0 1 2 4 49
対照群 0 1 2 5 50
--------------------------------------------------------------------------------


--------------------------------------------------------------------------------
         死亡数  患者数  死亡率   P値
--------------------------------------------------------------------------------
介入群 475 1691 28.1%
対照群 514 1702 30.2%
0.4
--------------------------------------------------------------------------------
となっていて、死亡率は有意差がなく、入院日数と発熱期間は有意差ありだった。

これを元にLeibovici[2001]は次のように結論する:
Remote, retroactive intercessory prayer can improve outcomes in patients with a bloodstream infection. This intervention is cost effective, probably has no adverse effects, and should be considered for clinical practice. Further studies may determine the most effective form of this intervention and its effect in other severe conditions and may clarify its mechanism.

遠隔かつ時間遡行のintercessory prayerは、血流感染症患者の症状を改善可能である。この介入は、費用対効果がよく、副作用がおそらくないので、臨床治療の手段として考慮すべきものである。さらなる研究によって、この介入の効果的な形式と、他の重篤な症状への効果と、メカニズムが明らかになるかもしれない。

はっきり言って、バカである。「時間遡行が可能だ」という主張もそうだが、ここで結論できるということそれ自体がバカなのである。

そもそも、この実験はまだ終わっていない。「現在の祈りが過去の遡行して作用する」というのが主張であるなら、我々はいつでも、Leibovici[2001]の実験に干渉可能だ。今からでも、1990〜1996年の期間のRabin Medical Centerの血流感染症患者のために、祈りまくればいい。Leibovici[2001]の実験で投入された祈りの量は高々1名なである。その投入量をはるかに上回る大量な祈りを無差別に浴びせかければ、実験で投入された祈りは無視しうるほど小さい誤差範囲なものになる。すなわち、介入群も対照群も受けた祈りの量に差がなくなる。

この実験への干渉がなくなり、祈りの投入量が確定するのは、おそらく人類滅亡の日。それまでは祈りの投入量は確定できない。しかも。人類滅亡の日になっても、それまでに投入された祈りの量を計測できていないなら、どのように投入量が確定したかはわからない。

つまり、原理的に祈りの投入量を確定できない実験のデザインになっている。Leibovici[2001]が"あっち側にいってしまった研究"をしたとしても、せめて"あっち側では閉じた論理"にすべきだろう。そうでないと、研究として形にならない。


ということで、Leibovici[2001]に対するレスポンス[Rapid Responses to: Leonard Leibovici: BMJ 2001; 323: 1450-1451]は批難の嵐。


Leibovici[2001]を持ち上げるバカOlshansky and Dossey[2003]

さて、こんな"あっち側でも論理が閉じていない"バカなLeibovici[2001]を誰も相手にしないかというと、持ち上げるバカがいた。それが、米国University of Iowa HospitalsのOlshanskyと米国Alternative Therapies in Health and MedicineのDosseyである[Olshansky and Dossey, 2003]。

LeiboviciとかOlshanskyとか、なんだかロシアっぽい名前が多い...

Olshansky and Dossey[2003]は時間遡行について、次のような証拠があると主張する:
Models of space and time permitting bidirectional interactions between present and past exist. A current image of the topology of the space-time continuum includes wormholes that link remote regions, when space-time is pinched or folded. Some physicists hypothesise that Calabi-Yau space might allow bidirectional interactions between past and future[Dossey 1989]. These possibilities cannot be dismissed.

現在と過去の間の双方向の相互作用の許容する時空モデルが存在する。時空連続体のトポロジーの現在のイメージは2つの離れた点間のワームホールを含む。そのとき時空はねじれ、折りたたまれる。ある物理学者たちはCalabi-Yau空間が過去と未来の間の双方向の相互作用を許容するという仮説を立てている[Dossey 1989]。これらの可能性は無視できない
論拠が著者自らの1989年の論文に書いた仮説というのは弱すぎるだろう。というより何も言っていないに等しい。

次にサイキックが専門なDr. Wiiliam Braudの時間遡行なネタを持ち出す:
William Braud, director of research at the Institute of Transpersonal Psychology in Palo Alto, California, and codirector of the Institute's William James Center for Consciousness Studies, summarised 19 studies of 233 sessions, in which individuals attempted to influence, retroactively, various living systems. Ten studies had significant results[Braud 2000].

カリフォルニア州Palo AltoにあるInstitute of Transpersonal Psychology(超個人心理学研究所)での研究の責任者であり、研究所のWilliam James Center for Consciousness Studiesの次長でもあるWilliam Broudは、233のセッションからなる19の研究をまとめた。それらの研究では時間遡行して、さまざまな生物器官に影響を与えようとする個人を扱っている。そして10の研究が有意だった[Braud 2000]。
Institute of Transpersonal Psychologyは名称はあやしいが、修士課程と博士課程を持つ大学院であり、非認可認定機関リストにはない[ミシガン州の非認定リスト,オレゴン州の非認定リスト]。とはいえ、創造科学のかつての本拠地Institute for Creation Researchも、自らの本来のorgドメイン以外に、修士課程なicr.eduドメインを持っている。ということで、eduドメインや修士課程があることは、科学的な正しさを何ら保証するものではない。

で、Braud[2000]はタイムパラドックスについて以下のような言い訳をしている:
One is to posit that it is indeed possible to change the past and not merely influence initial probabilities of occurrence. Another suggestion is that the presenting condition is complex, and that some of its synergetic, harmful components may not yet have occurred in sufficiently full form or may still be susceptible to concurrent or time-displaced mental influences. A third possibility is indicated in the Figure. The nature of a symptom complex that presents itself to a physician at time T3 may in fact be common to a family of curves (world-lines or life-lines) that describe various potential time courses of the progression of an illness.

ひとつは初期確率に影響するだけではなく、過去を改変できると断定する。別の示唆は、複雑な状態を呈していて、シナジーあるいは有害な構成要素がまだ完全に発現していないか、並行して存在する精神的影響もしく時間の離れた精神的影響を受けやすくなっている。3つ目の可能性を図に示す。時間T3において、医者に示される症候群の性質は、病気の進行のいろいろな潜在的時間コースを記述するカーブ(世界線または生命線)のファミリーに共通なものかもしれない。

In the Figure, curve A represents a poor prognosis in which health declines progressively, eventually resulting in the death of the patient. Curve B indicates a less severe illness time course. Curve C indicates a gradual, incomplete recovery. Curve D depicts a relatively rapid and complete recovery.

図で、カーブAは健康状態が次第に悪くなる予測を表している。そして最後には患者の死で終わる。カーブBは、それよりはましな病気の経過経路を示す。カーブCは、段階的で不完全な回復を示す。カーブDは、比較的急速で完全な回復を表わす。

Note that the presenting condition at time T3 could be on any of the 4 curves and, based only on information available at time T3, one cannot know which curve actually may be in effect. It is possible that healing intentions generated at time T3 might retroactively influence which of a family of possible curves is actualized at time T2—the common seed moment for several possible progression/outcome curves.

時刻T3で呈している条件は、T3で入手可能な情報では、これらの4つのどれでもありうる。どのカーブにいるのかはわからない。T3の時点で生成された治療効果は、潜在的な4つのカーブのひとつを現実化したT2時点へ遡行して影響したかもしれない。

Braud_2000_Figure.jpg
なんと、過去へ影響を及ぼしたが、現在時点ではその効果が見えないのだと言う。反証不可能というか、なんのこっちゃというか...
これだと、実験してもほぼ確実に、時間遡行なIntercessory Prayerなんか事実上、検証できない。

さらに、
Schmidt[1982] did foundational work about retroactive intentions with electronic generators of random numbers and with inherently random processes such as radioactive decay. Human intent influenced prerecorded events at the quantum level in the present if the recording of the quantum events had not yet been seen, even though the events were in the past and had happened[Weber 1986]. Schmidt's experiments, widely regarded among the most precise ever in human intentionality, evoke praise, even from sceptics[Stapp 2001].

Schmidt[1982]はコンピュータによる乱数生成や放射性物質の崩壊のようなランダムな過程を使って時間遡行な意図について基礎的な研究を行った。記録された量子イベントを誰も見ていなければ、たとえそれが過去に既に起きていたイベントであっても、量子レベルの既に記録されたイベントに現在の人間の意図が影響する[Weber 1986]。Schmidtの実験は、人間の意図についてもっとも正確であると広く認められ、懐疑論者からも賞賛されている[Stapp 2001]
Stapp[2001]のオンライン版の記事にはSchmidtへの言及はない。そして、このHelmut Schmidtとは超心理学者であり、1970年代から既に悪評がたっていた:
Skepdic: ad hoc hypothesis(その場しのぎの仮説)

マーチン・ガードナーは、こうしたその場しのぎの仮説がばかげたものに発展してしまうことを、疑似物理学者ヘルムート・シュミットの例をあげて述べている。シュミットは、内部から電気ショックがかけられるようにした箱の中に、ゴキブリを閉じ込めた。ゴキブリが経験から学ぶことができるなら、ゴキブリはショックを受けず、また自分で自分にショックを加えるようなことは確率的な期待値以上には起きないと考えられる。だが、ゴキブリは期待値より多く電気ショックをかけた。“私はゴキブリが嫌いなので、たぶん私の念力が乱数発生装置に影響したのだ!” シュミットはそう結論づけた。(ガードナー、p. 59)
とか
Skepdic: The Princeton Engineering Anomalies Research (PEAR)

In the 1960s, physicist and parapsychologist Helmut Schmidt started using random event generators to do PK experiments. According to Dean Radin (1997), over the years Schmidt provided solid scientific support for the PK hypothesis and the people involved in the PEAR group replicated Schmidt's work in 258 experimental studies and 127 control studies. C.E.M. Hansel, however, claims that regarding all the studies done after 1969 and before 1987 that attempted to replicate Schmidt’s work: “The main fact that emerges from this data is that 71 experiments gave a result supporting Schmidt’s findings and 261 experiments failed to do so” (Hansel 1989: 185).

1960年代には、物理学者であり超心理学者であるHelmut Schmidtは、PK実験のために乱数発生器を使い始めました。Dean Radin[1997]によれば、長年にわたって、Schmidtは強烈な科学的な支持をPK仮説に与えた。そして、PEARグループ関係者はSchmidtの研究の再現実験と127の対照実験を行った。しかし、C.E.M. Hansel[1989]は1960〜1987年においてSchmidtの研究を再現しようとしたが、「71の実験はSchmidtの発見を支持したが、261の実験は失敗した」と主張した。


これらを以って、メカニズム不明ではあるが、時間遡行な"intercessory prayer"の効果を間接的に支持するものだと主張した。サイキック研究者たちを論拠とするという、まったく冗談としか思えない主張だ。


一喝するBishop and Stenger[2004]

この馬鹿者ども!!とLeibovici[2001]とOlshansky and Dossey[2003]を一喝したのが、米国University of Texas Southwestern Medical CenterのBishopと米国University of ColoradoのStengerである[Bishop and Stenger, 2004]。要点は:
Summary points:

  • Claims have been made that prayer can act distant in space and time, including retroactively
    (Leiboviciの主張は、祈りが時空を超え、過去にも遡行するというものだ)
  • Very few studies have been done on retroactive prayer
    (遡行する祈りの研究はほとんどなされていない)
  • Studies on the effects of distant prayer are poorly designed and have weak results
    (空間的に離れた祈りの効果の研究のデザインは貧弱で、弱い結果しか得られていない)
  • Current scientific theory does not support effectual benefit of prayer distant in space or time
    (時空を超えた祈りの効果を、現在の科学理論は支持しない)

そして、Bishop and Stinger[2004]は次の3点を指摘する:
Health research using spirituality occurs in two types. One type of research examines the effects that religious or spiritual beliefs and practices have on mental and physical health through psychological, social, and physiological mechanisms that are well established in the traditional social, behavioural, and medical sciences[Koenig et al. 2003; Mueller et al. 2001; George et al. 2002]. In this research, no appeal to extraordinary mechanisms is made. We need apply only ordinary psychological, social, or physiological phenomena. Health benefits might reasonably result from the comforting belief that a spiritual world exists, even if it does not. Psychological and behavioural factors have well established health effects, so it is not a far step to accept that spiritual belief, or perhaps non-belief, also has health consequences.

精神性(スピリチュアル)を使った治療研究には、2つのタイプがある。ひとつは宗教的あるいはスピリチュアルな信仰と実践が、伝統的な社会科学、行動科学、医学によって確立された心理的、社会的、生理的メカニズム[Koenig et al. 2003; Mueller et al. 2001; George et al. 2002]を通して、メンタルおよび肉体の健康に影響することを調べるものだ。このタイプの研究では、超常なメカニズムには訴えない。我々は通常の心理学的、社会学的あるいは生理学的現象のみを適用する必要がある。実際はそうではないにしても、スピリチュアルな世界が存在するという慰めの信仰が、健康に有益な結果を合理的にもたらすかもしれない。心理的な要素および行動的要素が健康に効果があることは既に確立されている。従って、スピリチュアルな信仰があること、あるいはないことが、健康に影響することを認めるのはむつかしいことではない。

Until recently, the scientific community has been sceptical that religious and spiritual factors can be quantified. Lately, however, methods have been developed to assess religiosity and spiritual beliefs. Some doubt remains on whether the methods are adequate or whether what science means by religious or spiritual beliefs is the same as what religious or spiritual traditions mean by these beliefs[Bishop 2003]. Yet, religiosity and spirituality can be reasonably related to health outcomes similar to other psychosocial factors. Within a scientific framework, the benefits of prayer might also be attributed to these factors.

最近までは、宗教的で精神的な要因の定量化について、科学界は懐疑的だった。しかし、最近、宗教的あるいはスピリチュアルな信仰を評価する手法が開発された。手法が適切であるか、あるい宗教的あるいはスピリチュアルな信仰により科学が意味するものと、宗教的あるいはスピリチュアルな信仰の伝統が意味するものが同じなのかについて、いささかの疑いは残り[Bishop 2003]。しかし、宗教的あるいはスピリチュアルな信仰は合理的に、他の心理的要素と同じく健康状態と関係している。科学のフレームワークの中で、祈りの効用はこれらの要因によるものだと考えられるかもしれない。

The claims put forward by Olshansky and Dossey are quite different from health outcomes research, which might reasonably be related to religion or spirituality. They argue that prayer might be used instrumentally to bring about desired effects in the world at a distance of space and time. The studies they cite have very little or nothing to do with established psychological, social, or behavioural pathways. Firstly, the findings from human studies which Olshansky and Dossey cite are hardly robust; in places, they are clinically insignificant in terms of effect size and not uncommonly steeped in controversy. Secondly, they call on theoretical mechanisms that have, at best, a questionable connection to medicine. Without plausible mechanism, abundant data with strong significance is necessary. That evidence does not exist.

Olshansky and Dossey[2003]による主張は、これらの健康状態への影響の研究とはまったく違う。そして、それは宗教あるいはスピリチュアルなものと論理的に関連するかもしれない。彼らは、祈りが空間と時の間離れたところに世界に望ましい影響をもたらす手段として使えるかもしれないと主張する。彼らが引用した研究は、確立された心理学や社会学や行動科学とは何の関係もない。そもそも、Olshansky and Dossey[2003]が引用した人間研究による発見は、堅牢なものではない。彼らeffect sizeは臨床的に取るに足らないものであり、議論の俎上にのっていない。さらに、彼らは、せいぜい、医療との関連の疑わしい理論的メカニズムを基礎としている。もっともらしいメカニズムがないなら、高い有意性を持つ多くのデータが必要だ。そのような証拠は存在していない。

確立された理論たちに反する主張をするなら、それら既存のものをねじ伏せるだけの証拠が必要だというのが、Bishop and Stengerの主張である。それはまったく正しい。

Olshansky and Dossey[2003]の論拠は、後から何とでも言えるようなWilliam Braudの論と、1970年代から既にad hocな論をふりまわすHelmut Schmidtの論のようなあやしいもの。そのごときで、Leibovici[2001]の時間遡行なIntercessory Prayerの証拠だというなどあまりに不足。というより論外。



References

Bishop, J.P. and Stenger, V.J.: "Retroactive prayer: lots of history, not much mystery, and no science", BMJ, 329:1444-1446, 2004.

Bishop JP: "Prayer, science and the moral life of medicine." Arch Intern Med 163: 1405-8, 2003.

Braud W.: "Wellness implications of retroactive intentional influence: exploring an outrageous hypothesis." Altern Ther Health Med 6: 37-48, 2000.

Dossey L.: "The immortal, one mind: Schrodinger, Godel, Einstein. In: Recovering the soul." New York: Bantam, 123-52, 1989.

George LK, Ellison CG, Larson DB: "Explaining the relationships between religious involvement and health." Psychol Inq 13: 190-200, 2002

Hansel, C.E.M.: "The Search for Psychic Power: ESP and Parapsychology Revisited." Prometheus Books, 1989.

Koenig HG, McCullough M, Larson D: "Handbook of religion and health" New York: Oxford University Press, 2003.

Leibovici, L.: "Beyond Science? Effects of remote, retroactive intercessory prayer on outcomes in patients with bloodstream infection: randomised controlled trial", BMJ, 323: 1450-1451, 2001.

Mueller PS, Plevak DJ, Rummans TA: "Religious involvement, spirituality, and medicine: implications for clinical practice" Mayo Clin Proc 76: 1225-35, 2001

Olshansky, B. and Dossey, L.:"History and mystery: Retroactive prayer: a preposterous hypothesis?", BMJ, 327:1465-1468, 2003.

Radin, D.: "The Conscious Universe - The Scientific Truth of Psychic Phenomena." HarperCollins, 1997.

Stapp H.: "Harnessing science and religion: Implications of the new scientific conception of human beings." Res News Opportunities Sci Theology1: 8, 2001 [online]

Schmidt H.: "Collapse of the state vector and psychokinetic effect." Found Phys 12: 565-81, 1982. [Abstract,コピー]

Weber R.: "Dialogues with scientists and sages.", New York: Routledge and Kegan Paul, 41, 1986.





タグ:祈り
posted by Kumicit at 2006/12/05 00:01 | Comment(2) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006/12/04

"Intercessory Prayer"動向(4/7) Mastersたちによるまとめ

"intercessory prayer"について、Dr. Terence Hines["Pseudoscience and the Paranormal" 2nd edition, pp.378-381, 2003]以降の動向について、Masters et al.[2006]がまとめているので、紹介する。

==> Kevin S. Masters, Glen I. Spielmans, and Jason T. Goodson: "Are There Demonstrable Effects of Distant Intercessory Prayer? A Meta-Analytic Review", Annals of Behavioral Medicine, 32(1), 21-26, 2006.[Abstract,PDF]

が、その前にMasters et al.[2006]が行った"メタアナリシス"について調べておこう。


メタアナリシス

メタアナリシスについては、群馬大学社会情報学部 青木繁伸氏の統計学自習ノートシリーズから「メタアナリシス meta-analysis」が詳しい。さらっと見ておくと:

meta-analysis(メタアナリシス):
Glass[1976]が作った言葉で,「研究の統合と研究の評価を行うもの」である。
複数の研究結果から,原データではなく平均値や標準偏差などから,要約統計量を引き出す

effect size :
処理群と対照群の差を標準化したものである[Cohen, 1977]
例えば男女で effect size が異なるなら,gender は moderator であると認識される。

個々の検定結果のP値をZ値に変換する
p(i) ==> z(i)

Z値を合計を検定の個数(k)の平方根で割ったものZ_{overall}は正規分布に従う
Z_{overall} = 農{i=1}^{k} ( Z(i)/√k)

Z_{overall}から統合されたP_{overall}を求める
Z_{overall} ==> P_{overall}

effect size rを推定する
r = Z_{overall}/√N
Nは各研究におけるサンプルサイズの合計

file draw problem を検討する
reporting bias とか publication bias と呼ばれる,「有意な結果が得られなかった場合には公表されない」ことを考慮しなくてはならない。
とりあえず「メタアナリシス meta-analysis」をちゃんと読んだことにして、Masters et al.[2006]にもどろう。

Masters et al.[2006]の概要

研究の概要は:
Background: The use of alternative treatments for illness is common in the United States. Practitioners of these interventions find them compatible with personal philosophies. Consequently, distant intercessory prayer (IP) for healing is one of the most commonly practiced alternative interventions and has recently become the topic of scientific scrutiny.

背景:病気の代替治療の使用は、アメリカ合衆国で一般的である。これらの活動の実施者は、個人の哲学と互換性を持つとわかっている。従って、治癒を求める遠くのIntercessory Prayer(IP)は、最も一般に実地に経験のある代替的治療法の1つであって、最近科学的な詳細な調査の話題になった。

Purpose: This study was designed to provide a current meta-analytic review of the effects of IP and to assess the impact of potential moderator variables.

目的:この研究は、IPの影響にいて現在のメタアナリシスを行って、潜在的なmoderatorの影響を評価する。

Methods: A random effects model was adopted. Outcomes across dependent measures within each study were pooled to arrive at one omnibus effect size. These were combined to generate the overall effect size. A test of homogeneity and examination of several potential moderator variables was conducted.

方法:ランダムな効果モデルを採用した。ひとつの総括的な効果を見るために、個々の研究ごとに独立した計測方法による結果を集めた。これらは、全体的な効果の大きさを評価するために結合した。均質性のテストといくつかの潜在的なmoderatorの調査を行った。

Results: Fourteen studies were included in the meta-analysis yielding an overall effect size of g = .100 that did not differ from zero. When one controversial study was removed, the effect size reduced to g = .012. No moderator variables significantly influenced results.

結果:メタアナリシスに使った14の研究の、全体的な効果は g = .100であり、ゼロと違わなかった。問題の多い研究1件[詐欺師Wirthの関わったCha&Wirth[2001]を除外すれば、g=0.012となった。いかなるmoderatorも有意に結果に影響しなかった。

Conclusions: There is no scientifically discernable effect for IP as assessed in controlled studies. Given that the IP literature lacks a theoretical or theological base and has failed to produce significant findings in controlled trials, we recommend that further resources not be allocated to this line of research.

結論:条件を管理された実験の評価により、科学的に識別できる効果がIPにはなかった。IPの文献が理論的あるいは神学的基礎を欠如させていて、条件を管理された実験で有意な結果を見つけられていないので、我々はこの線の研究に資源をわりあてないことを推奨する。


さて、複数の研究結果を対象とするメタアナリシスをするので、当然のことのながら、どの研究を選択するかが問題となる。Masters[2006]はこれを次のようにすることで、任意性をなくそうとした:
In order to locate all relevant studies, PsycInfo and Medline databases were searched using the terms “intercessory prayer” and articles published prior to August, 2005 were eligible for inclusion. References in relevant review articles [Roberts et al.,2003; Astin et al.,2000; Ernst, 2003; Townsend 2002] were also searched as were reference lists from articles included in the meta-analysis. To meet inclusion criteria studies must have: a) used IP as an intervention to treat any type of medical or mental health problem; b) provided data that allowed for calculation of an effect size; c) compared IP to a control group; and, d) blinded participants as to their experimental condition. It was not required that participants be unaware of their participation in a study . This strategy yielded a total of 15 studies (noted by an asterisk in the reference list). One study was excluded because it examined the impact of “retroactive” intercessory prayer on patients with a prior blood infection[Leibovici, 2001]. The outcomes of participants had been established prior to the implementation of IP; consequently, we did not understand how this could be considered a prayer intervention and hence decided that it did not merit inclusion. All other IP intervention studies were included.

すべての関連する研究結果をメタアナリシスの対象とするために、PsycInfo and Medline databasesを使って、キーワード"intercessory prayer"で、2005年8月までに公表された論文を検索した。関連するレビュー論文の参考文献も検索して、メタアナリシスに加えた。メタアナリシスに加える条件は (a) "intercessory prayer"を医療あるいはメンタルヘルスに使い、(b) 効果を計算できる数字が掲載されていて、(c) 介入群と対照群を比較していて、(d) 盲検になっていること。参加者が研究に参加したことを知らされないことは条件としない。この規準に合致するのは15件あった。そのうち1件[Leibovici, 2001]は、過去に遡った"intercessory prayer"以前の血液感染症患者への影響を調べているので除外した。参加者の結果は、"intercessory prayer"実施前に確定された。従って、我々はこれをどう"intercessory prayer"の効果と考えるべきか理解できないので、除外した。これ以外のすべての"intercessory prayer"による治療効果の研究を対象とした。
作為的kuノ過去の研究論文を選択したのではないことが、示されている。なお、除外されたLeibovici[2001]は、過去の症状が良くなるように今祈るという、時間逆転な"intercessory prayer"である。これに対しては、多くのResponseがつけられている。「今祈って、今の症状を改善する」という"intercessory prayer"とは異なり、除外すべきものだ(次回、これについて取り上げる)。

そして、次にメタアナリシスの方法:
Outcomes across all dependent variables were pooled within studies to provide one omnibus effect size for each study. Effect sizes across studies were weighted by their inverse variance in order to provide an overall effect size estimate that most accurately represented the true population effect size [Hedges and Olkin, 1985]. Level and detail of data reporting varied widely across primary studies. Consequently, effect sizes were computed from means and standard deviations when possible. In their absence, effect sizes were calculated from t-tests and F-tests. Effect sizes from dichotomous outcome measures were computed using procedures described in Hasselblad & Hedges[1995], who provided a method for transforming odds ratios from dichotomous data into effect sizes by using the following formula:

d = (logOR* √3)/π

After all effect sizes were calculated, they were converted to Hedges’ g, which corrects for a small bias in Cohen’s d [Hedges and Olkin, 1985]. All effect sizes were calculated using Comprehensive Meta-Analysis software [Biostat 2002].

各研究ごとにひとつの統合したeffect sizeを算出するために、各研究の独立変数の結果をひとつに集めた。全体のeffect sizeが正確に真のデータ数effect size[Hedges and Olkin, 1985]になるように、複数の研究のeffect sizeを分散の逆数で重み付けした。データ報告のレベルと詳細さは、一次研究ごとに大きく違っている。従って、effect sizeは可能なら平均と標準偏差から計算した。それがないときは、effect sizeをt検定とF-検定から計算した。結果からのeffect sizeはHasselblad and Hedges[1995]で記述される手順を使って計算した。そして、以下の公式で、確率比率を二分したデータからeffect sizeに変化した:

d =(logOR*√3)/π

全体のeffect sizeを計算したあと、Cohenのd[Hedges and Olkin, 1985]における小さな偏向を修正したHedgeのgに変換する。全体のeffect sizeは、Comprehensive Meta-Analysisソフトウェア[Biostat 2002]を使用して計算した。




ここまでのReferences

Astin JA, Harkness E, Ernst E.: "The efficacy of “distant healing”: a systematic review of randomized trials." Annals of Internal Medicine 132:903-910, 2000.

Biostat: Comprehensive Meta-Analysis Version 2.2, Englewood, NJ, Biostat, 2002.

Cohen, J. "Statistical power analysis for the behavioral sciences.", New York: Academic Press, 1977.

Ernst E.: "Distant healing -- an “update” of a systematic review." Wiener Klinische Wochenschrift, 115:241-245, 2003.

Glass, G. V.: "Primary, secondary and meta-analysis of research.", Educational Researcher, 10, 3-8, 1976.

Hasselblad V, Hedges LV.: "Meta-analysis of screening and diagnostic tests." Psychological Bulletin, 17:167-178, 1995.

Hedges LV, Olkin, I.: Statistical Methods for Meta-Analysis San Diego, CA: Academic Press, 1985.

Leibovici L.: "Effects of remote, retroactive intercessory prayer on outcomes in patients with bloodstream infection: randomized controlled trial" British Medical Journal 323:1450-1451, 2001

Roberts L, Ahmed I, Hall S.: "Intercessory prayer for the alleviation of ill health" [online]. The Cochrane Database of Systematic Reviews: Reviews 2000. Amended October, Article No. CD000368, 2003.

Tessman, I. and Tessman, J.: "Efficacy of prayer: A critical examination of claims.", Skeptical Inquirer 24(2): 31-, 2000.

Townsend M, Kladder V, Ayele H, Mulligan T.: "Systematic review of clinical trials examining the effects of religion on health." Southern Medical Journal 95:1429-1434, 2002.




結果は...

Masters et al.[2006]は、"intercessory prayer"の効果を一覧表にまとめている。これには、二重盲検の手順に問題ありなByrd[1988]や、ほとんど有意ではないHarris et al, [1999]はもちろんのこと、詐欺師を含む研究だったCha&Wirth[2001](本来は Cha et al., 2001と表記すべきだが、ここではMasters et al.,2006の表記に従う)も含まれている。表中の"g"が大きいほど効果ありである。また、患者数Nが少なすぎるものも含まれている。

Table 1. IP Studies Included in Meta-Analysis
------------------------------------------------------------------------------
Intercessors’Study Prayer Type Faith Condition g*1 N
------------------------------------------------------------------------------
Aviles et al., 2001 Unknown Unknown CCU*2 .068 762
Byrd, 1988 Directive Christian CCU .296 393
Cha & Wirth, 2001 Directive Christian Fertility Clin.*3 .576 167
Collipp, 1969 *4 Directive Christian Leukemia .803 16
Harris et al, 1999 Both*5 Christian CCU .097 990
Joyce & Welldon, 1965 Nondirective Christian Various .163 32
Krucoff et al., 2005 Unspecified Variety*6 CAD*7 -.018 748
Mathai & Bourne, 2004 Unspecified Unknown MH*8 -.274 336
Matthews et al., 2000 Directive Christian RA*9 -.001 40
Matthews et al., 2001 Directive Christian Kidney Dia*10 -.075 94
O’Laoire et al., 1996 Both Unknown Healthy -.098 277
Palmer et al., 2004 Unknown Christian Healthy -.015 68
Tloczynski & Fritsch, 2002 Directive Unknown Healthy .590 8
Walker et al. 1996 Nondirective Christian/ Alcohol Tx. .425 34
Jewish
------------------------------------------------------------------------------

*1 = positive value for g represents a positive effect for intercessory prayer
*2 CCU = coronary care unit
*3 Fertility Clin. = patients at a fertility clinic prayed for pregnancy
*4 In this small N study two patients, both in the control group,
had a different and more deadly form of leukemia than the other patients.
They were excluded from the analysis
*5 Both = prayers were both directive and nondirective
*6 Variety = Christian, Muslim, Jewish, and Buddhist
*7 CAD =coronary artery disease
*8 MH = various mental health problems
*9 RA = rheumatoid arthritis
*10 Kidney Dia. = patients on kidney dialysis

g値が0.1より大きなもののうち、Byrd[1988]は研究手順で二重盲検が破れおり[Tessman and Tessman, 2000]、Cha & Wirth[2001]は詐欺師である。残りのCollipp[1969]とTloczynski & Fritsch[2002]とWalker et al.[1996]は患者数が少なすぎるというもの。

これをまとめて全体で見たのが次の表:

Table 2 Effects of IP Summarized Across Studies
------------------------------------------------------------------------------
Condition N of Comp.*1 g*2 Z p
------------------------------------------------------------------------------
Overall 14 .100 1.35 .18
Patient 11 .169 1.93 .05
Healthy 3 -.061 .58 .57
Patient (without Cha & Wirth, 2001) 10 .066 .72 .47
Overall (without Cha & Wirth, 2001) 13 .012 .17 .87
------------------------------------------------------------------------------
*1 = number of comparisons
*2 = positive value for g represents a positive effect for IP
詐欺師なCha & Wirth[2001]を除外すれば、有意なP値ではなくなり、14の研究を全部つなげてみれば、"intercessory prayer"の効果は見られないというのが結論。

これまでと違ったデザインをしないのであれば、もはや、同様に研究をする意義はないだろう。


メタアナリシス対象のReferences

Aviles JM, Whelan SE, Hernke DA, Williams BA, Kenny KE, O’Fallon WM.: "Intercessory prayer and cardiovascular disease progression in a coronary care unit population: a randomized controlled trial." Mayo Clinical Proceedings, 76:1192-1198, 2001

Byrd RC.: "Positive therapeutic effects of intercessory prayer in a coronary care unit population." Southern Medical Journal, 81:826-829, 1988.

Cha KY, Wirth DP.: "Does prayer influence the success of in vitro fertilization-embryo transfer?" The Journal of Reproductive Medicine. 46, 781-787, 2001

Collipp PJ.: "The efficacy of prayer: a triple-blind study." Medical Times, 97:201-204, 1969.

Harris WS, Gowda M, Kolb JW, Strychacz CP, Vacek JL, Jones PG, et al.: "A randomized, controlled trial of the effects of remote, intercessory prayer on outcomes in patients admitted to the coronary care unit." Archives of Internal Medicine, 159:2273-2278, 1999.

Joyce CRB, Welldon RMC.: "The objective efficacy of prayer: a double-blind clinical trial." Journal of Chronic Diseases, 18:367-377, 1965.

Krucoff MW, Crater SW, Gallup D, Blankenship JC, Cuffe M, Guarneri M, et al. Music, imagery, touch, and prayer as adjuncts to interventional cardiac care: the Monitoring and Actualisation of Noetic Trainings (MANTRA) II randomized study. The Lancet, 366:211-217, 2005.

Mathai J, Bourne A.: "Pilot study investigating the effect of intercessory prayer in the treatment of child psychiatric disorders." Australian Psychiatry, 12:386-389, 2004.

Matthews DA, Marlowe SM, MacNutt FS.: "Effects of intercessory prayer on patients with rheumatoid arthritis." Southern Medical Journal, 93:1177-1186, 2000.

Matthews WJ, Conti JM, Sireci SG.: "The effects of intercessory prayer, positive visualization, and expectancy on the well-being of kidney dialysis patients." Alternative Therapies in Health and Medicine, 7:42-52, 2001

O’Laoire S.: "An experimental study of the effects of distant intercessory prayer on selfesteem, anxiety, and depression." Alternative Therapies in Health and Medicine, 3:38-53, 1996

Palmer RF, Katerndahl D, Morgan-Kidd J.: "A randomized trial of the effects of remote intercessory prayer: interactions with personal beliefs on problem-specific outcomes and functional status." The Journal of Alternative and Complementary Medicine, 10:438-448, 2004.

Tloczynski J, Fritzsch S.: "Intercessory prayer in psychological well-being: using a multiplebaseline, across-subjects design." Psychological Reports, 91:731-741, 2002.

Walker SR, Tonigan JS, Miller WR, Comer S, Kalich L.: "Intercessory prayer in the treatment of alcohol abuse and dependence: a pilot investigation." Alternative Therapies in Health and Medicine, 3:79-87, 1996.


タグ:祈り
posted by Kumicit at 2006/12/04 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006/12/03

"Intercessory Prayer"動向(3/7) -- 詐欺師登場

ある人が別の人の健康のための祈れば、その別の人の健康に影響を及ぼすだろうか? この"intercessory prayer"について、Dr. Terence Hines["Pseudoscience and the Paranormal" 2nd edition, pp.378-381, 2003]が簡潔にまとめている。そこでHines博士がとりあげたネタのひとつが、2001年のThe Columbia Universityの奇跡研究スキャンダルである。これは、University of California-IrvineのObstetrics & Gynecologyの教授であるFlamm[2002,2004a,2004b]により暴かれたものだ。Flammによれば...


その研究とは、不妊治療のための人工授精の成功確率を上げる"Intercessory Prayer"についてのものだった[Cha, 2001]。論文の著者たちは...

そして、人工受精について次のような結果を得たと主張した:
The IP group had a higher pregnancy rate as compared to the no-IP rate (50% vs. 26%, P=.0013). The IP group showed a higher implantation rate (16.3% vs. 8%, P=.0005).

祈られたグループの妊娠率は、祈られなかったグループよりも高かった(50% 対 26%で P= 0.0013)。着床率も祈られたグループが高かった(16.3% 対 8%で P=0.0005)。

A statistically significant difference was observed for the effect of IP on the outcome of IVF-ET, though the data should be interpreted as preliminary.

初期的な結果ではあるが、人工授精の結果について祈りの効果に、統計的に有意な違いがあることわかった。
信じられない、すざまじい効果である。しかし...



Cha et al.[2001]の問題点

Flamm[2002]はまず以下の問題を指摘する:

  • Cha et al.[2001]には219名の患者のうち20名が"fragmentary e-mail transmission"による除外されたとある。しかし、どういう障害が起きたのか記載がない。==> データ改竄の疑いがある。
  • Cha et al.[2001]は"we set out with the expectation that we would show no benefit of intercessory prayer."(効果がないことと判明すると期待して実験を始めた)とあるが、Daniel Wirthは超常現象屋であり、超常現象を主張する著作が多くある[Wirth and Cram ,1994; Wirth and Cram, 1993; Wirth and Marrett, 1994; Wirth 1995; Wirth et al., 1996; Wirth et al., 1997; Wirth and Cram, 1997]。==>嘘つきの疑いがある。
  • Cha et al.[2001]はバイアスを排除したと言うが、ボランティアとして祈りに参加した人々の多くは宗教団体に所属しているはずであり、そこにバイアスの可能性がある。にもかかわらず、何らの記載もない。さらに、"most intercessors were known to one author."(祈った人々の大半は、著者のひとりに知られている)とある。==> 何らかのコンタクトがあり、二重盲検が破れているかもしれない。
  • Cha et al.[2001]は慎重なデータのマスキングをしたと言うが、方法の記載がない。==>データ改竄の可能性を否定できない。
  • Cha et al.[2001]は、患者たちに対して他の者が祈りを捧げたかどうかについて言及していない。


そして、意味もなく複雑にされた研究のデザインを問題にする。Cha et al.[2001]では:

  • Tier-1 Blcok-A: 5人の患者が写った1枚の写真に対して、妊娠確率を上げるように祈る。名前や年齢などは知らされない。
  • Tier-2 Blcok-A: Tier-1 Block-Aの祈りの効果を高めるように祈る。続いて、"intent that God's will or desire be fulfilled in the life of the patient."と祈る(妊娠確率の向上ではない)
  • Block-B/C/Dでも類似した間接的な祈りを実施。
  • さらに、別に3人のグループが、"God's will or desire be fulfilled for the prayer participants in tiers 1 and 2."と祈る(Tier-1とTier-2の祈りに効果向上ではない)。
という、複雑な設定をしていた。しかし、その理由の説明はCha et al.[2001]には記載がない。

そもそも論文の記述自体からも、研究に疑問点が多すぎた。そして...


あやしすぎるDaniel P. Wirth

Flamm[2002]によれば、第2著者のDaniel P. Wirthはかなりあやしい人物である:
Daniel Wirth has no medical degree but has published many studies claiming to support the existence of paranormal phenomena. Many of these studies originated from an entity called, "Healing Sciences Research International," an organization that he supposedly headed. This entity's only known address was apparently a Post Office box in Orinda California. Wirth holds an MS degree is in the dubious field of "parapsychology" and also has a law degree.

Daniel Wirthは医学の学位を持っていないが、超常現象の存在を支持すると主張する多くの研究を発表している。これらの研究の多くが、Daniel Wirthが主宰と思われる"Healing Sciences Research International"と呼ばれる団体によるものである。この団体の既知の住所はカリフォルニアOrindaの私書箱である。Wirthは"超心理学"というあやしい分野の修士と法学博士の学位を持っている。
Flamm[2002]によれば、特に、祈りの効果などを中心に著作を書いている。

さらに、Daniel Wirthは、2004年に本件とは無関係の詐欺事件の共謀罪を認めている[The Chronicle of Higher Education, 2004/06/08]。

==> Fourth superseding indictment. U.S.A. v. John Doe (FBI No. 034055NA9) and Joseph Wirth. U.S. District Court for the Middle District of Pennsylvania. Filed Feb 12, 2004.


Flamm[2004a]はこの事件につい詳述している:
In October 2002, one year after the Cha/Wirth/Lobo study was published, Mr. Wirth, along with his former research associate Joseph Horvath, also known as Joseph Hessler, was indicted by a federal grand jury (9). Both men were charged with bilking the troubled cable television provider Adelphia Communications Corporation out of $2.1 million by infiltrating the company, then having it pay for unauthorized consulting work. Police investigators discovered that Wirth is also known as John Wayne Truelove. FBI investigators revealed that Wirth first used the name of Truelove, a New York child who died at age five in 1959, to obtain a passport in the mid-1980s. Wirth and his accomplice were charged with thirteen counts of mail fraud, twelve counts of interstate transportation of stolen money, making false statements on loan applications, and five other counts of fraud. A federal grand jury concluded that the relationship between Wirth and Horvath extended back more than twenty years and involved more than $3.4 million in income and property obtained by using false identities. In addition to the Adelphia scheme, Wirth apparently found a way to defraud the federal government by collecting Social Security benefits totaling approximately $103,178 from 1994 to 2003 in the name of Julius Wirth. This man, possibly Daniel Wirth's father, died in 1994 but his benefits continued to be paid after his death via electronic funds transferred to the Republic National Bank.

Cha et al.[2002]が出版されてから1年後の2002年10月に、Wirthは元の研究仲間のJoseph Horvath, またの名をJoseph Hesslerとともに、連邦大陪審により起訴された[Associated Press 2002/10/16報道]。両名は、ケーブルテレビ会社Adelphia Communications Corporationに入り込んで、承認されていないコンサルティングに210万ドルを支出させたとして告発された。警察はWirthが、John Wayne Trueloveという名を持っていることを見つけた。FBI捜査官は、Wirthtが1980年代半ばにパスポート取得のために1959年に5歳で死亡したニューヨークの子供Trueloveの名前を使ったことを明らかにした。Wirthと共犯者は、13件のメール詐欺、12件の盗んだ金の州を越えた移送、ローンについて誤った申告、5件のその他の詐欺で訴えられた。連邦大陪審はWirthとHorvathの関係が20年以上に及び、偽った身分証明によって、340万ドル以上の収入を得ていたと結論した。Adelphiaの件以外に、WirthはJulius Wirthの名義で1994〜2003年に合計103,178ドルの社会保障を連邦政府から騙し取った。この名義はおそらく1994年に死亡した父親のもので、死後も年金がRepublic National Bankに振り込まれ続けた。

Incredibly, at the time of the indictment, Horvath, Wirth's partner, was already in jail, charged with arson for burning down his Pennsylvania house to collect insurance money (10). The FBI investigation revealed that Horvath had previously gone to prison in a 1990 embezzlement and false identity case in California. Interestingly, the investigation also revealed that he had also once been arrested for posing as a doctor in California. It appears that the "doctor" who performed biopsies on human research subjects in Wirth's famous healing studies may have actually been Horvath impersonating a doctor. Horvath was a co-author on another of Wirth's studies in which salamander limbs were amputated and found to grow back more quickly when "healers" waved their hands over the wounds.

信じられないことに、告発の時点で、Wirthの共犯者であるHorvathは、保険金を騙し取るためにペンシルバニアの自宅に放火した件[Associated Press 2003/2/5報道]で、刑務所にいた。FBIの調査で、Horvathが1990年にカリフォルニアで横領と偽った身分証明の件で刑務所に入っていたことがわかった。興味深いことに、その調査で、彼もカリフォルニアで医師だと偽ったために、逮捕されたことがわかった。これにより、Wirthの有名な治療の研究において、研究の生体検査をした"医師"が、医師だと偽ったHorvathの可能性が出てくる。Horvathは、切断されたサンショウウオの四肢が、治療者が手をかざすと、より速く回復することを見つけたWirthの研究の共著者だった。

Both Wirth and Horvath initially pled not guilty to the felony charges, and over the next eighteen months their trial was delayed six times. However, on May 18, 2004, just as the criminal trial of the United States v. Wirth & Horvath was finally about to begin, both men pled guilty to conspiracy to commit mail fraud and conspiracy to commit bank fraud (11). Each man faced a maximum of five years in federal prison and agreed to forfeit assets of more than $1 million obtained through fraudulent schemes. Horvath, however, was found dead in his jail cell on July 13, 2004, an apparent suicide.

WirtyとHorvathは始めは無罪を主張した。そして、18ヶ月にわたって、6回も裁判が延期された。しかし、2004年5月18日に、連邦政府 vs Wirth & Horvathの裁判が始まった時、両目はメール詐欺と銀行詐欺についての共謀を認めた。両名は、連邦刑務所で最長5年の懲役の可能性があり、詐欺によって得た100万ドル以上の資産を失うことに同意した。しかし、Horvathは2004年7月13日に独房で自殺と見られる死体で発見された。

二重盲検が重要な研究分野において、この有り様では、論文の記述を一切信用できなくなった。


逃亡したColumbia UniversityとDr.Lobo

第3著者であるDr.Loboと所属するColumbia Universityは論文発表当初は、Dr.Loboの役割を強調していた:
RESEARCH NEWS: Prayer may influence in vitro fertilization success [2001/09/24]

Prayer may almost double the success rate of in vitro fertilization procedures that lead to pregnancy, according to surprising results from a study carefully designed to eliminate bias. The findings, published in the September Journal of Reproductive Medicine, show that a group of women who had people praying for them had a 50 percent pregnancy rate compared with a 26 percent rate in the group of women who did not. The researchers, led by Dr. Rogerio Lobo, chairman of the Department of Obstetrics and Gynecology at Columbia University College of Physicians & Surgeons, acknowledge the results seem incredible. But they decided to go public with the findings so other scientists could determine if the results were reproducible and, if so, to then identify what factors might be responsible for the improved success rate in the women who received prayers.

慎重にバイアスを除外するようにデザインされた研究による驚くべき結果によれば、祈りは妊娠につながる体外受精の成功率をほぼ2倍にするかもしれない。2001年9月のJournal of Reproductive Medicineで公表される発見は、祈られたグループの女性の妊娠率が50%であるのに対して、祈られなかったグループの妊娠率は26%だった。Columbia UniversityのPhysicians & Surgeons学部Obstetrics and Gynecology学科長であるDr. Rogerio Loboに指導された研究者たちは、結果が信じられないものだと認めている。しかし、研究者たちはこの結果が再現可能かどうかの確認、そして再現できたなら、祈りを受けた女性たちの妊娠率の向上に何が効いているのか特定ができるように、発見を公表することにした。
ところが、共著者で超常現象屋のDaniel P. Wirthの詐欺がばれたら:
The Chronicle of Higher Education, 2004/06/08

Dr. Lobo's secretary, Reba Nosoff, described Dr. Cha as a visiting professor and said he had completed the study without Dr. Lobo's help.

Dr. Loboの秘書であるReba Nosoffは「Dr. Chaは客員教授であり、その研究をDr. Loboの援助なしに完成しました」と説明した。

In the study, Americans, Australians, and Canadians prayed for women in South Korea who were unaware that they were part of an experiment. Dr. Cha, said Ms. Nosoff, "brought this study to Dr. Lobo to go over because he could hardly believe the results. Dr. Lobo said it's a good study, and it is proper. So he put his stamp of approval on it, that's all."

その研究では、米国人・オーストラリア人・カナダ人が、実験に参加していることを知らされていない韓国の女性のために祈った。Nosoff秘書は「Dr. Chaはこの結果が信じがたいものだったので、Dr.Loboに再検討してもらうために、この研究をDr.Loboに持ち込んだものです。Dr. Loboはこれがよい研究であり、適切であると言いました。それなので、彼は承認のスタンプを押しました。それだけです。」と言った。

Ms. Nosoff's account largely squares with one given in a December 2001 letter to Columbia's vice president for health sciences from an official at the U.S. Department of Health and Human Services' Office for Human Research Protections. The office had apparently investigated the Columbia study because the human subjects had not been informed of their participation. The research-protections office said in the letter that it would not take action against Columbia in part because Dr. Lobo "first learned of the study from Dr. Cha 6-12 months after the study was completed. Dr. Lobo primarily provided editorial review and assistance with publication."

Nosoff秘書の説明は、米保健社会福祉省のHuman Research Protections担当者からColumbia Universityのhealth sciences担当副学長へ2001年12月の手紙の内容と、おおよそ一致する。この研究では、参加者に目的が知らされていなかったので、当局はColumbia Universityの研究を調査した。research-protections当局は手紙の中で、「Dr. Loboが研究のことをDr. Chaから知らされたのが、研究完了から6〜12ヶ月後だったので、本件について追求しない。Dr. Loboは主として、論文のチェックと出版の手伝いをした」と書いている。
あっさり、論文をチェックしただけと逃亡。というより、Dr. Loboの役割を強調したメールニュースの方が誇大宣伝だったというお話。


そして...

本件をFlamm[2004a]は次のようにまとめている:
In summary, one of the authors of the Columbia Cha/Wirth/Lobo study has left the University and refuses to comment, another now claims he did not even know about the study until six months to a year after its completion and also refuses to comment. The remaining author is on his way to federal prison for fraud and conspiracy. Fraud is the operative word here. In reality, the Columbia University prayer study was based on a bewildering study design and included many sources of error. But worse than flaws, in light of all of the shocking information presented above, one must consider the sad possibility that the Columbia prayer study may never have been conducted at all.

まとめると、ColumbiaのCha/Wirth/Loboの研究の著者のひとり(Cha)はColumbia Universityを去っていて、コメントを拒否。もう一人(Lobo)は、研究結果を6〜12ヶ月後に知っただけだと主張し、コメントを拒否。残りの一人(Wirth)は、詐欺罪で刑務所行き。詐欺はまだ残っている。実際、Columbia Universityの研究は戸惑うようなデザインに基づいていて、エラーの要因を多く含んでいた。しかし、上述の衝撃的な情報を考えれば、欠陥よりさらに悪く、そもそも実験がまったく行われなかったという嘆かわしい可能性も考慮しなければならない。

詐欺を繰り返してきたWirthによって、祈りを捧げる人々が管理されていたことになっていた。だから、そもそも祈ったボランティアなど存在しなかったかもしれない。




References

Cha, K.Y., D.P. Wirth, and R.A. Lobo: "Does Prayer Influence the Success of In Vitro Fertilization-Embryo Transfer?", Journal of Reproductive Medicine, 46, 781-87, 2001

Flamm, B.L.: "Faith Healing by Prayer", Scientific Review of Alternative Medicine, 5, 47-50, 2002.[2004年加筆版]

Flamm, B.L.: "The Columbia University 'miracle' study: flawed and fraud", Skeptical Inquirer, Sept-Oct, 2004a.

Flamm, B.L.: "The Columbia University "Miracle" Study: A Sign From God?", Freethought Today, 21(9), 2004b.

Wirth DP, Cram JR. The psychophysiology of nontraditional prayer. International Journal of Psychosomatics, 41:68-75, 1994.

Wirth DP, Cram JR. Multisite electromyographic analysis of non-contact therapeutic touch. International Journal of Psychosomatics, 40:47-55, 1993

Wirth DP, Marrett MJ. Complementary healing therapies. International Journal of Psychosomatics, 41:61-67, 1994.

Wirth DP. The significance of belief and expectancy within the spiritual healing encounter. Social Science & Medicine, 41:249-260, 1995.

Wirth DP, Richardson IT, Eidelman WS. Wound healing and complementary therapies: A review. Journal of Alternative and Complementary Medicine , 2:493-502, 1996.

Wirth DP, Cram JR, Chang RJ. Multisite electromyographic analysis of therapeutic touch and qigong therapy. Journal of Alternative and Complementary Medicine, 3:109-118, 1997.

Wirth DP, Cram JR. Multisite surface electromyography and complementary healing intervention: a comparative analysis. Journal of Alternative and Complementary Medicine, 3:355-364, 1997.

タグ:祈り
posted by Kumicit at 2006/12/03 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006/12/02

"Intercessory Prayer"動向(2/7) 効果は見出せない by Matthews et al

ある人が別の人の健康のための祈れば、その別の人の健康に影響を及ぼすと主要される"intercessory prayer"について、Hines[2003]をたどってみていく2回目は、Matthews et al.[2000]による過去の調査から。Matthews et al.[2000]は従来のIntercessory Prayer研究で、有意な祈りの効果を観測できなかった文献を6個挙げた。それらは...

Joyce and Welldon[1965]は有意な結果は得られなかった。そして次のようにコメントしている:
In the area of intercessory prayer, we see people confusing anecdotal evidence with scientific research. In fact, many people were very eager to tell us why they think that intercessory prayer is therapeutic, but were quite disappointed (and occasionally quite distressed) when we told them that we were looking for evidence from controlled scientific studies.


Collipp[1969]は祈りの効果はあったものの、患者数16と少なすぎて、統計的な有意性を判断できるものではなかった。

Elkins et al.[1979]もほとんど効果を見出さなかった:
prayer produced less tension reduction than relaxation training but only slightly (non) significant more tension reduction than the control condition.


O’Laoire[1997]も効果を確認するものではない。
Subjects improved significantly on all 11 measures. Agents improved significantly on 10 measures. A significant positive correlation was found between the amount of prayer the agents did and their scores on the five objective tests. Agents had significantly better scores than did subjects on all objective measures. Subjects' views of the locus of God's action showed significance in three objective measures. Improvement on four objective measures was significantly related to subjects' belief in the power of prayer for others. Improvement on all II measures was significantly related to subjects' conviction concerning whether they had been assigned to a control or an experimental group. Possible explanations include the placebo/faith effect, the time displaced effect, and extraneous prayer.


Walker et al.[1996]
Intercessory prayer did not demonstrate clinical benefit in the treatment of alcohol abuse and dependence under these study conditions. Prayer may be a complex phenomenon with many interacting variables.

Intercessory prayerは、これらの研究において、アルコール依存の治療において、臨床的な有効性を示さなかった。祈りは、多くの相互に作用している変数による複雑な現象であるかもしれない。


Wirth and Barrett[1994]
Results showed significance for the treated versus the control group but in the opposite direction from that expected.

介入群と対照群の間で有意な差が見られたが、期待とは逆方向のものだった。

有意な結果が出たByrd[1988]については、Tessman and Tessman[2000]と同様の批判を行っている。


Matthews and Contiたちによる実験でも

Matthews et al.[2000]の翌年にはMatthews et al.[2001]を行い、Intercessory Prayerに効果がみられないを示している。この実験では、患者たちは6群に分割された。

  • Intercessoy Prayerを受けられると告げられた
    • 実際にもIntercessoy Prayerを受けた
    • 実際にはPositive Visuallizationを受けた
    • 実際には何もしてもらえなかった

  • Positive Visuallizationを受けられると告げられた
    • 実際にはIntercessoy Prayerを受けた
    • 実際にもPositive Visuallizationを受けた
    • 実際には何もしてもらえなかった


結果は、告げられた内容に依存して、Intercessoy Prayerを受けると告げられた患者群が、Positive Visuallizationを受けられると告げられた患者群よりも状態がよかった。しかし、実際に何を受けたか、あるいは何もしてもらえらなかったかには、有意な差異が見られなかったというもの:
DESIGN: 2 x 3 (expectancy x treatment) factorial study.
デザイン:2×3(期待×治療)研究

PARTICIPANTS: 95 adult male and female volunteer hemodialysis subjects with end-stage renal disease from an outpatient clinic in Miami, Fla.
参加者:マイアミ(フロリダ)の外来患者クリニックからの末期腎臓病にかかった95人の成人の男性と女性のボランティア血液透析患者

INTERVENTION: Participants were randomly assigned to 1 of the 6 treatment conditions.
介入:参加者は、6つの処置状況のうちの1つまで無作為割付けされた。

RESULTS: Subjects who expected to receive intercessory prayer reported feeling significantly better than did those who expected to receive positive visualization (F1.93 = 5.42; P < .02). No other statistically significant main effects or interactions were found for either expectancy, intercessory prayer, or positive visualization on the remaining dependent measures. Analysis of effect sizes on all dependent measures failed to indicate even a small magnitude of effect for intercessory prayer as contrasted with expectancy on the medical or psychological variables.

Intercessory Prayerを受けると期待した人々は、positive visualizationを受けると期待した人々よりも、はるかに気分が良くなったと報告している(F1.93 = 5.42; P < .02)。他のいかなる統計学的に有意な影響もまたはインタラクションは、残りの従属する処置上でどちらの期待も、Intercessory Prayerあるいはpositive visualizationで見つからなかった。医学的あるいは精神的な変数の上で期待と比べて、全ての従属する方法のeffect size分析で、Intercessory Prayerについて、わずかの影響も見られなかった。

CONCLUSIONS: The effects of intercessory prayer and transpersonal positive visualization cannot be distinguished from the effect of expectancy. Therefore, those 2 interventions do not appear to be effective treatments.

結論: Intercessory Prayerとtranspersonal positve visualizationの効果は、期待の効果と区別できなかった。従って、これら2つの介入に治療効果は見られない。
詳細結果についてはConti et al.[2003]参照。


2000年時点で有効な結果はByrd[1988]だけだが...

Matthews et al.[2000]が調べた時点で、Intercessory Prayerに有意な効果が見られと報告していたのはByrd[1988]だけだった。しかし、このByrd[1988]はPosner[1990]やTessman and Tessman[2000]が指摘するように、二重盲検が破れていたため、信頼できない。同様の指摘はMatthews et al.[2000]も行っている。

結局は、Intercessory Prayerそのものには効果は見出せないというのが、Matthews et al.[2000,2001]の結論だった。ただし、彼らはもちろん、サイコセラピーを否定するものではないMatthews et al.[1998]。


References

Byrd RC.: "Positive therapeutic effects of intercessory prayer in a coronary care unit population." Southern Medical Journal, 81:826-829, 1988.

Collipp PJ.: "The efficacy of prayer: a triple-blind study." Medical Times, 97:201-204, 1969.

Conti JM, Matthews WJ and Sirec SG: "Intercessory Prayer, Visualization, and Expectancy for Patients with Severe Illnesses", annals, winter 20-27, 2003.

Elkins D, Anchor KN, Sandler HM: "Relaxation training and prayer behavior as tension reduction techniques", Behavioral Engineering, 5(3), 81-87, 1979.

Green, W.M.: "Therapeutic Effects of Distant Intercessory Prayer and Patients' Enhanced Positive Expectation on Positive Recovery Rates and Anxiety Levels of Hospitalized Neurosurgical Pituitary Patients: A Double Blind Study", Dissertation Abstracts International, 54(5-B), 2752, 1993.

Hines T:"Pseudoscience and the Paranormal" 2nd edition, pp.378-381, 2003.

Joyce CRB, Welldon RMC.: "The objective efficacy of prayer: a double-blind clinical trial." Journal of Chronic Diseases, 18:367-377, 1965.

Matthews WJ, Conti JM, and Christ T: "God's HMO: Prayer, Faith, Belief, and Physical Well-Being", Skeptic, 8(2), 64-66, 2000.

Matthews WJ, Conti JM and Soreci SG: "The effects of intercessory prayer, positive visualization, and expectancy on the well-being of kidney dialysis patients", Altern Ther Health Med., 7(5), 42-52. 2001[Abstract]

Matthews WJ, Conti JM and Starr U: "Eridosonian Hypnosis: A review of the empirical data", in Current Thinking and Research in Brief Therapy II (ed. Matthews WJ and Edgette J), Philadelphiac Taylor, 1998

O’Laoire S.: "An experimental study of the effects of distant intercessory prayer on selfesteem, anxiety, and depression." Alternative Therapies in Health and Medicine, 3:38-53, 1997. [PubMed]

Posner GP: "God in the CCU?: A critique of the San Francisco hospital study on intercessory prayer and healing", Free Inequiry, 1990.

Tessman, I. and J. Tessman: "Efficacy of Prayer: A Critical Examination of Claims", Skeptic Inquirer, 24(2), 31-33, 2000.[コピー]

Walker SR, Tonigan JS, Miller WR, Comer S, Kalich L.: "Intercessory prayer in the treatment of alcohol abuse and dependence: a pilot investigation." Alternative Therapies in Health and Medicine, 3:79-87, 1996.[PubMed]

Wirth DP and Barrett MJ: "Complementary healing therapies", International J. Psychosomatics, 41(1-4), 61-67, 1994.[PubMed]
タグ:祈り
posted by Kumicit at 2006/12/02 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006/12/01

"Intercessory Prayer"動向(1/7) はじまり、そして二重盲検

ある人が別の人の健康のための祈れば、その別の人の健康に影響を及ぼすだろうか? この"intercessory prayer"について、Dr. Terence Hines["Pseudoscience and the Paranormal" 2nd edition, pp.378-381, 2003]が簡潔にまとめている。この記述をもとに、intercessory prayerの効果についての研究をたどってみたい。


始まりはGalton [1872]から

祈りの効果についての最初の研究は、Tankard[1984]によれば、Galton[1872]のよるものである。Galton(1822–1911)はCharles Darwinの従兄弟であり、統計学の創始者のひとりである。遺伝学についても研究があるが、現在につながる成果はない。優生学(Eugenics)という用語を作った人でもある。
そのGaltonの研究は、30歳までに死亡した人および事故死を除いた男性の平均寿命の職業別の値を見たものである。生死年のデータは、 memoir by Dr. Guy, in the (Vol. XXII. p.355)[表中の"平均"]および、Chalmersの伝記およびAnnual Registerの記録[Eminent Men]から。着目点は、病気の時のIntercessory Prayerではなく、日常的に祈りをささげている量の多い聖職者たちが、他の職業より長生きかどうかを見てみようというもの。

人数 平均 Eminent Men
王室 97 64.04
聖職者 945 69.49 66.42
弁護士 294 68.14 66.51
医療関係者 244 67.31 67.07
貴族 1,179 67.31
ジェントルマン 1,632 70.22
交易商業 513 68.74
海軍士官 366 68.4
文学・科学 395 67.55 65.22
陸軍士官 659 67.07
芸術 239 65.96 64.74


この結果について、Galtonは次のようにコメントしている:

The sovereigns are literally the shortest lived of all who have the advantage of affluence. The prayer has therefore no efficacy, unless the very questionable hypothesis be raised, that the conditions of royal life may naturally be yet more fatal, and that their influence is partly, though incompletely, neutralised by the effects of public prayers.

王室は富を持つ人々の中で文字通りに寿命が最短である。王室の寿命が自然の状態ではもっと短くて、公的な祈りの効果によって、不完全ながら影響を受けたという、非常に疑わしい仮説が成り立たない限り、祈りは従って効果はない。

It will be seen that the same table collates the longevity of clergy, lawyers, and medical men. We are justified in considering the clergy to be a far more prayerful class than either of the other two. It is their profession to pray, and they have the practice of offering morning and evening family prayers in addition to their private devotions. A reference to any of the numerous published collections of family prayers will show that they are full of petitions for temporal benefits. We do not, however, find that the clergy are in any way more long lived in consequence. It is true that the clergy, as a whole show a life-value of 69.49, as against 68.11 for the lawyers, and 67.31 for the medical men; but the easy country life and family repose of so many of the clergy are obvious sanatory conditions in their favour. This difference is reversed when the comparison is made between distinguished members of the three classes—that is to say, between persons of sufficient note to have had their lives recorded in a biographical dictionary. When we examine this category, the value of life among the clergy, lawyers, and medical men is as 66.42, 66.51, and 67.04 respectively, the clergy being the shortest lived of the three. Hence the prayers of the clergy for protection against the perils and dangers of the night, for protection during the day, and for recovery from sickness, appear to be futile in result.

同じ表で、聖職者と弁護士と医師の寿命を比較できる。聖職者は弁護士や意思と比べて、はるかに信心深い職種と考えることは正当である。祈ることが彼らの仕事である。そして彼らは個人的な礼拝に加え、朝夕に家族の祈りを捧げる。多数の公表された家族の祈りはどれも、現是利益への嘆願で満ち溢れていることを示している。しかしながら、聖職者たちが長生きだという結果を見出せない。確かに、弁護士68.11歳、医師67.31歳に対して、聖職者69.49歳である。しかし、聖職者の多くは気楽なカントリーライフにあって、家族の休息も可能であり、これは病気回復によい条件である。人名事典[表中のEminent Men]の記録による寿命を、聖職者と弁護士と医師で比較すると、それぞれ66.42歳、66.51歳、67.04歳であり、これら3つの職種でもっとも短くなっている。従って、夜の危険から守るための祈りや、昼の守りのための祈りや、病気回復の祈りは、結果として無駄に見える。


現在の感覚からわかりにくいが、都市住民の寿命が短いというのは、多くの時代で、欧州[都市墓場説 eg. 高橋美由紀]でも日本[eg. 鬼頭宏:人口から読む日本の歴史, 講談社学術文庫, pp178,186, 2000]でも同様だった。そのためカントリーライフが多い聖職者は寿命的に有利とみなされる。それでも、統計値によっては医師や弁護士に負けている。だから、祈りの効果があるようには見えないというのがGaltonのコメントである。



祈りの効果があったというByrd[1988]

Byrd[1988]は実験によって、Intercessory Prayerには効果があったことを確認したと主張した。その実験とは:
Between August 1982 and May 1983, 393 patients were entered into a prospective double blind randomized protocol to assess the therapeutic effects of intercessory prayer.

1982年8月から1983年の5月に、393名の患者がintercessory prayerの治療効果を調査するための二重盲検のランダムな手順に参加した。

All patients admitted to the coronary care unit at San Francisco General Hospital were eligible for entry into the study; 57 patients refused for personal reasons, religious convictions, and/or unwillingness to sign the informed consent.

San Francisco General Hospitalの冠状疾患集中治療室(CCU)に入院するすべての患者がこの調査の参加候補であった。57人の患者が個人的理由や宗教的信念やインフォームドコンセントへの署名拒否などにより、参加を拒否した。

Before entry, the nature of the project was fully explained to each patient and informed consent was obtained. Patients were randomly assigned (using a computer-generated list) either to receive or not to receive intercessory prayer. The patients, the staff and doctors in the unit, and I remained "blinded',' throughout the study. As a precaution against biasing the study, the patients were not contacted again. It was assumed that some of the patients in both groups would be prayed for by people not associated with the study; this was not controlled for. Thus some of the patients in the control group would be prayed for, whereas all of the patients in the prayer group would be.

参加にあたり、調査プロジェクトの性質の完全な説明をすべての患者に行い、インフォームドコンセントを得た。コンピュータが生成したリストを使って、患者たちをランダムに、Intercessory Prayerを受ける・受けないに振り分けた。調査の間、患者と治療関係のスタッフと医師および私は、患者がどちらに振り分けられたか知らない状態におかれた。調査が偏ることを予防するために、患者には最初の説明以後、連絡はとられなかった。患者たちの中には受ける・受けないのどちらに振りかけられたかにかかわらず、調査に関係ない人からの祈りを受ける可能性を仮定した。これは制御できない。従って、祈りを受ける介入群の患者すべてが祈りを受けたのに対して、対照群(受けない)の患者の中には祈りを受けたものもいたかもしれない。


そして、二重盲検な調査の結果は次のようなものだった。実験参加前の状態は介入群と対照群で有意差がないことが示される:
         Byrd[1988]   TABLE 1. 実験前の患者の状態

介入群 対照群
(n = 192) (n = 201) P
年齢(平均±標準偏差) 58.2 ± 14.8 60.1 ± 15.0 NS
女性 65 63 NS
男性 127 138 NS
時間 (日単位, 平均±標準編纂)* 0.9 ± 1.2 0.9 ± 1.1 NS
実験前の心臓疾患 % (No.) % (No.) P
Congestive heart failure 33 (63) 33 (66) NS
Cardiomegaly 32 (62) 32 (64) NS
prior myocardial infarction 30 (57) 26 (50) NS
Acute myocardial infarction 27 (51) 29 (58) NS
Unstable angina 25 (48) 30 (61) NS
Chest pain, cause unknown 19 (36) 15 (31) NS
Acute pulmonary edema 13 (25) 13 (27) NS
Syncope 11 (21) 6 (12) NS
Cardiomyopathy 8 (16) 9 (17) NS
Supraventricular tachyarrhythmia 8 (15) 12 (24) NS
VT/VF 8 (14) 9 (17) NS
Intubation/ventilation 6 (11) 10 (19) NS
Valvular heart disease 5 ( 8) 8 (15) NS
Hypotension (systolic <90 torr) 4 ( 8) 5 (10) NS
Cardiopulmonary arrest 4 ( 8) 6 (12) NS
Third-degree heart block 2 ( 3) 1 ( 1) NS
実験前の心臓以外の疾患 % (No.) % (No.) P
Diabetes mellitus 8 (16) 9 (18) NS
COPD 8 (15) 10 (19) NS
Gastrointestinal bleeding 5 (10) 2 ( 3) NS
Severe hypertension 5 (10) 7 (13) NS
Pneumonia 5 ( 9) 4 ( 7) NS
.Chronic renal failure 4 ( 8) 4 ( 8) NS
Trauma 4 ( 7) 3 ( 6) NS
Cerebrovascular accident 4 ( 7) 2 ( 4) NS
Drug overdose 3 ( 5) 3 ( 5) NS
Sepsis 2 ( 3) 2 ( 4) NS
Cirrhosis of the liver 2 ( 9) 1 ( 2) NS
Pulmonary emboli 1 ( 2) 1 ( 1) NS
Systemic emboli 1 ( 2) 0 ( 0) NS
Hepatitis 0 ( 0) 1 ( 2) NS
*;CCU入院から乱数振り分けまでの時間

続いて、実験後の状態について29項目を比較し、そのうち6項目に有意差があったと判明:
   Byrd[1988] TABLE 2. Intercessory Prayerの結果

介入群 対照群 P
参加後のCCU滞在日数 2.0 ± 2.5 2.4 ± 4.1 NS
参加後の入院日数 7.6 ± 8.9 7.6 ± 8.7 NS
退院時処方数 3.7 ± 2.2 4.0 ± 2.4 NS
参加後の新たな問題・治療効果 % (No.) % (No.) P
Antianginal agents 11 (21) 10 (19) NS
Unstable angina 10 (20) 9 (18) NS
Antiarrhythmics 9 (17) 13 (27) NS
Coronary angiography 9 (17) 11 (21) NS
VTNF 7 (14) 9 (17) NS
Readmissions to CCU 7 (14) 7 (14) NS
Mortality 7 (13) 9 (17) NS
Congestive heart failure 4 (8) 10 (20) <0.01
Inotropic agents 4 (8) 8 (16) NS
Vasodilators 4 (8) 6 (12) NS
Supraventricular tachyarrhythmia 4 (8) 8 (15) NS
Arterial pressure monitoring 4 (7) 8 (15) NS
Central pressure monitoring 3 (6) 7 (15) NS
Diuretics 3 (5) 8 (15) <0.01
Major surgery before discharge 3 (5) 7 (14) NS
Temporary pacemaker 2 (4) 1 ( 1) NS
Sepsis 2 (4) 4 ( 7) NS
Cardiopulmonary arrest 2 (3) 7 (14) <0.01
Third-degree heart block 2 (3) 1 ( 2) NS
Pneumonia 2 (3) 7 (13) <0.01
Hypotension (systolic <90 torr) 2 (3) 4 ( 7) NS
Extension of infarction 2 (3) 3 ( 6) NS
Antibiotics 2 (3) 9 (17) <0.01
Permanent pacemaker 2 (3) 1 ( 1) NS
Gastrointestinal bleeding 1 (1) 2 ( 3) NS
Intubation/ventilation 0 (0) 6 (12) <0.01
NS = P > .05;
VT/NF = ventricular tachycardia or ventricular fibrillation
そして、Byrd[1988]はこの表をまとめなおし、
Byrd[1988] TABLE 3: スコアリング結果

介入群   対照群
(n = 192) (n = 201)
P
良い 163 147
中間 2 10
悪い 27 44
<0.01



Tessman and Tessman [2000]はByrd[1988]を撃墜する

Tessman and Tessman [2000]はByrd[1988]の研究には重大な問題があると指摘した:
Byrd's Table 3, which might best have been constructed by a panel of "blinded" doctors, was constructed by Byrd alone.
...
Byrd was no longer blinded when he determined the answer to the key question of which did better, the intercessory prayer group or the control group (Byrd, personal communication).
...
the criteria he chose for evaluating the patients' outcomes were formulated after the data were collected and when Byrd was unblinded. That is an unreliable approach. The criteria should have been selected before the start of the study.

ByrdのTable 3は、介入群か対照群であるかを知らない医師たちによって作成されればよかったのだが、実際にはByrdひとりで作成された。
...
介入群か対照群のどちらが良かったかというキーとなる点について答えを決めるときには、Byrdは患者がどちらの群にいたのか知っていた。
...
患者の結果を評価するための規準の選定は、データが収集され、Byrdが患者がどちらの群にいたのか知った後になされた。これは信頼できないアプローチだ。規準は研究の開始時点で選定されているべきだ。
すなわち、Byrdは介入群が良くなったという結果が出るように、良くなったことの規準を後から定めた形になっている。


さらに、Tessman and Tessman [2000]は指摘する:
The claim of blindedness is erroneous in yet another respect (one aspect of which has already been mentioned [Witmer and Zimmerman 1991]). In his acknowledgments, Byrd thanks "Mrs. Janet Greene for her dedication to this study," but without any elaboration of her role. In a later publication (Byrd with Sherrill 1995) we leam that Janet Greene was hired "... to be our coordinator.... Janet entered names of all the volunteer patients into a computer that randomly divided them into two groups. ... half of the patients--only Janet knew who they were--were prayed for daily by our intercessors.... She kept derailed records of all patients in both groups." Thus the very coordinator of the study was completely unblinded. Once patients were assigned to one of the two groups, Greene should have had no further contact with the hospital.

別の点でも二重盲検になっていない([Witmer and Zimmerman 1991]が既に言及済み)。Byrdの謝辞には「Mrs. Janet Greeneに感謝する」とだけあって、役割が書かれていなかった。しかし、後の文献[Byrd and Sherrill 1996]では、Janet Greeneがコーディネータとして雇われ、Jaetがボランティア患者の名前を入力し、ランダムに2群に振り分けた。半数は我々のintercessorsによって祈られた。いずれの群にいるかはJanetだけが知っていた。彼女は両群の全患者の記録をつけた。従って、コーディネーター自身はまったく盲検状態にはなかった。患者がいったんどちらかの群に振り分けられたら、Greeneは病院とコンタクトをとるべきではなかった。
病院でのコーディネーターが盲検状態になくて、患者の記録もつけていた。

従って、Tessman and Tessman [2000]は、Byrd[1988]の実験は二重盲検が成り立っておらず、信頼できないと結論した。


祈りの効果がちょっとあったというHarris et al.1999]

Byrd[1988]の持つ二重盲検の甘さを排除する形で実験をデザインしたのがHarris et al.[1999]だった。彼らは12ヶ月の実験期間に、Kansas CityのMid America Heart Institute (MAHI)のCCUに1日以上入院した患者(Intercessorを割り当てるまでの時間が1日かかるため)を対象として、二重盲検が破れないように以下の方法をとった。


  • 日次でコンピュータを通して牧師の秘書が患者を、患者番号末尾一桁が偶数と奇数で、介入群と対照群に分ける。
  • 牧師の秘書は、intercossory prayerチームリーダーに患者の名前を告げる。ただし、牧師の秘書は、患者の症状や個人情報を見ることなく、チームリーダに渡す。その後は、牧師の秘書は、患者やCCUスタッフやデータ収集担当や統計担当などとコンタクトしない。
  • チームリーダは4名のintercessorを割り当て、"迅速な病気回復"を祈らせる。
  • 患者の統計や入院診断は病院コンピュータシステムから入手する。
  • CCUおよび病院入院期間や臨床結果の状況は、介入群と対照群のどちらに分類されたかを知らされていない医者・調査者によって、患者退院後に入院期間全体を振り返る形でレビュー・評価する。
  • 治療効果のスコアリング規準を予め定める

Byrd[1988]に対してTessman and Tessman [2000]が指摘したような問題はクリアされている。
       Harris1[1999]

CCUに入院: N=1019
移植手術を除外: N= 6
残りN=1013をランダム振り分け: 介入群N=484, 対照群N=529
入院24時間以下を除外:     介入群N= 18, 対照群N= 5
実験参加: 介入群N=466, 対照群N=525

あらかじめ定められたスコアリング基準は:
Harris et al.[1999] Table 1. Mid America Heart Institute -
Cardiac Care Unit (MAHI-CCU) Scoring System "Score Comorbid Conditions"

  1. Need for antianginal agents, antibiotics, arterial monitoring, or catheterization; development of unstable angina
  2. Need for antiarrhythmic, inotropic, diuretic, or vasodilator drugs; development of pneumonia, atrial fibrillation, supraventricular tachycardia, hypotension, or anemia requiring a transfusion
  3. Need for a temporary pacemaker, Swan-Ganz catheterization, an implanted cardiac defibrillator, an electrophysiology study, radiofrequency ablation, or an interventional coronary procedure (ie, a percutaneous transluminal coronary angioplasty); development of third-degree heart block, extension of infarct, or gastrointestinal bleed; or readmission to the cardiac care unit
  4. Need for a permanent pacemaker, an intra-aortic balloon pump, major surgery (of any kind), percutaneous transluminal coronary angioplasty with stent placement and/or rotablator, or intubation/ventilation; development of congestive heart failure, ventricular tachycardia,ventricular fibrillation, or sepsis
  5. Cardiac arrest
  6. Death


そして、二重盲検な調査の結果は次のようなものだった。実験参加前の状態は介入群と対照群で有意差がないことが示される:
       Harris1[1999] Table 2. CCU入院時の共存症
対照群 介入群 P
(n = 524) (n = 466)
n % n %
Coronary artery disease 319 (60.9) 282 (60.5) .96
Congestive heart failure 82 (15.6) 68 (14.6) .71
Cardiomegaly 3 ( 0.6) 5 ( 1.1) .49
Prior myocardial infarction 91 (17.4) 69 (14.8) .31
Acute myocardial infarction 234 (44.7) 215 (46.1) .69
Unstable angina 134 (25.6) 110 (23.6) .52
Chest pain 14 ( 2.7) 16 ( 3.4) .61
Acute pulmonary edema 22 ( 4.2) 12 ( 2.6) .22
Syncope 10 ( 1.9) 9 ( 1.9) .84
Cardiomyopathy 67 (12.8) 63 (13.5) .81
Supraventricular tachycardia 8 ( 1.5) 3 ( 0.6) .31
Ventricular tachycardia 22 ( 4.2) 22 ( 4.7) .81
Valvular disease 31 ( 5.9) 21 ( 4.5) .40
Hypertension 297 (56.7) 253 (54.3) .49
Hypotension 11 ( 2.1) 20 ( 4.3) .07
Cardiac arrest 25 ( 4.8) 20 ( 4.3) .83
Heart block 5 ( 1.0) 9 ( 1.9) .30
Diabetes 115 (22.0) 93 (20.0) .49
Chronic obstructive pulmonary disease 81 (15.5) 85 (18.2) .28
Gastrointestinal disease 22 ( 4.2) 22 ( 4.7) .81
Pneumonia 12 ( 2.3) 14 ( 3.0) .62
Chronic renal failure 62 (11.8) 50 (10.7) .66
Cardiac trauma 3 ( 0.6) 3 ( 0.6) .99
Cerebrovascular accident 22 ( 4.2) 18 ( 3.9) .92
Drug toxic effects 1 ( 0.2) 3 ( 0.6) .35
Sepsis 5 ( 1.0) 8 ( 1.7) .44
Cirrhosis 1 ( 0.2) 1 ( 0.2) .99
Pulmonary embolism 2 ( 0.4) 2 ( 0.4) .99
Liver disease 2 ( 0.4) 0 ( 0.0) .50
Hypothyroidism 28 ( 5.3) 32 ( 6.9) .38
Atrial fibrillation 45 ( 8.6) 41 ( 8.8) .99

続いて、実験後の状態について35項目を比較し、そのうち1項目に有意差があったと判明:
Harris1[1999] Table 3. Intercessory Prayerの効果
(Mid America Heart Institute-CCUのスコア成分)

対照群 介入群 P
(n = 524) (n = 466)
n % n %
Antianginal agents 59 (11.3) 47 (10.1) .62
Antibiotics 82 (15.6) 77 (16.5) .77
Unstable angina 4 ( 0.8) 1 ( 0.2) .38
Arterial monitor 42 ( 8.0) 32 ( 6.9) .57
Catheterization 180 (34.4) 162 (34.8) .94
Antiarrhythmics 56 (10.7) 50 (10.7) .94
Inotropes 76 (14.5) 69 (14.8) .96
Vasodilation 78 (14.9) 59 (12.7) .36
Diuretics 112 (21.4) 97 (20.8) .89
Pneumonia 10 ( 1.9) 12 ( 2.6) .62
Atrial fibrillation 17 ( 3.2) 12 ( 2.6) .66
Supraventricular tachycardia 6 ( 1.1) 2 ( 0.4) .29
Hypotension 7 ( 1.3) 8 ( 1.7) .82
Anemia/transfusion 66 (12.6) 50 (10.7) .42
Temporary pacer 16 ( 3.0) 13 ( 2.8) .95
Third-degree heart block 1 ( 0.2) 2 ( 0.4) .60
Readmit to cardiac care unit 22 ( 4.2) 25 ( 5.4) .48
Swan-Ganz catheter 172 (32.8) 123 (26.4) .03
Implanted cardiac defibrillator 6 ( 1.1) 10 ( 2.1) .32
Electrophysiology study 15 ( 2.9) 10 ( 2.1) .61
Radiofrequency ablation 8 ( 1.5) 2 ( 0.4) .11
Extension of infarct 2 ( 0.4) 0 ( 0.0) .50
Gastrointestinal bleed 12 ( 2.3) 5 ( 1.1) .22
Interventional coronary procedure 155 (29.6) 121 (26.0) .21
PTCA alone 69 (13.2) 62 (13.3) .95
PTCA with stent and/or rotablator 86 (16.4) 59 (12.7) .10
Permanent pacer 21 ( 4.0) 12 ( 2.6) .28
Congestive heart failure 17 ( 3.2) 19 ( 4.1) .60
Ventricular fibrillation/tachycardia 12 ( 2.3) 10 ( 2.1) .95
Intra-aortic balloon pump 20 ( 3.8) 12 ( 2.6) .36
Major surgery 76 (14.5) 51 (10.9) .11
Sepsis 7 ( 1.3) 7 ( 1.5) .96
Intubation/ventilation 27 ( 5.2) 26 ( 5.6) .88
Cardiac arrest 6 ( 1.1) 5 ( 1.1) .84
Death 46 ( 8.8) 42 ( 9.0) .99
これをまとめたものが:
Harris1[1999] Table 4. MAHI-CCUスコアと入院期間

対照群 介入群 差異の P
(n = 524) (n = 466) 比率
平均±標準偏差 平均±標準偏差 (%)
MAHI-CCUスコア 7.13±0.27 6.35±0.26 -11 0.04
単純MAHI-CCUスコア*1 3.00±0.10 2.70±0.10 -10 0.04
CCU入院日数*2 1.23±0.09 1.12±0.08 -9 0.28
病院入院日数*2 5.97±0.29 6.48±0.54 +9 0.41

*1164153236*1:イベント件数の単純和
*1164153237*2:CCU入院1日後からの退院までの日数


さらに、Byrdスコアにして:
Harris1[1999] Table 5. ByrdスコアによるIntercessory Prayerの効果

対照群 介入群 P
(n = 524) (n = 466)
n % n %
良い 338 (64.5) 314 (67.4)
中間 71 (13.5) 63 (13.5)
悪い 115 (21.9) 89 (19.1)
P=0.29

ほとんど有意差の見られない数値が結果として表示されている。この結果からHarris et al.[1999]は次のような結論を得ている:
The primary predefined end point in this trial was the weighted MAHI-CCU score (Table4). We found an 11% reduction in scores in the prayer group (6.35 ± 0.26) compared with the usual care group (7.13 ± 0.27) (P = .04). Using the unweighted MAHI-CCU score, which simply counted elements in the original scoring system without assigning point values, the prayer group had 10% fewer elements (P = .04) than the usual care group. There were no statistically significant differences between groups for any individual component of the MAHI-CCU score (Table 3). Mean lengths of stay in the CCU and in the hospital (after initiation of prayer) were not different (Table 4), and median hospital stay was 4.0 days for both groups. There were 2 patients in the prayer group whose hospital stays were approximately twice as long (137 and 161 days) as those of any other patient in the study. Without these 2 patients, length of hospital stay for the prayer group dropped from 6.48 ± 0.54 days to 5.84 ± 0.31 days. Neither was significantly different from the length of stay
in the usual care group (5.97 ± 0.29 days). There was no significant difference between groups using Byrd’s hospital course score (Table 5).

予め定めた主たる到達点は、重み付きMAHI-CCUスコア(Table 4)である。介入群(6.35±0.26)は、対照群(7.13±0.27)と比べて、P=0.04で11%小さいことがわかった。重みなしMAHI-CCUスコア、すなわちイベント単純和では、P=0.04で介入群が10%小さかった。MAHI-CCUの個々のスコア(Table 3)については、統計的に有意な差は見られなかった。CCU入院および病院入院期間の平均には大差は見られず、いずれの群もメジアンは4.0日程度であった。他の患者たちよりも非常に長く(137日および161日)入院した患者が2名いた。この2名を除けば、介入群の入院日数は6.48±0.54日から、5.8±0.31日に短縮されるが、いずれにせよ対照群の5.97±0.29日と違いはない。Byrdのスコアを使うと(Table 5)、介入群と対照群に差異は見られない。
...と介入群と対照群にほとんど差異が見られないと書いている。その上での結論が:
In conclusion, using the MAHI-CCU scoring system, we found that supplementary, remote, blinded, intercessory prayer produced a measurable improvement in the medical outcomes of critically ill patients. Our findings support Byrd’s conclusions despite the fact that we could not document an effect of prayer using his scoring method. With 2 randomized, controlled trials now suggesting the possible benefits of intercessory prayer, further studies using validated and standardized outcome measures and variations in prayer strategy are warranted to explore the potential role of prayer as an adjunct to standard medical care.

結論として、MAHI-CCUスコアリングシステムを用いて、我々は遠隔かつ盲検なIntercessory Prayerが、重篤な患者の治療結果に計測可能な改善をもたらすことを発見した。Byrdのスコアリングシステムを使った場合はIntercessory Prayerの効果が見られなかったが、我々の調査結果は、Byrdの結果を支持するものであった。これらの2つのランダム化された、制御された実験は、Intercessory Prayerの効果の可能性を示唆するものである。そして、認められ標準化された結果処理方法と祈りのバリエーションを使って、標準的な治療の補助的手段としてIntercessory Prayerの潜在的役割を調査できること保証するものである。
結果の数値のしょぼさの割には、言葉だけで、Intercessory Prayerの効果を主張した結論である。


Tessman and Tessman [2000]はHarris et al.[1999]を撃墜する

このHarris et al.[1999]にもTessman and Tessman[2000]が批判を加えている。論点は3点。まずは、そもそも"早い回復"を祈ったのだから、入院期間を見るべき:
Let us therefore look first at the speed of recovery. The length of stay in the coronary care unit decreased 9 percent in the prayer group, but with P = 0.28; the length of hospital stay increased by 9 percent in the prayer group, but with P = 0.41 (their Table 4). Thus, by either measure the large P values indicate that the results are quite consistent with a null effect; thus there is no evidence that intercessory prayer confers any benefit (or harm) in speed of recovery.

したがって、最初に回復の速度を見よう。介入群(祈られたグループ)のCCU入院期間の方が9%短かったが、P=0.28で有意ではなかった。病院入院期間は介入群が9%長くなったが、P=0.41で有意ではない(Table 4)。従って、Pが非常に大きいので、何の効果もなかったという結果を示している。従って、Intercessory Prayerが回復速度に対して効果がある(あるいは害がある)という証拠はない。


続いて、全体スコアについて、ひとつは効果あり・もうひとつは効果なしだという点:
Next we examine the results for two types of global scores. One is the Mid America Heart Institute-Cardiac Care Unit (MAHI-CCU) weighted score (their Table 4) for the thirty-four adverse conditions. They call this score the "primary predefined end point" of their study. It shows an 11 percent advantage to the intercessory prayer group with P = 0.04.

次に、我々は2種類の全体スコアの結果を見よう。ひとつめは34項目についてまとめた、MAHI-CCU重み付きスコア(Table 4)である。彼らはこのスコアを彼らの研究の"予め定めた主たる到達点"と呼ぶ。それは介入群(Intercessory Group)に11%のアドバンテージのあるP=0.04の有意な結果だ。

Another type of global score arises from an evaluation of overall outcomes judged by a blinded panel to be either good, intermediate, or bad, each based on Byrd's criteria. Whereas Byrd found a significant difference (P [less than] 0.01) in good and bad outcomes in favor of the prayer group, Harris et al., using the same criteria, find no significant difference (P = 0.29, Harris's Table 5). Thus, not only do these results of Harris et al. fail to confirm the significant differences found by Byrd, they constitute a second set of results (the first being on speed of recovery) that shows no significant effects of intercessory prayer.

もうひとつの全体スコアは、Byrdの基準にによる良い・中間・悪いを、盲検な担当者たちにより判断された結果の評価である。ByrdはIntercessory Prayerグループの方が良いという、P<0.01の非常に顕著な差異を発見した。しかし、Harris et al(Table 5)は同じ方法を使って、P=0.29で有意な差を見出していない。従って、これらのHarris et alの結果は、Byrdが見つけた顕著な差異を確認できず、Intercessoru Prayerの効果が見られないことを示す、もうひとつの結果となっている。

最後の論点は、効果あり1に対して、効果なし2という結果なのに、効果ありと結論するのは間違いだというもの:
Thus Harris et al. make three major tests of the efficacy of intercessory prayer: speed of recovery scores (Table 4), MAHI-CCU global scores (Table 4), and outcome scores (Table 5). On the basis of just the MAHI-CCU scores taken alone with its barely significant P = 0.04 value, Harris et al. conclude there is a beneficial effect of intercessory prayer.

このように、Harris et al.はIntercessory Prayerの有効性について3つの懸賞を行った:回復の速さのスコア(Table.4)と、MAHI-CCU全体スコア(Table.4)と結果スコア(Table.5)である。そして、有意性ぎりぎりのP=0.04のMAH-CCUスコアだけを取り出して、Harris et al.はIntercessory Prayerが有益な効果があると結論した。

This argument is simply fallacious: where there are multiple tests it is incorrect to single out just one, ignoring others with large P values that indicate no significant differences between the groups tested. For example, if the three tests were completely independent, the probability that at least one of the three would show P= 0.04 purely by chance would be 1 - 0.96 = 0.12, which is well above the conventional maximum value of 0.05 for significance. Though the tests are not independent, it is clear that the overall probability of observing that just one of these three tests favors intercessory prayer with P as low as 0.04 is well explained by pure chance.

この論はただの間違いである:複数のテストを行って、群間の検証で有意な差のない大きなP値になった2つを無視して、1個だけを取上げるのは正しくない。例えば、この3つのテストがまったく独立であるなら、少なくとも1つのテストがP=0.04を示すのはP値=0.12であって、有意性の基準である0.05を超えてしまっている。テストは独立ではないが、3つのテストで1つがIntercessory Prayerを有効だとするP値0.04が出てくるのは、ただの偶然で説明がつく。


かくて、Tessman and Tessman[2000]によって、Intercessory Prayerの効果があるという有名な研究Byrd[1988]も新たな研究Harris et al.[1999]も、効果を証明したことにはならないことが示された。

なお、Byrd[1988]に対してPosner[1990]が、またHarris et al.[1999]に対してPosner[2000]が同様の批判を加えている。

これだけがIntercessory Prayerをめぐる研究ではない。Dr. Terence Hines[2003]は他にも幾つかの"効果があった"という研究と"それは間違いだ"という批判を紹介している。それらについては、次回に。


References

Byrd, R.C.: "Positive Therapeutic Effects of Intercessory Prayer in a Coronary Care Unit Population", Southern Medical Journal, 81, 826-29, 1988.[コピー]

Byrd, R C. with J. Sherrill: "The therapeutic effects of intercessory prayer.", Journal of Christian Nursing 12(1): 21-23, 1995

Galton, F., "Statistical Inquiries into the Efficiency of Prayer", Fortnightly Review, 80, 509-514, 1872.[コピー]

Harris, W.S., M. Gowda, J.W. Kolb: "A Randomized, Controlled Trial of the Effects of Remote , Intercessory Prayer on Outcomes in Patients Admitted to the Coronary Care Unit", Archives of Internal Medicine, 159, 2273-78, 1999. [コピー]

--- Correction, Archives of Internal Medicine, 160, 1787, 2000.
Humphrey, N.:"The Power of Prayer", Skeptic Inquirer, 24(3), 61, 2000.


Posner GP: "God in the CCU?: A critique of the San Francisco hospital study on intercessory prayer and healing", Free Inequiry, 1990.

Posner GP: "Another controversial effort to establish the medical efficacy of intercessory prayer", The Scientific Review of Alternative Medicine, 4(1), 2000.

Tankard, J.W., The Statistical Pioneers, Cambridge, Mass: Schenkman Publishing, 1984.

Tessman, I. and J. Tessman: "Efficacy of Prayer: A Critical Examination of Claims", Skeptic Inquirer, 24(2), 31-33, 2000.[
コピー]

Witmer, J., and M. Zimmerman: "Intercessory prayer as medical treatment? An inquiry.", Skeptical Inquirer 15(2): 177-180, 1991.

タグ:祈り
posted by Kumicit at 2006/12/01 09:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006/04/03

祈りの効果についての報道

2006年3月24日のエントリ「方法論的自然主義」に、2006年4月2日にヤエミさんから

朝日新聞の記事に祈りの効果なし?テンプルトン財団をしりました。どうしても、私に分る、科学と宗教についてはなしたいのですが、どうすればいいですか?調べていると、このページに出会いました。宜しくお願いします。

というコメントがあった。なんのことかと探すと:
朝日新聞: 心臓手術に「祈り」の効果なし? 米で1800人研究(2006年4月1日)
Livedoor News: 祈りの効果信じますか?=米研究チームが心臓手術患者1802人を調査(2006年4月2日)


とりあえず、本エントリでは情報収集結果を報告する。
なお本件は、「科学と宗教」の問題ではない。この研究を行ったグループは、宗派比較や神の存否などは研究対象外であると言明している。そうでなければ、学術誌に掲載されることはないはずだ。



で、米国方面の報道においても、結果の概略数値を報じただけであり、実験条件などについては触れていない。

CNNがThe Associated Press配信記事をそのまま掲載した2006年3月30日付のNew York発の記事「Study: Prayer doesn't affect heart patients
Reutersの2006年3月31日付けのChicago発の記事「Study fails to show healing power of prayer

そこで、例によって1次ソースを見ることにする。


論文のアブストラクト

Herbert Benson, MD, Jeffery A. Dusek, PhD, Jane B. Sherwood, RN, Peter Lam, PhD, Charles F. Bethea, MD, William Carpenter, MD, Sidney Levitsky, MD, Peter C. Hill, MD, Donald W. Clem Jr., MA, Manoj K. Jain, MD, MPH, David Drumel, MDivgh, Stephen L. Kopecky, MDi, Paul S. Mueller, MDj, Dean Marekk, Sue Rollins, RN, MPH, Patricia L. Hibberd, MD, PhD: Study of the Therapeutic Effects of Intercessory Prayer (STEP) in cardiac bypass patients: A multicenter randomized trial of uncertainty and certainty of receiving intercessory prayer, American Heart J., 151, 943, 2006.

Abstract

Received 5 January 2005; accepted 6 May 2005

Abstract

Background
Intercessory prayer is widely believed to influence recovery from illness, but claims of benefits are not supported by well-controlled clinical trials. Prior studies have not addressed whether prayer itself or knowledge/certainty that prayer is being provided may influence outcome. We evaluated whether (1) receiving intercessory prayer or (2) being certain of receiving intercessory prayer was associated with uncomplicated recovery after coronary artery bypass graft (CABG) surgery.

背景:
Intercessory Prayerは病気からの回復に影響すると広く信じられているが、そのご利益の主張は制御された臨床試験では支持されていない。従来の研究においては、祈りそのもの、もしくは祈られることを知っているかどうかが影響するか対象としていなかった。我々は(1) Intercessory Prayerを受けたか (2) Intercessory Prayerを受けることを確かに知っているかが、心臓の冠動脈バイパス手術(CABG)の術後に合併症を伴うかどうかを調べた。

Methods
Patients at 6 US hospitals were randomly assigned to 1 of 3 groups: 604 received intercessory prayer after being informed that they may or may not receive prayer; 597 did not receive intercessory prayer also after being informed that they may or may not receive prayer; and 601 received intercessory prayer after being informed they would receive prayer. Intercessory prayer was provided for 14 days, starting the night before CABG. The primary outcome was presence of any complication within 30 days of CABG. Secondary outcomes were any major event and mortality.

方法:
米国の6つの病院の患者をランダムに3つに振り分けた。604名は、「Intercessory Prayerを受けるかもしれず、そうでないかもしれず」と知らされた後にIntercessory Prayerを受けた。597名は同様に知らされた後にIntercessory Prayerを受けなかった。601名は「Intercessory Prayerを受ける」こと知らされた後に、Intercessory Prayerを受けた。Intercessory Prayerは、冠動脈バイパス手術の前夜から始まり術後14日後まで続けた。第1の結果は、冠動脈バイパス手術後30日以内になんらかの合併症が起きたかどうか。第2の結果は重大な症状もしは死亡である。

Results
In the 2 groups uncertain about receiving intercessory prayer, complications occurred in 52% (315/604) of patients who received intercessory prayer versus 51% (304/597) of those who did not (relative risk 1.02, 95% CI 0.92-1.15). Complications occurred in 59% (352/601) of patients certain of receiving intercessory prayer compared with the 52% (315/604) of those uncertain of receiving intercessory prayer (relative risk 1.14, 95% CI 1.02-1.28). Major events and 30-day mortality were similar across the 3 groups.

結果:
Intercessory Prayerを受けるかどうかわからない2群では、Intercessory Prayerを受けた患者の52%(315/604)が合併症を起こしたのに対して、Intercessory Prayerを受けなかった患者の51%(304/597)が合併症を起こした。(相対リスク 1.02, 95%信頼区間 0.92〜1.15)[訳注: 統計的に有意ではない]。Intercessory Prayerを受けることを知っていた患者の59%(352/601)が合併症を起こした。これを、受けるかどうかわからずにIntercessory Prayerを受けた患者の52% (315/604)と比べた。(相対リスク 1.14 95%信頼区間 1.02〜1.28)[訳注: 95%の確度で統計的に有意] 重大な症状および30日間の死亡率は3群でほぼ同じであった。

Conclusions
Intercessory prayer itself had no effect on complication-free recovery from CABG, but certainty of receiving intercessory prayer was associated with a higher incidence of complications.

結論:
Intercessory Prayerそのものは冠動脈バイパス手術後の合併症には影響を及ぼさなかった。しかし、Intercessory Prayerを受けることを知っていた患者は、合併症の発生率が高かった。


本文は有償なので、アブストラクトを読んでみた。
Intercessory Prayerを受けたか受けないかの差は統計的に有意でないが、Intercessory Prayerを受けることを知っているか、知らないかは統計的に有意であるとのこと。

なお参加機関は:

  • Baptist Memorial Hospital (テネシー州メンフィス)
  • Beth Israel Deaconess Medical Center (マサチューセッツ州ボストン)
  • Integris Baptist Medical Center (オクラホマ州オクラホマシティ)
  • Mayo Clinic (ミネソタ州ロチェスター)
  • St. Joseph's Hospital (フロリダ州タムパ)
  • Washington Hospital Center (ワシントンDC)
  • the Mind/Body Medical Institute


研究を実施したHarvard Medical Schoolのニュースリリース

2006年4月の論文掲載にあわせてニュースリリースが3月1日に出ている。アブストラクトに記載されていない実験条件について見てみよう。

==>Harvard Medical Schoolの2006年3月1日付のニュースリリース「Largest Study of Third-Party Prayer Suggests Such Prayer Not Effective In Reducing Complications Following Heart Surgery

治療者および検査者について:
Caregivers and independent auditors comparing case reports to medical records were unaware of the patients' assignments throughout the study. The study enlisted members of three Christian groups, two Catholic and one Protestant, to provide prayer throughout the multi-year study. The researchers approached other denominations, but none were able to make the time commitments that the study required.

治療者および症例報告と医療記録を比較する独立検査者は、研究期間を通して患者がどのグループに割り振られたか知らされない。研究では複数年にわたって祈りを行うために、3つのキリスト教グループ(カトリック2つとプロテスタント1つ)のメンバーを募集した。研究者は他宗派にもアプローチしたが、研究に必要な時間を確約できなかった。

  • 治療する側は、患者が祈りを受けることを知っているかどうかおよび実際に祈りを受けたかを知らない。
  • 患者は実際に祈りを受けたかどうかを知らない
という形の実験になっている。

祈るメンバーには:
Unlike traditional intercessory prayers, STEP investigators imposed limitations on the usual way prayer-givers would normally provide prayer. The researchers standardized the start and duration of prayers and provided only the patients' first name and last initial. Prayers began on the eve or day of surgery and continued daily for 14 days. Everyone prayed for received the same standardized prayer. Providing the names of patients directed prayer-givers away from a desire to pray for everyone participating in the study. Because the study was designed to investigate intercessory prayer, the results cannot be extrapolated to other types of prayer.

伝統的なIntercessory Prayerとは異なり、STEP調査者は、通常は祈る人に与えられる祈りの提供について制限を加えた。研究者は祈りの開始および期間を共通化し、患者のラストネームのイニシャルとファーストネームだけを提示した。祈る人は、手術の前夜もしく当日に祈り始め、14日後まで毎日続けた。祈る人はすべて、受け取った標準化された祈りをした。患者の名前を提供することは、研究に参加している誰のためにでも祈りたいという願望から離れて、祈りの提供者に指示した。Intercessory Prayerを研究するように設定したので、研究結果を他のタイプの祈りには適用できない。

誰のために祈るかを限定し、間違って、祈りを受けないことになっている患者のために祈らない仕掛けは用意されている。また、祈り方を標準化して差異が出ないようにしている。

患者および家族などには:
Patients across the three groups had similar religious profiles. Most believed in spiritual healing and almost all believed friends or relatives would be praying for them. Investigators did not ask patients to have their friends and families withhold prayers, and assumed that many patients prayed for themselves during the study.

3つのグループの患者の宗教プロファイルはほぼ同様。ほとんどがスピリチュアルな治療を信じていて、友人や家族がすべて自分のために祈ってくれると信じている。研究者は、患者の友人および家族に対して、祈りを差し控えるようには依頼していない。また、多くの患者は研究期間に自分自身のために祈ることを仮定した。

"One caveat is that with so many individuals receiving prayer from friends and family, as well as personal prayer, it may be impossible to disentangle the effects of study prayer from background prayer," said co-author Manoj Jain, Baptist Memorial Hospital, Memphis, Tennessee.

「ひとつの留意点は、友人や家族からの祈りを受けている患者や、同じく自分自身に祈っている患者が多くて、これらからの影響と、研究での祈りの影響を分離できないかもしれないことだ。」

患者は祈りの効果を信じている人々で構成されており、患者の宗教傾向による差異はでないようになっている。ただ、家族や友人や本人の祈りは止められないので、そこは実験の制御からはずれてしまっている。

結果を見る

実験条件は普通にコントロールされていたように見える。で、結果をふりかえると、

合併症発生率は
(1) 祈られるかどうか知らない+祈りを受けた .......... 52%
(2) 祈られるかどうか知らない+祈りを受けなかった .... 51%
(3) 祈られるかどうか知っている+祈りを受けた ........ 59%
であり、(1)vs(2)は統計的に有意でないが、(1)vs(3)は95%の信頼度で統計的に有意。

つまり、信頼度95%で

  1. 祈りを実際に受けたかどうかで、術後合併症の発生率に影響はない
  2. 「祈りを受けた」という条件のもとでは、「祈りを受けることを知っている」か「祈りを受けられかもしれず、そうでないかもしれず」かは術後合併症の発生率に影響する。


これらのうち、2.は患者に与えられる情報によって、患者が影響を受けるという、予想される結果だと思われる。ただし、逆センスに出ているので、その理由付けが必要だろう。


ここで注意すべき点を論文の共著者の一人Mayo ClinicのDean Marek神父がニュースリリースで言っている。
"Our study was never intended to address the existence of God or the presence or absence of intelligent design in the universe. The study did not endeavor, either, to compare the efficacy of one prayer form over another or to assess participants' understanding of the nature and purpose of prayer. Finally, it was not our objective to discover whether prayers from one religious group work better than prayers from another," said co-author Father Dean Marek, Director, Chaplain Services, Mayo Clinic.

我々の研究は、神の存在や、宇宙におけるインテリジェントデザインの存在あるいは不在についてのものではない。研究は、祈る人の効果を比較するものでもなければ、参加者の祈りの性質および目的の理解度を計測するものでもない。どの宗教団体に属している者の祈りが効くかも目的ではない。

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これについて、Kumicitの考えは次の通り:

  • 患者がIntercessory Prayerを受けることを知らせれているかどうかは術後合併症に発生率に影響している。これは普通に科学。
  • たとえ現在は未発見であろうとも、自然法則によってメカニズムを記述可能な祈りなら科学の取り扱い対象になる。しかし、自然法則の外側、すなわち超越的な神が関与する祈りは機械論たる科学の取り扱い対象外である。
  • STEPの実験では、友人や家族や本人の祈りの排除、祈りメンバーの祈り方が標準どおりかの検証がないなど)ので、確定した結論は出せない。
  • 以上により、科学の取り扱い範囲内では、確定ではないが、Intercessory Prayerの効果は確認できなかったと見られる。




2006/12/05訳語修正:
"Intercessory Prayer"に"仲裁の祈り"という訳語をあてていたが、あまりよい訳ではないし、"とりなしの祈り"に変えても意味不明なので、後続エントリ[1,2,3,4,5,6,7]にあわせて、英語表記に変更。

なお、Intercessory Prayerそのものに治療効果があると主張する研究は散見されるものの、それらは二重盲検が破れていたり、詐欺師がいたり、テキサスの狙撃兵だったり。
posted by Kumicit at 2006/04/03 03:32 | Comment(3) | TrackBack(1) | Prayer&Magic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする