2009/12/20

たとえ人類がCO2を排出しなくても気候は変動し、人類は翻弄される(2/6) 米国の旱魃

(2008/09/25のエントリ再掲)

その昔、ある国で、農地が砂嵐に埋もれ、250万人が移住することになったという。この写真はそんな難民の一家族を写したものだ。
MigrantMother.jpg
[Link]
いったい、これはどこの話かというと....なんと、1930年代の米国の話だ。

当時、南部大平原にダストボウルと呼ばれる領域があった。かつての大草原は小麦畑や放牧地となり、過耕作・過放牧で地力は落ちていた。1920年代は雨も多く、何事もなく平和に時が流れていった。そして、1930年代、一転して平年を下回る降水量の年が続いた。
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砂嵐が農地を、住宅地を襲うようになった。この砂嵐はブラックブリザードと呼ばれた。そして、このブラックブリザードの吹き荒れる領域はダストボウルと呼ばれた。
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[South Dakota 1934]

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[Texas 1935]

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[Kansas 1935]
雨が少なかったことがダストボウルを生み出した直接の原因だが、そもそも降水量は一定であるはずもない。ときには少雨が続くこともあるのが自然。たまたま雨が多いときに、過耕作・過放牧をしていても問題が起きなかっただけ。その意味で、異常気象かつ人災と評せられる。

そんな場所を追われて、1/4の農民たちが西のカリフォルニアなどへと移住していった。その数は250万人。
[People & Events - Mass Exodus from the Plains on PBS]

"The land just blew away; we had to go somewhere."
-- Kansas preacher, June, 1936

旱魃とダストストームが終わる兆候が見られないまま、多くの人々は自らの土地を諦めた。また、自分たちの土地に留まろうとし多くの人々も、請け戻し権喪失で土地を追い出された。そして、人口の1/4が離れて、持てるもおを車やトラックに詰め込んで、西に向かってカリフォルニアを目指した。

3/4の農民たちが自分たちの土地に留まったが、特定の場所では大量流出によって人口が劇的に減少した。オクラホマ州のBoise Cityの外側の田園地帯では40%減少し、1642の農家とその家族が定住するにとどまった。

ダストボウルの大量流出は米国市場最大の移民となった。1940年までに250万の人々が大平原の州から流出し、20万人がカリフォルニアへ移住した。1935年のCollier雑誌によれば、彼らが州境にたどりついても、温かく迎えられることはなかった。
直立して厳寒な態度で、男性はヒンジもベアリングも継ぎ手も軋むポンコツ自動車の運転手に向かって「カリフォルニアの保護名簿は満杯です。来ても無駄です」と叫んだ。半ば虚脱状態の運転手は、その男を無視して、後ろを振り向いて、彼の多くの家族がまだいっしょにいることを確かめた。家族はぎゅうぎゅうに押し込めらていたので、出れなかった。小ぎれいな州警察官のような青年は「本当に、ここにはあなたがたに用意できるものは何もありません。本当に何もないのです」と言った。軋む車の絶望した男は、青年をのろのろと無感情に、信じられないくらい疲きって見つめて「それで? 私たちに残されたものを見てください」と言った。
Los Angeles警察署長は最大125名の警察官を用心棒として州境に配備して、好ましからざる者たちを追い返させた。..
事態の推移は次のようなものだった:
[Timeline of The Dust Bowl on PBS]

1931年
ひどい旱魃が中西部および南部平原を襲った。作物は枯れ、砂嵐"Black Blizzard"が始まった。耕されすぎた土地、家畜が草を食べすぎた土地から砂が吹き飛ばされ始めた。

1932年
砂嵐の回数が増え始めた。この年は14回、翌年は38回の砂嵐が記録されている。

1933年3月
フランクリン・ルーズベルトが大統領に就任したとき、この国は窮境にあった。彼はただちに4日間の銀行休業を布告して、時間をかせいで1933年緊急銀行法を議会で成立させ、連邦政府による保証によって、銀行業を安定化させ、金融システムに対する人々の信頼を回復した。

1933年5月
担保受け戻し権喪失に危機にある農民たちを救うために2億ドルの緊急農業融資を実施。1933年の農業信用法により、地域銀行と地域保証協会を設立。

1933年9月
豚肉価格安定化のために600万頭以上の若い豚が屠殺された。その肉の大半は廃棄されることになったが、これに対する大衆の抗議により10月にFederal Surplus Relief Corporation (連邦余剰生産物支援公社)が設立された。FSRCは農産物を支援機関へ回した。林檎・豆・牛肉缶詰・小麦粉や豚肉加工品、さらには綿製品までが地域支援チャネルへと回された。

1933年10月
農場での日雇いの働き口を求めて平原から農民たちが逃れてきたカリフォルニアのサンホアキン・ヴァリーで、アメリカ史上最大の農業のストライキが起きた。18,000人を越える缶詰工場および農業労働者産業別労働組合(CAWIU)に所属する綿労働者たちが24日間ストライキを行った。ストライキ中に、2人の男性および1人の女性が殺され、何百人もの人々が負傷した。農場経営者が組合を認め、労働者の賃金を25%あげることで解決した。

1934年5月
大きな砂塵嵐はダストボウル領域から外へと広がった。旱魃は米国の75%以上にもおよび、27州に甚大な被害を与える米国史上最悪の事態となった。

1934年6月
Fraizer-Lemke農場破産法が承認された。この法律により経済的に困窮状態のときに農民から財産を没収する銀行の権利は制限された。もとは1938年までに時限立法だったが、1947年まで4回延長された。
ルーズヴェルト大統領はTaylor Grazing 法に署名した。これにより権利消失によって国有地となった土地を最大1億4000万エーカーまでを、注意深い観察下におく放牧地とすることができるようになった。これは、過耕作と過放牧によって痛めつけられた土地を回復するためのニューディール政策のひとつであった。ただ、これ以上の土地の悪化を阻止出来たものの、これまでに与えられた被害を回復することは叶わなかった。

1934年12月
「1934年農業年鑑」に、「かつて耕作されていた土地のおよそ3500万エーカーは、作物生産のために本質的に破壊された。... 1億エーカーの耕作中の土地でも表土の大半あるいはすべてが失われた。さらに耕作中の1億2500万エーカーも急速に表土を失っている。」と記載された。

1935年 1月15日
連邦政府は、Drought Relief Service(旱魃救援機関)を組織した。DRSは緊急対策地域に指定された郡の牛を1頭あたり14ドルから20ドルで買い上げた。人の食用に適さない牛は廃棄された(買い上げ措置開始時は買い上げ分の50%)。残りの牛は全米家庭への食料配給のために、Federal Surplus Relief Corporation (連邦余剰生産物支援公社)に回された。農民たちは牛たちを望んで廃棄したわけではなかったが、この牛屠殺プログラムによって多くの農民が破産を逃れることができた。「政府の牛買い上げプログラムは農民に対する神の賜物となった。彼らは牧畜を続けることができず、彼らが地方市場で牛を売って手にできる金額よりも高い価格で政府が牛を買い上げた。」

1935年4月8日
ルーズベルト大統領は緊急救済歳出予算法を承認した。これは旱魃被害救済に5億2500万ドルを支出し、850万の雇用を創出するWorks Progress Administration(雇用促進局)の創設を承認するものだった。

1935年4月14日
ブラックサンデー。ダストボウルで最悪の「ブラックブリザード」が発生し、広範囲に甚大な被害をもたらした。

1935年4月27日
議会はSoil Conservation Service(土壌保全局)(もとは内務省土地浸食局)を農務省に置く法律において、土壌浸食を「全米的脅威」と記した。Hugh H. Bennettの指揮のもとで、SCS(土壌保全局)は表土保全と土壌への回復不可能な損害を防止する広範囲な保全プログラムを開発した。帯状栽培、段々畑、輪作、等高線式耕作およびカバー作物のような農業技術が推奨された。また農民には表土保全のための農業技術を実施するために補助金が支払われた。

1935年12月
コロラド州Peubloでの会合で、専門家は、南部平原では8億5000万トンの表土が1年で失われており、もし旱魃が続くようなら、1936年春までに被害地域は435万から535万エーカー増加するだろうとの推測を述べた。 Resettlement Administration(再定住局)のC.H.Wisonは225万エーカーを買い上げ、耕作を放棄することを提案した。

1936年2月
Los Angeles 警察署長Jame E. Davisは、「好ましくない人物」を中に入れないようにパトロールする警官をアリゾナおよびオレゴンとの州境に125人派遣した。これに対して、 American Civil Liberties Union(米国自由人権協会)は市を訴えた。

1936年5月
SCSは土壌保全改良地区法案を発表した。州を通過すれば、農民が5年間にわたって土壌保全改良事業を推進するために自分たちの地域を組織することを可能となる。まだわずかにニューディールで組織された草の根組織のひとつが運営をしているだけだったが、土壌保全改良地区プログラムが新しい農業方法として必要だと、ワシントンの官僚ではなく農民に求められる必要があることが明らかとなった。

1937年3月
ルーズヴェルトは2期目の就任演説で国民に語りかけた。「わたしは、国民の3分の1が、衣食住に事欠いているのを目にしています。進歩とは有り余るほどのもを持っている人々の富をさらに増やすことではなく、ほとんど持てるものがない人々に十分なものを与えることができるかによって測られるべきです。」
ルーズベルト大統領の防風林プロジェクトが始まった。そのプロジェクトはthe Great Plains(大平原)を横切ってカナダからテキサス州北部まで幅100マイルのゾーンを大規模な植林を要求していた。Red Cedar(米杉)やGreen ash(ホワイトアッシュ)などの在来の樹が地所を分かつ柵に沿って植林された。農民たちは植林に従事し、賃金を受け取った。プロジェクトは12年の機関と7500万ドルかかると予測されていた。この予算をどこからだすかについて議論がもちあがり(このプロジェクトは長期戦略であると考えられたので、緊急救済資金をあてるのは不適切だった)、ルーズベルト大統領はこのプログラムをWPA(雇用促進局)へ移管した。このため成果は限定的だった。

1938年
広範な再耕作、防風林の植林やその他の土壌保全事業により地肌が露出した面積は65%削減された。しかし、まだ旱魃は続いていた。

1939年
秋に雨が降り旱魃の終わりが始まった。続く数年の第2次世界大戦までに、米国は不況を抜け出し、平原は小麦で金色に輝いた。
結局、旱魃の終わりまで、ダストボウル対策は効果が出なかった。

米国中西部を襲った、高々10年ごときの旱魃で、この有様。80年前とはいえ、世界で最も豊かな大国で数十万規模の国内難民という事態を招いた。




ダストボウルは、短期的な降水量の変動という自然の変動と、過放牧という人為的な問題が重なって起きた。この変動は気候変動などと呼ぶのもおこがましいものだが、その社会的影響は巨大なものだった。しかも、問題の終息は、降水量の回復という自然現象によらねばならなかった。

百年単位で続く、地球規模の気候変動が起きたら、その影響はこんなささやかなものでは済まないだろう。変化が緩慢なら、人や農地の再配置の混乱も小さくて済むかもしれないが、ダストボウルのような急激な変動であれば、そうはいかないだろう。

posted by Kumicit at 2009/12/20 18:18 | Comment(1) | TrackBack(0) | Sound Science | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

たとえ人類がCO2を排出しなくても気候は変動し、人類は翻弄される(1/6) 氷河

温暖化の進行に伴う、1850年〜1966年のアルジャンティエール氷河の後退が絵画・写真の形で残されている。
Argentiere1850.gif
[1850年のアルジャンティエール氷河のエッチング]

Argentiere_Jean_Gilleta.jpg
[Jean Gilleta(1856-1933)が撮影した写真。撮影年代情報はないが、撮影者の生年・没年から見て、1900年前後だろうか。]

Argentiere1966.gif
[アルジャンティエール氷河 1966年(写真)]

人類の活動の気候に対する影響が出はじめたのは1970年代あたりからで見られている。この変化は、おそらく自然現象であり、人類が排出した二酸化炭素は影響していないか、していたとしても無に等しい程度である。

そして、当然、寒冷化したときは、この逆の経路をたどっている:
シャモニーでは実際、サヴォワ地方の会計法院の文書が証明しているように、1600年以降氷河が襲ってきた。
「税制改革以来、[すなわち1600年以降 (サヴォワ地方の税制改革は1600年5月1日の勅令によって実施された)] 氷河、アルヴ川。、その他の急流が、この小教区(シャモニー)のあちこちで、195ジュルナル[面積の単位、一人の農夫が1日で耕せる農地面積]の土地を廃墟にしたり損なったりした。特に90ジュルナルの農地と12軒の家が破壊されたル・シャストラールの村では土地の12分の1しか残らなかったし、レ・ボワの村は氷河のために放棄された。ラ・ロズィエールとアルジャンティエの村では7軒の家が日増しに前進する氷河の下敷きになり、破壊はさらに続いて、ラ・ボンヌヴィルの村でさらに2軒の家を破壊し.... 十分の一税が大幅に減少した。」

[ル=ロワ=ラデュリ: "気候の歴史" p190]
圧倒的な氷河の前進に為すすべもなく、村は粉砕されていく。


「人類が気候に干渉しなければ悪いことは起きない」と信じる人もけっこういそうだが...

==>google しっぺがえし 温暖化

人類が温室効果ガス排出を今この瞬間にゼロにしたとしても、地球の気候は変動を続けていく。そして、居住可能な場所が不可能になり、居住不可能だった場所が居住可能になる。食料生産は変動し、これまでもそうだったように、おそらく、これからも大量の餓死者を出すことになるだろう。気候変動の進行が速ければ、人と農地を移転するために使える時間が限られ、被害は拡大するだろう。


ということで、人類が気候変動や異常気象に翻弄されてきた歴史をちょっとだけ振り返っておくことにする。
posted by Kumicit at 2009/12/20 13:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | Sound Science | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009/12/18

米国の温暖化否定を概観する (5b) 温暖化否定シンクタンク

反環境保護と保守系シンクタンクの関係を調査した研究がある:

==>Jacques PJ, Dunlap RE, and Freeman F: "The organisation of denial: Conservative think tanks and environmental scepticism", Environmental Politics, 17:3, 349 ― 385, 2008 DOI: 10.1080/09644010802055576

保守系シンクタンクも常に生成消滅しているため、既に最新断面ではなくなっているが、概況はよくわかるので、まず、このJacques[2008]を見ていくことにする。

Jacques[2008]が調査対象とした保守系シンクタンク(CTT: Conservative Think Tank)は、Heritage Foundationのリストに掲載されているものすべて:
The second part of our analysis examines CTT positions on environmental issues. In order to systematically select CTTs, we used the Heritage Foundation’s website. Arguably the pre-eminent CTT (Allen 1992), the Heritage Foundation is committed to fostering the conservative cause. One way Heritage does this is via the Internet, where it posts lists of conservative policy experts and 561 organisations (www.policyexperts.org). The inclusion of a think tank on the Heritage Foundation’s website establishes its conservative credentials and provides face validity for our study population. Content validity of the database is indicated by the fact that all of the organisations identified by McCright and Dunlap (2000; 2003) were found on the Heritage list.
なお、彼らが調査した時点では581だったが、現在は719である。それらのうち、環境問題を扱っている50がAppendixに掲載されている。これを整理すると以下のようになる:

Environmental scepticism espoused
(環境懐疑論を支持するか)
Yes No
USA 40 4
Canada 1 1
Belgium 1 0
France 1 0
UK 1 0
Sweden 1 0
環境問題を扱う保守系シンクタンク50のうち45が懐疑論の立場にある。

そして、Jacques[2008]が調べた環境懐疑論な出版物141のうち、保守系シンクタンクが関与したものと、そうでないものは以下のようになっていた:
Table 1. Think tank affiliations of environmentally sceptical books.

Books with No conservative
Conservative think think tank Total
Country tank associations associations books
-----------------------------------------------------------------
USA 101 9 110
UK 19 1 20
Australia 2 0 2
Canada 1 1 2
Denmark 1 0 1
France 1 0 1
Germany 1 0 1
Netherlands 1 0 1
New Zealand 1 0 1
South Africa 1 0 1
Sweden 1 0 1
-----------------------------------------------------------------
Totals 130 11 141
温暖化否定論を含む環境懐疑な本の大半は保守系シンクタンクが関連している。しかも大半が米国。そして出版時期は1990年代から増大:
Table 2. Trends in publication of environmentally sceptical books: 1970–2005.

Country 1970s 1980s 1990s 2000–2005
---------------------------------------------
USA 5 13 56 36
UK 1 0 13 6
Australia 0 1 0 1
Canada 0 0 1 1
Denmark 0 0 0 1
France 0 0 0 1
Germany 0 0 1 0
Netherlands 0 0 0 1
New Zealand 0 0 0 1
South Africa 0 0 0 1
Sweden 0 0 1 0
---------------------------------------------
Totals 6 14 72 49
これについて、Jacques[2008]は次のように書いている:
Our analyses of the sceptical literature and CTTs indicate an unambiguous linkage between the two. Over 92 per cent of environmentally sceptical books are linked to conservative think tanks, and 90 per cent of conservative think tanks interested in environmental issues espouse scepticism. Environmental scepticism began in the US, is strongest in the US, and exploded after the end of the Cold War and the emergence of global environmental concern stimulated by the 1992 Earth Summit.

環境懐疑論出版物と保守系シンクタンクについての我々の分析は、これらの関係が明瞭であることを示している、92%以上の環境懐疑論な本は保守系シンクタンクと関連しており、[環境問題に関心のある]保守系シンクタンクの90%が懐疑論に関心がある。環境懐疑主義は米国で始まり、米国で最も強く、冷戦が終結し、地球サミット1992によって地球環境問題への関心が高まった頃に拡大している。
とはいえ、これらの保守系シンクタンクに環境分野の科学者が所属したり、フェローとして関係していることはほとんどない:
This has been a particularly notable accomplishment in the realm of scientific and environmental issues because CTTs are populated primarily by economists, policy analysts and legal scholars rather than natural scientists (Fischer 1991); the George C. Marshall Institute is an exception (Lahsen 2005).

The lack of in-house scientific expertise helps explain why CTTs have been quick to form relationships with the small number of academic scientists who support their views, as in the case of ‘climate sceptics’ (Lahsen 2005; McCright and Dunlap 2003).

Fischer, Frank, 1991. American think tanks: Policy elites and the politicization of expertise. Governance, 4, 332–353.
Lahsen, Myanna, 2005. Technocracy, democracy, and US climate politics: The need for demarcations
McCright, Aaron and Dunlap, Riley, 2000. Challenging global warming as a social problem: An analysis of the conservative movement’s counter claims. Social Problems, 47, 499–522.
理系のPhD取得者どころか、理系スタッフすら稀な状況がある。Jacques[2008]が特にアクティブだと指摘する8つの保守系シンクタンクのうち、現役戦力を持つのはGeorge C. Marshall Instituteだけである。
[Dr. Sallie Baliunas on George C. Marshall Institute]

Sallie Baliunas is an astrophysicist formerly affiliated with the Mount Wilson Institute. Her awards include the Newton Lacey Pierce Prize by the American Astronomical Society, the Petr Beckman Award for Scientific Freedom and the Bok Prize from Harvard University. In 1991 Discover magazine profiled her as one of America's outstanding women scientists.

[ on George C. Marshall Institute]

Willie Soon is a physicist at the Solar and Stellar Physics Division of the Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics and an astronomer at the Mount Wilson Observatory.
このうちDr. Sallie Baliunasはスタッフだが、Dr. Willie Soonは外部からのWriterである。しかも、二人とも大気圏内ではなく、恒星物理方面の研究者。

温暖化否定論支持とDDT擁護を主たるミッションとしているJunkscience.comの主宰者Junkman Milloyは健康科学の修士で、学位は法律:
[Steven Milloy on Junkscience.com]

Mr. Milloy holds a B.A. in Natural Sciences from the Johns Hopkins University, a Master of Health Sciences in Biostatistics from the Johns Hopkins University School of Hygiene and Public Health, a Juris Doctorate from the University of Baltimore, and a Master of Laws from the Georgetown University Law Center
この他、Weidenbaum CenterCompetitive Enterprise Institute (CEI) Committee for a Constructive Tomorrow (CFACT) などには、理系PhD取得者は見当たらない。

で、結局のところ、残るは、Dr. S Fred SingerのThe Science and Environmental Policy Projectのみ。
[http://www.sepp.org/about%20sepp/bios/singer/biosfs.html">S. Fred Singer, Ph.D. on The Science and Environmental Policy Project]

Now President of The Science & Environmental Policy Project, a non-profit policy research group he founded in 1990, Singer is also distinguished professor emeritus of environmental science at the University of Virginia. His previous government and academic positions include Chief Scientist, U.S. Department of Transportation (1987- 89); Deputy Assistant Administrator for Policy, U.S. Environmental Protection Agency (1970-71); Deputy Assistant Secretary for Water Quality and Research, U.S. Department of the Interior (1967- 70); founding Dean of the School of Environmental and Planetary Sciences, University of Miami (1964-67); first Director of the National Weather Satellite Service (1962-64); and Director of the Center for Atmospheric and Space Physics, University of Maryland (1953-62).
網羅的に温暖化否定論のネタを提供できるのはDr. S Fred Singerをおいて他にない。

==>米国の温暖化否定を概観する (5) 温暖化否定論の立場をとる科学者たち(2009/12/13)

研究戦力としては、わびしすぎる否定論勢力だが、宣伝としては成功しているとJacques[2008]は言う:
Given the success of CTTs in promoting environmental scepticism, particularly obvious in the case of climate change (Antilla 2005; Boykoff and Boykoff 2004; McCright and Dunlap 2003; Mooney 2007), it seems reasonable to conclude that the CTT-based countermovement has contributed to the decline of US support for environmental protection in recent decades. The ability of CTTs to influence environmental policy replicates their accomplishments in other policy domains (Covington 1997; Callahan 1999; Krehely et al. 2004; Stefancic and Delgado 1996), and thus should come as no surprise.


Antilla, Liisa, 2005. Climate of scepticism: US newspaper coverage of climate change. Global Environmental Change, 15, 338–352.
Boykoff, Maxwell and Boykoff, Jules, 2004. Balance as bias: Global warming and the US prestige press. Global Environmental Change, 14, 125–136.
Callahan, David, 1999. $1 billion for ideas: Conservative think tanks in the 1990s. Washington, DC: National Committee for Responsive Philanthrophy.
Covington, Sally, 1997. Moving a public policy agenda: The strategic philanthropy of conservative foundations. Washington, DC: National Committee for Responsive Philanthropy.
Krehely, Jeff, House, Meaghan, and Kernan, Emily, 2004. Axis of ideology: Conservative foundations and public policy. Washington, DC: National Committee for Responsive Philanthropy.
McCright, Aaron and Dunlap, Riley, 2000. Challenging global warming as a social problem: An analysis of the conservative movement’s counter claims. Social Problems, 47, 499–522.
Mooney, Chris, 2007. An inconvenient assessment. Bulletin of the Atomic Scientists, 63 (Nov/Dec), 40–47.
Stefancic, Jean and Delgado, Richard, 1996. No mercy: How conservative think tanks and foundations changed America’s social agenda. Philadelphia, PA: Temple University Press.
そして、これらの保守系シンクタンクは、裕福な保守系財団や企業の資金で運営されている:
The perceived threat to American values and interests posed by environmentalism helped justify the creation of a sustained anti-environmental counter-movement, institutionalised in a network of influential CTTs funded by wealthy conservative foundations and corporations (Austin 2002).

Austin, Andrew and Phoenix, Laurel, 2005. The neoconservative assault on the earth: The environmental imperialism of the Bush administration. Capitalism, Nature, Socialism, 16 (2), 25–44.
実態として、温暖化否定を含む環境保護否定の論争として(本などの形で)聞こえているものは、科学の世界ではなく、ほとんど理系PhD取得者すら存在しない保守系シンクタンクの世界からのもの。そして、その大半は米国の保守系シンクタンクである。彼らは資金を求めて、オゾン層破壊否定論(Dr. Sallie Baliunas, Dr S Fred Singer)や副流煙問題(Steven Milloy)など時のネタを渡り歩いている。




関連エントリ





posted by Kumicit at 2009/12/18 07:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | Sound Science | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009/12/17

米国の温暖化否定を概観する (6b) 2002年のブッシュ政権への助言 Luntzメモ

共和党のコンサルタントで世論調査を行うFrank Luntzは、2002年当時、ブッシュ政権に対して地球温暖化について、Luntzメモと呼ばれる助言を行っている。その中で、共和党が温暖化否定論サイドにあり、温暖化否定論は負けかけているが、まだ負けたわけではないので、"科学的不確かさ"を強調し続けることが効果的だと述べている。

==>The Environment: A Cleaner, Safer, Healthier America (Luntz Memo 2002)

The scientific debate is closing [against us] but is not yet closed. There is still a window of opportunity to challenge the science. Americans believe that all strange weather that was associated with El Nino had something to do with global warming, and there is little you can do to convince them otherwise. However, a handful of people believes the science of global warming is a close question. Most Americans want more information so that they can make an informed decision. It is our job to provide that information.

科学的議論は我々に不利な形で終わりかけているが、まだ終わっていない。まだ、科学に疑問を呈する機会が残っている。米国人はエルニーニュに伴う異常気象が地球温暖化と何らかの関係があると考えており、そうでないと納得させるためにできることはほとんどない。しかし、地球温暖化が答えが出た問題だと考えているのは少数である。大半の米国人は情報に基づいた決定するために、さらなる情報を求めている。その情報を提供するのが我々の仕事である。
Language that Works: “We must not rush to judgment before all the facts are in. We need to ask more questions. We deserve more answers. And until we learn more, we should not commit America to any international document that handcuffs us either now or in the future”.

[効果のある表現] 我々はすべての事実が明らかになる前に、決断を急いではいけません。我々はさらに問う必要があります。そして、その答えを得る価値があります。そして、我々がもっと多くを知るまで、我々に手械をはめるような国際文書に署名すべきではありません。
You need to be even more active in recruiting experts who are sympathetic to your view, and much more active in making them part of your message. People are willing to trust scientists, engineers, and other leading research professionals, and less willing to trust politicians. If you wish to challenge the prevailing wisdom about global warming, it is more effective to have professionals making the case than politicians. When you do enter the fray, keep your message short, concise, and refer to the source of the material you use. Back up your points with a limited number of facts and figures -- but then explain why they matter.

さらに積極的に、我々の見方に賛成する専門家を募り、我々のメッセージに積極的に加えていく必要がある。人々は科学者や技術者やその他研究の専門家たちを信じたがり、政治家を信じたがらない。地球温暖化についての普通の知恵に対抗するのであれば、政治家よりも専門家に論拠を述べさせる方が効果的である。論争に入ったら、自分のメッセージは短く簡潔にし、使っている素材のソースを参照すること。数を限った事実と図で自分の主張を補強すること。ただし、それらが何故に問題か説明すること。

On final science note: Americans have little trust in arguments relying on short-term data, such as mentioning that year X was the hottest on record or year Y was the coldest on record, etc. Even 15 years of satellite records, or modeling that shows rising sea level is not enough.

科学についての最終的な注記:米国人は、X年は最も暑かったとか、Y年は最も寒かったといった、短期間のデータに依存した論をほとんど信用しない。15年間の衛星観測データや海面上昇を示すモデルも十分ではない。
Words that Work: “Scientists can extrapolate all kinds of things from today’s data, but that doesn’t tell us anything about tomorrow’s world. You can’t look back a million years and say that proves that we’re heating the globe now hotter than it has been. After all, just 20 years ago scientist were worried about a new ice age.”

[効果のある表現] 科学者は現在のデータから、あらゆることを推定できますが、それは明日について何も語りません。過去百万年のデータを見ても、過去よりも将来に地球が暑くなると証明できません。結局のところ、たった20年前には科学者たちは新たな氷河期を心配していました。
この助言そのものは独創的ではない。主張そのものは既にDr. S Fred Singerが挙げており、宣伝方法はオゾン層破壊をめぐるものと血がていない。ただし、2009年現在にいたるも、温暖化否定論サイドの行動はこれにしたがったものになっている。Dr. S. Fred SingerやDr. Sallie BaliunasやDr. Willie SoonやDr. SI Akasofuなどの科学者、シミュレーションモデルの不確かさなどの温暖化否定サイドの主張、このラインで主張する政治家Jim Inhofe連邦上院議員など。

この2002年の助言について、Frank Luntzは2006年のBBCの番組の中で、当時は公正な助言だった、今となっては別だと述べている:
[Climate chaos: Bush's climate of fear (Transcript) (2006/09/04) on BBC]

Source:
The Environment: A Cleaner, Safer, Healthier America (Luntzメモ)

The environment is probably the single issue on which the Republicans in general, and President Bush in particular, are most vulnerable.

環境はおそらく共和党全般、特にブッシュ大統領が最も弱い点である。

REPORTER: It offered key advice, cast doubt over the science, questioned the notion that the world is getting hotter, asked if global warming is even real.

リポーター: Luntzメモは、科学に疑いを投げかけ、地球が暑くなっていることに疑問を呈し、地球温暖化が現実かどうか問うという、重要な助言を行っている。

The Environment: You need to continue to make the lack of scientific certainty a primary issue.

メモ: まずもって、科学的確かさの欠如を主張し続ける必要がある。

Dr FRANK LUNTZ -- Republican Pollster (共和党世論調査担当)
In 2000 the science was not definitive. There were plenty of people at that point who were challenging it.

Luntz: 2000年時点では科学は確定的ではなかった。それに疑問を呈する人々は多くいた。

REPORTER: The memo urged Republicans to seek out scientists who were doubters, and give them a voice.

リポーター: メモは共和党員に対して、懐疑的科学者をさがして、声を上げさせることを求めていた。

The Environment: Be even more active in recruiting experts who are sympathetic to your view, and much more active in making them part of your message.

メモ: さらに積極的に、我々の見方に賛成する専門家を募り、我々のメッセージに積極的に加えていく必要がある。

REPORTER: Otherwise, it implied, the Republicans were in grave danger of losing votes in the next elections.

リポーター: そのことは、そうしないと共和党が次の選挙(2002年)で大敗することを意味していた。

The Environment: Should the public come to believe that the scientific issues are settled, their views on global warming will change accordingly.

メモ: 人々が科学的問題が解決がついたと考えれば、地球温暖化についての人々の見方はそれに従って変わってしまう。

REPORTER: Today, Frank Luntz says the advice he offered the administration on global warming, was fair when he gave it, but he's distanced himself from their policy since.

リポーター: 今日、Frank Luntzは「ブッシュ政権に対して、地球温暖化について行った助言は、その時点では公正なものだった」と言っているが、彼は以後、政治から距離をとろうとしている。

LUNTZ: It's now 2006. Now I think most people will conclude that there is global warming taking place, and that the behaviour of humans is affecting the climate.

今は2006年である。今では私は、地球温暖化は起きていて、気候に人間の活動が影響を受けていると人々は結論していると考えている。




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posted by Kumicit at 2009/12/17 08:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | Sound Science | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009/12/16

米国の温暖化否定を概観する (7b) ゆるがない米国の世論

Climate Gateのドタバタが2009年11月にあった:
[Katherine Noyes: "Hacked Climate Emails: Tempest in a Teapot?" (2009/11/25)]

Union of Concerned Scientistsの広報担当Aaron Huertasは、「ハッキングされた科学者たちがやりとりしていたEmailメッセージは、言葉の選択が良くないものもあったが、実際に行われている科学に何らの欠点を示すものもない。Isaac Newtonは時には間違っていたが、それは重力理論が間違っていることを意味しない。」と述べた。

数週間後に国連気候変動会議が Copenhagenで開かれるにあたり、この分野における指導的な科学者たちは今週中にやっておきたいことが多くあっただろう。しかし、それはできなかった。匿名の泥棒によって、East AngliaのClimatic Research Unit (CRU)から大量のEmailが盗まれた。

これにより、このハッキングでEmailを盗まれた、気候変動における重要な科学者たちは、自分たちの研究の擁護とダメージコントロールに忙殺された。

National Center for Atmospheric Researchの気候解析部門の長であるKevin TrenberthはTechNewsWorldに、次のように述べた「私や他の多くの気候科学者たちは、生産的な仕事ではなく、この混乱の収拾・対処に今週、時間をとられた。私はそれもハッカーの戦略のひとつだと思う。」


Deliberate Timing?

本当に、責任者に対して何らの語られていないが、ニュースが明るみに出た時から、攻撃のタイミングは、ここ数日々、潜在的に有意な要因として広く注目された。

たとえば、Climatic Research Unitの責任者であるPhil Jonesは次のように述べた「この時点でEmail文書が盗まれて後悔されたことが偶然の一致だとは思えない。Copenhage会議の前に、気候変動の科学に対して疑問符をつけようとする協調した試みだろう」


'Written in the Heat of the Moment'

Jones は、盗まれたEmailと文書に関係する数人の科学者のひとりだった。それらの中にJonesが書いたEmailがあった「私は1960年から1981年の過去20年の時系列に実際の温度にMikeのNatureトリックを加えて、Keithのために低下を隠した。」とあった。

批判者たちはデータが気温上昇を示すように改竄された証拠として、そのEmailに飛びついた。しかし、Jonesと関係する他の科学者たちは彼らの研究を積極的に擁護した。

Jones は火曜日に次のように述べた。「私の研究仲間や私は、公表されたEmailの幾つかが意味が取れにくことは認める。私は、その結果として引き起こされた動揺や混乱を残念に思う。幾つかその頃の情熱で書かれている。他のメールでは、親しい研究者仲間の間で多用される口語表現が使われている。我々は、我々の科学出版物が堅牢かつ正直なことを確実にすることに、常に几帳面である。」

実際、CRUもJonesのデータの真実性を示す一連のグラフを公表した。


Calls for Inquiry

しかし、盗まれたEmailの実際の内容が問題になるかさえも、非常に疑問の余地がある。英国では、論争の両サイドがは、月曜日に調査を要求している。一方、米国では、その間、地球温暖化はホラだと論じてきた、オクラホマ選出共和党James Inhofe連邦上院議員が調査を求めていた。

'Something Orchestrated'

Trenberth は次のように述べた。「明らかに、ここで組織化された何かが進行している。私は他の人々がやっていると報道される形で、Inhofeのオフィスと連絡をとっていない。大量のEmailを受け取ったが、どれもとても短くて、とても攻撃的なものだった。明らかに異なる複数のグループがこのようなことを推進している。少なくとも、この状況は武運的には明らかに政治的だ。」

'Shooting the Messenger'

さらにTrenberthは次のように述べた。「我々が気候変動について理解していることすべてについて科学的基礎がある。他方、これについてすることは、議論に上がる。現在の論争の大旋風は、"知らせを持ってきたものを撃つ"の例である。残念ながら、これは少し成功しているようだ。先を見れば、この経験から、発言について注意を要すべきで、おそらく、ある時点で過去に遡って古いEmailを削除するのが適切だということになるだろう。」

'Another Political Football'

Union of Concerned Scientistsの広報担当Aaron HuertasはTechNewsWorldに対して次のように述べた。

「長い目で見れば、私はこれが世論に何らかの影響を与えるとは思えない。この主張を推進しているのは、Inhofeのように長年にわたり、いずれにせよ科学を攻撃してきた人々だ。彼らにとっては、またひとつの使える政治的フットボールである。そのような攻撃はつまるところ、月着陸はなかったと主張するようなレベルの陰謀論である。

「せいぜいがところ、この出来事は、あごひげと眼鏡をもつ落ち着いた紳士としての科学者という俗説を変えるだけだ。そして、これは科学者が人間的であり、仕事熱しであることを示すだけだ。」

「Isaac Newtonは時には間違っていたが、それは重力理論が間違っていることを意味しない。」と、NASAの気候学者Gavin SchmidtのNew York Timesのインタビューでの言葉を言い換えた。

「言い換えるなら、これらのEmailは、実際の科学を非難するものではない。」と、彼は結論した。
「長い目で見れば、私はこれが世論に何らかの影響を与えるとは思えない」というUnion of Concerned Scientistsの広報担当の発言だが、これがどうも正しい指摘のようである。

連続的なデータはないが、2つの世論調査をつなぐと、米国の世論の傾向が見れる。
Pew Research Center survey. Sept. 30-Oct. 4, 2009. N=1,500 adults nationwide. MoE +/- 3.

"From what you've read and heard, is there solid evidence that the average temperature on earth has been getting warmer over the past few decades, or not?" If yes: "Do you believe that the earth is getting warmer mostly because of human activity such as burning fossil fuels, OR, mostly because of natural patterns in the earth's environment?"

Ipsos/McClatchy Poll conducted by Ipsos Public Affairs. Dec. 3-6, 2009. N=1,120 adults nationwide. MoE +/- 2.9 (for all adults).

"You may have heard about the idea that the world's temperature may have been going up slowly over the past 100 years. What is your personal opinion on this? Do you think this has probably been happening, or do you think it probably has not been happening?"

If "Probably has" (N=769):
"Do you believe that the earth is getting warmer mostly because of human activity such as burning fossil fuels, OR, mostly because of natural patterns in the earth's environment?"

[via PollingReport.Com]
これらの結果をつなぐと...


<-- PEW --------------------> Ipsos
June July Aug Jan Apr  Oct Dec
2006 2006 2006 2007 2008 2009 2009
% % % % % % %
Yes 70 79 77 77 71 58 70
Because of human activity 41 50 47 47 47 36 43
Because of environ, patterns 21 23 20 20 18 16 24
Don't Know 8 6 10 10 6 6 3
No 20 17 17 16 21 33 28
Mixed/Don't Know 10 4 6 7 8 10 3
2008年4月と2009年9-10月で大きく変化しているが、Climate Gate騒ぎの後では、元の傾向にもどり始めている。

その理由を求めて、とりあえず、簡単に手に入るニューヨークのセントラルパークの月平均気温を見てみたところ...
NewYorkMonthly.png
2009年6月と7月は記録的に涼しかった。マンハッタンでは通常は8月より7月の方が暑いのだが、2009年は逆転している。マンハッタンからNew Haven線に乗っているうちに州境を通過するコネチカット州でも同様の傾向が見られる。

でも冬になって、夏のことを忘れたらしく、元の傾向に戻り始めている。Climate Gateの世論への影響は、夏の気温よりも、はるかに小さかったと見るべき。

同様に、2007年11月に起きた温暖化フェイク論文騒動も、上記の世論調査をみると、何の影響も与えていないことがわかる。
[Fake climate change paper (2009/11/09) on Nature Blog]

地球温暖化に対する議論は、変な展開をした。「人類に起因する地球温暖化」を論破するというフェイク論文について、ブロゴスフィアは大騒ぎ。

フェイク論文そのものはサイトから削除されたようだが、Google Cacheには残されている。これのEditorialのCacheも残っている。「我々は、政策立案者たちに動揺を引き起こした、全地球的な気温上昇が、工業からの排出とは関係がなく、自然現象と結論するしかない」とフェイク論文は結論した。

しかし、記載された著者たちと所属機関は存在しないようだ。記載された編集委員会も怪しい。Registerや様々なブログが、これらを楽しんだ。そのなかに、このフェイク論文の作者が英国の著述家David Thorpeであるという説がある。しかし、Thorpeはこれを否定した:
明白にしよう。このサイトのコンテンツを私は書いていない。誰かがやったことだ。私がジョークが好きだと知っている誰かから頼まれたので、サイトをデザインしただけだ。このサイトが私が書いたかのように見えるのは認めよう。とても面白いサイトなので、自分で書いたものだったら、よかったと思う。しかし、私は書いていない。


[Daniel Cressey: "INTERVIEW: author of spoof paper speaks" (2009/11/09) on Nature Blog]

Q: 本名は言えますか?

A: いえません

Q: 職業は? 気候分野の仕事あるいは勉強をしたことは?

A: 関連分野の仕事をしています。

Q: どこか言えますか?

A: いえません

Q: なぜフェイクサイトを作ったのですか? ただのジョークですか? それともフェイク論文を真に受ける人々がアホに見えるようにするため?

A: 目的は、自らを気候変動懐疑論者と呼ぶ人々が、いかに信じやすく、科学的に無学であるかを見せつけるためです。彼らは、多くの気候変動の研究者たちの仕事を軽蔑するが、彼らのポジションを支持するものなら何でも信じてしまう。彼らの気候変動へのアプローチは懐疑論とは正反対です。

Q: あなたのネタが報道されたことに驚きましたか?

A: 別に。"Oregon Petition"とかDavid Bellamyの危ない氷河の図と同様に狂った主張が、広く世界を巡り、懐疑的なコミュニティに拾われる。しかし、どうやっても彼らを説得できません。人々を起こして、話を聞かせるには、デモンストレーションが必要です。それが私がやったことです。

Q: どれくらいで、あなたの論文がフェイクだとばれると思いましたか?

A: Google時代なので、フェイクはそんなに続きません。しかし、フェイクであることがばれるまでに、非常に多くの懐疑論者をひっかけました。Rush Limbaughは自分の番組で放送し、James Inhofeのオフィスはそれをサイトにアップした[編集部注: Inhofe上院議員のオフィスは、サイトにアップしていないと言っている]。Benny Peiserは2000人のこのネタを送り、Ron Baileyはこれについて執筆した。

Q: あのフェイクサイトをつくるのに、どれくらい時間がかかりましたか?

A: 4日です。

Q: なぜサイトは消えたのですか? 自分で消したのですか?

A: ホスティングしている会社が削除を決めました。

Q: あなたのフェイクにだまされた人々に、何と言いますか?

A: ばかじゃん

Q: 気候変動についての、あなたの本当の意見はどんなものでしょうか? 人類は現在観測されている温暖化に責任があると思いますか?

A: はい。明白に。

Q: ほかに仕込んでいるフェイクはありますか?

A: それは内緒です。

[フェイク論文コピー]

Journal of Geoclimatic Studies (2007) 13:3. 223-231
DOI:152.9967/r755100729-450172-00-4

Carbon dioxide production by benthic bacteria: the death of manmade global warming theory?
海底細菌による二酸化炭素の生産:人類起源の温暖化理論の終焉?

....


まさに、長い目で見れば、冷夏もフェイク論文もClimate Gateも米国人の温暖化に対する見方に影響を及ぼさない。




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posted by Kumicit at 2009/12/16 08:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | Sound Science | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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