聖書の記述と自然科学の知見の矛盾を"解消"しようという試みは遅くとも19世紀前半に始まっている。
コンコーディズム(19世紀前半〜1930年代)
自然科学の知見を改変せず、聖書の解釈を自然科学の知見に合わせることで矛盾を"解消"しようとしたのがコンコーディズムである。
コンコーディズム(Concordism, 調和主義): 神の言葉である聖書と神の作品である自然は一致するはずだという仮定。すなわち、それらは同じ物語を違った言葉で語ったもの。長年にわたって続いてきたが、特に英米のコンコーディストたちにとって重要なのは、Francis BaconがThe Advancement of Learning [1605]で書いたもの影響である。Baconの米国人への影響は、"二つの書"というメタファーとともに、自然という書を有神論的見方で読むという自然神学の主張である。
[Davis 2002]
たとえば、以下のような例がある。
表 19世紀の主要なコンコーディストの対応付け[Young 1987, Table II]
| Miller | Guyot | Dawson |
|---|
| 第1日 | 無生代(*1) | - | 大気が晴れる |
|---|
| 大気が晴れる |
| 第2日 | シルル紀 | 原始星雲がちぎれて | 雲と海洋が分離する |
|---|
| 大気の成長 | 恒星とガス塊なる |
| 第3日 | 石炭紀 | 地球が冷える | 古生代 |
|---|
| 青々とした植生の出現 | 単純な植物のみ | 大陸の出現 |
| 第4日 | ペルム紀 | 始生代(*2) | 太陽の凝集 |
|---|
| 三畳紀 | 成長する地球から輝きが失われる | 大陸の再合体 |
| 大気の最終的晴上り | 太陽が見えるようになる |
| 第5日 | 白亜紀 | 古生代と中生代 | 古生代と中生代 |
|---|
| イクチオサウルス | (Millerのシルル紀から白亜紀に相当) |
| プレシオサウルス | 海洋生物 |
| 鳥 | 複雑な植生 |
| プテロダクティルス |
| 第6日 | 第3紀(*3) | 第3紀(*3) | 第3紀(*3) |
|---|
| ホニュウ類 | ホニュウ類 | ホニュウ類 |
*1: Azoic Period(無生代): 現在は廃止
*2: Archean Period(始生代): Millerの無生代に相当, 現在は38億年前〜25億年前を指す
*3: Tertiary (第3紀): 現在は廃止され、PaleogeneとNeogeneの2つから構成される
これについては、5年ほど前に調べたことがある。
20世紀初頭にはどうにもならなくなって、コンコーディズムは真剣な試みとしては消滅している。
Dr. Hugh Rossの古い地球の創造論
古い地球の創造論は20世紀初頭には存在し始めていた立場で、多くの変種がある。(なお、インテリジェントデザインは"古い地球の創造論"と"若い地球の創造論"の対して互換な主張を行っているので、"古い地球の創造論"の変種とはみなされない。)
現在、もっとも有力な"古い地球の創造論"は、宇宙物理屋だったDr. Hugh Rossの主宰する
Reasons to Believeの主張である。もともとの研究分野を守ろうとするかのように、宇宙方面および地球方面の分野については通常の自然科学の知見を改変せずに、
聖書の時系列に接続している。
以下に示す創造論の年代記の要約は、RTB創造モデルの時系列の概要を示す:
- 時間と空間の外側に存在する神は、物質とエネルギーと空間と時間の宇宙を存在せしめた。
- 神は、人類の居住に適した惑星を形成するように、宇宙の膨張と冷却を導いた。
- 神は、人類の居住圏を準備するための、6つの創造段階を経て、地球と太陽系を継続して変容させた。この創造期間において、神は人類の拡大と文明を最大限に支援するために次第に発達した植物と動物を階層化した。
- 神は最初の人間アダムを創り、エデンに置いた。神はアダムにこの素晴らしい庭園の世話をすることを教えた。そしてその仲間にして手助けするものとしてイブを創った。
- かつて最高の美と力を持っていた天使であり、ひとたび超自然界において神に背いたルシファーがエデンに立ち入ることを許した。そして、神はルシファーがアダムとイブを誘惑することを許した。
- アダムとイブは神の権威に逆らい、地球環境に罪と、そして罪が生み出す悪を、導きいれた。
- 神はアダムとイブを追放し、肉体的不死たる生命の木に触れられないようにし、さらに彼らとその子孫の寿命を短縮した。これらにより悪の表出を抑制し、贖いへの道を開いた。
- 人類を絶望から救う計画に対するための指示と準備のために、神はアブラハムとその後継者を通じて、人間と会話することを選んだ。この計画とそれを果たすという神の約束は、人類に希望を与えた。
- 神は人たるイエス・キリストとして地上に来て、罪を犯したいという誘惑に耐えて、人類の贖いのために死の罰を受けた。愛に動機付けられて、誰もが信仰を通して神の前の義認と、神との交わりと、敬虔で向上する能力とを授けられるように、イエスは十字架の上で死を耐えた。この約束は、主との永遠の生の約束を含む。
- イエス・キリストは死を克服して、幾百人もの目撃者の前に肉体として現れることで、主の復活を証明した。そして、主との約束を受け容れるすべての人々に新たな創造を準備する超越領域(天国)へと昇った。
- イエス・キリストは、主に従う者たちに、優しさと敬意と明瞭な良心を以って、主の提案についての良き知らせを、地上のすべての人々へと広めるように頼んだ。
- イエス・キリストは、主の贈り物と神の権威を拒否するすべての者から、主の影響力を取り去る。
- イエスは主の人々の新たな創造に付き添う。そこで人々は主と向き合って、永遠の生を得る。いとたびその地に至れば、主の人々は、主の仕事において新たな指導的役割を成し遂げる。
[Hugh Ross: Creation as Science, pp.69-70]
いかにうまく地球の歴史と「アダムとイブの創造」をつなげるかがキーであり、Dr. Fazale Ranaなども繰り返し「ミトコンドリア・イブとY染色体アダム」について
記述している。
基本的立場は「生物は進化しない。神はアダムとイブの創造まで、生物を創造し続けた」である。宇宙方面と地球方面を福音主義キリスト教から守って、被害を進化論に限定しようという妥協的な立場であり、自然科学と聖書の調和としては限定的。
posted by Kumicit at 08/30 07:46
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