2012/07/18

韓国で創造論者ととキリスト教な歴史修正主義者の講演会

韓国では、この夏(2012)、創造論者(おなじみの教科書進化論改訂推進会)とキリスト教な歴史修正主義者(本人たちによれば歪曲された歴史を正す)が仲良く講演会を開くという。
[이대웅: "‘과학・역사교과서 바로 세우기’ 여름특강 열린다" (2012/07/16) on 韓国クリスチャントゥデイ]
理科と歴史教科書を正す"夏季特別講演が開催される}

헤리티지 아카데미(대표 최상일 목사)에서 오는 8월 20-21일 이틀간 숭실대 안익태기념관 404호에서 ‘교과서 바로 세우기’를 주제로 여름 특강을 개최한다.

아카데미에서는 이번 특강을 통해 최근 사회적 이슈로 떠오른 진화론 교과서 개정문제와 교과서 내 기독교 역사왜곡 문제를 다룰 예정이다.

첫날인 8월 20일 오후 2-5시에는 백현주 교과서진화론개정추진회(교진추) 총무가, 오후 7-10시에는 김오현 교진추 연구소장이 각각 ‘과학교과서 바로 세우기’를 주제로 강연한다.

둘째날인 21일에는 오후 2시부터 박명수 교수(서울신대)가, 오후 7시부터 이은선 교수(안양대)가 각각 역사교과서 왜곡과 잘못된 해석 문제들을 지적할 계획이다.

최상일 대표는 “교과서가 어떻게 기술되는가 하는 문제는 다음세대의 가치관을 결정짓는 근본적 문제이기에 역사적 사실이나 기독교 정신에 상충되는 왜곡된 기술들을 결코 놔둬서는 안 된다”며 “이번 특강이 한국교회에 도전을 주는 기회가 되기를 바란다”고 밝혔다.

ヘリテージアカデミー(代表Sang-Il Choi牧師)は、8月20-21日の二日間、崇実大安益泰記念館404号で "教科書を正すこと"をテーマに、夏の特別講演を開催する。

アカデミーでは、今回の特別講演を使って、最近社会問題に浮上した進化論の教科書改訂問題と教科書のキリスト教の歴史の歪曲問題を扱う予定だ。

初日の8月20日午後2-5時にペクヒョンジュ教科書進化論改訂推進会議総務が、午後7-10時もギムオヒョンギョジンチュ研究所長がそれぞれ "理科教科書を正す"をテーマに講演する。

二日目の21日には午後2時からパクミョンス教授(ソウル神大)が、午後7時からイウンソン教授(安養大)が、それぞれの歴史教科書歪曲と誤った解釈の問題を指摘する計画だ。

Sang-Il Choi代表は「教科書がどのように記述されているかという問題は、次の世代の価値観を決定する根本的な問題なので、歴史的事実やキリスト教精神に反するような歪曲された記述を決して放置してはならない」とし 「今回の特別講演が韓国教会に挑戦を与える機会になることを願う」と述べた。
これがさらに進行すると、テキサス州教育委員会の創造論持ち込みの他と米国の歴史をキリスト教価値観に合わせて修正する動きみたいなことになるわけだが、まだそこまで危機的ではない。少なくとも歴史教科書改変の動きは見られないようだ。
posted by Kumicit at 2012/07/18 08:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012/07/10

韓国は「馬と鳥類の進化の例の削除」を再考する

2012年6月5日のNatureの記事「South Korea surrenders to creationist demands」を受けて、韓国の生物学者たちが、創造論団体「教科書進化論改訂推進会議」へ対抗し始めた。
그동안 미온적 입장을 보였던 진화론 과학계는 이번 창조론자들의 ‘도발’에 크게 당황한 눈치다. 무대응에 대한 이유를 밝힌 장대익 서울대 교수(생물진화론)는 “대처해주는 것 자체가 그들의 이름을 올려주는 일이다. 창조론 진영의 전형적인 물타기 수법이다. 하지만 교과서는 전 국민이 배우는 것이다. 이 상황이라면 끝까지 링에 남을 것이다”라고 말하며 진화론 과학계가 앞으로 강경한 대처를 할 것임을 밝혔다.

これまで中途半端な態度を見せてきた進化論科学界は、今回の創造論者たちの"挑発"に大きく慌てた様子だ。これまで無視してきた理由を説明して、ジャンデイク ソウル大学教授(生物進化)は「対処すること自体が、彼らの名前を上げることになる。創造論陣営の典型的な"ムルタギ手法"(意図的に不確かな情報を流して世論が一方へ傾くのを妨害する行為)である。しかし、教科書は、全国民が学ぶものである。このような状況ならば、最後までリングに残るだろう」と述べて進化論科学界が今後、強硬な対応を行うことを明らかにした。

[教科書進化論改訂推進会議とこれへの反論 on 教授新聞(2012/06/12)]
現政権は創造論にゆるいらしいとの情報もあるが...
한 생물학자는 “한국에 제인 구달이 방문했을 때 ‘나는 창조론자이다’라고 (이 대통령이) 말했다는 후문을 들었다. 전성기도 아닌 창조과학회가 최근 들어 잘나가는 이유가 의심스럽다”라고 말했다. 이명박 대통령이 장로로 있는 소망교회는 한국창조과학회를 적극 후원하는 대표적인 대형 교회이기도 하다.

ある生物学者は「Dame Jane Goodallが韓国を訪問したとき、李大統領が『私は創造論者だ』と言ったという話を聞いた。全盛期でもない創造科学会が最近になって売れている理由は疑わしい」と述べた。李明博大統領が長老であるソマン教会は韓国創造学会を積極的に後援している代表的な大規模教会でもある。

[韓国創造科学会(KACR)による教科書改変への挑戦 by siainLive (2012/06/13)]
2012年7月6日のScienceの記事によれば...
The South Korean government is poised to appoint a new committee that will revisit a controversial plan to drop two examples of evolutionary theory from high school textbooks. The committee, to be led by insect taxonomist Byoung-Hoon Lee, a member of the Korean Academy of Science and Technology, has been asked to re-evaluate requests from a Korean creationist group to drop references to bird and horse evolution that they argue promote "atheist materialism."

At the same time, about 50 prominent Korean scientists are preparing to present government officials with a petition, organized by the Korean Association of Biological Sciences, which calls for rejecting the proposed changes.

"When these things are done, I think it will turn out that after all Korean science will not surrender to religion, so to speak," says Jae Choe, an evolutionary biologist at Ewha Womans University in Seoul who helped organize the petition.

韓国政府は、高校の教科書から進化論の2つの例を削除する論争な計画を再考する新しい委員会を任命する態勢を整えている。韓国科学技術アカデミーのメンバーである昆虫分類学者Byoung-Hoon Leeが主導する委員会は、韓国の創造グループが無神論唯物論を推進すると論じて鳥や馬の進化への言及を削除することを求めた件の再評価を依頼された。

同時に、約50名の著名な韓国人科学者が、教科書変更提案を拒否することを求めた。韓国生物科学会による請願を政府高官に提示する準備をしている。

「これらがなされれば、結局、韓国科学界は宗教に降伏しないことが明らかになるだろう」と。請願書のとりまとめを手伝っている、ソウルの梨花女子大学の進化生物学者Jae Choeは言う。
...
Prior to the Nature article, many scientists did not want to "participate in that muddy debate" over the teaching of evolution, says Dayk Jang, an evolutionary scientist at Seoul National University who also helped organize the petition. Choe, for example, hadn't wanted to debate with creationists because he worried that "responding to them somehow legitimizes their actions."

On 24 June, the controversy prompted the education ministry to announce that it would seek "expert opinions" on the issue from the Korean academy and the Korean Federation of Science and Technology Societies before finalizing the revisions. It asked Lee to lead the effort.

請願書のとりまとめを手伝っている、ソウル大学の進化学者Dayk Jang(장대익 ジャンデイク)は「Natureの記事が出るまで、多くの科学者は進化論教育をめぐる泥まみれの論争に参加したがらなかった」と言う。たとえば、「創造論者に対して反応することで、彼らの行動を正当化するのではないかという懸念から論争に参加したくなかった」と、ソウルの梨花女子大学の進化生物学者Jae Choeは言う。

6月24日に、論争に促されて、韓国教育省は教科書改訂決定の前に、韓国アカデミー及び韓国科学技術学会連合が問題にした件について、「専門家の意見」を求めることを発表した。

[Rachel Nuwer: "South Korea to Reconsider Plan to Drop Evolution Examples From Textbooks" (2012/07/06) on ScienceInsider]
さらなる進撃を企てていた創造論団体「教科書進化論改訂推進会議」の動きは押しとどめられそうな感じ。



関連エントリ



Natureの記事に始まる教科書をめぐる報道:


韓国の創造論情勢一般:
タグ:創造論
posted by Kumicit at 2012/07/10 07:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012/07/04

「創造論者が使ってはいけない論」にもあるネタを事実として掲載するキリスト教学校用教科書があるらしい

LeavingFundamentalistによれば、Accelerated Christian Educationのキリスト教学校向け教科書には、"若い地球の創造論"ミニストリAnswers in Genesis(及びCreaion Ministries International)の「創造論者が使ってはいけない論」にもあるようなネタを事実として掲載しているという。
The Answers in Genesis website has a list of arguments for Creationism that should never be used, or which should be avoided, because they are inaccurate (http://www.answersingenesis.org/get-answers/topic/arguments-we-dont-use). The following arguments from that list still appear in the PACEs:

  • There are no beneficial mutations (Science 1096 and 1107).
  • No new species have been produced (Science 1096).
  • There was a water vapour canopy surrounding the earth before the flood (Social Studies 1097, World Geography I).
  • The Japanese trawler Zuiyo Maru caught a dead plesiosaur near New Zealand (Science 1099).
  • The speed of light has decreased over time (Social Studies 1097).
  • There are no transitional forms (Science 1099).
  • Paluxy tracks prove that humans and dinosaurs coexisted (Science 1096 and 1099).
  • Noah’s Ark has been found (World Geography 12 1108; see http://www.answersingenesis.org/articles/cm/v21/n2/has-ark-of-the-covenant-been-found#Sidebar5).


Answers in Genesisのサイトには、正しくないので創造論者が絶対使ってはいけない論と避けるべき論が載っている。次の論はAccelerated Christian Educationの教科書に今も載っている。



[An Open Letter to Christian Education Europe (2012/06/08) on LeavingFundamentalist]
キリスト教徒はこういうことを学んで大人になるようだ。

posted by Kumicit at 2012/07/04 00:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012/07/01

「科学理論が聖書と矛盾したら、理論が間違っている」という理科教科書

Leaving Fundamentalismによれば、Accelerated Christian Educationのキリスト教学校向け理科教科書には、「科学理論が聖書と矛盾したら、理論が間違っているので、破棄しなければならない」という記述がある。
Man should never trust his own reasoning – his reasoning may be incorrect because man’s reasoning is not God’s reasoning.

人間は自分自身の推論を信頼すべきではない。人間の推論は神の推論ではないので誤っているかもしれない。

Although many modern scientific discoveries are not mentioned in Scripture, any scientific theory should be compared with Scripture. True science will never contradict the Bible because God created both the universe and Scripture. Some scientists may, like the early philosophers, contradict the Bible because their interpretation of their observations or their philosophical presuppositions are wrong, but the Bible, God’s Word, is infallible. If a scientific theory contradicts the Bible, then the theory is wrong and must be discarded.

多くの現代科学の発見は聖書に言及されていないが、いかなる科学理論も聖書と見比べるべきである。神が宇宙と聖書をともに創造したので、真の科学は聖書と矛盾しない。一部の科学者たちは、初期の哲学者たちのおうに、聖書と矛盾するかもしれない。それは彼らの観察の解釈あるいは哲学的な前提が間違っているからであり、神の言葉である聖書は無謬である。科学理論が聖書と矛盾したら、理論が間違っているので、破棄しなければならない。

The conclusions a scientist draws in his observations and experiments are based on his preconceived ideas or presuppositions. A scientist who believes the Bible may interpret certain “facts” much differently than a scientist who believes the theory of evolution. A scientist’s preconceived ideas may even limit what ‘facts’ he chooses to consider in formulating his theories. In your study of science, you should always remember that what you read is the work of a scientist who had certain presuppositions before he began his experimentation. All scientific ‘facts’ must be interpreted on the basis of God’s Word, the infallible source of knowledge.

観察や実験から科学者が描き出す結論は、科学者自身の先入観あるいは前提に基づいている。聖書を信じている科学者が仮借する「事実」は、進化論を信じている科学者のものとは大きく違っているかもしれない。理論を構成するために考慮する事実の選択は、科学者の先入観によって限定される。諸君の理科の学習では、実験を始める前に何等かの前提を置いている科学者の成果を読んでいることを常に念頭に置くべきである。あらゆる科学的「事実」は、無謬の知識の源泉たる神の言葉に基づいて解釈しなければならない。

As scientists began to realize that God is God of order and that His Creation is orderly, they gradually accepted three basic assumptions. First, the physical universe was created by the infinite and infallible God and is structured according to certain orderly laws… Science can be defined as man’s organized knowledge of God’s creation.

神が秩序の神であり、神の創造物は秩序立っていることを、科学者が認識し始めると、科学者たちは次第に3つの基本的仮定を受け入れた。まずは物理的宇宙は無限かつ無謬の神によって創造され、秩序だった法則に従って構築されている。科学とは、神の創造についての、人間の組織化された知識と定義できる。

[from " Accelerated Christian Education Science PACE 1109, Physical Science 1, 1996 revision", quoted by The Scientific Method According to Accelerated Christian Education (2012/04/30) on Leaving Fundamentalism]
なかなか笑えるが、これはインテリジェントデザインも似たようなことを言っている。持てる先入観によって科学はどうとでもなるというのが、インテリジェントデザインの父たる法学者Phillip Johnsonの主張である。
The book is forthrightly based on the assumption that the Bible is the inerrant word of God, but I find no fault with any assumption that is candidly stated and honestly defended, however controversial it may be. I only wish that the rulers of science would state their precommitment to naturalism openly and defend it forthrightly, instead of hiding naturalism in the definition of “science” and then presenting as observed or experimentally tested fact conclusions that are actually derived from naturalistic philosophy.

この本は、聖書が神の無謬の言葉だという仮定に率直に基づいてる。しかし、たとえそれが論争の的であるとしても、この本で率直に述べられ、正直に擁護されている仮定に、私は誤りを見出せない。私は科学の統治者たちが、科学の定義に自然主義を隠し、観察あるいは実験的に検証された結論として、実際には自然主義哲学から導かれたものを提示するのではなく、率直に自然主義を擁護してほしいと願う。

[Phillip E. Johnson: "Grand Canyon Mystery Tour" (2004/05) in "Touchstone Leading Edge Archives" on ARN]

posted by Kumicit at 2012/07/01 11:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012/06/27

「キリスト教徒は、ものがどうやって始めたか推測する必要はない」というキリスト教学校用教科書

米国ではキリスト教系学校では教える内容について、制約がない。そこで、こんな教科書があったりする。
Science 4 for Christian Schools
Science4forChrisianhools_topsmall.jpg


いろいろおかしいが、たとえば...
Science4forChristianSchools_p8_part.png

月の起源についての聖書の記録

さきほど論じた3つの理論が、一部の科学者の月の始まりについての推測である。しかし、キリスト教徒は、ものがどうやって始めたか推測する必要はない。聖書は天空の光を神が作ったと我々に告げているだけでなく、神がそれらを無より作ったと告げている。ヘブライ人への手紙11章3節の終りに「見えるものは、目に見えているものからできたのではないことが分かるのです」とある。神が言葉を発するまで、物質は何も存在しなかった。

その他のものと同じく、月の創造は瞬間だった。詩編33編9節「主が仰せになると、そのように成り」とある。月は神の命令で瞬間的に存在するようになった。

Science4forChristianSchools_p9_part.png

月の年齢

「月の年齢は幾つか?」この問いは何世紀も科学者を悩ませてきた。物事が偶然に起きるには長い時間がかかるので、進化論者は月を数十億歳だと仮定してきた。しかし、創造論者は月はずっと若く、おそらく1万歳だと考えている。
キリスト教徒は、これを真剣に学んで大人になるのだろう。
タグ:創造論
posted by Kumicit at 2012/06/27 07:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする