2011/10/17

コントロールの回復 Re^n visited

地球も宇宙も6000歳という"若い地球の創造論"を信じる人々が40%以上いる米国では、公立学校の理科の授業で創造論を教えようという動きが州議会・州教育委員会・学区教育委員会などで繰り返し起きている

ただ、この動きは"科学"そのものを否定しようというものではない。Ron Numbersが指摘するように...
MR. NUMBERS: To me, the struggle in the late 20th Century between creationists and evolutionists does not represent another battle between science and religion because rarely do creationists display hostility towards science. If you read their literature, you'll rarely come across an anti-scientific notion. They love science. They love what science can do. They hate the fact that science has been hijacked by agnostics and atheists to offer such speculative theories as organic evolution. So, they don't see themselves as being antagonistic to science any more than many of the advocates of evolution - those who see evolution as God's method of creation - view themselves as hostile to Christianity.

私にとって、20世紀後半の創造論者と進化論者の戦いは、科学と宗教の戦いの新たな局面ではない。それは、創造論者たちは科学に敵対的になることは、ほとんどないからだ。彼らの文献を読めば、反科学的な概念に出会うことはまずないだろう。彼らは科学が好きだ。そして彼らは科学ができることが好きだ。彼らは、科学が不可知論者によって乗っ取られたという事実と無神論者が生物進化のような推測の理論を提供するのを嫌う。彼らは、進化論支持者すなわち、進化を神の創造だと見る人々が自らをキリスト教に敵対すると考える以上に、自分たちが科学に敵対しているとは見ていない。

[Ron Numbers Interview on PBS]
創造論支持者たちから見れば、不可知論者・無神論者によって乗っ取られた科学を自分たちの手に取りもどそうという行動である。

同様のことは、否定論に広くみられる。否定論を考えるNew Scientistの連載で、Debora MacKenzieは次のように指摘する。
Many people see this as a threat to important aspects of their lives. In Texas last year, a member of a state committee who was trying to get creationism added to school science standards almost said as much when he proclaimed "somebody's got to stand up to experts".

It is this sense of loss of control that really matters. In such situations, many people prefer to reject expert evidence in favour of alternative explanations that promise to hand control back to them, even if those explanations are not supported by evidence.

これを、多くの人々は、自らの生活の重要な面を脅かすものだと見ている。昨年テキサス州では、創造論を学校の理科カリキュラム基準に入れようとした州教育委員は「誰かが専門家に対して立ち上がらなければならない」といったことを述べた。

ここでの問題はコントロールの喪失である。このような状況では、多くの人々は、自分たちの手にコントロールを取り戻すような代替的説明を選好し、専門家の証拠を拒絶する。たとえ、代替的説明が証拠に支持されていなくとも。

All denialisms appear to be attempts like this to regain a sense of agency over uncaring nature: blaming autism on vaccines rather than an unknown natural cause, insisting that humans were made by divine plan, rejecting the idea that actions we thought were okay, such as smoking and burning coal, have turned out to be dangerous.

This is not necessarily malicious, or even explicitly anti-science. Indeed, the alternative explanations are usually portrayed as scientific. Nor is it willfully dishonest. It only requires people to think the way most people do: in terms of anecdote, emotion and cognitive short cuts. Denialist explanations may be couched in sciency language, but they rest on anecdotal evidence and the emotional appeal of regaining control.

すべての否定論者はこのようにして、手の届かない自然に対するコントロールの感覚を取り戻そうとする。たとえば、自閉症について、未知の自然の原因よりもワクチンのせいだと批難する。人間は神の計画によって創られたと言い張る。そして、自分たちがOKだと考えている喫煙や石炭火力が危険なものだとわかったという考えを拒絶する。

これは必ずしも悪意あるものでもなければ、直接的な反科学でもない。実際、代替的説明は多くの場合、科学的だと描写される。そしてまた、意図的な不誠実でもない。多くの人々が使っている逸話と感情と認知のショートカットを使うだけで、否定論者となれる。否定論者の説明は科学っぽい言葉で表現されるが、実際には逸話的証拠と、コントロール回復という感情的に魅力に基づいている。

[Debora MacKenzie: "Living in denial: Why sensible people reject the truth " (2010/05/19) on New Scientist]
「専門家たちが行う研究の方向性をことコントロールできない」あるいは、「そもそも専門家たちの研究を理解・評価できない」というコントロールの喪失感を、補償してくれる否定論(あるいはカウンターナレッジ)。「専門家たちが行う科学」への信頼を失った人々にとっては、抗いがたい魅力を持つだろう。特に、その否定論(あるいはカウンターナレッジ)が理解しやすい単純なものであれば。それは、理解できれば、「専門家たちが行う科学」を自分たちが取り戻したという感覚を得られるからだ。

で、この「理解できる」ということは、もう一つのコントロールの回復にも効く。すなわち、「事態に自分が影響を及ぼせるという感覚の回復」である。
The reason, suggest Jennifer Whitson of the University of Texas, Austin, and Adam Galinsky of Northwestern University, is that pattern perception compensates for feeling out of control in a sea of forces you do not comprehend. It balances the sense that life is random and restores the sense that you do understand what’s going on and might even be able to affect them. It can be more comforting to believe that a vast conspiracy explains, say, the stock market crash than to acknowledge that the financial system is beyond your comprehension, let alone control: conspiracy beliefs, write the scientists, give “causes and motives to events that are more rationally seen as accidents ... [in order to] bring the disturbing vagaries of reality under ... control.”

その理由は、AustinのUniversity of TexasのJennifer Whitsonと、Northwestern UniversityのAdam Galinskyによれば、理解できない力で制御不可能になったという感情を、パターン認識が埋め合わせていること。パターン認識は、生命はランダムだという感覚を均衡させ、何が起きているか理解し、その事態に自分が影響を及ぼせるという感覚を回復させる。株式市場の崩壊を巨大な陰謀論で説明する方が、金融システムが自分の理解を超えていると考えるよりも安心できる。陰謀論を信じれば事件の原因と動機が定まり、単なる偶発時と考えるよりも合理的だと思えるようになり、乱れて予測のつかない現実をコントロールのもとにおくことができる。

[Sharon Begley: "Feeling Powerless? Do I Have a Conspiracy Theory for You" (2008/10/02) on News Week]
自分が次に何をすればいいか、何をすれば問題が解決するのかが確定すれば、あとはそれを遂行するだけ。特にそれが「悪しき事態を引き起こした存在を打倒せば、問題が解決する」というものなら、もはや何も考える必要はない。攻撃あるのみ。



posted by Kumicit at 2011/10/17 07:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | Earthquake | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011/09/17

東電管内需要と気温の関係UPDATE(2011/09/16)

東京電力管内の電力需要(時別最大)と東京の日平均気温のグラフを更新した(使用データはこちら)。
TepcoVTokyo_0916.png
TokyoTemp0916.png

2011年のみ前半だけだが、9月の時別需要(平日)を見ておくと...
TepcoSept16.png
2011年9月高め推移の前半だけの値だが、2008年9月全体と同程度。かなり抑制されている。

とはいえ、9月9日で電気事業法27条に基づく電気の使用制限が終って、翌週は最大需要も大きくなっている。
TepcoVtokyo_20110916.png
posted by Kumicit at 2011/09/17 19:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | Earthquake | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011/09/08

ひさしぶりに放射線量(〜2011/09/06)

久しぶりに福島県主要地点の放射線量を見てみた。最初期のヨウ素が大きいので、その後の変化が読めないので、対数グラフにした。
HistF-0906.png
おおよそ4月末にはI-131がほぼなくなって、その後はCs-134の崩壊やら、地中への浸透やら、雨による流出やら要因は不明だが、指数関数で(対数グラフなので直線で)漸減中...
posted by Kumicit at 2011/09/08 01:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | Earthquake | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011/09/06

メモ: Poll on Nuclear Energy

米国の原発に関する世論調査の推移をちょっと見てみた。
ABC News/Washington Post Poll. April 14-17, 2011. N=1,001 adults nationwide. Margin of error ア 3.5.

"In general, would you favor or oppose building more nuclear power plants at this time?" (Half sample)


Favor Oppose Unsure
% % %
4/14-4/17/2011 33 64 3
<== 3/11/2011 1-Fukushima
7/23-7/28/2008 44 53 3
6/ 2-6/ 5/2005 34 64 2
6/2001 42 52 6
4/2001 37 59 4
3/1990 22 76 2
5/1986 19 78 3
<== 4/26/1986 Chelnobyl
4/1986 28 68 4
1/1985 26 67 6
4/1983 27 65 8
<== 3/28/1979 TMI

[Polling Report]
TMI事故以前の数値がないので、TMIのインパクトはわからないが、福島第一原発事故後の世論は、TMIの3年後よりも少し反原発弱め。長い目でみると、今世紀中のゆらぎの範囲内に見える。

直近の数値がないが、原発支持・不支持には男女差があり、男性の方が支持率が一貫して高い。

G2009nuke.gif
[Gallup poll (2009/03/20)]


なお、世界的には原発支持は急降下
posted by Kumicit at 2011/09/06 08:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | Earthquake | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011/09/02

東電・東北電管内需要と気温の関係UPDATE(2011/09/01)

東京電力管内の電力需要(時別最大)と東京の日平均気温のグラフを更新した(使用データはこちら)。
TepcoVTokyo_0901.png
TokyoTemp0831.png
8月は昨年よりは気温低めに推移したこともあり、なんとか乗り切っている。平日と土日を見ると、平日はかなり節電されているが、土日はそうでもない。これは、自主的輪番創業で平日休んで土日操業している企業の存在および、一般家庭があまり節電していないことが理由として考えられる。7月の販売実績から見ても、一般家庭・小規模需要家は気温の違いを除外すれば、あまり節電していないように見える(節電の気合いと行動はあったかもしれないが、結果は大したものではない)。

節電命令と、4か月程度の間に東電が行った復旧・再起動・新設の効果は大きい。

  • 津波被害を受けた広野火力発電所1〜5号機(380万kW)を6月15日から7月16日かけて運転再開
  • 地震被害を受けた常陸那珂火力発電所1号機(100万kW)を5月15日に運転再開(ただし一部施設未復旧につき40%出力)
  • 地震被害を受けた鹿島火力発電所2,3,5,6号機(320万kW)を4月20日までに運転再開
  • 京浜地区の火力発電所(千葉火力2号1軸, 横浜火力8号4軸, 大井火力2,3号機, 五井火力4号機, 東扇島火力1号機)の運転再開(4月8日までに)
  • 横須賀火力(3,4号機, 1,2号GT)(87万kW)の再起動(7月6日までに)
  • 緊急電源170万kWの設置


つづいて、東北電力管内の電力需要(時別最大)と仙台の日平均気温のグラフも更新した。
TohokuVsendai_0901.png
SendaiTemp0831.png
仙台火力・新仙台火力・原町火力・女川原子力・水力発電の半分が失われた状況で、東電から100万kW以上を融通してもらって、なんとか乗り切っている。

なお、東電と違って、ダメージが大きかったのか、戦力があまりないのか、仙台火力・新仙台火力は来夏復旧目標。原町火力は避難準備区域にあるため手がついていない。
posted by Kumicit at 2011/09/02 21:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | Earthquake | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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